その他

手術や生検時の抗血栓剤中止時期

小手術:体表の手術で、術後出血の対処が容易なもの
例:抜歯、皮膚表面の切開手術
抗凝固療法剤(ワルファリン)、抗血小板剤の内服継続下に施行する事が望ましい。

大手術:小手術以外の観血的操作
(ペースメーカー植え込み、内視鏡下の生検、切除などを含む)
抗凝固療法

    手術の3-5 日前までにワルファリンを中止。ヘパリンによる抗凝固療法を施行。
    APTTが正常対照値の1.5-2.5 倍に延長するようにヘパリン投与量を調整
    手術の4-6 時間前からヘパリンを中止
    術後は可及的速やかにヘパリンを再開
    病態が安定したらワルファリン投与を再開し、INR が治療域に入ったらヘパリンを中止

抗血小板薬

    アスピリンは手術の7日前に中止
    チクロピジンやプラビックスは手術の10-14 日前に中止
    シロスタゾールは3日前に中止

内視鏡治療
 抗凝固療法,抗血小板療法対象疾患の分類
 高危険疾患:弁膜症を合併する心房細動、僧帽弁機械弁置換後、機械弁置換後の血栓塞栓症の既往のある症例、人工弁設置等
 低危険疾患:合併症のない深部静脈血栓、合併症のない心房細動.
 治療内視鏡手技の分類
 高危険手技:超音波ガイド下穿刺,消化管ブジー拡張,粘膜切除法(狭義のEMR やESD を含む),ポリペクトミー,EST,PEG,胃・食道静脈瘤治療等
 低危険手技:生検,粘膜凝固,マーキング,クリッピング,消化管および膵・胆道ステント挿入等

抗凝固療法

    ・治療前3-4日間、ワルファリンを休薬する。
    ・治療直前にINRが1.5以下であることを確認
    (高危険手技では必須、低危険手技では推奨)。
    ・血栓塞栓の危険性の高い症例にはヘパリン置換(下記注)も考慮する
    ・手技終了後出血のないことを確認し,さらに後出血の危険がないと考えられる時点で抗凝固療法を再開。

抗血小板療法

    アスピリン3日間休薬
    チクロピジンやプラビックス:5日間休薬
    両者併用の場合7日間休薬

止血が確認され、後出血の危険が無くなったと判断され次第、投与再開。

注>ヘパリン置換療法の目安
ヘパリン置換療法はINRが1.5以下の期間中施行
内視鏡治療はヘパリン点滴中止後4-6時間後に施行
内視鏡治療2-6時間後からヘパリン投与を再開
ワルファリン投与再開は一般的には内視鏡治療の夜より
ヘパリン治療中はAPTTを対照の1.5-2.5倍に延長する

胃潰瘍 治療

1.全身状態の管理
2.止血

    内視鏡止血:噴出性出血、湧出性出血、露出血管を有する例が適応となります
    外科手術:内視鏡で止血できない出血性潰瘍が適応となります
    IVR

3.再出血の内服薬による予防

    H2受容体拮抗薬
    プロトンポンプ阻害薬
    胃酸分泌抑制薬が有効で、H2受容体拮抗薬により上部消化管出血の再出血率が低下することが示されています。またプロトンポンプ阻害薬も同様の効果を示します

4.止血後は絶食(3日間)
5.潰瘍治癒を目指した内服薬
胃潰瘍は8週間、十二指腸潰瘍は12週間投与し、未治癒例は継続する

    プロトンポンプ阻害薬(第一選択薬):オメプラール、タケプロン、パリエット
    H2受容体拮抗薬(PPIを使用できない場合):タガメット、ザンタック、ガスター、アルタット

    選択的ムスカリン受容体阻害薬:ガストロゼピン
    防御因子増強薬の一部:アルサルミン、サイトテック、カムリード

6.再発予防

    維持療法:H2受容体拮抗薬を半量投与する方法が一般的です。
    H.pyloriの除菌治療
    ランソプラゾール30mg、アモキシシリン750mg、クラリスロマイシン(CAM)200mg or 400mg
    1日2回1週間内服
    オメプラゾール20mg、アモキシシリン750mg、クラリスロマイシン400mg
    1日2回1週間内服
    (副作用:下痢・軟便が10?30%、味覚異常、舌炎、口内炎が5?15%、皮疹が2?5%認められます)

7.NSAID潰瘍の場合

    1.可能ならばNSAIDを中止し通常の潰瘍治療を行います
    2.NSAIDが中止できない場合、プロトンポンプ阻害薬あるいはプロスタグランジン製剤(カムリードやサイトテック)を内服します
    3.NASAID潰瘍の予防にはプロスタグランジン製剤、プロトンポンプ阻害薬、高用量H2受容体拮抗薬のいずれかを使用します

GLUT1欠損症候群 update

Absence epilepsies with widely variable onset are a key feature of familial GLUT1 deficiency. Neurology 2010 75:432-440
Glucose transporter type 1欠損症では特発性てんかんとの臨床的な鑑別は難しいが、欠伸発作や発作性の労作に伴うジスキネジアが手がかりになりそう

Glucose transporter-1 deficiency syndrome: the expanding clinical and genetic spectrum of a treatable disorder. Brain. 2010 Mar;133(Pt 3):655-70.
Glut-1異常症ではてんかんを伴わない病型も存在し、髄液糖低下、髄液糖/血清糖比の低下、髄液乳酸低下が見られることが多い

Glut1 deficiency and alternating hemiplegia of childhood. Neurology 2009 73: 2042-2044.
一過性の交代性片麻痺を認めたGlucose transporter type 1欠損症候群の小児例

Childhood Chorea With Cerebral Hypotrophy: A Treatable GLUT1 Energy Failure Syndrome. Arch Neurol. 2009;66(11):1410-1414.
舞踏病、精神発育遅滞、失調症状など多彩な神経症状を呈し脳萎縮がケトン食療法にて改善したグルコース輸送体タイプ1欠損症候群の7歳女性例

Paroxysmal movement disorders in GLUT1 deficiency syndrome. Neurology 2008 71: 146-148.
発作性のジストニアや舞踏類アテトーゼを認めたGlucose transporter type 1欠損症候群(GLUT1 DS)のイタリアの3例

脳性麻痺 update

Risk Factors and Presentations of Periventricular Venous Infarction vs Arterial Presumed Perinatal Ischemic Stroke. Arch Neurol. 2010;67(7):842-848.
周産期動脈性脳梗塞と脳室周囲静脈性梗塞はしばしば診断が遅れ、前者は後者と比較して胎児仮死、緊急帝王切開、新生児期の蘇生との関連がより強かった

Cross-sectional comparison of periventricular leukomalacia in preterm and term children. Neurology 2010 74: 1386-1391.
脳性麻痺の一部に脳MRIで白質病変が認められ、その中で早産児であるか正期産児であるかにより臨床型が異なり、特に前者では痙性が強い例が多かった

Practice Parameter: Pharmacologic treatment of spasticity in children and adolescents with cerebral palsy (an evidence-based review). Neurology 2010;74:336?343.
脳性麻痺による痙縮に対する治療のエビデンスに関する総説

Comorbidities in cerebral palsy and their relationship to neurologic subtype and GMFCS level. Neurology 2009 72: 2090-2096.
脳性麻痺では、痙性四肢麻痺、ジスキネジアなどの神経症状がある場合、あるいは重症度が強い場合、他の神経学的異常を合併していることが多い

Selective neuronal nitric oxide synthase inhibitors and the prevention of cerebral palsy.Ann Neurol. 2009 Feb 20. [Epub ahead of print]
脳性麻痺のモデルウサギに対して,コンピュータを用いて新たに設計した神経NOS阻害剤を投与し効果が確認できた.

Changes in soleus H-reflex modulation after treadmill training in children with cerebral palsy. Brain 2009 132: 37-44
小児の脳性麻痺症例ではトレッドミルトレーニングによりヒラメ筋のH-reflexが減弱する

Diffusion tensor imaging of the pyramidal tracts in infants with motor dysfunction. Neurology 2008 71: 1676-1682.
乳児の運動機能障害はMRIトラクトグラフィーのFA値の低下と拡散値の上昇と相関する

Two-year placebo-controlled trial of botulinum toxin A for leg spasticity in cerebral palsy. Neurology 2008 71: 122-128.
ボツリヌストキシンA(最大30 mu/kg、3ヶ月ごと)は2-6歳の脳性麻痺のけい縮に対して効果を発揮できなかった

ホモシスチン尿症 update

Inherited Metabolic Disorders and Stroke Part 2: Homocystinuria, Organic Acidurias, and Urea Cycle Disorders. Arch Neurol. 2010;67(2):148-153.
ホモシスチン尿症、グルタル酸尿症、尿素回路異常症などに関連した脳卒中の総説

Reduced brain choline in homocystinuria due to remethylation defects. Neurology 2008 71: 44-49.
メチル化障害によるホモシスチン尿症では脳MRSでコリンの低下、Cho/Cr比の低下が検出される

加齢,エイジング update

Pathological 43-kDa Transactivation Response DNA-Binding Protein in Older Adults With and Without Severe Mental Illness. Arch Neurol. 2010;67(10):1238-1250.
65歳以上の健常人及び統合失調症を主体とした精神疾患症例では、どちらも約30%弱に辺縁系にTDP-43の蓄積が見られた

Age, Alzheimer disease, and brain structure. Neurology 2009 73: 1899-1905.
加齢による脳萎縮と比較して早期アルツハイマー病では海馬前方領域の萎縮が目立つが、加齢による萎縮と重複している

Brain Morphology in Older African Americans, Caribbean Hispanics, and Whites From Northern Manhattan. Arch Neurol. 2008;65:1053-1061.
特に黒人は高齢、血管病が脳萎縮と白質信号異常に関連し、黒人、ヒスパニックは白人と比較してより白質信号異常が多かった

Successful ageing in adversity: the LASER-AD longitudinal study. JNNP 2008 79:641-5
逆境時の健康状態と精神的健全さ,良好な健康状態の理解が,満足しうまく年を取っていることと関係する

一般の方向け神経疾患の本

一般の方向けの本ですが科学的根拠のない理論を元にした本、いろもの系の医学書は掲載しません

発作性失調症 update

Nongenetic factors influence severity of episodic ataxia type 1 in monozygotic twins. Neurology 2010 75: 367-372.
反復発作性失調症1型家系での一卵性双生児の検討では、同じKCNA1遺伝子変異であっても臨床症状は様々であり、遺伝子レベルでの影響以外の要素が存在すると考えられる

Episodic ataxia type 2: unusual aspects in clinical and genetic presentation. Special emphasis in childhood J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009;80:1289-1292
発作性失調症2型の新しい家系で約2歳で発症した小児の2例

A patient with episodic ataxia and paramyotonia congenita due to mutations in KCNA1 and SCN4A. Neurology 2009 73: 993-995.
Na+チャネルSCN4A変異とKCNA1遺伝子変異により、先天性パラミオトニアと発作性失調症を来した34歳女性例

Late onset hereditary episodic ataxia. JNNP 2009 ;80(5):566-8
フランスの高齢発症の一過性運動失調症を呈する,既知の遺伝子変異のない新しい家系の報告.

Episodic Ataxia Associated With EAAT1 Mutation C186S Affecting Glutamate Reuptake. Arch Neurol. 2009;66:97-101.
グルタミン酸トランスポーター(EAAT1)遺伝子変異を持つ発作性失調症でC186Sの新たな遺伝子変異部位が同定され、他と同様にグルタミン酸の再吸収が減少していた

Large CACNA1A Deletion in a Family With Episodic Ataxia Type 2. Arch Neurol. 2008;65:817-820.
発作性失調症2型で大きなCACNA1A遺伝子欠損を認めた