Edward

Glucose transporter type 1(GLUT1)欠損症候群 診断

概念
脳血管内皮細胞に主に存在するブドウ糖のトランスポーターであるGLUT1の機能が低下し、脳内へのブドウ糖供給が低下する遺伝性疾患です

疫学
常染色体優性遺伝(SLC2A1 mutation)
乳児期から幼児期発症することが多いですが、青年期以降に発症(神経症状が出現)することもあります

症状

    てんかん発作:欠神発作が最多ですが、全身性の強直性間代性発作や、ミオクロニー発作など様々な発作型があります
    不随意運動:運動や空腹で誘発または増強するジスキネジアが多いようです
    知能発育障害

検査

    髄液検査:空腹時の髄液糖/血糖が0.2-0.5と低下(正常は0.5-0.7)、髄液乳酸が低下することもあります
    脳波:突発活動の検索
    脳MRI
    脳PET

SLEに伴う中枢神経障害(NPSLE) 治療

臨床的にNPSLEが疑われる場合には、まず病態を修飾する因子である感染、高血圧、代謝異常、電解質異常の検索や是正が重要です。

原病に対する治療
寛解導入療法

NPSLEに唯一エビデンスがあるものとして、ステロイドパルス療法+後療法にエンドキサンパルス療法を加えたものになります。
それらに効果が乏しい場合は、IVIgや血漿交換療法を考慮します。

維持療法
免疫抑制剤
 ステロイド少量投与
 MMF
 AZA
 HCQ(プラニケル)
 Tac

分子標的薬
 リツキサンなど

対症療法
合併する病態に応じて、例えば以下のような対症療法を行います
抗けいれん薬
抗うつ薬、向精神薬
抗凝固薬、抗血小板薬

J Autoimmun. 2016 Nov;74:41-72.より抜粋

第6回日本脳卒中学会認定脳卒中専門医試験、ぎりぎり合格体験記 2010年初夏

脳卒中専門医試験 問題・解説集
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2011年に、脳卒中専門医試験の問題集が発売されたようです。要Check it out!
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日本神経学会専門医試験の情報は充実していると思いますが、日本脳卒中専門医試験に関する情報は少ないと思うので、記載しておきます。
1. 受験資格を得る
脳卒中のサマリーを10人分、日本脳卒中学会での発表、脳卒中に関する論文が、試験を受けるにあたり必要です。
脳卒中のサマリーに関しては、神経内科ではあまり脳出血、くも膜下出血などを見ませんが、今回は以下の症例群を提出しました。外科的な治療は少ないのですが、受験票をもらうことが出来ました。

    Trousseou症候群(卵巣癌)
    椎骨動脈解離(Wallenberg症候群)
    脳塞栓症(t-PAなし)
    脳塞栓症(t-PAあり)
    急性脳底動脈閉塞症(i.a. t-PA)
    脊髄硬膜動静脈瘻による脊髄うっ血
    ラクナ梗塞
    感染性心内膜炎による脳梗塞
    一過性黒内障(CEAで脳外科転科)
    CADASIL

また、脳卒中に関する論文、学会発表ともに齧歯類の脳梗塞モデルを使用した基礎研究内容であり、臨床系の発表や論文は持っていませんでしたが、受験資格を得ることが出来ました。

2. 試験勉強
一般的には、専門医試験は「脳卒中」という日本脳卒中学会が発行している雑誌の後ろに、ほぼ毎回過去問が載っていて、これを解いておけば大丈夫と言われています。なので、今回はこれを集めて解くことにしました。集めた過去問自体は、良問が多く、難しくはないなという印象です。
最近、雑誌「脳卒中」はオンラインで閲覧可能ですが、過去問のページはオンラインでは閲覧できないのでいちいち過去の雑誌からのコピーが必要です。
一方で、2011年に過去問をまとめた問題集(脳卒中専門医試験 問題・解説集)が発売されたようです。効率よく過去問をチェックするにはとても役立つと考えられます。是非、購入を。

3. 試験
結局誰もがそうだと思いますが、忙しくて過去問を適当に解いた程度で試験に臨みました。
前日の飲み会、カラオケ、夜中のアルゼンチン対ドイツ戦後(この年はワールドカップが開催されていた)に、二日酔のためタクシーで東京駅の隣の試験会場へ。試験問題は2時間で100問が2回なので、計4時間、200問でした。冷房が強いので、長袖も持って行った方がよいでしょう。僕は短パン半袖&裸足だったので震えてました。お昼は、1時間。コンビニとイタリアンレストランが建物内にあります。
前半の試験と、後半の試験は選択肢の選択方法が多少異なりますが、問題の分野が異なる印象は特にありません。淡々と脳卒中のあらゆる分野の問題、症例問題などが続きます。画像もふんだんに使用されていて、良くできています。できれば、答えをもらって勉強したいと思えるほどの良問ぞろいです。
一方で、治療法の選択肢は、必ずしも一つに絞りきれないものもあります。記憶に残っている範囲では、妊娠後期にSAHを起こした場合の対処法など(要は、全麻かエピか、母体か胎児か、帝王切開するか?開頭するか?とかそういう問題)。一つ選択するのですが、どうしても2つ以下には絞りきれませんでした(脳外麻酔科医の妻にも確認したのですが。。。)。ただ、このような理不尽を感じる問題はそれほど多くなく、出題者の意図をよくくみ取り、素直に答えることが重要と思います。神経内科医に多いですが、例外的な細かいところにとらわれることは百害あって一利なし。
過去問からの出題は残念ながら3割程度。その他は、ほとんど初めて見る問題が多かったように思います。なので意外と難しい印象を持ちました。
以下に反省点を上げますので、第7回以降の日本脳卒中学会認定専門医試験を受けられる方は参考にして下さい。
1. 脳卒中治療ガイドラインを見ておけばよかった

    個人的には、日本脳卒中学会が作製した脳卒中ガイドラインはほとんど開いたことはありません。しかしながら、例えば、SAH後の血管攣縮の治療法が5つ列挙されている中で、ガイドライングレードB以上はどれかなど、ガイドラインを読んでないとわからない問題が、かなり出題されていました。新ガイドライン(2009)が発刊されて初めての試験だったからでしょうか?
    これを流して読んでおけば、きっとかなり気軽に試験に臨めていたと思います。

2. 過去問

    脳卒中の巻末の問題は、代表的な試験問題を掲載しているだけのようです。すべての問題はもちろん網羅していないので、その他の広範囲の知識が必要になります。変性疾患ばかり診療していて脳卒中の知識に不安がある場合は、脳卒中治療ガイドラインの熟読をお勧めします。

3. スコアの暗記が必要

    くだらないと思うのですが、NIHSS、mRS、CHADS2、ABCD2、JCS、GCSなどのスコアの暗記が必要で、頻出問題です。

4. 外科的な疾患も勉強する必要がある

    神経内科医としての知識を超えた、SAH、動静脈奇形などの治療法も出題されます。少なくとも、脳卒中治療ガイドラインは読んでおきましょう。

5. 脳卒中の疫学、介護保険、社会福祉について

    出題はされるのですが、これは本気でやろうとすると時間かかるので、捨ててよいと思います。常識的な解答をすれば、半分ぐらいはあたるのでは?後は、よく製薬会社さんが配っているパンフレットには、脳卒中の専門家の偉い先生方の意見などが載っていますが、問題を作っているのはそれらの先生方ですので、そのようなパンフレットを普段パラパラみて得た知識も予想外に役立ちました。

6. 解剖と画像

    anterior choroidal artery、thalamotuberal artery、Heubner artery、posterior choroidal artery 、hypothalamic arteryなど有名な動脈、静脈はどの血管から分岐しているのか、閉塞した場合には病変が”画像上”どこに出現するのかは知っておいて下さい。MRI、SPECT、血管造影など画像を絡めた問題は良く出ます。臨床家であれば自信はあると思いますが、できれば再確認を。大部分の画像は比較的自信をもって読影できますが、血管造影で、血管が花が開いたような、どこかの雑誌の症例報告で見たような写真がでて、治療方針を聞かれてわからなかった覚えがあります。
    PRES, RCVS, CADASIL, CARASIL, アミロイドアンギオパチーの病態、治療などは、内科医として失点は許されないと思いますので自信なければ再確認を。

7. 基礎

    個人的には脳卒中の臨床を行うのであれば、基礎的(basic science)な知識は必須と思ってますが、専門医試験でも良く出題されます。
    血管拡張作用のある、あるいは収縮作用のあるchemical mediator、misery perfusionやluxury perfusionでの酸素摂取率、脳潅流圧、その経時的変化は再確認を(経時変化も出題されました)。自信なければ、以下の論文でも読んでおきましょう。実際に出題された問題ですが、脳虚血の時、蛋白合成、mRNA合成、脳波異常、ATP低下どれが最も早く障害(あるいは虚血後早期に出現)されるでしょうか?答えられますか?

Pathophysiology and Therapy of Experimental Stroke. Cell Mol Neurobiol. 2006 Oct-Nov;26(7-8):1057-83.
もっと新しいreviewもありますが、、、

8. その他、合格率や思い出した問題

    1. 2010年度は260人ぐらい受験者がいました、合格者の人数から合格率を算出すると、合格率は約80%です。合格カットオフラインを80%程度に設定し、合格点数を決めていると予想されます。
    2. 脳梗塞に対するアスピリン投与のNNTは?
    1. 11
    2. 111
    3. 1111
    3. BADはTOAST分類ではどこに分類されますか?

以上のような簡単に選択できる問題よりは、文章をよみその整合性を判断する、要はチェックに時間のかかる問題が多い印象があります。

くも膜下出血 治療

脳卒中治療ガイドライン2009

動脈瘤内塞栓術に適した条件

    後方循環の動脈瘤
    動脈瘤の頚部が小さい(4-5mm以下)
    動脈瘤が小さい(15mm以下)
    dome/neck ratio > 2
    Hunt & Hess (Konsnik) 分類の Grade I-III

くも膜下出血後のSpasm
大体発症7日後がピークです。hypertension hypervolemia hemodilution therapy(ドーパミン、アルブミン、デキストラン、)、カルシウム拮抗薬、ファスジル、キサンボンなどが使用されます
脳卒中ガイドラインを参照下さい

その他の前頭葉機能検査

Modified Stroop test
色名語とそれが書かれたインクの色が異なる色名語の呼称を求められると、言葉から妨害を受けうまく反応できないこと(ストループ効果)

    Part I:赤青緑黄のドット24個の色名を当てさせる
    Part II:赤青緑黄の4文字を、意味と異なった色で合計24個書いておき、色名を当てさせる。
    Part I,IIの完了時間を比較

Word Fluency test
頭文字一語から始まる言葉ないしは一つのカテゴリーに含まれる単語を1分間にできるだけ多く述べることが要求されます。前頭葉障害のスクリーニングに適するようです。

仮名拾いテスト
かな文の意味を読み取りながら、その中の母音を拾いあげ、2分以内の語数により判定します(リンク

Trail making test (TMT)

TMTとは制限時間内に数字を1から25まで順に結ぶ(Part A)、数字とひらがなを「1→あ→2→い・・・」のように交互に結ぶ(Part B)という二つの課題からなります。
評価としては「注意の持続と選択、また、視覚探索・視覚運動協調性などを調べる検査で、前頭葉損傷患者に鋭敏な検査」で「Part B」では注意や概念の変換能力が必要とされる為、遂行機能検査としてよく利用される」と言われています。
最近では転倒との関連で転倒リスクを評価する一つの指標として使用されている場合もあるようです。

CPEO(KSSを含む)update

The clinical, histochemical, and molecular spectrum of PEO1 (Twinkle)-linked adPEO. Neurology 2010 74: 1619-1626.
twinkle蛋白におけるPEO1遺伝子変異による常染色体優性の進行性外眼筋麻痺では外眼筋だけでなく、多臓器に様々な軽度の障害を生じる

三叉神経痛 治療

日本神経治療学会ガイドライン

基本的には、軽度の症状であれば薬物療法、中等度であればペインクリニックあるいは外科的治療になります
1. 薬物療法

    テグレトール:王道です
    その他:リリカ、ガバペン、ラモトリジン、デパケン、フェニトイン、oxcarbazepineなど

2. 外科的治療
CISS法によりneurovascular compressionが認められ、自覚症状と一致し、薬物療法での効果がいまいちの場合に適応になります。

    微小血管減圧術(MVD: microvascular decompression: Janetta手術)
     Interposition:血管と神経の間にガーゼを挟む
     Transposition:血管を移動させる。最近はこちらが主流

3. その他

    γナイフ
    三叉神経・Gassel神経節ブロック
    神経根切断術

微小血管減圧術(MVD: microvascular decompression)について
1964年にJanettaにより考案された方法で、手術直後から疼痛が消失することも多く成績も良いようです。一方で、手術後1ヶ月程度かけて徐々に改善する例も知られています。
効果発現のメカニズムとして、血管拍動による神経インパルス誘発の低下、異所性伝導の低下、髄鞘再生などが想定されています。
合併症として次のものがあります。無菌性髄膜炎、聴力障害、三叉神経領域の感覚障害、髄液漏、脳梗塞、慢性硬膜下血腫などなど