内科疾患に伴う神経合併症

その他の内分泌疾患 update

Extensive Bilateral Cerebral Calcifications in a Patient With Primary Hypoparathyroidism. Arch Neurol. 2010;67(7):888-889.
両側大脳半球、小脳に広範な石灰化病変が認められた原発性副甲状腺機能低下症の61歳女性例

Vitamin D-Dependent Rickets as a Possible Risk Factor for Multiple Sclerosis. Arch Neurol. 2008;65:809-811.
ビタミンD依存性くる病I型2家系のうち3人がMSを発症した

銅欠乏性脊髄神経障害 update

Clinical, physiological and pathological characterisation of the sensory predominant peripheral neuropathy in copper deficiency. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2017;88(10):839-845.
銅欠乏性による神経障害の電気生理学的特徴

Acute and Bilateral Blindness Due to Optic Neuropathy Associated With Copper Deficiency. Arch Neurol. 2009;66(8):1025-1027.
胃切後に慢性進行性脊髄症とともに急性の視神経萎縮を来たした銅欠乏症の55歳女性例

Denture cream: An unusual source of excess zinc, leading to hypocupremia and neurologic disease. Neurology 2008 71: 639-643.
強力入歯固定クリームに含有される亜鉛により銅やセルロプラスミンが低下することがあり、末梢/中枢神経障害を合併しうる

Copper deficiency myeloneuropathy: A clue to clioquinol-induced subacute myelo-optic neuropathy? Neurology 2008 71: 622-623.
銅の低下と視神経、脊髄障害の関連に関するコメント

Clinical and Electrodiagnostic Findings in Copper Deficiency Myeloneuropathy. JNNP 2008 May 21. [Epub ahead of print]
銅欠乏性脊髄神経症では末梢神経障害,中枢神経体性感覚伝導路の障害のため感覚性運動失調を呈する

甲状腺機能亢進症 update

Teprotumumab for Thyroid-Associated Ophthalmopathy. N Engl J Med. 2017;376:1748-1761.
IGF-IR を阻害するヒトモノクローナル抗体テプロツムマブ(teprotumumab)は、プラセボと比較して眼球突出の軽減と,臨床的活動性スコアの低下に有効であった

Association between iodinated contrast media exposure and incident hyperthyroidism and hypothyroidism. Arch Intern Med. 2012;172:153-9.
ヨード造影剤曝露は甲状腺機能亢進症および低下症のいずれとも相関していた

Pelizaeus-Merzbacher-Like disease presentation of MCT8 mutated male subjects.Ann Neurol. 2009;65:114.
甲状腺ホルモン輸送体遺伝子MCT8の異常が,不全髄鞘化白質変性の原因になる.

Graves disease and isolated orthostatic tremor. Neurology 2008 70: 1497-1498.
起立時振戦を認めたバセドウ病の50歳女性例

CIP/CIM update

Long-term outcome in patients with critical illness myopathy or neuropathy. The Italian multi-centre CRIMYNE study. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2008 Mar 13 [Epub ahead of print]
重症疾患に伴う筋障害と多発神経障害の予後の少数の前向き調査では,筋障害は完全に回復することが多く末梢神経障害より予後が良い.

Diagnosis and management of critical illness polyneuropathy and critical illness myopathy. Curr Treat Options Neurol. 2007;9:85-92.
CIP/CIMの診断、治療のReview

Critical Illness Polyneuropathy/Myopathy 診断

概念
敗血症と多臓器不全に伴って発症するaxonal motor-sensory polyneuropahty及び/あるいはmyopathyです。敗血症と多臓器不全、または全身性炎症反応症候群(SIRS)の患者における発症率は50-70%とも言われています。また、コルチコステロイド(corticosteroid)使用、神経筋遮断薬 (neuromuscular blocking agents, NMBAs)使用は危険因子と言われています。
症状
多くの場合、人呼吸器管理からの離脱困難や、鎮静から解除されても四肢麻痺が残存するなどの症状で発見されます。
CIP
脱力は遠位筋に優位で、感覚障害の合併もあります(沈静や意識障害のため評価が難しい場合もおおいですが、、、)。DTRは低下することがおおく、脳神経系の障害は少ないようです。
CIM
多くは近位筋有意の筋力低下で、頚部の筋力低下も時にあります。CKの上昇は50%の症例で認めるとも言われていますが、上昇していたとしても軽度です。CKの上昇がないかあっても、軽度なことが特徴です。
電気生理学的検査
CIP
軸索性運動感覚性ニューロパチーの所見です。つまりCMAP、SNAPの振幅低下を認めるが伝導速度の低下や伝導ブロックはみとめないのですが、CIMで見られるsynchronized dispersionの所見が混在してきますので、NCVの読みは難しいようです。
CIM
ミオパチーにもかかわらず、synchronized dispersionという変化をNCVで認めるため、CMAPが多くの場合低下し、さらにpositive phaseが目立たなくなることもよくあります。つまり脱随性末梢神経障害で見られるような、asynchronized dispersionでなく、すべての波形が一様に振幅の低下とdurationの延長を示します。今の所、muscle inexitabilityが低下が原因と考えられているようです。SNAPは保たれます。反復神経刺激は正常です。
針筋電図はshort-duration. low-amplitude MUP with early full or normal recruitment, with or without fibrillation potentials
病理学的検査
CIP
遠位軸索障害の所見で、炎症や一次性脱髄の所見は認めません。
CIM
Myosin thick filamentsの消失、低下が78%の症例で認められます。
鑑別診断
ICU入室前から存在した四肢麻痺なのか.その後に生じたのか判断が難しい場合があるが,高位頚髄損傷,筋萎縮性側索硬化症,ギラン・バレー症候群,重症筋無力症,有機リン中毒,ボツリヌス中毒,横紋筋融解症,他の原因のニューロパチーの鑑別が必要である。

Critical illness polyneuropahty (CIP)の特徴

1.敗血症や多臓器不全の状態に罹患している
2.四肢の脱力がある
3.心肺機能は改善しているが人工呼吸器の離脱が遅れている
4.ギランバレー、ビタミンB1欠乏、ポルフィリア、砒素やタリウム中毒、血管炎などの急性の末梢神経障害の原因となる疾患が除外される

Critical illness myopathy (CIM)の特徴

1.敗血症、コルチコステロイド(Corticosteroid)使用、神経筋遮断薬 (neuromuscular blocking agents, NMBAs)使用などがある
2.四肢の脱力がある
3.心肺機能は改善しているが人工呼吸器の離脱が遅れている
4.電気生理学的所見
 A.SNAPが保たれている(正常の80%以上)
 B.CMAPが数本の神経で低下している(正常の80%以下)
 C.反復神経刺激検査は正常
 D.針筋電図では、short-duration. low-amplitude MUP with early full or normal recruitment, with or without fibrillation potentials
 E.Demonstration of muscle inexitability with direct muscle stimulation techniques
5.筋生検で、myosin lossの所見

Critical Illness Polyneuropathy/Myopathy 治療

基本的にはCritical Illness Polyneuropathy/Myopathy(CIP/CIM)は予後良好の疾患で、原疾患が改善するとともにほとんどの例が数ヶ月かけて完治します。重症な軸索障害のある末梢神経障害は後遺症の残ることもあります。しかしながら、この疾患に罹患するとICUでの入院日数が49±36日(罹患していない場合は14±14日)と、3倍以上延長し、抜管までの時間(人工呼吸器使用期間)も延長します。

    1.危険因子を避ける
    コルチコステロイド(Corticosteroid)、神経筋遮断薬 (neuromuscular blocking agents, NMBAs)はICUで敗血症、SIRSなどに対してよく使用されますが、これらの使用を控える。
    2.インスリン
    インスリンで積極的に血糖コントロールすることによりCIP/CIMのリスクが低下します。
    3.免疫グロブリン
    免疫グロブリン大量投与は少数例では有効ではありませんでした。しかし、敗血症時に早期にIVIgを使用することによりCIPを防げるかもしれないとも総説に書かれています。
    4.リハビリテーション

心房細動 update

Incidence of atrial fibrillation detected by implantable loop recorders in unexplained stroke. Neurology. 2013;80:1546-50.
植込み型ループ記録計(implantable loop recorder:ILR)によって、原因が判明していない脳卒中において25%で心房細動が検出された

Predictive value of the HAS-BLED and ATRIA bleeding scores for the risk of serious bleeding in a ‘real world’ anticoagulated atrial fibrillation population. Chest. 2012 Jun 21.
心房細動患者における抗凝固療法による出血リスクの推定にはHAS-BLEDを用いた評価はATRIAより有意に優れていた

Sex differences in stroke risk among older patients with recently diagnosed atrial fibrillation. JAMA. 2012 May 9;307(18):1952-8.
65歳以上の心房細動患者の脳卒中リスクについて男女差を調べた結果、女性(2.02/100人/年)が男性(男性が1.61/100人/年)に比べて高かった

Dronedarone in high-risk permanent atrial fibrillation. N Engl J Med. 2011;365:2268-76.
ドロネダロン投与により,重大な血管イベントのリスクを有する永続性心房細動患者における心不全および脳卒中の発生率、心血管系の原因による死亡率が上昇した

A new risk scheme to predict warfarin-associated hemorrhage: The ATRIA (Anticoagulation and Risk Factors in Atrial Fibrillation) Study. J Am Coll Cardiol. 2011 Jul 19;58(4):395-401.
貧血、年齢、腎機能など5つの変数を組み合わせた出血リスクスコアは、心房細動に対するワーファリン治療関連出血の予測に有用であった

Incident stroke and mortality associated with new-onset atrial fibrillation in patients hospitalized with severe sepsis. JAMA. 2011;306:2248-54.
重要敗血症症例の6%に新規発症の心房細動が発症し、脳卒中及び死亡と関連していた

Rivaroxaban versus Warfarin in Nonvalvular Atrial Fibrillation. N Engl J Med. 2011 Aug 10.
心房細動に対する、経口第Xa因子阻害薬 (rivaroxaban)投与はワーファリンとほぼ同様のイベント発生率であった

Apixaban in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med. 2011;364:806-17.
脳卒中高リスクでワーファリン治療が適さない心房細動において、第Xa因子阻害薬apixabanはアスピリンに比べて、脳卒中や全身性塞栓症の発生が少なく、重大な出血等のリスクも有意に増加しなかった。

Radiofrequency catheter ablation of atrial fibrillation: a cause of silent thromboembolism? Magnetic resonance imaging assessment of cerebral thromboembolism in patients undergoing ablation of atrial fibrillation. Circulation. 2010;122(17):1667-73.
高周波左心房アブレーションの実施後、無症候性脳虚血病変が14%に認められた

Detection of paroxysmal atrial fibrillation with transtelephonic EKG in TIA or stroke patients. Neurology 2010 74: 1666-1670.
非心原性脳梗塞やTIAであっても、電話伝送心電図で10%弱に発作性心房細動が検出され、特にホルター心電図で異所性心房性期外収縮の検出、前方循環領域のDWI高信号病変(1.5cm異常)の検出との関連が強かった

Lenient versus strict rate control in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med. 2010 15;362(15):1363-73.
心拍数コントロール目標、110拍/分未満群と 80拍/分未満群に無作為化し転帰追跡したところ、症状、有害事象の頻度は、両群で同程度だった

Dabigatran versus warfarin in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med. 2009 17;361:1139-51.
dabigatran 110mg投与群では、脳卒中と全身性塞栓症の発生はワルファリンと同等だったが、重大出血の低下が大きかった。一方、dabigatran 150mg投与群では、同発生はワルファリンより低下したが、重大出血の発生はワルファリンと同等だった

Neurological Consequences of Atrioesophageal Fistula After Radiofrequency Ablation in Atrial Fibrillation. Arch Neurol. 2009;66(7):884-887.
心房細動に対するラジオ波焼灼治療法後に心房食道瘻を併発することがあり、敗血症、塞栓症などによる神経学的合併症を来たしうる

Atrial fibrillation detected by mobile cardiac outpatient telemetry in cryptogenic TIA or stroke. Neurology 2008 71: 1696-1701.
原因のはっきりしない脳梗塞や一過性脳虚血発作では、外来で可能なテレメトリー装置を使用することにより高率に心房細動を検出できる

ACC/AHA/Physician Consortium 2008 clinical performance measures for adults with nonvalvular atrial fibrillation or atrial flutter. Circulation. 2008 ;117:1101-20.
AHAのNVAFのReview 2008年度版

A comparison of rate control and rhythm control in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med. 2002;347:1825-33.
AFFIRM

ビタミンB1欠乏症(Wernicke-Korsakoff脳症, ビタミンB1欠乏性末梢神経障害) 治療

この疾患は診断さえできれば、あるいは浮腫や胸水、末梢神経障害、外眼筋麻痺、認知機能異常などから疑いさえすれば診断、治療は簡単です。軽度のWernicke-Korsakoff脳症は外眼筋麻痺から、Fisher症候群との鑑別、ビタミンB1欠乏性末梢神経障害は時に急性の経過を取ることがあることからGuillain-Barre症候群との鑑別が必要なこともあります。ビタミンB群の測定用採血を行ったらすかさずビタミンB1を投与しましょう。つまり確定診断はつかなくとも可及的早期にビタミンB1の投与をすることが最も重要です。

1. ビタミンB1補充
ビタミンB1 100mg:1日1回静注 (1-2週間静注したら内服へ)

2. ビタミンB1低下の原因検索とその治療

3. 末梢神経障害に対する対症療法

4. リハビリテーション

ちなみにB1を多く含む食品は以下の通りです。内服治療中には特に食事から摂取しなくても問題ないですが、、、
酵母
肉類
胚芽(米ぬかなど)
豆類
全穀パン
牛乳
緑黄色野菜