その他

Radiologically isolated syndrome (RIS) 治療

初回MRI撮影時に見つかったRISの治療-つまりRISに対してインターフェロンやコパキソンなどのDMTを導入するかどうか-に関しては統一した治療方針を決定するエビデンスもなく、今後の検討が必要です[ref]。
治療を待つのか、画像のフォローを行うのか、積極的に治療を導入するのか?MSへの進展のpredictorにより治療を検討するのか?必ず、受け持った場合には最新の動向をチェックしてください。

Radiologically isolated syndrome (RIS) 診断

はじめに
Radiologically isolated syndrome(RIS)は多発性硬化症を示唆するMRI所見はあるけれども、無症状の患者と定義されています。以下のような診断基準が提唱されています。
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refより抜粋[original ref]

特徴
有病率は、0.06%-0.7%程度。
頭部MRIを撮影する機会となった症状で一番多いのは頭痛
認知機能障害が指摘されることもあり、MRIでは脳萎縮もは多発性硬化症と同様認められる

多発性硬化症への進展

    臨床症状及び画像的な進展
    More than nine T2 lesions
    Gadolinium contrast medium enhancing lesions
    臨床症状の進展
    Cervical spine lesions
    Infratentorial lesions
    A higher number of lesions
    Patholological VEP
    Younger age

Clinically isolated syndrome(CIS) 診断

はじめに
初発の多発性硬化症の85%は視神経、脳幹または脊髄などに単一の脱髄性症状で発症します。つまり、時間的な多相性を特徴とする多発性硬化症ですが、初発の病巣の場合、多発性硬化症と診断できる時間的な多相性が臨床的にもMRI上も明らかでない場合があります。このような状況で、多発性硬化症以外の疾患が適切な検査などで除外されている場合、CIS(Clinically Isolated Syndrome)と呼ぶことがしばしばあります。
CISは臨床的に単巣性病巣あるいは多巣性病巣のものに分類したり、MRIで無症候性病巣があるものとないものといった分類をすることがあります。

    単巣性病巣:単一の病巣による神経症状、例えば視神経炎発作など
    多巣性病巣:複数の病巣、例えば視神経炎と足のしびれなど

多発性硬化症への進展
CISではその後MSに移行する場合と、しない場合があります。初発の際にMRIで多発性病巣がみとめられた場合には、CISに続いて二回目の脱髄性症状を発症して多発性硬化症へと進展する可能性が高いと報告されています。

アトピー性脊髄炎 治療

はじめに
診断概念も確立されていなければ、治療法も確立されていません。自己免疫異常による脊髄炎と考えられますので、急性期治療としては、ADEMMSの治療に準じて考えることが多いでしょうか。しかし、病態はMSなどのTh1病とは異なるとも考えられていることから注意が必要です。診断バイオマーカーとしてIgE高値も使われていますので、IgEモノクローナル抗体のオマリズマブ(ゾレア)の効果も報告が増えてくると思われます。

mPSL:投与初期には自覚症状の改善を認めるものの、投与中や減量に伴い増悪することが多く、血漿交換療法が他覚的にもMRI検査上も有効
血漿交換療法:最も有効性が高いようです
IVIg:治療効果は、PE、mPSLの次のようです

低Na血症

参考サイト>PDF

はじめに
神経内科領域では、低Na血症状は摂取不足、薬物による副作用(抗痙攣薬やバクタ[ST合剤]など)、下垂体/視床下部疾患、SIADHなどで経験することが多いかと思います。特に、MRHEとSIADHは鑑別に苦慮した経験がある方も多いかと思います。単純な摂取不足出ない場合には、一般的な血液検査に加えて、以下の検索を必要に応じて上から優先的に検索を開始してください。

    蓄尿
    血漿浸透圧、尿浸透圧
    尿中Na、K、Cr量
    FENa(fractional exretion of sodium):糸球体で濾過されたNa量のうち、最終的な尿中に排泄される割合
    ADH
    ACTH、コルチゾール
    レニン、アルドステロン
    甲状腺機能

鑑別
まずは、尿浸透圧と血漿浸透圧を比べてみることから鑑別が始まります。その結果、低張性低Na血症と判明した場合には、尿浸透圧に注目して中毒と溶質不足を除外してください[参考]。ここから、本格的な原因検索がはじまります。原因により治療法は異なりますので可能な限り鑑別が必要です。
低張性低Na血症に関しては、体液量(細胞外液量)により、鑑別を行いますが、特異的な評価方法はなく区別が難しいことも多いようです。主には、体重、バイタルサイン(血圧・脈拍・尿量)、中心静脈圧(カテーテルによる測定/頸静脈による推定/下大静脈径)、脱水・溢水を示唆する身体所見、血液・尿検査所見などによる推定を行います。
hyponatremia

治療

1. 原疾患の治療
最も重要です。速やかに鑑別、治療を行ってください。

2. Na補正
まずNaを加えることによりどの程度Na濃度が補正されるのか計算する必要が有ります。例えば、体重 40 kg女性、血漿Na濃度 110 mEq/Lの方に3%食塩水(Na濃度 513 mEq/L) 100 mLを投与した場合、血漿Na濃度はいくつになると類推されるでしょうか?

Edelman式は以下の通りです。
血漿Na濃度(PNa)=(体内総Na量+体内総K量)÷(体内全水分量:TBW)

ここでTBWは女性の場合、体重に50%をかけますので、TBW=20Lになります。すると、補正前の体内総Na量+体内総K量は、血漿Na濃度(110 mEq/L)xTBW(20L)=110×20になります。
さらに、3%食塩水(Na濃度 513 mEq/L) 100 mLを投与すると、
補正後の血漿Na濃度=110×20(補正前のNa+K)+補正に使ったNa量(513mEq/Lx0.1L)÷補正後のTBW(20+0.1 L)=112 mEq/L
従いまして、尿排泄がないと仮定すれば110から112 mEq/Lと2mEq/L上昇する計算になります。

別な方法として、1Lの輸液でどれくらい血清Na濃度が変化するかを予測する式(AdrogueーMadiasの式)を使う方法もあります。
ΔNa={投与Na濃度 [+投与K濃度] – 血清Na濃度}÷{体液量+1}
上記の例で、3%食塩水1Lを投与すると仮定すれば,Na濃度上昇分(ΔNa)は
513(投与Na濃度)ー110(血清Na濃度)÷ 20+1(体液量+1)= 19.2 mEq/L
実際には1Lではなく、100ml投与したので、19.2÷10=約2 mEq/L

一般に無尿の場合(これがこれらの式の大前提です)、3%食塩水を1 mL/kg静注すると血清Naは約1 mEq/L上昇するという原則を覚えておくと便利のようです。また、これらの式を使用した計算をしてくれるサイトやアプリもあります。
浸透圧性脱髄症候群予防のため最初の24時間で血清Na濃度の上昇は4~6 mEq/Lに抑える必要がります!!

Eculizumab(エクリズマブ) 治療

はじめに
遺伝子組み換えヒト化モノクローナル抗体で、C5に結合し補体活性を予防して補体による細胞障害性膜攻撃を予防する効果を有します。発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)で使用されるようになり劇的な効果が示されています。
同様に補体介在性神経疾患にも治療効果が報告されるようになっています。

など

Rituximab(リツキサン) 治療

はじめに
ヒトCD20ヒト・マウスキメラ抗体からなるモノクローナル抗体ですので、B細胞がclonalityを持った増殖する、非ホジキンリンパ腫がまず保険適応になりました。B細胞/T細胞の割合を測定すると、B細胞の割合が、0~1%までにも低下します。
その後、真に病原性を持った抗体を原因とした自己免疫疾患への分子標的療法として、その効果が報告されるようになりました。

リツキサンと神経疾患
CD20を標的としますので、リツキサン治療の本命は、PCNSLです。一方で、以下のような神経疾患でも効果を得ることが出来ると思われます[ref]。

視神経脊髄炎
重症筋無力症、LEMS
ANCA関連血管炎
GADNMDAなど自己抗体関連疾患
Paraproteinemiaを来す疾患
Stiff-Person症候群
その他:MSPM/DM

B細胞について
B細胞は古典的には二つのsubgroupに分かれます。
B1:寿命が長く、innate免疫システムの一部で、polyreactiveなIgM抗体を産生。自己分裂能があって、胸膜腔や腹膜腔で細菌に対する防御を担っています
B2:adaptive免疫システムで、骨髄で分化して、抗原特異的なimmature B細胞に分化します。その後、末梢のリンパ組織で抗原依存性phaseに入ります。それは、脳でも同様です。されに、成熟したメモリー形質細胞(long lived plasma cell)へと分化します。
[refより抜粋]

形質細胞について
Short-lived plasma cells:成熟B細胞がT細胞依存性抗原刺激を受けると、刺激から1週間以内に形質細胞に分化します。この形質細胞(Short-lived plasma cells)が産生した抗体が抗原刺激後14日以内の一次免疫応答の主体で、早期抗原除去に寄与すると考えられています。Short-livedですので、寿命は数日以内と短いのが特徴で、産生抗体はそのV領域に体細胞突然変異を起こしていないため、抗原への親和性は低いようです。
リツキサンは、CD20陽性であるpreB〜matureB cellは除去します。そのためshort-lived plasma cellsへの分化はなくなり、一次免疫応答は減弱します。
Long-lived plasma cells:高抗原親和性を獲得していて、かつクラススイッチによりIgGクラスの抗体を表面に発現した胚中心B細胞は次に記憶B細胞や形質細胞に分化します。この記憶B細胞の一部は末梢を循環したり、骨髄や脾臓の辺縁帯(marginal zone)に移動に長期にわたり生存します。
再度同一抗原の刺激をうけた記憶B細胞はすみやかに高親和性IgG抗体を産生する形質細胞に分化します。また、胚中心で分化した形質細胞の一部が骨髄において長期にわたって生存、抗体を産生し続ける能力を持ったlong-lived plasma cellsに分化します。このlong-lived plasma cellsはリツキサンでは除去されません。

CD20について
リツキサンが標的としているCD20の特徴は以下の通りです
CD20:分子量 3335kDa。B細胞の表面抗原で、特に骨髄でのpre-B-cellからB cell stageから発現して、形質細胞で失われます(上図)。作用は不明点が多いようですが、Cainfluxを介したB細胞の活性化に関連しているという報告もあります。CD20は、抗体産生性の形質細胞には発現していませんので、リツキサンの投与にって血清IgGなど全体的な抗体価の低下は起こりませんが、病原性の抗体(pathogenic antibody)産生は低下するという報告はあります

副作用
特に、感染症、B型肝炎の増悪、PMLに注意が必要です [リツキサン使用ガイド同意説明文書の例]

側頭葉てんかん 診断

はじめに
側頭葉てんかんは、臨床発作が側頭葉の内側辺縁系に起始する「扁桃体海馬発作」、及び、側頭葉外側の新皮質に起始する「外側側頭葉発作を伴うてんかん」に二分されました。その後、扁桃体海馬発作を伴うてんかんは、病因、臨床経過、発作症状、脳波所見、画像所見が概ね共通していることから、一つの症候群とみなされ、内側側頭葉てんかんと呼ばれるようになったようです。

症状
発作は複雑部分発作で、記憶や意識を失うことが多いですが、発作前に様々な特徴的な前兆が知られています
前兆

    聴覚性(上側頭回後部内側)
    前庭性(上・中側頭回)
    嗅覚性(扁桃体)
    精神性(海馬傍回、新皮質、扁桃体)
    意識減損を伴わない口部咀嚼性自動症(扁桃体)

発作症状としては、内側側頭葉てんかんは口部咀嚼性の自動症とディストニー肢位が多く、外側側頭葉てんかんは、顔面・上肢の間代や二次性全般化が多いようです

扁桃体腫大を伴う側頭葉てんかんについて
近年、典型的な海馬硬化を伴わない側頭葉てんかんにおいて、一部に扁桃体腫大を認める例が報告されています。一般的にてんかん発作の発症年齢は海馬硬化を伴う側頭葉てんかんより高いと言われていて、薬物コントロールは良好のようです。発症年齢が高いので、高齢発症のてんかんの原因としても注目されています。
腫大する原因については以下のようなものが類推されています

    皮質形成異常
    腫瘍:FCDが多く、他はganglioglioma、astrocytoma
    自己免疫性の限局性脳炎

enlamg
JNNP. 2011;82(6):652-7より抜粋。片側の扁桃体の腫大を認めます。intensityの変化は、この症例ではありませんが、T2強調画像でintensityが上昇することもあると思われます。