慢性活動性EBウイルス感染症(Chronic Active Epstein-Barr Virus infection:CAEBV)

はじめに
時に、神経症状の合併も報告されている予後のあまり良くないEBウィルス感染症です。
CAEBVはEBVの感染細胞により、以下の体部に分類されます。

    T細胞タイプ(CD4、CD8、γδ-T)
    NK細胞タイプ
    B細胞タイプ(稀)

T細胞型は発熱、貧血、肝腫大、リンパ節腫脹、EBV関連抗体価の異常高値が特徴的で、CD4陽性T細胞型は急激な進行、γδ-T 細胞型は種痘様水疱症、NK細胞型では顆粒球増加症、蚊刺過敏症、高IgE血症が比較的特徴的です。
CAEBVの重篤な合併症として、血球貪食症候群、脾機能亢進症、DIC、肝不全、消化管潰瘍/穿孔、神経障害、心筋炎、間質性肺炎、悪性リンパ腫、白血病などが知られています。
CAEBVでは特徴的な抗体価パターンが認められるが、必ずしも全例に認められるわけではなく、EBV関連抗体価は必ずしも高くなるわけではないようです。
より重要なのは、組織もしくは末梢血中でEBV感染細胞の増加を証明することです。つまり、EBV terminal repeat probe を用いたサザンハイブリダイゼーション解析を行うと,CAEBV ではoligoclonalもしくはmonoclonalな感染細胞の増殖を証明することができます。
さらにEBVがT細胞に感染した患者では悪性リンパ腫で見られるような、T cell receptorの再構成もしばしば認められます。一方で、病理組織学的所見からは、異形成の強い均一な細胞の集積が認められることは少なく、むしろ非特異的な炎症性反応と区別できないことも多いようです。また、clonalityを持つ細胞が末梢血中に多量に認められるにも関わらず、病状が悪化しない患者も多く存在することから、この疾患を単純に悪性リンパ腫と言うこともできないとも考えられています。
これまで、CAEBV患者においてはEBV特異的細胞障害性T細胞活性が低いことが示されています。患者の細胞性免疫を制御する機構になんらかの欠陥があり、限られた免疫源性の低いウイルス抗原しか発現していないEBV 感染細胞を排除できず、感染細胞の増殖を許している可能性が考えられています。

慢性活動性EBV 感染症の診断指針

1. 持続的あるいは再発する伝染性単核症様症状
2. VCA, EA抗体価高値を伴う異常なEBウイルス抗体反応または病変組織(含末梢血)におけるEBウイルスゲノム量の増加
3. 慢性に経過し既知の疾患とは異なること
以上の3項目をみたすこと。

補足条項
1. 伝染性単核症様症状とは、一般に発熱・リンパ節腫脹・肝脾腫などをさす。加えて、伝染性単核症に従来主に報告される血液、消化器、神経、呼吸器、眼、皮膚あるいは心血管合併症状・病変(含動脈瘤・弁疾患)などを呈する場合も含む。
2. VCA、EA抗体価高値とは一般にVCA-IgG 抗体価640倍以上、EA-IgG抗体価160倍以上がひとつの目安となる。加えて、VCAおよびEA-IgA抗体がしばしば陽性となる。
3. 診断の確定、病型の把握のために以下の臨床検査の施行が望まれる。
a) 病変組織(含末梢血)のEB ウイルスDNA、RNA、関連抗原およびクロナリテイの検索

    a. PCR 法 (定量、定性):末梢血における定量を行った場合、一般に10^2.5コピー/μgDNA
    以上がひとつの目安となる。定性の場合、健常人でも陽性となる場合がある
    b. In situ hybridization 法 (EBERなどの同定)
    c. 蛍光抗体法など(EBNA、LMPなどの同定)
    d. Southern blot 法(含EBウイルスクロナリテイの検索)
    e. EB ウイルス感染標的細胞の同定: 蛍光抗体法、免疫組織染色またはマグネットビーズ法などによる各種マーカー陽性細胞(B 細胞、T 細胞、NK 細胞、単球/ マクロファージ/ 組織球などを標識)とEBNA、EBER あるいはEBV DNA 検出などを組み合わせて行う

b) 病変組織の病理組織学的・分子生物学的評価

    a. 一般的な病理組織所見
    b. 免疫組織染色
    c. 染色体分析
    d. 遺伝子再構成検査(免疫グロブリン、T 細胞受容体など)

c) 免疫学的検討

    a. 一般的な免疫検査(細胞性免疫 [ 含NK 細胞活性]・抗体・補体・食細胞機能など)
    b. 末梢血マーカー分析(含HLA-DR)
    c. 各種サイトカイン

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