Edward

肺炎、誤嚥性肺炎 診断

メモ
脳梗塞特に脳幹梗塞では嚥下障害を強く認め、誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。
一方で、以下に咽頭筋が両側支配であっても一側性大脳病変でも嚥下反射遅延などによる嚥下障害が起こることが知られています。
その機序としては、島や視床を介する感覚系の障害による口腔・咽頭の知覚低下や、基底核障害による黒質線条体におけるドーパミン放出の低下などを介した迷走神経知覚枝の機能低下が考えられています

脳アミロイドアンギオパチー 診断

概念
1938年Scholzによって提唱された脳アミロイドアンギオパチーは、脳血管へのアミロイド沈着が病態で、巨舌や末梢神経障害などを呈する全身型のアミロイドーシスを合併することはほとんどありません。
一方で、高齢者やアルツハイマー病でしばしばみとめられ、特に後者では80-90%と高率に検出されます。孤発性がほとんどですが、家族性(HCAA)の報告もあります。アミロイド前駆蛋白の変異ではLeu34Val変異が常染色体優性遺伝型CAAで有名です。

病態
高血圧や高脂血症など全身動脈の粥状硬化との明確な関連はあまりなく、アミロイド前駆蛋白(APP)の分解産物であるアミロイドβ40が脳皮質・軟膜血管の中膜・外膜および内腔表面に沈着するとされています。それにより、微小動脈瘤・中膜の裂孔による微小・脳葉型出血、脳梗塞・白質病変などが出現します。
以下のような血管障害を来します

    脳葉型の大脳出血(特に前頭葉)
    二次性くも膜下出血:脳表シデローシスを続発することもあります
    小脳出血
    白質脳症
    皮質小梗塞や視床出血

CAAの危険因子

    ApoEε4:孤発性の場合で、HCAAでの関連は低いようです
    ApoEε2:CAAの対立遺伝子として存在すると言われていますが、meta analysisでは関連は否定的
    presenilin-1:ADでAβ-42産生にいていますが、CAAとの関連は否定的

検査
診断基準は、Boston criteriaを使うことが多いと思われます

    脳MRI:CADASILなどの深部白質の微小出血よりもむしろ、皮質下に多発する微小出血が特徴ですので、T2*あるいはSWIは必須です。また、炎症性アミロイドアンギオパチーが疑われる場合には造影MRIによる髄膜の増強効果の有無の確認が必要となります
    髄液検査:Aβ増加などの報告はあります
    遺伝子検査:家族性の場合は必要です

caa
CAAのT2*強調画像
黒く点状の多発する異常信号病変(脳微小出血)が皮質、皮質下に多発してみられます。また、後頭葉優位に見られるのがCAAの特徴の一つです。
病理
現在6つの代表的なタンパク質が知られています

    プリオン蛋白(PrP関連アミロイド)
    アミロイドβ蛋白
    シスタチンC
    トランスサイレチン
    ゲルゾリン
    ABri/ADan

血管壁の重複化(double-barrel lumen)、内膜の閉塞性変化及びヒアリン化、微小動脈瘤様の拡張、フィブリノイド壊死などの血管変化が見られ、特にフィブリノイド壊死が脳出血と強く関連しています

炎症性脳アミロイドアンギオパチーについて(CAA-RI)
CAAでは組織学的にアミロイドβが沈着すことが病態の本質ですが、CAAの中でも血管の炎症を伴うものが見つかるようになり、ABRA(Aβ-related angitis)、CAA-RI(Cerebral Amyloid Angiopathy-Related Inflammation)という概念が出来てきました。
つまり、アミロイドアンギオパチーではあるものの、微小出血に加えて髄膜の造影増強効果と白質病変を来し、病理学的に髄膜や髄膜の動脈周辺にリンパ球浸潤が認められる病態の報告が増えています。急激な認知機能障害が左右非対称性の白質病変の拡大とともに出現した場合、念頭に置きましょう。
特に、ステロイドなどの免疫療法により白質病変が改善する可能性があり、見逃しは厳禁です。
ちなみに、アミロイドβと関連のない脳血管炎はPACNS(Primary angiitis of the central nervous system)ですので、混乱しないようにしましょう。ABRA、CAA-RIの違いは?私にはわかりませんが、病理学的には、ABRA(血管壁に多核巨細胞を伴った単核球の浸潤、血管壁破壊による周囲の出血、一部類上皮細胞の出現を伴う肉芽腫性血管炎様の所見) vs. CAA-RI(アミロイド沈着血管周囲の単核球および多核球の浸潤、血管壁に多核巨細胞を認めても、ABRAに比較すると炎症細胞浸潤は少なく、血管周囲炎の所見をとる)といった報告があるかと思います。

病態
抗Aβ抗体(Aβモノクローナル抗体:bapineuzumab)の臨床試験において無症候性に画像上、血管性浮腫(ARIA-E)/微小出血(ARIA-H)を認める症例があること、及び、CAA-RIのCSF中の抗Aβ抗体を検討した論文では、コントロール群と比較してCAA-RIで有意に抗Aβ抗体が高値であったことなどから、CAA-RIの発生と髄液中の抗Aβ抗体が病態機序に関与している可能性が示唆されているかと思われます。



左:FLAIR画像、右:T1Gd造影画像
急速に認知機能障害が進行した高齢男性。白質病変はPRESも鑑別に浮かぶ画像ですが、島皮質下、左右非対称性な変化はややPRESとしては典型的でない部分もあります。Gd造影では後頭葉中心に軟膜の造影増強効果を認めます。この方は、最終的に炎症性アミロイドアンギオパチーと診断され、ステロイドにて白質病変は消失しました。

一過性全健忘 (TGA) 診断

概念
おそらく、静脈うっ滞による海馬CA1の機能不全により出現する一過性の健忘を来す疾患です
突然何の前兆もなく、短期記憶の消失(新しい記憶ができない前向性健忘)と、近時記憶の逆行性健忘(発作前にさかのぼり記憶が障害される)で発症しますが、数時間で回復します
発作中は意識清明で、自我認識も保たれていて、日常の動作は変わりなく行うことができるのですが、周囲のことが理解できないため、不安に陥りしつこく家人に問いただします。また、発作中の記憶は永続的に消失します

診断基準(Hodges et al., 1990)

    発作中の情報が目撃者から得られる
    発作中、明らかな前向健忘が存在する
    意識障害はなく、高次脳機能障害は健忘に限られる
    発作中、神経学的局所徴候はない
    てんかんの特徴がない
    発作は24時間以内に消失する
    最近の頭部外傷や活動性のてんかんのある患者は除外する

検査
ほとんど臨床症状から類推することが多く他覚的検査所見を得るのは難しいのですが、脳MRI
では海馬CA1を中心に小さな異常信号を検出できることがあります

    脳波:てんかんの鑑別の目的で試行
    血液検査:異常所見はありませんが、健忘の鑑別のためVitB1など提出
    経静脈超音波:内頚動脈弁不全により、Valsalva手技を加えることにより静脈の逆流が検出されることがあります
    SPECTやPET:海馬の血流やブドウ糖代謝の低下が検出されることがあります
    脳MRI:発症24-72時間後に海馬にDWI高信号病変が出現します。ただし、病変が小さい(1-5 mm)ため以下のような条件で試行して下さい
     1. 3テスラ
     2. 海馬を中心に、axialとcoronalのThin sliceで
     3. T2とDWIを。DWIのb-値は高めで
     4. 発症早期ではなく、発症24-72時間後に試行

tga
最上段:DWI、T2ともに右海馬に高信号病変を認めます
中段:それらの病変は、coronalではCA1に限局して見られます
最下段:発症60日後のMRIでは、急性期に見られた病変は消失しています
図は以下の論文より引用:Transient global amnesia: functional anatomy and clinical implications. Lancet Neurol. 2010;9(2):205-14.

一過性全健忘(TGA)診断

概念
おそらく、静脈うっ滞による海馬CA1の機能不全により出現する一過性の健忘を来す疾患です

診断基準(Hodges et al., 1990)

    発作中の情報が目撃者から得られる
    発作中、明らかな前向健忘が存在する
    意識障害はなく、高次脳機能障害は健忘に限られる
    発作中、神経学的局所徴候はない
    てんかんの特徴がない
    発作は24時間以内に消失する
    最近の頭部外傷や活動性のてんかんのある患者は除外する

検査
ほとんど臨床症状から類推することが多く他覚的検査所見を得るのは難しいのですが、脳MRI
では海馬CA1を中心に小さな異常信号を検出できることがあります

    脳波:てんかんの鑑別の目的で試行
    血液検査:異常所見はありませんが、健忘の鑑別のためVitB1など提出
    脳MRI:発症24-72時間後に海馬にDWI高信号病変が出現します。ただし、病変が小さい(1-5 mm)ため以下のような条件で試行して下さい
     1. 3テスラ
     2. 海馬を中心に、axialとcoronalのThin slicaで
     3. T2とDWIを。DWIのb-値は高めで
     4. 発症早期ではなく、発症24-72時間後に試行

小脳炎 update

Metabotropic Glutamate Receptor Type 1 Autoantibody?Associated Cerebellitis: A Primary Autoimmune Disease? Arch Neurol. 2010;67(5):627-630.
急性に発症した小脳炎で血清/髄液よりmGluR1抗体が検出された50歳女性例

感染性末梢神経障害 update

Hepatitis C seropositivity is not a risk factor for sensory neuropathy among patients with HIV. Neurology 2010 74: 1538-1542.
HIV症例においてC型肝炎ウィルス血清陽性と感覚性末梢神経障害発症増加の関連は見られなかった

Continued High Prevalence and Adverse Clinical Impact of Human Immunodeficiency Virus?Associated Sensory Neuropathy in the Era of Combination Antiretroviral Therapy: The CHARTER Study. Arch Neurol. 2010;67(5):552-558.
HIV感染者の約38%が感覚性末梢神経障害を併発しており、特に高齢、CD4値の低下、最近の抗エイズ薬多剤併用療法の試行、以前のD-drugの使用が危険因子であり、神経痛は明らかに日常生活の活動度を低下させていた

腰椎症 update

Trends, major medical complications, and charges associated with surgery for lumbar spinal stenosis in older adults. JAMA. 2010 Apr 7;303(13):1259-65.
米国では、腰椎症に対する明確でない適応に対して複雑な固定術がより頻繁に行われるようになり、合併症の発生率が上昇しているようだ

頚椎症(性神経根症)update

Comparison of randomized treatments for late whiplash. Neurology 2010 74: 1223-1230.
頚椎障害の後遺症に対してブピバカイン筋注、flurbiprophen内服、理学療法の3群に分けて治療を行い女性優位に症状の改善を認めたが、治療の種類による効果の差はなく、その後に認知行動療法を追加することでさらなる改善効果が得られるようだ