那須ハコラ病 (Nasu-Hakola disease) 診断

参考>gene review

はじめに
多発性骨嚢胞による病的骨折と白質脳症による若年性認知症を主徴とする疾患です。神経内科では白質脳症の鑑別疾患としてしばしば登場します。
常染色体劣勢遺伝、DAP12(TYROBP:tyrosine kinase binding proteinをエンコード)やTREM2遺伝子の機能異常・変異によりマイクログリアや破骨細胞の機能異常が生じるメカニズムが類推されています。現在はpolycystic lipomembranous osteodysplasia with sclerosing leukoencephalopathy (PLOSL: OMIM221770)とも呼ばれています。
TREM2に関しては、アルツハイマー病発症のリスク上昇に有意に関連してい るという論文が発表されていて、アルツハイマー病もまたミクログリアの機能異常が病態に関連している可能性も示唆されています。マイクログリア異常による白質病変は、HDLSも有名ですね。

症状
疾患の進行度を無症候期(20歳代まで)、骨症状期(20歳代以降)、早期精神神経症状期(30歳代以降)、晩期精神神経症状期の4つの病期に分類されることがあります。

    病的骨折:長管骨骨端部に多発性骨嚢胞が好発て骨折を繰り返します
    精神症状:制約変化、脱抑制、多幸症、人格障害
    前頭葉症状
    てんかん発作
    錐体路症状
    不随意運動:舞踏病、ミオクローヌスなど
    認知機能障害

検査

    血液検査:特異的な所見はないようです
    骨X-p:長管骨骨端部に多発する嚢腫様陰影(骨透亮像)と骨梁非薄化
    骨生検:膜嚢胞性変化(lipomembranous osteodysplasia)
    遺伝子検査:通常は欠失または点変異のホモ接合体(homozygote)ですが、複合ヘテロ接合体(compound heterozygote)の場合もあります。また、常染色体劣性遺伝の家族歴が明確でないことも多いようです。
    CT:大脳基底核の石灰化
    MRI:白質脳症の原因疾患の一つですが、残念ながら特異的所見はありません。強いて言えば、基底核の大脳の萎縮、両側大脳白質のびまん性T2WI高信号、尾状核の萎縮、基底核/視床がT2WIで低信号を呈することもあります



A:レンズ核の石灰化. B:深部白質の淡い高信号. C: 手根関節の嚢胞性変化
refより抜粋。こちらも参考になります。
病理
大脳白質:髄鞘の崩壊、ズダン好姓脂肪顆粒細胞、グリオーシス、白質内軸索腫脹(spheroid body formation)

Tips
TREM2 は膜貫通型の糖タンパクで、細胞外にイムノグロブリン様構造を持っています。TREM2 分子自体はシグナル伝達部位を持たないことから、シグナル伝達アダプター蛋白のDAP12分子と細胞膜で会合しています。
DAP12 分子は Immunoreceptor thyrosine-based activation motif (ITAM) を持っていて、細胞内に活性化シグナルを伝達します。DAP12 分子は免疫系細胞に多く発現していて、マウスではTREM2/DAP12複合体は破骨細胞やミクログリア以外にも、樹状細胞などに発現しています。

3 Responses to 那須ハコラ病 (Nasu-Hakola disease) 診断

  1. 沼沢祥行 より:

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/21834902/
    国内からもTREM2に変異のある家系の報告がありますが、多くはDAP12の報告で、まだ埋もれている可能性があります。

  2. Bill and Ben より:

    筆頭著者からのコメントを頂き光栄です。私も埋もれさせている自信があります。。。(泣)
    管理人

  3. 沼沢祥行 より:

    白質脳症の鑑別診断としてNHDが上がる場合は多いとは思うのですが、余り白質のT2高信号変化は目立ちません。このケースはとても大事で、長くフォローしています。

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