主な治療は以下の五つです。
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抗血栓療法
頭蓋内圧亢進対策
痙攣対策
原疾患の治療
リハビリテーション
抗血栓療法
脳静脈血栓症の予後良好因子の1つは「抗凝固療法を行うこと」です。しかしながら、この治療は出血のリスクを伴い、さらに脳の病変自体に出血が見られることが多く積極的?かつ慎重に用いなくてはなりません。使用中、定期的に脳CTを行いましょう。出血性の静脈梗塞症例でもヘパリンの使用が推奨されていますが、「脳卒中ガイドライン2004」では発症後数日以内に明らかな血腫の増大傾向がない場合とされています。
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1.未分画ヘパリン:約10,000-30,000単位/日 持続静注(APTT2倍を目標、達成するまで1日数回測定)、血中半減期は約40?90分。
2.低分子ヘパリン(LMWHs):1日1-2回皮下注(容量は製品情報に従う。保険適応外)
3.ワーファリン:上記の治療後、内服可能であればワーファリン(INR2.0-3.0)へ切り替えヘパリンを中止する。いつまで続けるかは明確な根拠ないが、原疾患による。
その他
4.血管内血栓溶解療法:RCTなくBenefitは不明。カテーテルを静脈に選択的に挿入しウロキナーゼ or rt-PAの逆行性投与。
合併症:あらゆる器官の出血、ヘパリン起因性血小板減少症 (heparin-induced thrombocytopenia;HIT) 、アレルギーなど
注意:腰椎穿刺するなら、ヘパリンを一時的に中止しAPTTを正常化してから
頭蓋内圧亢進対策
頭痛、うっ血乳頭、視野障害は脳静脈血栓症で良く見られ下記の対症療法を行います。
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1. グリセオール:200mL/30-60分、1日2-4回(容量、回数に根拠なし)
2. マンニトール:300mL/30分、1日2-3回(容量、回数に根拠なし)
3. アセタゾラミド:ダイアモックス250mg、1日2-3回(保険適応外)
4.減圧開頭術、血腫除去術:上記治療不能例
5.脳脊髄液排除、脳室腹腔短絡術
6.Hyperventilation:Target PaCO2 30-35mmHg
注意:ステロイドは、脳静脈血栓症の予後を改善させない
痙攣対策
痙攣もよく出現します。痙攣が出現した場合はすぐに止めて、その後内服を行い1年ぐらい落ち着いていたら中止(内服薬の開始、中止に関しては根拠なし)
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1. 痙攣重責発作:ガイドラインに従い速やかに止める
2. 抗痙攣薬内服:フェニトイン、テグレトール、バルプロ酸など。バルプロ酸は抗凝固薬との相互作用が少なく好まれる
原疾患の治療
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1.感染症が原因の場合抗生物質投与
2.耳鼻科系の膿瘍などの場合ドレナージ
3.ATIII欠損症の場合、アンチトロンビン(ノイアート)などを投与し、以後はワーファリンへ変更
4.膠原病が原因の場合、ステロイドで治療
など