内科専門医/認定医試験 非神経内科医のための神経疾患10個のポイント

内科専門医試験において、神経内科は最も平均点が低い領域の一つです。内科医にとって馴染みがなく、多くの疾患が神経内科へ丸投げ対象疾患であることが原因かと思います。内科専門医対策のまとめ以外に、以下のポイントは少なくとも覚えておきましょう。

1. 脳梗塞
急性期脳梗塞は発症4.5時間以内であればt-PA静注療法を行いますが、裏を返すと発症時間が不明だとtPA療法施行が不可能になります。その場合は、脳MRIなどの所見から梗塞がまだ小さければ血管内治療も考慮します。最近はt-PA静注療法施行可能例でも、さらに血管内治療を加えて血栓をスッキリとりきってしまう事もあります。
二次予防に関しては、ラクナ梗塞あるいはアテローム血栓性脳梗塞では抗血小板薬、心原性脳塞栓症であれば抗凝固療法になります。

2. NOAC or DOAC
脳梗塞二次予防に関して、心原性脳塞栓症であれば抗凝固療法になりますが、心原性の原因疾患として非弁膜症性Afがあれば、ワーファリンよりNOACを優先的に使用します。
NOACのポイントは、非弁膜症性Af以外の二次予防エビデンスは少なく弁膜症性Afや機械弁には適応がないこと、腎排泄の割合が多く腎不全患者(Ccr<15-30以下とか)には使用できないこと、出血の副作用が少ないことだとおもいます。つまり非弁膜症性心房細動以外が原因の脳塞栓症にはワーファリンを用います。 また、循環器系の問題とoverlapしますが、抗凝固療法の適応を考える上で、CHADS2スコアCHA2DS2-VAScスコアが用いられることから、よく出題されます。このようなスコアの暗記はとてもくだらないことと思いますが、テスト前のみ暗記してください!
抗トロンビン薬:プラザキサ(Af治療薬のワソランと併用が難しいというのが有名、中和剤が発売されてreverse可能となりました)
Xa阻害薬:リバロキサバン、エドキサバン、アピキサバン

3. CJD(プリオン病)
亜急性進行性認知症の原因疾患の一つで、大脳皮質が拡散強調画像で広範に高信号になる。ミオクローヌスが見られる。脳波でPSDが出るなどが有名。この疾患は日本の神経内科医が頑張ってサーベイランスしていることもあり、しばしば出題されます。
感染症届けが必要かどうかも問われました。

4. 担癌患者で頻発するトルーソー症候群による脳梗塞
過凝固状態を引き起こし、多くの場合小さい脳梗塞が多発します[NBTEによる大きな脳梗塞ももちろんあります]。d-dimerが著増し、二次予防としてヘパリン以外効果はなく、ワルファリン無効です。NOACもおそらく無効
その他、特殊な原因としての脳梗塞として、椎骨動脈解離によるWallenberg症候群、感染性心内膜炎による感染性動脈瘤及び脳梗塞、卵円孔開存や肺動静脈シャントによる奇異性塞栓もテスト問題を作成しやすいと思われます。

5.多発性硬化症、視神経脊髄炎
両方共、視神経や大脳白質及び脊髄白質に自己免疫性の炎症が起こりますが全く異なる疾患/病態で、ひっかけ問題を作りやすいかと予想します。脊髄病変に関しては、MSに比べてNMOでは縦方向に長い(3椎体以上)特徴があります。その他、
MSは、T細胞主体の病態なのか特異的な自己抗体なし
NMOは、B細胞主体の病態なのか、AQP4あるいはMOGという抗体が検出されます。
急性期治療は両方とも、ステロイドパルスか血漿交換で同じです。
再発予防は、全くことなります。例えば、NMOに間違ってIFNβを打つと、再発してしまいます。。。
MS:IFNβ、コパキソン、ナタリズマブ、フィンゴリモド [再発予防にステロイドがないことに注目を!]
NMO:ステロイド少量投与、あるいは保険は通ってませんが免疫抑制剤(AZA、MMF)やリツキシマブ及びエクリツマブ [再発予防にステロイドが「ある」ことに注目を!]

6. 重症筋無力症
Ach受容体抗体、MUSK抗体、[Lrp4抗体:知らなくて良い]により発症する、眼瞼下垂、複視、球麻痺、全身の筋力低下を主体とする筋無力症。疲労現象やWanningなどが有名でしょうか。
1. 胸腺腫の摘出(高齢の場合は放置することもある)
2. メスチノンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(ただの対症療法)
3. 根本的には、ステロイド、タクロリムス、CyAにより病状をコントロールします。
急性期(クリーゼ)の治療としては、血漿交換あるいはIVIg

7.多系統萎縮症

    小脳失調
    自律神経障害:起立性低血圧、インポテンツ、便秘などのこと
    パーキンソン症状

以上の3つを特徴とする中枢神経系が多系統に障害される、孤発性脊髄小脳変性症の一つ。最も頻度が高い脊髄小脳変性症なのでテストに出ても良いのでは?と思います。難しいですが、脳幹の十字サインが出ていたら、選択してみてください。

8. 単神経障害
下垂足の支配神経(腓骨神経)、下垂手の支配神経(橈骨神経)に山をはるのは如何でしょうか?その他、頻度が高いものとして、手根管症候群(正中神経)とか。梨状筋症候群は坐骨神経。

9. 感染症
髄膜炎、脳炎に関しては、以下に山をはるのは如何でしょうか。感染症分野からの出題もあるかもしれませんが、、、
単純ヘルペス脳炎:側頭葉内側に異常が見られ(MRI DWIで高信号が目立つ)、アシクロビルの静注
抗NMDA受容体脳炎:卵巣奇形腫によると思われるNMDA抗体により辺縁系脳炎を来す自己免疫性疾患です。感染症ではありませんが。。。卵巣摘出が最も効果的ですが、血漿交換、IVIg、ステロイド、リツキサンなどを使うこともしばしばあります。
クリプトコッカス髄膜炎:2016年セルフトレーニング参照
細菌性髄膜炎:カルバペネム+VCMか、ABPC+CTRX+VCMのどちらかに加えて、ステロイドも最初の2-4日投与。肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌、リステリアが多いですが、特に肺炎球菌は耐性菌が増えている。IE、副鼻腔炎、中耳炎などが原因として多い。
進行性多巣性白質脳症:免疫抑制状態にあるとJC virusが増殖して、脳の白質が障害されて認知機能障害などが出現します。ナタリズマブなどの生物学的製剤が使えるようになって増えている[分子標的薬の副作用として注目されている]。脳MRIは頭に入れてみてください。病名通り白質主体の病変ですね。なかなか治療法はなく、マラリア薬のクロロキンを使ったりすることはあります。

10. その他:すいません比較的多くなってしまいました。。。

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