その他

抗てんかん薬 副作用

抗てんかん薬は長期に内服することが多く、副作用の理解が重要です。薬剤により差はありますが、以下のような副作用が有名です。また、併用薬剤との相互作用も良く見られます。新世代の抗てんかん薬は大分、副作用が軽くなりました。

  1. 体質による副作用
    皮疹:Stevens-Johnson症候群、TEN、薬剤性過敏症症候群(DIHS)
    血球異常:汎血球減少
  2. 用量依存性副作用:血中濃度は測定しましょう
    中枢神経症状:めまい、ふらつき、認知機能障害、眼振、複視、眠気、精神症状
    消化器症状:悪心、嘔吐、下痢、便秘、肝機能障害
    その他:QT延長、発汗減少
  3. 長期服用に伴う副作用
    体重変化、多毛、脱毛、尿路結石、小脳萎縮(主にフェニトイン)、歯肉増殖(主にフェニトイン)、酵素誘導作用のある薬剤(下図)は、コレステロール値上昇、骨粗鬆症など。
酵素誘導作用のある抗てんかん薬による影響

薬剤誘発性サルコイドーシス(DISR:drug-induced sarcoidosis-like reactions) 

総説:1

薬剤により、サルコイドーシスに非常に類似した(病理学的にサルコイドーシスと区別の出来ない)肉芽腫が出現することがあります。特に、TNF-α阻害薬はサルコイドーシスの治療に用いられますが、不思議なことにTNF-α阻害薬により、サルコイド病変が出現することがあります。
最近の症例報告では、サルコイドーシスはアクネ菌感染が原因の1つと考えられていますが、DISRの病変にもアクネ菌に特異的な蛋白(Propionibacterium acnes抗体(PAB抗体))が検出されています。

症状と診断
最も重要なことは、以下の薬剤を開始数ヶ月から数年後に、サルコイドーシスを疑わせる症状が出現したかどうかです。症状や診断は、サルコイドーシスと同様です。

原因薬剤

  • 免疫チェックポイント阻害薬
  • TNF-α阻害薬
  • インターフェロンα及びβ
  • HAART(Highly active antiretroviral therapy)
  • BRAF阻害薬
  • その他、薬剤ではなく人工デバイスによるものも報告されています
総説より抜粋https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29698718

治療法

  1. 原因薬剤の中止
    まずは本疾患に気づき、いかに早く薬剤を中止出来るかが重要です。一方で、DISRの症状が軽微であり、元々の疾患の活動性を抑えるために原因薬剤の中止が難しければ、継続、あるいは、同種の他の薬剤に変更することもあります。
  2. 免疫療法
    確立した治療はありませんが、DISRの症状が強い場合、ステロイドパルス療法や免疫抑制剤治療が行われます。

パーキンソン病 排尿障害

パーキンソン病では、過活動性膀胱(OAB: overactive bladder)が多く見られます。まずは、パーキンソン病による排尿障害か否かを鑑別し、その後、治療を考慮します。こちらのページも参照下さい。

Neurourol Urodyn 35: 551-563, 2106

パーキンソン病治療ガイドライン 2018には以下のような回答がなされています

  1. 過活動膀胱には非薬物療法、ドパミン補充療法を行う
  2. 膀胱選択性(M3)の高い抗コリン薬(ベシケア、ウリトス、トビエース、トルテロジン)を考慮:口渇、認知機能障害などに注意
  3. 抗コリン薬の有効性が確認できない場合は、ミラベグロン(ベタニス:選択的β3アドレナリン受容体作動薬)
  4. 排尿困難(低緊張性膀胱)の場合:アドレナリン遮断薬ウラピジル(エブランチル)、その他、タムスロシン(ハルナール)、ナフトピジル

ニュープロパッチ外用薬 皮膚症状の対応

経皮吸収型製剤による刺激性接触皮膚炎なのかアレルギー性接触性皮膚炎なのか、まずは判断します。特に、以下のような特徴が見られるアレルギー性接触性皮膚炎は頻度は稀ですが、出現した場合は中止や皮膚科への相談が望まれます。

中止基準(アレルギー性接触性皮膚炎の特徴)

  1. 明らかな水泡/丘疹が見られる場合
  2. パッチのサイズよりも広範囲に炎症が見られる場合
  3. 時間とともに炎症(赤み、かゆみ)が酷くなる場合

刺激性接触皮膚炎の予防と対応

  1. スキンケアを行いながら治療継続
  2. ステロイド外用薬(かゆみを伴う場合は抗ヒスタミン剤)
  3. 軽快しない場合は休薬
  1. どのようなスキンケアを行う?
    貼付部位を毎日変更する
    剥がす際はゆっくり丁寧に
    貼る前に皮膚の健康状態を確認する
    入浴時は皮膚を傷めない優しい洗い方をする
    皮膚の乾燥を防ぐ(保湿剤は入浴直後など皮膚が潤っているときに使用する)
  2. ステロイド外用薬の選択
    経皮吸収型製剤使用時に見られる皮膚症状の治療にはStrongあるいはVery strongクラスの使用が基本となります、Strongestは効果は高いのですが、局所の副作用も生じやすいそうです。

脳腱黄色腫症(Cerebrotendinous xantomatosis; CTX) 治療

とにかく、早期治療が重要です。チノカプセルの内服により症状改善、進行予防が達成できたとする報告を多く認めます

    1. チノカプセル [ケノデオキシコール酸(CDCA; chenodeoxycholic acid)]:750mg/日 or 15mg/kg/日
    2. スタチン:主にはCDCAに追加して使用されています

CDCAの治療効果の作用機序:下図(臨床神経 2016より抜粋)
もともとCTXは、27-hydroxylaseの機能障害によって胆汁酸のcholic acidやchenodeoxycholic acid(CDCA)の合成が悪くなって、コレスタノールが増加する疾患です。さらに、CDCAの低下によって、7α-hydroxylaseに対するネガティブフィードバックが減少(7α-hydroxylase活性は亢進)して、代謝異常はさらに悪化します。
治療としては、chenodeoxycholic acid(CDCA)の補充によって、7α-hydroxylaseに対するネガティブフィードバックを働かせることによって、コレスタノールを低下させます

内科専門医/認定医試験 非神経内科医のための神経疾患10個のポイント

内科専門医試験において、神経内科は最も平均点が低い領域の一つです。内科医にとって馴染みがなく、多くの疾患が神経内科へ丸投げ対象疾患であることが原因かと思います。内科専門医対策のまとめ以外に、以下のポイントは少なくとも覚えておきましょう。

1. 脳梗塞
急性期脳梗塞は発症4.5時間以内であればt-PA静注療法を行いますが、裏を返すと発症時間が不明だとtPA療法施行が不可能になります。その場合は、脳MRIなどの所見から梗塞がまだ小さければ血管内治療も考慮します。最近はt-PA静注療法施行可能例でも、さらに血管内治療を加えて血栓をスッキリとりきってしまう事もあります。
二次予防に関しては、ラクナ梗塞あるいはアテローム血栓性脳梗塞では抗血小板薬、心原性脳塞栓症であれば抗凝固療法になります。

2. NOAC or DOAC
脳梗塞二次予防に関して、心原性脳塞栓症であれば抗凝固療法になりますが、心原性の原因疾患として非弁膜症性Afがあれば、ワーファリンよりNOACを優先的に使用します。
NOACのポイントは、非弁膜症性Af以外の二次予防エビデンスは少なく弁膜症性Afや機械弁には適応がないこと、腎排泄の割合が多く腎不全患者(Ccr<15-30以下とか)には使用できないこと、出血の副作用が少ないことだとおもいます。つまり非弁膜症性心房細動以外が原因の脳塞栓症にはワーファリンを用います。 また、循環器系の問題とoverlapしますが、抗凝固療法の適応を考える上で、CHADS2スコアCHA2DS2-VAScスコアが用いられることから、よく出題されます。このようなスコアの暗記はとてもくだらないことと思いますが、テスト前のみ暗記してください!
抗トロンビン薬:プラザキサ(Af治療薬のワソランと併用が難しいというのが有名、中和剤が発売されてreverse可能となりました)
Xa阻害薬:リバロキサバン、エドキサバン、アピキサバン

3. CJD(プリオン病)
亜急性進行性認知症の原因疾患の一つで、大脳皮質が拡散強調画像で広範に高信号になる。ミオクローヌスが見られる。脳波でPSDが出るなどが有名。この疾患は日本の神経内科医が頑張ってサーベイランスしていることもあり、しばしば出題されます。
感染症届けが必要かどうかも問われました。

4. 担癌患者で頻発するトルーソー症候群による脳梗塞
過凝固状態を引き起こし、多くの場合小さい脳梗塞が多発します[NBTEによる大きな脳梗塞ももちろんあります]。d-dimerが著増し、二次予防としてヘパリン以外効果はなく、ワルファリン無効です。NOACもおそらく無効
その他、特殊な原因としての脳梗塞として、椎骨動脈解離によるWallenberg症候群、感染性心内膜炎による感染性動脈瘤及び脳梗塞、卵円孔開存や肺動静脈シャントによる奇異性塞栓もテスト問題を作成しやすいと思われます。

5.多発性硬化症、視神経脊髄炎
両方共、視神経や大脳白質及び脊髄白質に自己免疫性の炎症が起こりますが全く異なる疾患/病態で、ひっかけ問題を作りやすいかと予想します。脊髄病変に関しては、MSに比べてNMOでは縦方向に長い(3椎体以上)特徴があります。その他、
MSは、T細胞主体の病態なのか特異的な自己抗体なし
NMOは、B細胞主体の病態なのか、AQP4あるいはMOGという抗体が検出されます。
急性期治療は両方とも、ステロイドパルスか血漿交換で同じです。
再発予防は、全くことなります。例えば、NMOに間違ってIFNβを打つと、再発してしまいます。。。
MS:IFNβ、コパキソン、ナタリズマブ、フィンゴリモド [再発予防にステロイドがないことに注目を!]
NMO:ステロイド少量投与、あるいは保険は通ってませんが免疫抑制剤(AZA、MMF)やリツキシマブ及びエクリツマブ [再発予防にステロイドが「ある」ことに注目を!]

6. 重症筋無力症
Ach受容体抗体、MUSK抗体、[Lrp4抗体:知らなくて良い]により発症する、眼瞼下垂、複視、球麻痺、全身の筋力低下を主体とする筋無力症。疲労現象やWanningなどが有名でしょうか。
1. 胸腺腫の摘出(高齢の場合は放置することもある)
2. メスチノンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(ただの対症療法)
3. 根本的には、ステロイド、タクロリムス、CyAにより病状をコントロールします。
急性期(クリーゼ)の治療としては、血漿交換あるいはIVIg

7.多系統萎縮症

    小脳失調
    自律神経障害:起立性低血圧、インポテンツ、便秘などのこと
    パーキンソン症状

以上の3つを特徴とする中枢神経系が多系統に障害される、孤発性脊髄小脳変性症の一つ。最も頻度が高い脊髄小脳変性症なのでテストに出ても良いのでは?と思います。難しいですが、脳幹の十字サインが出ていたら、選択してみてください。

8. 単神経障害
下垂足の支配神経(腓骨神経)、下垂手の支配神経(橈骨神経)に山をはるのは如何でしょうか?その他、頻度が高いものとして、手根管症候群(正中神経)とか。梨状筋症候群は坐骨神経。

9. 感染症
髄膜炎、脳炎に関しては、以下に山をはるのは如何でしょうか。感染症分野からの出題もあるかもしれませんが、、、
単純ヘルペス脳炎:側頭葉内側に異常が見られ(MRI DWIで高信号が目立つ)、アシクロビルの静注
抗NMDA受容体脳炎:卵巣奇形腫によると思われるNMDA抗体により辺縁系脳炎を来す自己免疫性疾患です。感染症ではありませんが。。。卵巣摘出が最も効果的ですが、血漿交換、IVIg、ステロイド、リツキサンなどを使うこともしばしばあります。
クリプトコッカス髄膜炎:2016年セルフトレーニング参照
細菌性髄膜炎:カルバペネム+VCMか、ABPC+CTRX+VCMのどちらかに加えて、ステロイドも最初の2-4日投与。肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌、リステリアが多いですが、特に肺炎球菌は耐性菌が増えている。IE、副鼻腔炎、中耳炎などが原因として多い。
進行性多巣性白質脳症:免疫抑制状態にあるとJC virusが増殖して、脳の白質が障害されて認知機能障害などが出現します。ナタリズマブなどの生物学的製剤が使えるようになって増えている[分子標的薬の副作用として注目されている]。脳MRIは頭に入れてみてください。病名通り白質主体の病変ですね。なかなか治療法はなく、マラリア薬のクロロキンを使ったりすることはあります。

10. その他:すいません比較的多くなってしまいました。。。

Radiologically isolated syndrome (RIS) 治療

初回MRI撮影時に見つかったRISの治療-つまりRISに対してインターフェロンやコパキソンなどのDMTを導入するかどうか-に関しては統一した治療方針を決定するエビデンスもなく、今後の検討が必要です[ref]。
治療を待つのか、画像のフォローを行うのか、積極的に治療を導入するのか?MSへの進展のpredictorにより治療を検討するのか?必ず、受け持った場合には最新の動向をチェックしてください。