その他

脳腱黄色腫症(Cerebrotendinous xantomatosis; CTX) 治療

とにかく、早期治療が重要です。チノカプセルの内服により症状改善、進行予防が達成できたとする報告を多く認めます

    1. チノカプセル [ケノデオキシコール酸(CDCA; chenodeoxycholic acid)]:750mg/日 or 15mg/kg/日
    2. スタチン:主にはCDCAに追加して使用されています

CDCAの治療効果の作用機序:下図(臨床神経 2016より抜粋)
もともとCTXは、27-hydroxylaseの機能障害によって胆汁酸のcholic acidやchenodeoxycholic acid(CDCA)の合成が悪くなって、コレスタノールが増加する疾患です。さらに、CDCAの低下によって、7α-hydroxylaseに対するネガティブフィードバックが減少(7α-hydroxylase活性は亢進)して、代謝異常はさらに悪化します。
治療としては、chenodeoxycholic acid(CDCA)の補充によって、7α-hydroxylaseに対するネガティブフィードバックを働かせることによって、コレスタノールを低下させます

内科専門医/認定医試験 非神経内科医のための神経疾患10個のポイント

内科専門医試験において、神経内科は最も平均点が低い領域の一つです。内科医にとって馴染みがなく、多くの疾患が神経内科へ丸投げ対象疾患であることが原因かと思います。内科専門医対策のまとめ以外に、以下のポイントは少なくとも覚えておきましょう。

1. 脳梗塞
急性期脳梗塞は発症4.5時間以内であればt-PA静注療法を行いますが、裏を返すと発症時間が不明だとtPA療法施行が不可能になります。その場合は、脳MRIなどの所見から梗塞がまだ小さければ血管内治療も考慮します。最近はt-PA静注療法施行可能例でも、さらに血管内治療を加えて血栓をスッキリとりきってしまう事もあります。
二次予防に関しては、ラクナ梗塞あるいはアテローム血栓性脳梗塞では抗血小板薬、心原性脳塞栓症であれば抗凝固療法になります。

2. NOAC or DOAC
脳梗塞二次予防に関して、心原性脳塞栓症であれば抗凝固療法になりますが、心原性の原因疾患として非弁膜症性Afがあれば、ワーファリンよりNOACを優先的に使用します。
NOACのポイントは、非弁膜症性Af以外の二次予防エビデンスは少なく弁膜症性Afや機械弁には適応がないこと、腎排泄の割合が多く腎不全患者(Ccr<15-30以下とか)には使用できないこと、出血の副作用が少ないことだとおもいます。つまり非弁膜症性心房細動以外が原因の脳塞栓症にはワーファリンを用います。 また、循環器系の問題とoverlapしますが、抗凝固療法の適応を考える上で、CHADS2スコアCHA2DS2-VAScスコアが用いられることから、よく出題されます。このようなスコアの暗記はとてもくだらないことと思いますが、テスト前のみ暗記してください!
抗トロンビン薬:プラザキサ(Af治療薬のワソランと併用が難しいというのが有名、中和剤が発売されてreverse可能となりました)
Xa阻害薬:リバロキサバン、エドキサバン、アピキサバン

3. CJD(プリオン病)
亜急性進行性認知症の原因疾患の一つで、大脳皮質が拡散強調画像で広範に高信号になる。ミオクローヌスが見られる。脳波でPSDが出るなどが有名。この疾患は日本の神経内科医が頑張ってサーベイランスしていることもあり、しばしば出題されます。
感染症届けが必要かどうかも問われました。

4. 担癌患者で頻発するトルーソー症候群による脳梗塞
過凝固状態を引き起こし、多くの場合小さい脳梗塞が多発します[NBTEによる大きな脳梗塞ももちろんあります]。d-dimerが著増し、二次予防としてヘパリン以外効果はなく、ワルファリン無効です。NOACもおそらく無効
その他、特殊な原因としての脳梗塞として、椎骨動脈解離によるWallenberg症候群、感染性心内膜炎による感染性動脈瘤及び脳梗塞、卵円孔開存や肺動静脈シャントによる奇異性塞栓もテスト問題を作成しやすいと思われます。

5.多発性硬化症、視神経脊髄炎
両方共、視神経や大脳白質及び脊髄白質に自己免疫性の炎症が起こりますが全く異なる疾患/病態で、ひっかけ問題を作りやすいかと予想します。脊髄病変に関しては、MSに比べてNMOでは縦方向に長い(3椎体以上)特徴があります。その他、
MSは、T細胞主体の病態なのか特異的な自己抗体なし
NMOは、B細胞主体の病態なのか、AQP4あるいはMOGという抗体が検出されます。
急性期治療は両方とも、ステロイドパルスか血漿交換で同じです。
再発予防は、全くことなります。例えば、NMOに間違ってIFNβを打つと、再発してしまいます。。。
MS:IFNβ、コパキソン、ナタリズマブ、フィンゴリモド [再発予防にステロイドがないことに注目を!]
NMO:ステロイド少量投与、あるいは保険は通ってませんが免疫抑制剤(AZA、MMF)やリツキシマブ及びエクリツマブ [再発予防にステロイドが「ある」ことに注目を!]

6. 重症筋無力症
Ach受容体抗体、MUSK抗体、[Lrp4抗体:知らなくて良い]により発症する、眼瞼下垂、複視、球麻痺、全身の筋力低下を主体とする筋無力症。疲労現象やWanningなどが有名でしょうか。
1. 胸腺腫の摘出(高齢の場合は放置することもある)
2. メスチノンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(ただの対症療法)
3. 根本的には、ステロイド、タクロリムス、CyAにより病状をコントロールします。
急性期(クリーゼ)の治療としては、血漿交換あるいはIVIg

7.多系統萎縮症

    小脳失調
    自律神経障害:起立性低血圧、インポテンツ、便秘などのこと
    パーキンソン症状

以上の3つを特徴とする中枢神経系が多系統に障害される、孤発性脊髄小脳変性症の一つ。最も頻度が高い脊髄小脳変性症なのでテストに出ても良いのでは?と思います。難しいですが、脳幹の十字サインが出ていたら、選択してみてください。

8. 単神経障害
下垂足の支配神経(腓骨神経)、下垂手の支配神経(橈骨神経)に山をはるのは如何でしょうか?その他、頻度が高いものとして、手根管症候群(正中神経)とか。梨状筋症候群は坐骨神経。

9. 感染症
髄膜炎、脳炎に関しては、以下に山をはるのは如何でしょうか。感染症分野からの出題もあるかもしれませんが、、、
単純ヘルペス脳炎:側頭葉内側に異常が見られ(MRI DWIで高信号が目立つ)、アシクロビルの静注
抗NMDA受容体脳炎:卵巣奇形腫によると思われるNMDA抗体により辺縁系脳炎を来す自己免疫性疾患です。感染症ではありませんが。。。卵巣摘出が最も効果的ですが、血漿交換、IVIg、ステロイド、リツキサンなどを使うこともしばしばあります。
クリプトコッカス髄膜炎:2016年セルフトレーニング参照
細菌性髄膜炎:カルバペネム+VCMか、ABPC+CTRX+VCMのどちらかに加えて、ステロイドも最初の2-4日投与。肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌、リステリアが多いですが、特に肺炎球菌は耐性菌が増えている。IE、副鼻腔炎、中耳炎などが原因として多い。
進行性多巣性白質脳症:免疫抑制状態にあるとJC virusが増殖して、脳の白質が障害されて認知機能障害などが出現します。ナタリズマブなどの生物学的製剤が使えるようになって増えている[分子標的薬の副作用として注目されている]。脳MRIは頭に入れてみてください。病名通り白質主体の病変ですね。なかなか治療法はなく、マラリア薬のクロロキンを使ったりすることはあります。

10. その他:すいません比較的多くなってしまいました。。。

Radiologically isolated syndrome (RIS) 治療

初回MRI撮影時に見つかったRISの治療-つまりRISに対してインターフェロンやコパキソンなどのDMTを導入するかどうか-に関しては統一した治療方針を決定するエビデンスもなく、今後の検討が必要です[ref]。
治療を待つのか、画像のフォローを行うのか、積極的に治療を導入するのか?MSへの進展のpredictorにより治療を検討するのか?必ず、受け持った場合には最新の動向をチェックしてください。

Radiologically isolated syndrome (RIS) 診断

はじめに
Radiologically isolated syndrome(RIS)は多発性硬化症を示唆するMRI所見はあるけれども、無症状の患者と定義されています。以下のような診断基準が提唱されています。
%e5%90%8d%e7%a7%b0%e6%9c%aa%e8%a8%ad%e5%ae%9a

refより抜粋[original ref]

特徴
有病率は、0.06%-0.7%程度。
頭部MRIを撮影する機会となった症状で一番多いのは頭痛
認知機能障害が指摘されることもあり、MRIでは脳萎縮もは多発性硬化症と同様認められる

多発性硬化症への進展

    臨床症状及び画像的な進展
    More than nine T2 lesions
    Gadolinium contrast medium enhancing lesions
    臨床症状の進展
    Cervical spine lesions
    Infratentorial lesions
    A higher number of lesions
    Patholological VEP
    Younger age

Clinically isolated syndrome(CIS) 診断

はじめに
初発の多発性硬化症の85%は視神経、脳幹または脊髄などに単一の脱髄性症状で発症します。つまり、時間的な多相性を特徴とする多発性硬化症ですが、初発の病巣の場合、多発性硬化症と診断できる時間的な多相性が臨床的にもMRI上も明らかでない場合があります。このような状況で、多発性硬化症以外の疾患が適切な検査などで除外されている場合、CIS(Clinically Isolated Syndrome)と呼ぶことがしばしばあります。
CISは臨床的に単巣性病巣あるいは多巣性病巣のものに分類したり、MRIで無症候性病巣があるものとないものといった分類をすることがあります。

    単巣性病巣:単一の病巣による神経症状、例えば視神経炎発作など
    多巣性病巣:複数の病巣、例えば視神経炎と足のしびれなど

多発性硬化症への進展
CISではその後MSに移行する場合と、しない場合があります。初発の際にMRIで多発性病巣がみとめられた場合には、CISに続いて二回目の脱髄性症状を発症して多発性硬化症へと進展する可能性が高いと報告されています。

アトピー性脊髄炎 治療

はじめに
診断概念も確立されていなければ、治療法も確立されていません。自己免疫異常による脊髄炎と考えられますので、急性期治療としては、ADEMMSの治療に準じて考えることが多いでしょうか。しかし、病態はMSなどのTh1病とは異なるとも考えられていることから注意が必要です。診断バイオマーカーとしてIgE高値も使われていますので、IgEモノクローナル抗体のオマリズマブ(ゾレア)の効果も報告が増えてくると思われます。

mPSL:投与初期には自覚症状の改善を認めるものの、投与中や減量に伴い増悪することが多く、血漿交換療法が他覚的にもMRI検査上も有効
血漿交換療法:最も有効性が高いようです
IVIg:治療効果は、PE、mPSLの次のようです

低Na血症

参考サイト>PDF

はじめに
神経内科領域では、低Na血症状は摂取不足、薬物による副作用(抗痙攣薬やバクタ[ST合剤]など)、下垂体/視床下部疾患、SIADHなどで経験することが多いかと思います。特に、MRHEとSIADHは鑑別に苦慮した経験がある方も多いかと思います。単純な摂取不足出ない場合には、一般的な血液検査に加えて、以下の検索を必要に応じて上から優先的に検索を開始してください。

    蓄尿
    血漿浸透圧、尿浸透圧
    尿中Na、K、Cr量
    FENa(fractional exretion of sodium):糸球体で濾過されたNa量のうち、最終的な尿中に排泄される割合
    ADH
    ACTH、コルチゾール
    レニン、アルドステロン
    甲状腺機能

鑑別
まずは、尿浸透圧と血漿浸透圧を比べてみることから鑑別が始まります。その結果、低張性低Na血症と判明した場合には、尿浸透圧に注目して中毒と溶質不足を除外してください[参考]。ここから、本格的な原因検索がはじまります。原因により治療法は異なりますので可能な限り鑑別が必要です。
低張性低Na血症に関しては、体液量(細胞外液量)により、鑑別を行いますが、特異的な評価方法はなく区別が難しいことも多いようです。主には、体重、バイタルサイン(血圧・脈拍・尿量)、中心静脈圧(カテーテルによる測定/頸静脈による推定/下大静脈径)、脱水・溢水を示唆する身体所見、血液・尿検査所見などによる推定を行います。
hyponatremia

治療

1. 原疾患の治療
最も重要です。速やかに鑑別、治療を行ってください。

2. Na補正
まずNaを加えることによりどの程度Na濃度が補正されるのか計算する必要が有ります。例えば、体重 40 kg女性、血漿Na濃度 110 mEq/Lの方に3%食塩水(Na濃度 513 mEq/L) 100 mLを投与した場合、血漿Na濃度はいくつになると類推されるでしょうか?

Edelman式は以下の通りです。
血漿Na濃度(PNa)=(体内総Na量+体内総K量)÷(体内全水分量:TBW)

ここでTBWは女性の場合、体重に50%をかけますので、TBW=20Lになります。すると、補正前の体内総Na量+体内総K量は、血漿Na濃度(110 mEq/L)xTBW(20L)=110×20になります。
さらに、3%食塩水(Na濃度 513 mEq/L) 100 mLを投与すると、
補正後の血漿Na濃度=110×20(補正前のNa+K)+補正に使ったNa量(513mEq/Lx0.1L)÷補正後のTBW(20+0.1 L)=112 mEq/L
従いまして、尿排泄がないと仮定すれば110から112 mEq/Lと2mEq/L上昇する計算になります。

別な方法として、1Lの輸液でどれくらい血清Na濃度が変化するかを予測する式(AdrogueーMadiasの式)を使う方法もあります。
ΔNa={投与Na濃度 [+投与K濃度] – 血清Na濃度}÷{体液量+1}
上記の例で、3%食塩水1Lを投与すると仮定すれば,Na濃度上昇分(ΔNa)は
513(投与Na濃度)ー110(血清Na濃度)÷ 20+1(体液量+1)= 19.2 mEq/L
実際には1Lではなく、100ml投与したので、19.2÷10=約2 mEq/L

一般に無尿の場合(これがこれらの式の大前提です)、3%食塩水を1 mL/kg静注すると血清Naは約1 mEq/L上昇するという原則を覚えておくと便利のようです。また、これらの式を使用した計算をしてくれるサイトやアプリもあります。
浸透圧性脱髄症候群予防のため最初の24時間で血清Na濃度の上昇は4~6 mEq/Lに抑える必要がります!!