HMGCR抗体関連筋症

はじめに
スタチンは横紋筋融解症の原因となります。その病態は中毒性のものと想定されており、薬剤中止により改善します。しかしながら、稀にスタチン中止後も筋力低下、高CK血症が持続することがあり、その病態にHMGCR(3-Hydroxy-3-Methylglutaryl-Coenzyme A Reductase)に対する自己抗体(HMCGR抗体)が関与していると考えられています(病原性に関しては未証明)。
すなわち、スタチンによりHMGCRに対する自己抗体が産生されるようになり、自己免疫性壊死性筋症を発症させてしまうというイメージです。スタチンでは2-3/10万人万程度の頻度の合併症と言われています。しかしながら、本疾患ではスタチン暴露歴のある方は60%程度で、40%はスタチン暴露とは関連無く発症します。
同じく自己免疫性壊死性筋症の原因となるSRP抗体筋症と比較すると、治療反応性が良いというdataもありますが、本疾患でも難治例はしばしば経験します。

症状

    急性から慢性まで様々な経過を取ります
    近位筋優位の筋力低下(痛みは伴わないことが多い)

検査
血液検査:CK/アルドラーゼ上昇、HMGCR抗体測定(コスミックコーポレーション)、HLA DRB1*11:01がリスク関連として知られています
針筋電図:安静時自発電位や筋原性変化、myotonic dischargeも良く見られますので特徴の一つとして考えて良いと思います
筋MRI:罹患筋のT2高信号(脂肪化/浮腫/変性)や筋萎縮
筋生検
round atrophyを伴う筋繊維の大小不同(肥大線維も散見される)、壊死、再生繊維が目立つ割に、筋炎と異なり炎症細胞浸潤が乏しい場合に本疾患を含めた壊死性ミオパチーを疑います。しかしながら、臨床経過が慢性型のものもありますし、LGMDをはじめとした筋ジストロフィーとの鑑別は容易ではありません。
その他の所見として以下のような変化も報告されています。
Myconuclei、内部が抜けて見えるものもあり。壊死線維やperimysiumでC5b-9沈着、あるいはMHCの筋細胞膜での発現亢進が見られることがある。また、再生繊維でHMGCR発現が亢進しているという報告もあり、HMGCR抗体が再生を阻害している可能性も示唆されます。

治療
スタチンを即座に中止することが最も重要です。引き続き、以下の治療を行って下さい。多発筋炎の治療と類似します。報告例でも様々な治療を組み合わせて、治療に苦慮しているようです[ref]。
1. 急性期治療
PSLパルス+PSL1mg/kgの長期投与(必須)、血漿交換療法、IVIg療法
2. 維持療法
MTXやAZAを早期から導入
難治例には、リツキサン
3. 脂質異常症が存在する場合は、スタチン以外の治療

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