内科疾患に伴う神経合併症

高リポプロテイン(a)血症 [Lp(a)] 治療

総説

はじめに
強力なLDL低下作用を有するスタチン系薬剤やフィブラート系薬剤では、Lp(a)の低下はほとんど期待できず、上昇してしまうこともあるようです。現在は、ニコチン酸摂取でLp(a)を低下させたとの報告があることから第一選択薬とされています。しかしながら、有効性の証明はしっかりとされていません。
近年使用可能となったPCSK9阻害薬は、Lp(a)の低下が見られたとの報告があります[ref]

ニコチン酸系薬(beyond plasma lipid modification)が基本

    ユベラN/ユベラニコチネート(ニコチン酸トコフェロール) 100-200mg×3、1日3回
    ペリシット(ニセリトロール) 250mg×3、 1日3回食直後
    コレキサミン(ニコモール) 200-400mg×3、1日3回食後

抗血栓療法
脳梗塞発症後は、やはり抗血小板薬の処方が望まれます

食餌療法
パーム油などの摂取がLp(a)を軽度ながら低下させることが知られています

高リポプロテイン(a)血症 [Lp(a)] 診断

構造と動態
リポ蛋白(a)[Lp(a)]は、動脈硬化の独立した危険因子であることから神経内科領域では脳梗塞の原因がはっきりしない場合に測定することがあります。
リポ蛋白(a)の構造は、LDLを中心としてその周辺のApo B100にApo(a)と呼ばれる糖蛋白がSS結合してできた脂質高分子複合体です。


分子の大きさはLDLとVLDLの中間で、半減期は約3.3日のようです。リポ蛋白(a)は、LDLと同様にコレステロールを多く含むリポ蛋白ですので、動脈壁へのコレステロールの沈着に直接関与しています。しかしながら、妊娠、閉経、手術、外傷などにより増加するものの、運動や食事の影響は受けないという特徴があります(血中濃度は遺伝的に決定され、環境因子による影響は少ない)。つまり、家族歴の聴取も重要です。
LDL値との相関はないことが多く、LDL値正常であってもLp(a)が高値であることもありますので個別の測定が必要です。

作用機序

    抗線溶作用:Lp(a)のplasminogen受容体拮抗作用によって線溶抑制状態となります
    動脈硬化促進作用:TGF-βの活性抑制による中膜平滑筋細胞の増殖促進作用や、酸化リン脂質に対するスカベンジャー作用がストレス増大時に過負荷状態となり、血管壁マトリックスに蓄積する

血中Lp(a)濃度が25-40 mg/dlを超えると動脈硬化、血栓症、虚血性心疾患、虚血性脳血管障害の合併が増加します。また、抗線溶作用もあることから、肺塞栓(PE)、深部静脈血栓症(DVT)の危険因子としても知られています。

脳梗塞との関連
Lp(a) >30mg/dlで脳梗塞が2.23倍となる報告があります。主にはアテローム血栓性脳梗塞や若年性脳梗塞と関連して報告されていますが、脳小血管の虚血病巣を見ることもあります(その場合も微小脳出血は少ない印象があります)。

甲状腺眼症 診断、治療

はじめに
甲状腺眼症とはTSH受容体や外眼筋に対する自己免疫機序によって生じると考えられている眼窩内(炎症性)疾患です。橋本病よりもBasedow病を基礎疾患とすることが圧倒的に多いと思われます。
眼窩内脂肪織に炎症を起こし、眼窩内の脂肪や筋肉中の線維芽細胞を活性化し脂肪織、外眼筋の腫大、グリコサミノグリカンの産生を起こします。
後眼窩組織の容積が増大することで眼球が突出したり、外眼筋の腫大によって外眼筋の円滑な動作が困難となり複視を生じます。これらの炎症が眼窩周囲にも波及して角膜炎、結膜炎をおこしたり視神経、網膜にも波及すれば、眼窩内組織の腫大による圧迫などにより視力低下、失明を起こすこともあります。
最も鑑別が難しい疾患として、外眼筋炎やIgG4関連眼窩内疾患などがあります。IgG4関連眼窩内疾患は涙腺の腫大が目立つことが特徴です。外眼筋炎と甲状腺眼症に関しては、臨床的には、以下のような腫大する外眼筋の部位の違いがあるようです。

    外眼筋炎:LR>SR>MR>IR
    甲状腺眼症:IR>LR
    (LR;外転筋 SR;上転筋 MR;内転筋 IR;下直筋

症状

    眼球突出
    眼の奥の痛み、違和感
    上方視、側方視時の痛みや違和感
    複視
    視力障害
    眼瞼の発赤、腫脹
    結膜の充血、浮腫
    涙丘の発赤

ocular
眼窩脂肪抑制T2強調画像:左眼窩内の外眼筋の肥厚を認めますが、特に下直筋(IR)、内直筋、上直筋に強く認めます。また、眼窩内のintensityも左で全体的に更新していると思われます。

治療
軽症例は経過観察することもありますが、外眼筋や眼窩内の炎症がある場合には、ステロイドパルス療法。ステロイドパルス療法が奏功しない場合は免疫抑制剤や減圧術が行われています[甲状腺疾患診療パーフェクトガイド改訂第3版]。IVIgも効果はあるようです。

総合内科専門医資格認定試験 ぎりぎり合格体験記


2017年度クエスチョン・バンク 総合内科専門医試験 予想問題集 vol.2

2015年度に内科専門医試験のみ受験(措置的受験)しました(サマリーなし)。なかなかタフな試験であったため、対策を記載します(本記事は2016年度の試験も参考にup dateしています)。一方で、以下の対策に加えて、日常診療の中で経験する他分野の合併症を論理的に最近の知識も含めて理解しようと努力する姿勢があるかないかは、合否に重要と思われます。
神経内科疾患 10個のポイントは>こちら

1. 最低限やっておくとよいこと
専門医試験を受けた印象では、以下の上記2つ(a, b)+余裕があれば過去問を解く(c)ことでほぼ100%合格可能と思われます。この条件を達成するためには通常の勤務状況ですと、最低限、試験1-2ヶ月前には開始下さい。

    a. イヤーノート 2019 内科・外科編:基本的にはイヤーノートを購入して付いてくる「quick check; QC」を覚えることで合格できます(きちんと覚えれば、これのみで合格可能です)。なかなか紙媒体を開いて覚える時間はないと思いますので、スマートフォンにイヤーノートアプリを入れ、スマフォ版内科専門医試験quick checkを入れるとスキマ時間に効率よく覚えることが出来るのではないかと思いますので推奨します(書籍版YNを購入するとアプリ版インストールの大幅割引クーポンが付いていますし、そもそもアプリ版YNを購入しても良いかと思います)。その他のYN本体やup to dateはわからない領域の勉強に調べる程度で、すべて読むことは不可能ですので、通読しようとしないで下さい。一方で、YN付属のアトラスは眺めておくと良いように思います(特に血液疾患の試験対策に役立ちます)。
    毎年3月に新しい年度版が発売されますが、専門医試験であれば最新でなくても良いように思います。
    b. クエスチョン・バンク総合内科専門医試験 予想問題集:私の試験の時には存在しませんでした。2016年7月頃と、2016年度専門医試験の比較的試験直前に発売された本です。
    2017年7月にクエスチョン・バンク 総合内科専門医試験 予想問題集 vol.2が発売されました。ちなみに2017年度版(vol.2)は2016年度版に紹介された問題の改訂ではなく、異なる問題を収載するようなので両方持っていても良いかと思います。実際の問題に形式は似ていますが、やや易しいため、勉強の出だしにちょうどよいと思います。解説も充実していておすすめです。
    c. 過去問を解く:2016年度の認定医・専門医試験の抜粋(過去問集第1集)が2017年4月下旬に発売されました(解説はないようですので、昨年の問題の傾向をつかむ程度になりますが)。
    その他、内科学会では毎年セルフトレーニング問題 50問を出題し、少なくとも5年に1回合格点を取ることを専門医の維持に必要な条件としています。正確には専門医試験の過去問ではないのだと思いますが、問題の形式、傾向は非常に類似しています。毎年6月頃に50問出題されるセルトレ最新版の解答は、出題年度の12月に配られますので試験年度の9月には内科学会からの正式の解答は入手できませんが、自分で調べたり当該科の専門医に答えを聞いたりして解いてみるのも良いかと思います。一方で、過去のセルフトレーニングは、生涯教育のためのセルフトレーニング問題集を購入することにより問題、解答を入手できます。また、認定医試験過去問は解説はありませんが無料で内科学会のwebsiteからDLできます。また、内科学会雑誌にも一部の過去問と解説が掲載されています。
    d. その他:以下の様な書籍も発売されていますが、勉強時間に余裕がある人以外はやめておきましょう。

medicina 2017年 4月号 総合内科医の必修臨床問題182問:2017年度はこのような特集も発売されました
目でみるトレーニング 第3集:2016年に発売された第3集以外に、古いversionが2種類存在します。写真が多く親しみやすいですが、問題数はそれほど多くありません。写真勝負の問題には向いていると思われます。
認定内科医・認定内科専門医受験のための演習問題と解説〈第3集〉:問題が古いように思われます。第4集が出れば良いですが、、、
内科系専門医試験 解法へのアプローチ 第2集

2. 専門医試験問題の傾向
勉強するときに知っておくと便利と思われる試験の傾向を記載します。

    内科学会が好きな病気は細かく学習:過去問を解くことによりわかると思いますが、内科学会は稀ではあるけれども好きな疾患があり、それらの疾患はかなり細かいところまで聞かれます。例を挙げると、以下の様な疾患です。

    アルドステロン症(全ての負荷試験を記憶)、IgG4-RD、自己免疫性肝炎、PBC、IPMN(嚢胞と鑑別、画像も)、MCTD、好酸球性肺炎+IL-5、肺分画症(の画像)、肺胞蛋白症、DPB、MM or MGUS、ボルテゾミブ、NOAC+脳出血、リツキサンなどの免疫抑制剤とHBV、HCVの新たな治療、ANCA関連疾患[GPAEGPA]、ARS抗体症候群、家族性脂質代謝異常、新たな糖尿病の内服薬(長時間作動型DPP-4の使い方や、腎機能障害例で推奨される内服薬など)、TTP、HUS、コレステロール血栓症、IE、プリオン病、筋緊張性ジストロフィー、副腎白質ジストロフィー、ミトコンドリア脳筋症、貧血の鑑別(サラセミアなど特殊疾患を含める)、血小板異常症、本態性血小板血症などの骨髄増殖性疾患、溶血性貧血(PNHやAIHA)、アレルギー性疾患(ラテックス-フルーツとか)、冠攣縮性狭心症、膜性腎症、アミロイドーシス、リケッチア感染症、デング熱、ライム病、Peutz-Jeghers、Cushing病、PMR(と側頭動脈炎)、免疫チェックポイント薬も選択肢に出現し始めた、遺伝子変異による肺癌とその治療、などなど

    古典的検査:呼吸音、心音、スパイログラムの波形、心電図、胸部x-p(シルエットサイン)は必ず出題されます
    計算:血漿浸透圧、BMI、FENa、カルシウム補正、ネフローゼ、AaDO2のインデックスは計算できるようにしましょう。Na補正式も知っていると良いかもしれません。
    内科救急JMECCの内容も数問出題されます
    臨床統計:相対危険度、寄与危険度などの統計的な問題も少し出てましたが、2015年度は出なかった様に思います
    分子標的薬リツキサンはCD20に対する抗体で悪性リンパ腫などのB細胞増殖性疾患に使う。エクリツマブは補体に対する抗体でPNHなどの補体介在性疾患に使う。などなど沢山有るので、できればまとめてから覚えましょう
    神経内科医:このwebsiteは主に神経内科医が閲覧していると思います。神経内科の過去問を解く必要はありませんし、そのような時間があれば他の領域の勉強をして下さい。実際の試験を受けるとあまりの簡単さに過去問を解いたことを後悔するでしょう(他科の領域は、その専門医が解くと同様に簡単に思っていることを考えると悲しくなりますが、、、)。神経内科医以外は>神経疾患10個のポイント
    マルク所見:YN付属のアトラスを眺めて下さい、白血病の変異遺伝子は必ず出る
    感染症:グラム染色からagentを類推させる問題は出題されますし、感染症は平均点も低くかなりマニアックな感染症も出題されます。細菌感染症では、グラム染色像を見て、おおよその菌体を絞り込む能力は最低限必要です。例えば、以下の様な感じでしょうか。
     グラム陰性球菌:髄膜炎菌、Moraxella catarrhalis
     グラム陽性連鎖球菌:肺炎球菌
     インフルエンザ菌:小型で短いグラム陰性桿菌
     キャンピロバクター:螺旋状のグラム陰性桿菌
     ヘリコバクターピロリ:グラム陰性螺旋状桿菌
     レジオネラ:グラム染色で染まらない

その他

    ビルに喫煙所や自販機はあることが多いと思います(会場による?心配なら会場となるビルに確認を)。
    トイレは不可とアナウンスされますが、手を上げるとついてきてくれます。
    試験時間はあまり余裕はありません。早めのペースで解答ください。ペース配分には時計が必要ですが、会場内に時計がない場合もあるようです。腕時計を持参ください(スマフォの時計は禁止されています)。
    お昼ごはんは周りで探すよりも、当日会場に到着前にコンビニで購入して持参して下さい(我々の会場は近くにデニーズがありましたが、混んでいました)。室内かあるいは天気が良ければ建物から気晴らしに外に出て食べることになると思います。その他、ガムとか飴とか室内で食べることもできます。
    鉛筆と消しゴム以外に、鉛筆削も用意しましょう。
    後日、点数が手紙で送られてきます。結果を見ると、総合内科は平均点低い(次に平均点が低いのは感染症と膠原病/アレルギー)。我々のような昔の人種には、総合内科とは?どうやって勉強するの?ここで良い点を取れると楽なのでは??と思います。

3. 措置的試験の体験記
2015年は9月14日、日曜日に試験でした。会場はベルサール渋谷ガーデンです。家からは30分程度の場所です。7-8月ぐらいにそろそろやばいなと思い始めましたが、誰でも同じ状況ですが、夏休み(旅行)、雑用、研修医勧誘などいろいろあり、やはり脳卒中専門医試験と同様に前日夜中まで勧誘会で飲みまくってから試験へ。脳卒中専門医試験の時は三次会まで出席しましたが、今回は二次会を途中で帰りました。
YNのアトラスを確認し、目でみるトレーニング 第3集: 内科系専門医受験のための必修臨床問題、書籍版YNを購入したものの開かなかったために書籍に挟まれているアプリ版インストール割引クーポンの期限切れてしまい(泣)仕方なく使用した書籍版quick checkは結局前半1/3のみを一度確認する程度で、過去問があるなどの情報もなく試験に望みました(その反省を活かし、対策を今回まとめさせていただきました)。その他、内科系専門医試験 解法へのアプローチも購入してありましたが、少し眺めた程度でした。購入した参考書を放置するとしても、購入後に一度はパラパラ開いてから本棚に放置することをお勧めします。。。
当日は20分早く到着。途中、鉛筆削りをgetしようとコンビニに4-5軒寄りましたが発見できず、鉛筆を追加で購入しました。。。とても大きな会場で試験が始まりました。同じようなマルチプルチョイスの試験を3回に分けて解く必要があります。必死で集中して解こうとするものの、二日酔いで、全く集中できませんでした。心の拠り所は、神経内科領域問題です。これは、問題もろくに読まずに数秒でマークしても95%程度の点数でした。それ以外は余裕はなく、考え、悩む問題も多く決して時間に余裕はありません。特に2限目は、途中、2回もトイレに行かなくてはならなくなり最悪のコンディション、問題解き終わるのもギリギリでした。3限目テスト終了時にはぐったりと疲れ果てていました。勉強にはなるけれども二度と受けたくないというのが正直な印象です。
終了時の印象としては、もしかしたら落ちたかもというものでした。心配になり、翌日googleで検索していると総合内科専門医試験の2ch掲示板を発見しました。同じような問題で悩んでいる受験者の意見を見ながら安心したり、アドバイスがあったりします。今回、試験終了後にこの掲示板を見た感想は、「専門医試験を受けることが決まったら月に1度は、2chをチェックするべき」というものでした。様々な有用な情報が記載されています。受験される方は是非参考にして下さい。
ちなみに、2015年度専門医試験の平均点(私の点数ではなく)は以下のとおりです。

    全体平均 63点(以下、点は略)
    消化器 67.4
    循環器 70.8
    内分泌/代謝 64.3
    腎臓 63.9
    呼吸器 69.0
    血液 62.6
    神経 61.7
    アレルギー/膠原病 58.5
    感染症 59.6
    総合内科 49.9

4. 試験後の感想
問題自体は教育的で、普段勉強することのない他領域の内科疾患を勉強出来、臨床での思考レベルは上昇します。しかしながら、試験自体は二度と受けたくないと思うほど大変です。必ず、一度で合格するように調整、情報収集することをお勧めします。本番の試験中に2回休みが入りますが、その間、もしも点数に不安を感じた場合には、解けなかった問題の答えを確認することなど手持ちの資料で最後まであがいてください(似たような問題が、休憩後の試験で出題されることがよくあります)。知り合いがいれば、休み時間にLINEで答え合わせgroupを作成をしても良いかもしれません。
試験後のoutcomeとしては、勉強はしても他疾患の診療に当たることは少ないのであまり役には立ちません。指導している若手や研修医へのウンチクが増える程度でしょうか?(若手にとっては嬉しくない?)

5. 神経内科医以外の内科医ための神経疾患10個のポイント
神経内科領域は馴染みがない病態も多いかと思います。一体、神経内科疾患のどの疾患が頻度が高い、あるいは試験に出題されやすいのでしょうか?簡潔にまとめてみました。こちらのページを参照下さい。

セリアック病,グルテン過敏性失調 診断

はじめに
セリアック病(celiac disease)は、小麦・大麦・ライ麦などに含まれるタンパク質の一種であるグルテンに対する免疫反応が引き金になって起こる小腸を主体とする自己免疫疾患で、消化管症状としては腹痛、下痢、脂肪便などの症状を来します。

神経合併症
小児での神経症状合併の頻度は稀ですが、成人例ではよく見られます(約36%)。ビタミンや葉酸欠乏など栄養障害に起因する場合や、自己免疫的な異常に関連したものなどがあります。様々な症状の報告がありますが、主には以下のような病態が有名です。

    1. 小脳失調
    2. 末梢神経障害:病初期はsmall fiber障害が主体のことが多いようです
    3. てんかん
    4. 精神症状:鬱や不安症状
    5. 認知機能障害
    6. 不随意運動:ミオクローヌスやopsoclonus-myoclonus
    7. ビタミン欠乏によるもの:B1, B12, 葉酸, VitE, ナイアシン欠乏など

検査

    血液検査:グリアジン抗体、endomysial抗体、トランスグルタミナーゼ抗体
    HLA検査:DQ2 and DQ8
    腸管生検:小腸D2あるいは十二指腸遠位部がよい適応
    その他:神経症状に応じた検索を

Churg-Strauss症候群 診断

はじめに
1951年にChurgとStraussが病理学的な見地から結節性多発動脈炎 (PN) とは異なった疾患概念として報告しました。最近は、多発血管炎合併好酸球性肉芽腫症 (Eosinophilic granulomatosis with polyangitis; EGPA) と呼ばれることも多くなりました。
典型的には気管支喘息やアレルギー性鼻炎が先行して、末梢血好酸球の増多をともなった小血管〜中血管の血管炎によって、神経障害や消化管潰瘍、紫斑、心外膜炎などを呈する血管炎です。ANCAが検出されることも良くあります。
神経障害に関しては、6割前後で認められ、多くの場合が多発単神経障害型の末梢神経障害です。非常に稀ですが中枢神経病変を認めることもあります。

症状
神経内科領域では急速に進行する多発単神経障害で診療することが多く、好酸球の増加が目立つ疾患ですので本疾患を疑うことは難しいことではありません。可及的速やかに診断し、治療を行う必要があります

    多発単神経障害
    腹痛
    皮疹
    呼吸障害
    二次的な合併症:深部静脈血栓症や肺塞栓など
    など

検査

    血液検査:ANCA測定、好酸球定量、IgE、好酸球関連蛋白(ECPなど)、sIL-2Rなど。IgG4が上昇する例も多いようです
    髄液検査:あまり目立った所見はありませんが、鑑別診断のため
    末梢神経伝導速度検査:基本的には軸索障害パターンですが、時にWaller変性の過程を反映したconduction blockが見られることがあります。脱髄性CBとの鑑別は経時的な変化を見ると良いと思われます
    神経生検:やはり確定診断のためにはまだまだ必要です
    脳MRI:念のため
    胸腹部CT:症状に応じて
    骨髄検査:他の好酸球増多症が鑑別に上がる場合に施行

腓腹神経病理
Epineurium:動脈周辺のリンパ球浸潤や肉芽腫形成。動脈の閉塞、狭窄、弾性板の損傷など
神経束:多数のOvoidを伴う有髄線維の脱落が、神経束内あるいは神経束間に程度の差を持って見られます。つまり急性期の軸索障害の所見ですが、時にthin myelinの軸索(脱髄性の所見)が目立つこともあります。発症から時間が経過していれば、clusterも出現します。

蘇生後脳症(無酸素脳症、低酸素脳症) 治療

参考
アメリカ心臓協会(AHA)による心停止後症候群の治療に関するガイドライン 2015年度版

治療概要
低酸素状態、循環不全状態をいかに短くとどめるかが重要ですので、速やかに心肺蘇生を行いつつ、低酸素状態、低灌流状態の原因を特定して、輸液や血管作動薬等で循環状態を安定化させましょう。一般的に、蘇生時に於ける初期リズムがAsystoleの場合や、非心原性心停止、30分以上の心停止時間、bystander CPR無し、蘇生中のetCO2値が10mmHg以下などは予後に関連するとされています。
ある程度低酸素状態が続くと、引き続き心停止後症候群(post cardiac arrest syndrome)と呼ばれる多臓器障害が生じますので、中枢神経障害だけでなく、あらゆる合併症の管理が必要となります。そのため、集中治療室での管理が必要です。
第一選択となる治療法は低体温療法ですが、低体温療法の適応とならない場合は、病態に応じた対症療法を行います。

1. 脳保護療法
低体温療法

    治療効果が知られてるのは心停止後の低酸素脳症の場合です。体温を速やかに32-34℃に低下させ、24時間維持し、ゆっくり復温します。
    具体的な冷却の方法としては、体外から冷却ブランケットなどで冷却する体表冷却式が一般的ですが、PCPSなどを利用し体内から冷却する方法もあります。冷却時には筋肉による熱産生を抑えるために筋弛緩薬の投与が必要となります。
    合併症:血小板減少、低カリウム血症、不整脈・血圧低下、脱水、感染症など
    禁忌:頭蓋内出血、大量出血、昇圧薬に抵抗性の低血圧、重症敗血症、妊娠など

2. 一般治療
脳圧、脳血流のコントロール

    脳血流、循環:平均動脈血圧を80-100mmHgに上昇させます
    具体的には、PCASでは敗血症に類似した全身性炎症反応症候群を来す事が知られていますので、心機能が保たれていれば敗血症に準じた大量輸液(Early-goal directed therapy)の適応はあると思います。それでも循環を保てない場合、カテコラミンの投与を行いましょう。
    血糖:144-180 mg/dLに管理
    PaCO2:35-45mmHg程度を目標に呼吸回数を10-12回/分に設定。
    具体的には、SpO2が94〜96%を保つ事が出来る最小のFiO2で人工呼吸を行います。過剰な一回換気量設定は人工呼吸器関連肺傷害の原因となりますので、一回換気量は身長から計算された理想体重当たり6ml/kgとするべきと思われます。
    脳浮腫:頭部を30°にベットアップし、静脈潅流を改善させてください。あるいは、以下の投与を行います。
    D-マンニトール注 200ml/回 30-60分で点滴静注 1日2-4回
    グリセオール注 200ml/回 30-60分で点滴静注 1日3-6回

痙攣発作に対する治療

    10-40%の症例でけいれん発作が出現します。
    こちら参照

ミオクローヌス

    リボトリール 1.5-6.0 mg/日 経口
    デパケンR 600 mg/日 経口

3. 合併症に対する治療
敗血症、発熱

    発熱は、中枢神経への代謝性障害を来すため速やかに是正しましょう。心停止による免疫制御系の障害と消化管の血流不全の遷延化等により、消化管では粘膜の透過性が亢進して,腸内細菌が血中に侵入しやすくなりますし、人工呼吸管理での肺炎や低体温療法復温中での敗血症がしばしば起こります。

深部静脈血栓症、肺塞栓症、その他の血栓塞栓症

消化管潰瘍の予防

4. その他の特殊な病態に対する治療法
Autonomic storms

    心停止後に、発作性に高血圧、頻脈、発汗過多、高体温などの自律神経症状が見られることが報告されています。インデラル、セルシン、リボトリール、パーロデル、フェンタニル、クロニジン(本邦未承認)などの効果が知られています

Delayed post-hypoxic leukoencephalopathy

    低酸素脳症や一酸化炭素中毒による昏睡状態から改善した数日から数週間後に白質のびまん性脱髄が生じる希な病態が知られています。
    脳MRIでは白質のびまん性高信号が見られ、意識障害、認知機能障害、パーキンソニズム、寡動などの症状が出現するようです。
    有効な治療法は確立されていないのですが、認知機能障害に対するアリセプト、メマンチン、シンメトレルの投与、パーキンソニズムに対するレボドパ投与の症例報告が一応あります

予後
院内での心停止であっても、退院可能なのは30%以下と予後不良な疾患で、死因は2/3が神経障害により、1/3が多臓器不全です。

生活指導
原因を特定し、再発予防策を立てる。可能な限り正確な予後予測を行った上で、家族には、死亡率の高い疾患であり、救命し得たとしても非常に強い神経障害が残存することが多いことをよく説明してください。さらに、介護者に対するメンタルケアは不可欠と考えられます。

Sjogren (シェーグレン)症候群 無菌性髄膜炎 診断と治療

はじめに
シェーグレン症候群に伴い発症する髄膜炎、髄膜脳炎で、自己免疫性髄膜脳炎の一種です。ただし、SLEなど他の自己免疫性疾患でも髄膜脳炎を発症しますので、SLEの合併の有無など注意深い検査が必要です。

疫学
原発性シェーグレン症候群に伴う神経症状としては比較的希で、神経合併症のうち無菌性髄膜炎は約2.4%程度の発症割合です。

検査
髄液:単核球主体の増加、形質細胞や組織球などの多彩な細胞の出現、総タンパク、IgG、IgG indexの上昇、SS-A抗体価の上昇
造影脳MRI:希に軟膜の造影増強効果を認めます。
脳波
SPECT
他の感染性疾患、腫瘍性疾患の除外
その他は、シェーグレン症候群 診断を参照

発生機序
炎症細胞の髄膜浸潤や髄膜の血管炎が想定されています。

治療
再発率が高いのが特徴です。初期治療はステロイドが多いと考えられますが、再発例には何らかの免疫抑制剤の追加が必要と考えられます。
1. ステロイドパルス療法

巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎) 治療

1. ステロイド治療
ステロイドが著効する疾患ですので、基本はステロイド治療となります。

2. メソトレキセート(MTX)
ステロイドsparing目的で少量投与を行います

3. アスピリン
虚血性合併症の予防に用います

4. その他
抗TNF-α製剤?

予後
未治療であれば50%が失明するとされています。また、片眼の失明からもう片眼の失明までの期間は1週間程度との記載もあります。
ステロイドが著効するため、多くは数年以内に寛解状態になりますし、脳血管や大血管に障害が起こらなければ生命予後は良好です。