はじめに
最近は、多発血管炎性肉芽腫症(Granulomatosis with Polyangitis: GPA)と呼ばれるようになりました。
- 鼻、耳、眼、上気道(E)および肺(L)の壊死性肉芽腫性血管炎
腎(K)の巣状分節性壊死性糸球体腎炎
全身の中・小型動脈の壊死性血管炎
以上の、3つで特徴づけられる全身性血管炎症候群です。病理形態学的な特徴として、肉芽腫症と呼ばれるように上気道・肺・全身の血管の壊死性肉芽腫性病変を認めます。
全身性の症状
上気道(E):初発症状として多く、鼻出血、膿性鼻汁、中耳炎など
肺症状(L):咳嗽、血痰、胸痛、呼吸困難など
腎症状(K):腎炎(pauci-immune型巣状壊死性半月体形成性腎炎)を合併します(70-80%)
神経系合併症
肉芽腫による障害、血管炎による障害の二つがメインとなります。神経系の合併症としては、以下が有名と思われます。
末梢神経障害:血管炎性末梢神経障害を引き起こします
多発単神経炎
多発神経炎:血管炎が原因であってもpolyneuropathy症状を来すこともあります
多発脳神経障害:眼窩内肉芽種による視神経障害が最多、その他、硬膜肥厚による障害など
中枢神経障害:硬膜、軟膜の炎症を中枢として分類して良いのか疑問も残りますが、、、
脳血管炎:稀
肥厚性硬膜炎
髄膜炎
脊髄障害:髄外出血による障害があります
検査
- 血液検査:C-ANCA(PR3-ANCA)(感度は91%,特異度は99%)
尿検査:血尿、蛋白尿、急速に進行する腎不全
生検:鼻粘膜に病変があると、最も簡便に生検が行えます。とにかく罹患臓器で、病理学的に以下の変化を検出することが最も重要と思われます。
病理学的特徴:壊死性肉芽腫性血管炎で、フィブリノイド壊死や巨細胞を認めます。