Bill and Ben

高リポプロテイン(a)血症 [Lp(a)] 診断

構造と動態
リポ蛋白(a)[Lp(a)]は、動脈硬化の独立した危険因子であることから神経内科領域では脳梗塞の原因がはっきりしない場合に測定することがあります。
リポ蛋白(a)の構造は、LDLを中心としてその周辺のApo B100にApo(a)と呼ばれる糖蛋白がSS結合してできた脂質高分子複合体です。


分子の大きさはLDLとVLDLの中間で、半減期は約3.3日のようです。リポ蛋白(a)は、LDLと同様にコレステロールを多く含むリポ蛋白ですので、動脈壁へのコレステロールの沈着に直接関与しています。しかしながら、妊娠、閉経、手術、外傷などにより増加するものの、運動や食事の影響は受けないという特徴があります(血中濃度は遺伝的に決定され、環境因子による影響は少ない)。つまり、家族歴の聴取も重要です。
LDL値との相関はないことが多く、LDL値正常であってもLp(a)が高値であることもありますので個別の測定が必要です。

作用機序

    抗線溶作用:Lp(a)のplasminogen受容体拮抗作用によって線溶抑制状態となります
    動脈硬化促進作用:TGF-βの活性抑制による中膜平滑筋細胞の増殖促進作用や、酸化リン脂質に対するスカベンジャー作用がストレス増大時に過負荷状態となり、血管壁マトリックスに蓄積する

血中Lp(a)濃度が25-40 mg/dlを超えると動脈硬化、血栓症、虚血性心疾患、虚血性脳血管障害の合併が増加します。また、抗線溶作用もあることから、肺塞栓(PE)、深部静脈血栓症(DVT)の危険因子としても知られています。

脳梗塞との関連
Lp(a) >30mg/dlで脳梗塞が2.23倍となる報告があります。主にはアテローム血栓性脳梗塞や若年性脳梗塞と関連して報告されていますが、脳小血管の虚血病巣を見ることもあります(その場合も微小脳出血は少ない印象があります)。

レジデントのためのNIHSS score calculator

リストの順にラジオボタンにチェックを入れて、合計ボタンを押して下さい。決して逆に行ったり評点を変更してはなりません。


意識水準:気管内挿管、言語的障壁あるいは口腔の外傷などによって評価が妨げられたとしても、患者の反応をどれか一つに評価選択すること。痛み刺激を加えられた際に患者が反射的姿勢以外には全く運動を呈さない場合のみ3点とする。

0点:完全に覚醒、的確に反応する
1点:覚醒していないが簡単な刺激で覚醒し、命令に答えたり、反応したりできる
2点:注意を向けさせるには繰り返す刺激が必要か、あるいは意識が混濁していて(常同的ではない)運動を生じさせるには強い刺激や痛み刺激が必要である
3点:反射的運動や自立的反応しかみられないか、完全に無反応、弛緩状態、無反射状態である


質問:検査日の「月名」および「年齢」を尋ねる。返答は正解でなければならず、近似した答えは無効。失語症、混迷の患者は2点。気管内挿管、口腔外傷、強度の構音障害、言語的障壁あるいは失語症によらない何らかの問題のために患者が話すことができなければ、1点とする。最初の応答のみを評価し、検者は言語的あるいは非言語的てがかりを与えてはならない。
注>失語症の患者に対して、「質問」では、2点を与えることになっている

0点:両方の質問に正解
1点:一方の質問に正解
2点:両方とも不正解


命令:開閉眼を命じ、続いて手の開閉を命じる。もし手が使えないときは他の1段階命令に置換可。実行しようとする明らかな企図は見られるが、筋力低下のために完遂できないときは点を与える。患者が命令に反応しないときはパントマイムで示す。外傷、切断または他の身体的障害のある患者には適当な1段階命令に置き換える。最初の企図のみを評価する(何度も命令を繰り返してはいけない)。
注>「命令」では、パントマイムで示しても良いことになっている。それでも出来なければ、2点を与える

0点:両方とも可能
1点:一方だけ可能
2点:両方とも不可能


注視:水平運動のみ評価。随意的あるいは反射的(oculocephalic)眼球運動(人形の目手技)を評価。カロリックテストは行わない。共同偏視を有しているが、随意的あるいは反射的これを克服可能なら1点、単一のIII,IV,VIの麻痺を有するときは1点とする。すべての失語症患者で評価可能である。眼外傷、眼帯、病前からの盲、あるいは他の視野視力障害を有する患者は反射的運動あるいは適切な方法で評価する。視線を合わせ、患者の周りを横に動くことで注視麻痺の存在を検知できることがある。

0点:正常
1点:注視が一側あるいは両側の眼球で異常であるが、固定した偏視や完全注視麻痺ではない
2点:「人形の目」手技で克服できない固定した偏視や完全注視麻痺


視野:対座法で評価する。視野(上下1/4)で動かしている指あるいはthreatで検査する。患者を励ましてもよいが、動いている指の方を適切に向くのなら0点、一側眼の盲や単眼の場合は健常側の視野を評価する。1/4盲を含む明らかな左右差が認められた時のみ1点。もし全盲であればどのような理由であっても3点とする。
注>部分的半盲は1点とする。1/4盲、または同時刺激して片方を無視することがあれば1点を入れるという解説がされている

0点:視野欠損なし
1点:部分的半盲
2点:完全半盲
3点:両側性半盲(皮質盲を含む)


麻痺-顔:歯を見せるか笑ってみせる、あるいは目を閉じるように命じるかパントマイムで示す。反応の悪い患者や理解力のない患者では痛み刺激に対する渋面の左右差でみる。顔面外傷、気管内挿管、包帯、あるいは他の身体的障壁のため顔面が隠れているときは、できるだけこれらを取り去って評価する.
注>顔面麻痺:普通脳卒中の場合には顔面の半分だけであるが、この場合、末梢性の顔面麻痺が3と一番高くなっている。顔面麻痺が検者間で最も一致率が悪いと報告されている。

0点:正常な対称的な動き
1点:鼻唇溝の平坦化、笑顔の不対称
2点:顔面下半分の完全あるいはほぼ完全な麻痺
3点:顔面半分の動きがまったくない


麻痺-上肢:上肢は90°(座位)または45°(仰臥位)に置く。失語症患者には声やパントマイムで示すが、痛み刺激は用いない。最初は非麻痺側から評価する。切断肢や肩の癒合があるときは9点とするが、検者は9点とつけた理由を明記しておく。
注>上下肢の運動:失語症の患者でも評点する。9点は合計点には加えない。

非麻痺側
0点:90°(45°)に10秒間保持可能
1点:90°(45°)に保持可能も、10秒以内に下垂、ベッドを打つようには下垂しない
2点:重力に抗せるが、90°(45°)まで挙上できない
3点:重力に抗せない。ベッド上に落ちる
4点:全く動きが見られない
9点:切断、関節癒合
麻痺側
0点:90°(45°)に10秒間保持可能
1点:90°(45°)に保持可能も、10秒以内に下垂、ベッドを打つようには下垂しない
2点:重力に抗せるが、90°(45°)まで挙上できない
3点:重力に抗せない。ベッド上に落ちる
4点:全く動きが見られない
9点:切断、関節癒合


麻痺-下肢:下肢は30°(必ず仰臥位)に置く。失語症患者には声やパントマイムで示すが、痛み刺激は用いない。最初は非麻痺側から評価する。切断肢や股関節の癒合があるときは9点とするが、検者は9点とつけた理由を明記しておく。
注>上下肢の運動:失語症の患者でも評点する。9点は合計点には加えない。

非麻痺側
0点:30°を5秒間保持可能
1点:30°を保持可能も、5秒以内に下垂。ベッドを打つようには下垂しない
2点:重力に抗せるが、落下する
3点:重力に抗せない、即座にベッド上に落ちる
4点:全く動きが見られない
9点:切断、関節癒合
麻痺側
0点:30°を5秒間保持可能
1点:30°を保持可能も、5秒以内に下垂。ベッドを打つようには下垂しない
2点:重力に抗せるが、落下する
3点:重力に抗せない、即座にベッド上に落ちる
4点:全く動きが見られない
9点:切断、関節癒合


運動失調:指-鼻-指試験、踵-膝試験は両側で施行。開眼で評価し、視野障害がある場合は、健側の視野で評価する。筋力低下の存在を割り引いても存在するときのみ陽性とする。理解力のない患者、片麻痺の患者は0点、切断肢や関節癒合が存在する場合、9点とするが、検者は9点とした理由を明記する。全盲の場合は伸展位から鼻に触れることで評価する.

0点:なし
1点:1肢に存在
2点:2肢に存在
9点:切断、関節癒合


感覚:知覚または検査時の痛みに対する渋面、あるいは意識障害や失語症患者での痛み刺激からの逃避反応により評価する。半側感覚障害を正確に調べるのに必要な多くの身体部位(前腕、下肢、体幹、顔面)で評価すること。重篤あるいは完全な感覚障害が明白に示された時のみ2点を与える。従って、混迷あるいは失語症患者は1点または0点となる。脳幹部脳血管障害で両側の感覚障害がある場合、2点とする。無反応、四肢麻痺の患者2点とする。昏睡患者は2点とする。
注>全く正常であれば0点で、全く解らないのは2点であり、その中間は全て1点となる

0点:正常
1点:痛みを鈍く感じるか、あるいは痛みは障害されているが触られていることはわかる
2点:触られていることもわからない


言語:これより前の項目の評価を行っている間に言語に関する多くの情報が得られている。絵カードの中で起こっていることを尋ね、呼称カードの中の物品名を言わせ、文章カードを読ませる。言語理解はここでの反応およびこれ以前の評価時の命令に対する反応から判断する。もし、視覚障害によってこの検査ができないときは、手の中に置かれた物品の同定、復唱、発話を命ずる。挿管されている患者は書字するようにする。混迷や非協力的患者でも評価をし、昏睡患者、患者が完全に無言か1段階命令にまったく応じない場合は3点とする
注>失語がなければ0点、軽度から中等度の失語は1点、重度の失語は2点、全くの失語や昏迷は3点となる

0点:正常
1点:明らかな流暢性・理解力の障害はあるが、表出された思考、表出の形に重大な制限を受けていない。しかし、発語や理解の障害のために与えられた材料に関する会話が困難か不能である。患者の反応から答えを同定することが可能。
2点:コミュニケーションは全て断片的な表出からなり、検者に多くの決めつけ、聞き直し、推測が必要。交換される情報の範囲は限定的で、コミュニケーションに困難を感じる。患者の反応から答えを同定することが不可能
3点:有効な発語や聴覚理解は全く認められない


構音障害:もし患者が失語症でなかったら、前出のカード音読や単語の復唱をさせることから適切な発話の例を得ておく。もし患者が失語症なら自発語の構音の明瞭さを評価する。挿管、発話を妨げる他の身体的障壁があるときは9点とする。検者は9点とつけた理由を明記しておく。患者にこの項目の評価の理由を告げてはならない
注>挿管をしている場合は9点となるが合計点には加えない

0点:正常
1点:少なくともいくつかの単語で構音が異常で、悪くとも何らかの困難は伴うものの理解し得る
2点:構音異常が強く、検者が理解不能である
9点:挿管、身体的障壁


消去現象と無視:これより前の項目を評価している間に無視を評価するための充分な情報を得られている。もし2点同時刺激を行うことを妨げる様な重篤な視覚異常がある場合、体性感覚による2点同時刺激(閉眼)で正常なら評価は正常(0点)とする。失語があっても両側に注意を向けているようにみえるとき、評価は正常(0点)とする。視空間無視や病態失認の存在は無視の証拠としてよい。無視は存在したときのみありと評価されるので、評価不能はありえない。
注>視野刺激で問題があった時には1点を与える

0点:正常
1点:視覚、触覚、聴覚、視空間あるいは自己身体に対する不注意。1つの感覚様式で2点同時刺激に対する消去現象
2点:重度の半側不注意あるいは2つ以上の感覚様式にたいする消去現象。一方の手を認識しない、または空間の一側にしか注意を向けない



合計
(9点の項目は合計に加えていません。最高スコアは42点です)

脳腱黄色腫症(Cerebrotendinous xantomatosis; CTX) 治療

とにかく、早期治療が重要です。チノカプセルの内服により症状改善、進行予防が達成できたとする報告を多く認めます

    1. チノカプセル [ケノデオキシコール酸(CDCA; chenodeoxycholic acid)]:750mg/日 or 15mg/kg/日
    2. スタチン:主にはCDCAに追加して使用されています

CDCAの治療効果の作用機序:下図(臨床神経 2016より抜粋)
もともとCTXは、27-hydroxylaseの機能障害によって胆汁酸のcholic acidやchenodeoxycholic acid(CDCA)の合成が悪くなって、コレスタノールが増加する疾患です。さらに、CDCAの低下によって、7α-hydroxylaseに対するネガティブフィードバックが減少(7α-hydroxylase活性は亢進)して、代謝異常はさらに悪化します。
治療としては、chenodeoxycholic acid(CDCA)の補充によって、7α-hydroxylaseに対するネガティブフィードバックを働かせることによって、コレスタノールを低下させます

脳腱黄色腫症(Cerebrotendinous xantomatosis; CTX) 診断

参考文献>臨床神経 2016;56

はじめに
コレスタノールが組織に沈着することで、多臓器の障害が起こる脂質代謝異常疾患です。27-hydroxylase活性が低く、肝における胆汁酸の生合成を障害します。
神経内科では、成人型CTXを、慢性進行性認知症、小脳失調症状、末梢神経障害として診療することが多いかと思いますが、早期治療により進行予防、症状改善を実現できますので見逃さないようにしましょう。
常染色体劣性遺伝(27-hydroxylaseをコードするCYP27A1遺伝子変異)です

症状
1. 古典型CTX

    多くは、学童期頃からゆっくりと症状が進行します。
    黄色腫:病名にあるものの必須ではありません。アキレス腱以外に膝蓋腱や手指の伸筋腱にも見られます
    若年性白内障
    若年性動脈硬化症
    骨粗鬆症
    難治性下痢
    進行性認知症、精神症状、てんかん
    小脳失調
    錐体外路症状
    痙性麻痺、後索性失調(下記)

脊髄型CTX
錐体路徴候と後索症状を主症状として、小脳失調は目立たない病型です。今まで20人弱の報告例がある程度の稀な表現型ですが、treatable spastic paraplegiaとして見逃さないようにしましょう。

検査
診断は病理検査は必須ではなく、コレスタノール値及び遺伝子検査で可能です。
血液検査:血清コレスタノール値測定(SRL)、リポプロテイン解析(黄色腫は、家族性高コレステロール血症やシトステロール血症でも出現するため鑑別が必要です)
脳MRI:特に小脳病変(特に歯状核)がこの疾患を疑うきっかけになることが多いと思います。その他、淡蒼球や錐体路、白質病変が代表的です
脊髄MRI:特に脊髄型では側索、後索にlong segmentに渡る異常信号を認めます
MRS:NAA低下?、Lactate peak上昇?
末梢神経伝導速度検査
神経病理:大脳、小脳、基底核に神経細胞脱落、マクロファージの出現、グリオーシスなどを認めますが、コレスタノールの沈着を反映する所見は、lipid crystal cleftであると考えられます。



[refより抜粋]
A(左上):古典型CTXの典型的な小脳病変です。小脳半球に広範な異常信号を認めます
B(右上):脊髄型CTXの小脳病変です。歯状核に比較的限局した小さな異常信号を認めます
C(左下)、D, E:脊髄型CTXでは、長い脊髄異常信号を認め、特に側索、後索に目立ちます

分枝粥腫型梗塞 (Branch atheromatous disease: BAD) 診断

はじめに
分枝粥腫型梗塞は、Branch atheromatous disease (branch occlusive disease)という英語病名を割り当てて、略してBAD、BODなどと呼ばれています。参考サイト>こちら
1本の穿通枝の梗塞であるラクナ梗塞と区別が難しい面もありますが、lipohyalinosisなど高血圧症性の小血管病変による梗塞(ラクナ梗塞)とは異なって、比較的大径の穿通枝が母動脈から分岐する近傍でアテローム性病変により狭窄あるいは閉塞して、比較的広い範囲の穿通枝梗塞(ラクナ梗塞のサイズを超える >2.0cm on MRI)をきたすもので、主にはレンズ核線条体動脈(lenticulostriate artery; LSA)や傍正中橋動脈(Pontine paramedian artery; PPA)領域で見られます。


この概念の基盤となったは、1971年の2例の剖検例です。PPA領域の梗塞ですが、上図左(A)のように橋底面に達する梗塞では、脳底動脈壁から分岐する部位でアテローム性に閉塞してることが報告されました。

診断
現段階では、穿通枝の分岐部の粥腫を検出する画像がないため本当に病理学的に検討されたBADなのかどうか確認する手段がありません。したがって、明確な診断基準がなく、現段階では以下のような基準を満たすものに、BADが多く含まれるのではないかと考えられています。しかし、この基準はTOAST分類では原因不明(その他の不確定な原因: Undetermined)、あるいは最近の概念ではESUSに含まれてしまう病型です。特にESUSは塞栓性の病態を念頭に置いているにもかかわらず、BADが含まれてしまうのは大問題です。

    病変長径 >2.0cm
    MRA:50%以上の狭窄病変なし
    心原性の高リスク疾患なし
    凝固異常などなし

しかし、将来的にはMRI技術の発達により、下図(high resolution MRI)のようにDWIで病変が2cm以上の穿通枝梗塞例において、脳底動脈でも中大脳動脈でも、eccentricな分枝部の粥腫が積極的に証明できるようになると思われます。もう少しの辛抱です。

内科専門医/認定医試験 非神経内科医のための神経疾患10個のポイント

内科専門医試験において、神経内科は最も平均点が低い領域の一つです。内科医にとって馴染みがなく、多くの疾患が神経内科へ丸投げ対象疾患であることが原因かと思います。内科専門医対策のまとめ以外に、以下のポイントは少なくとも覚えておきましょう。

1. 脳梗塞
急性期脳梗塞は発症4.5時間以内であればt-PA静注療法を行いますが、裏を返すと発症時間が不明だとtPA療法施行が不可能になります。その場合は、脳MRIなどの所見から梗塞がまだ小さければ血管内治療も考慮します。最近はt-PA静注療法施行可能例でも、さらに血管内治療を加えて血栓をスッキリとりきってしまう事もあります。
二次予防に関しては、ラクナ梗塞あるいはアテローム血栓性脳梗塞では抗血小板薬、心原性脳塞栓症であれば抗凝固療法になります。

2. NOAC or DOAC
脳梗塞二次予防に関して、心原性脳塞栓症であれば抗凝固療法になりますが、心原性の原因疾患として非弁膜症性Afがあれば、ワーファリンよりNOACを優先的に使用します。
NOACのポイントは、非弁膜症性Af以外の二次予防エビデンスは少なく弁膜症性Afや機械弁には適応がないこと、腎排泄の割合が多く腎不全患者(Ccr<15-30以下とか)には使用できないこと、出血の副作用が少ないことだとおもいます。つまり非弁膜症性心房細動以外が原因の脳塞栓症にはワーファリンを用います。 また、循環器系の問題とoverlapしますが、抗凝固療法の適応を考える上で、CHADS2スコアCHA2DS2-VAScスコアが用いられることから、よく出題されます。このようなスコアの暗記はとてもくだらないことと思いますが、テスト前のみ暗記してください!
抗トロンビン薬:プラザキサ(Af治療薬のワソランと併用が難しいというのが有名、中和剤が発売されてreverse可能となりました)
Xa阻害薬:リバロキサバン、エドキサバン、アピキサバン

3. CJD(プリオン病)
亜急性進行性認知症の原因疾患の一つで、大脳皮質が拡散強調画像で広範に高信号になる。ミオクローヌスが見られる。脳波でPSDが出るなどが有名。この疾患は日本の神経内科医が頑張ってサーベイランスしていることもあり、しばしば出題されます。
感染症届けが必要かどうかも問われました。

4. 担癌患者で頻発するトルーソー症候群による脳梗塞
過凝固状態を引き起こし、多くの場合小さい脳梗塞が多発します[NBTEによる大きな脳梗塞ももちろんあります]。d-dimerが著増し、二次予防としてヘパリン以外効果はなく、ワルファリン無効です。NOACもおそらく無効
その他、特殊な原因としての脳梗塞として、椎骨動脈解離によるWallenberg症候群、感染性心内膜炎による感染性動脈瘤及び脳梗塞、卵円孔開存や肺動静脈シャントによる奇異性塞栓もテスト問題を作成しやすいと思われます。

5.多発性硬化症、視神経脊髄炎
両方共、視神経や大脳白質及び脊髄白質に自己免疫性の炎症が起こりますが全く異なる疾患/病態で、ひっかけ問題を作りやすいかと予想します。脊髄病変に関しては、MSに比べてNMOでは縦方向に長い(3椎体以上)特徴があります。その他、
MSは、T細胞主体の病態なのか特異的な自己抗体なし
NMOは、B細胞主体の病態なのか、AQP4あるいはMOGという抗体が検出されます。
急性期治療は両方とも、ステロイドパルスか血漿交換で同じです。
再発予防は、全くことなります。例えば、NMOに間違ってIFNβを打つと、再発してしまいます。。。
MS:IFNβ、コパキソン、ナタリズマブ、フィンゴリモド [再発予防にステロイドがないことに注目を!]
NMO:ステロイド少量投与、あるいは保険は通ってませんが免疫抑制剤(AZA、MMF)やリツキシマブ及びエクリツマブ [再発予防にステロイドが「ある」ことに注目を!]

6. 重症筋無力症
Ach受容体抗体、MUSK抗体、[Lrp4抗体:知らなくて良い]により発症する、眼瞼下垂、複視、球麻痺、全身の筋力低下を主体とする筋無力症。疲労現象やWanningなどが有名でしょうか。
1. 胸腺腫の摘出(高齢の場合は放置することもある)
2. メスチノンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(ただの対症療法)
3. 根本的には、ステロイド、タクロリムス、CyAにより病状をコントロールします。
急性期(クリーゼ)の治療としては、血漿交換あるいはIVIg

7.多系統萎縮症

    小脳失調
    自律神経障害:起立性低血圧、インポテンツ、便秘などのこと
    パーキンソン症状

以上の3つを特徴とする中枢神経系が多系統に障害される、孤発性脊髄小脳変性症の一つ。最も頻度が高い脊髄小脳変性症なのでテストに出ても良いのでは?と思います。難しいですが、脳幹の十字サインが出ていたら、選択してみてください。

8. 単神経障害
下垂足の支配神経(腓骨神経)、下垂手の支配神経(橈骨神経)に山をはるのは如何でしょうか?その他、頻度が高いものとして、手根管症候群(正中神経)とか。梨状筋症候群は坐骨神経。

9. 感染症
髄膜炎、脳炎に関しては、以下に山をはるのは如何でしょうか。感染症分野からの出題もあるかもしれませんが、、、
単純ヘルペス脳炎:側頭葉内側に異常が見られ(MRI DWIで高信号が目立つ)、アシクロビルの静注
抗NMDA受容体脳炎:卵巣奇形腫によると思われるNMDA抗体により辺縁系脳炎を来す自己免疫性疾患です。感染症ではありませんが。。。卵巣摘出が最も効果的ですが、血漿交換、IVIg、ステロイド、リツキサンなどを使うこともしばしばあります。
クリプトコッカス髄膜炎:2016年セルフトレーニング参照
細菌性髄膜炎:カルバペネム+VCMか、ABPC+CTRX+VCMのどちらかに加えて、ステロイドも最初の2-4日投与。肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌、リステリアが多いですが、特に肺炎球菌は耐性菌が増えている。IE、副鼻腔炎、中耳炎などが原因として多い。
進行性多巣性白質脳症:免疫抑制状態にあるとJC virusが増殖して、脳の白質が障害されて認知機能障害などが出現します。ナタリズマブなどの生物学的製剤が使えるようになって増えている[分子標的薬の副作用として注目されている]。脳MRIは頭に入れてみてください。病名通り白質主体の病変ですね。なかなか治療法はなく、マラリア薬のクロロキンを使ったりすることはあります。

10. その他:すいません比較的多くなってしまいました。。。

線維軟骨塞栓症(FCE, Fibrocartilaginous Embolism)診断

はじめに
椎間板の特にnucleus pulposus(髄核)を構成する成分(線維軟骨)が塞栓源となり、多くは脊髄梗塞、稀に椎骨嚢底動脈系の脳梗塞をきたす疾患です。人間より、犬など小動物の報告が多いのも特徴です。髄核が発達しているのでしょうか?同様に、髄核が発達している若者も比較的危険性は高いと想定されています。
線維軟骨が塞栓を引き起こすメカニズムは幾つかの仮説が提唱されています[ref]。

    1. latterally ruptured disk(椎間板が横方向に突出)がradicular arteryに到達する:この説は組織学的にはあまり支持する所見が得られていないようです
    2. 本来無血管のはずのdiskが変性とともに血管新生が生じることでリスクが上昇する
    3. 髄核の椎体への突出(Schmorl結節)が椎体内の類洞へ→髄腔への静脈叢→脊髄循環へとretrogradeに進む
    4. 髄核が類洞から直接vertebral arteryに到達しretrogradeに進む:下図論文はこの説を支持している。できればretrogradeに進むためには、Valsalva maneuverが必要か?



Refより抜粋

危険因子

労作時に腰痛を自覚して、急激に対麻痺を発症するなどが特徴的な病歴になります。

    背部痛
    Osteoporosis
    椎間板変性
    椎体骨折
    腰椎症の手術
    交通事故
    ステロイド長期投与
    落下事故
    重いものを持ち上げようとして力む
    過剰な運動
    Valsalva maneuverをきたすほどの強い咳
     など

診断
病理学的な診断は困難ですので、画像診断や臨床的な状況証拠(上記危険因子など)が重要です。画像的には、DWIが亢進するような脊髄梗塞病変に影響を与えることが可能な血管支配領域に、椎間板の変性やSchmorl’s nodes、時にAVFなどがあることが診断の根拠になります。
画像や病理の特徴は手始めに、AJNR 2005 26: 496-501を参照ください:頸髄病変の記載が乏しいですが

那須ハコラ病 (Nasu-Hakola disease) 診断

参考>gene review

はじめに
多発性骨嚢胞による病的骨折と白質脳症による若年性認知症を主徴とする疾患です。神経内科では白質脳症の鑑別疾患としてしばしば登場します。
常染色体劣勢遺伝、DAP12(TYROBP:tyrosine kinase binding proteinをエンコード)やTREM2遺伝子の機能異常・変異によりマイクログリアや破骨細胞の機能異常が生じるメカニズムが類推されています。現在はpolycystic lipomembranous osteodysplasia with sclerosing leukoencephalopathy (PLOSL: OMIM221770)とも呼ばれています。
TREM2に関しては、アルツハイマー病発症のリスク上昇に有意に関連してい るという論文が発表されていて、アルツハイマー病もまたミクログリアの機能異常が病態に関連している可能性も示唆されています。マイクログリア異常による白質病変は、HDLSも有名ですね。

症状
疾患の進行度を無症候期(20歳代まで)、骨症状期(20歳代以降)、早期精神神経症状期(30歳代以降)、晩期精神神経症状期の4つの病期に分類されることがあります。

    病的骨折:長管骨骨端部に多発性骨嚢胞が好発て骨折を繰り返します
    精神症状:制約変化、脱抑制、多幸症、人格障害
    前頭葉症状
    てんかん発作
    錐体路症状
    不随意運動:舞踏病、ミオクローヌスなど
    認知機能障害

検査

    血液検査:特異的な所見はないようです
    骨X-p:長管骨骨端部に多発する嚢腫様陰影(骨透亮像)と骨梁非薄化
    骨生検:膜嚢胞性変化(lipomembranous osteodysplasia)
    遺伝子検査:通常は欠失または点変異のホモ接合体(homozygote)ですが、複合ヘテロ接合体(compound heterozygote)の場合もあります。また、常染色体劣性遺伝の家族歴が明確でないことも多いようです。
    CT:大脳基底核の石灰化
    MRI:白質脳症の原因疾患の一つですが、残念ながら特異的所見はありません。強いて言えば、基底核の大脳の萎縮、両側大脳白質のびまん性T2WI高信号、尾状核の萎縮、基底核/視床がT2WIで低信号を呈することもあります



A:レンズ核の石灰化. B:深部白質の淡い高信号. C: 手根関節の嚢胞性変化
refより抜粋。こちらも参考になります。
病理
大脳白質:髄鞘の崩壊、ズダン好姓脂肪顆粒細胞、グリオーシス、白質内軸索腫脹(spheroid body formation)

Tips
TREM2 は膜貫通型の糖タンパクで、細胞外にイムノグロブリン様構造を持っています。TREM2 分子自体はシグナル伝達部位を持たないことから、シグナル伝達アダプター蛋白のDAP12分子と細胞膜で会合しています。
DAP12 分子は Immunoreceptor thyrosine-based activation motif (ITAM) を持っていて、細胞内に活性化シグナルを伝達します。DAP12 分子は免疫系細胞に多く発現していて、マウスではTREM2/DAP12複合体は破骨細胞やミクログリア以外にも、樹状細胞などに発現しています。

脳空気塞栓症(cerebral air embolism) 診断

はじめに
最近では、中心静脈カテーテルの損傷、座位で引き抜くなどでの報告が多いかと思います。動脈に侵入した空気が脳梗塞のように脳動脈を多発性に閉塞する場合(動脈系)、静脈に空気が入り、侵入した空気が逆行性に脳静脈に侵入してうっ血を起こす場合(静脈系)、があるかと思います。
稀な疾患ですが、時に重篤な症状をきたしますし、この疾患の特徴を知らないと見逃されることもあることから、病態の理解は重要です。

原因

    手術:脳外科/耳鼻科/整形外科/心臓血管外科/婦人科など
    静脈へのカテーテル挿入
    胸腔ドレーン:IPなどの変化が強い場合
    放射線手技:造影剤注入や関節造影など
    外傷
    陽圧換気
    減圧症

症状
閉塞血管により様々ですが、意識障害、巣症状、痙攣発作など

検査

    脳CT:小さな気泡は瞬時に吸収されます。発症後速やかに施行し、点状に真っ黒に抜ける空気塞栓サインを見逃さないことが重要です。一つでも発見することが確定診断につながります。
    脳MRI:急性期は脳梗塞と異なり、しばしば痙攣発作による画像所見と類似したDWI皮質高信号を認めます。亜急性期は、白質FLAIR高信号、皮質T1WI高信号(laminar necrosis?)、Hyperperfusionなどの報告があります



急性期脳空気塞栓症の画像所見[ref]。上段脳CT:点状の黒く抜ける異常陰影が皮質に沿って見られます。軟膜動脈でしょうか?このような点状のサインは脳実質内(白質など)に出現することも多いです。見逃さないように!!!
下段脳MRI(DWI):急性期は皮質優位にDWI高信号が見られることが多いです。

病態
空気が血管を閉塞させるのですから、脳梗塞と同様の病態が引き起こされるはずです。しかしながら、画像所見は全くことなります。皮質の画像所見は、蘇生後脳症痙攣発作に類似します。
単なる血管閉塞による低酸素/低グルコースによる病態のみならず、gas bubbleと血管内皮細胞のinteraction(凝固系や補体・キニンを含む様々な血漿蛋白が活性化、凝固活性の亢進、多核球の活性化と接着)などが併発する病態であろうと類推されています。

治療
高圧酸素療法(Hyperbaric oxygen: HBO)
特に動脈系の塞栓をきたした重症例で考慮されます。発症数時間以内に導入が望まれます。一方で、HBOには無治療の気胸など禁忌が存在しますので、施行前に確認下さい。

HBO禁忌

    気胸(未治療)
    眼科治療・術後(網膜はく離などで眼内ガスC3F8、SF6を使用した場合)
    未熟児(満期新生児は治療可能)
    妊娠(緊急の場合は治療)

注意すべき薬剤

    塩酸ドキソルビジン(アドリアマイシンなど):抗癌剤
    シス-ジアミンジクロロ白金(シスプラチンなど):抗癌剤
    二酸化テトラエチルチウラム(ジスルフィラムなど):禁酒剤

相対的禁忌:禁忌ではないですが、risk-benefitを換算してください

    ブレブ、ブラ
    COPD
    上気道/副鼻腔感染
    最近の耳や胸部の手術
    制御できていない発熱