血管内悪性リンパ腫(intravascular malignant lymphomatosis: IML or IVL)診断

はじめに
神経内科では原因不明の脳梗塞、脳症、馬尾障害などで遭遇することが多いかと思います。
主に50-60代で発症し、一般的な悪性リンパ腫がリンパ系に増殖するのに対して、なぜか血管内で腫瘍細胞が増殖する疾患です。腫瘍細胞の増殖がなぜ血管内にとどまるのか、その機序はいまだ十分に解明されていないようですが、細胞が血管外に遊走する機構(adhesion mechanism)の障害は少し知見があります。
大部分がintravascular large B-cell lymphoma (IVLBL)ですが、稀にT-cell, NK-cellも報告されています。

症状

    皮膚/肺病変、神経症状がよく検出されます
    全身症状:B症状と呼ばれる、発熱、盗汗、全身倦怠感、体重減少など
    神経症状:下記
    皮膚病変:典型的には有痛性の発赤病変で、老人性血管腫と思われるような病変や毛細血管拡張といった病変が多いですが、色素沈着や出血を伴った皮疹もあります
    副腎病変
    肺病変
    甲状腺病変

他のリンパ腫と比較し、骨髄、脾臓、リンパ節の障害頻度は低いことが特徴です
血球貪食症候群を主徴とするIVLBL(アジア亜型)も報告が増加しています

検査と診断
罹患臓器からの生検による病理学的な診断が重要です。臨床症状は多彩でしばしば診断に苦慮、生前診断は30%とされてきましたが、皮膚生検などで診断率が上昇しています。

    ランダム皮膚生検:皮疹部位だけでなく、非皮疹部位からも病変が検出されることがあります。表皮周辺の血管ではなく、深い皮下組織の間にある小血管に見られるため、パンチbiopsyでなく2-3cmのくさび状の皮膚切開を加え、できるだけ多くの皮下脂肪織を含むように筋膜直上までの摘出を、少なくとも3か所以上から採取する必要が有ります
    血液検査:ESR、LDH著増、sIL-2R著増など
    髄液検査:蛋白増加はよく見られます。細胞診やsIL-2Rの提出。脳悪性リンパ腫(診断)も参照
    FDG-PET/CT:罹患臓器検索のため
    肺CT:びまん性すりガラス、小葉中心性の淡い濃度上昇など多彩。肺梗塞を合併することもあります。造影も必要と思われます。
    脳MRI:DWI高信号で脳梗塞と区別が難しい例も多いですが、脳梁を含めた白質を好む傾向、やや動脈支配と一致しない傾向、髄膜の造営効果を認めることがあるなどから鑑別を進めましょう。経時的変化も重要です。
    腰椎造影MRI:馬尾は後発部位です。稀に生検することもあります

IMLに見られる神経症状
初診時に25%、IML全経過では85%以上に神経症状が見られると報告されています。特に中枢神経障害の頻度が高く、血管閉塞によるに突然発症、及び亜急性・進行性の経過が多く見られます

    脳血管障害が最多(76%)
    脊髄・神経根障害(38%):腰仙髄障害、その際は神経根も障害されやすい
    亜急性脳症
    単神経障害
    多発単神経障害(脳神経含む)

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