変性疾患

筋萎縮性側索硬化症(ALS) 診断

日本神経学会ALSガイドラインー診断、分類 (PDF)

診断
病歴、神経所見が重要です。神経内科医にとって、診断はそれほど難しいものではありません。構音障害、嚥下障害、舌や四肢の線維束性収縮、四肢の筋萎縮と筋力低下、錐体路徴候などが限局的な神経根、脊髄症状などで説明がつかない分布で広がっていることなどがヒントになります。また、原因不明の体重減少も重要な病歴です。
基本的には、四肢の筋力低下などの症状は頚椎症性頚髄症も同様の症状を来たしますが、舌や構音障害など脳神経系の症状があれば病変は、頚椎より上にも広がっていることになりさらにALSの可能性が高まります。
検査
ALSを確定診断できる特異的検査はありません。

    末梢神経伝導速度検査:軸索障害を反映してCMAPの振幅が低下しますが、MMNなど他疾患の検索も重要です
    針筋電図:針筋電図でPSWなどが異なる神経根領域の筋で検出されることが重要な所見ですので施行する必要があります。
    MEP:CMCTの延長や、刺激域値の上昇など
    MRI:脳MRIでの皮質脊髄路の異常信号やFA値低下、運動野大脳皮質のT2信号低下
    血液検査:他疾患の除外や、CKの軽度上昇など
    髄液検査:TDP-43、リン酸化NF-H、シスタチンC、AngiotensinIIなどの髄液バイオマーカーが知られています

alsmri
特に錐体路徴候の強いALSでは、図のようにFLAIR Coronal像で錐体路の高信号が描出されることがあり、錐体路変性を示唆している可能性があります。その他、中心前回のT2低信号がALSで見られることがあると言われています


厚生省神経変性疾患調査研究班診断基準

1.神経所見
1)球麻痺所見:舌の麻痺,萎縮,線維束性収縮,構音障害,嚥下障害
2)上位ニューロン徴候(錐体路徴候):痙縮,腱反射亢進,病的反射
3)下位ニューロン徴候(前角細胞徴候):筋萎縮,筋力低下,線維束性収縮

2.臨床検査所見
1)針筋電図にて(1)高振幅電位,(2)多相性電位
2)神経伝導検査にて(1)運動・感覚神経伝導速度は原則正常,(2)複合筋活動電位の低下

3.鑑別診断
1)下位運動ニューロン障害のみを示す変性疾患:脊髄性進行性筋萎縮症
2)上位運動ニューロン障害のみを示す変性疾患:原発性側索硬化症
3)脳幹病変によるもの:腫瘍,多発性硬化症など
4)脊髄病変によるもの:頸椎症,後縦靱帯骨化症,椎間板ヘルニア,腫瘍,脊髄空洞症,脊髄炎など
5)末梢神経病変によるもの:多巣性運動ニューロパチー(Lewis-Sumner 症候群),ポリニューロパチー(遺伝性,非遺伝性)
6)筋病変によるもの:筋ジストロフィー,多発筋炎など
7)偽性球麻痺

[診断の判定]
次の1─5 のすべてを満たすものを,筋萎縮性側索硬化症と診断する.
1)成人発症である
2)経過は進行性である
3)神経所見で,上記1─3 のいずれか2 つ以上がみられる.
4)筋電図で上記の所見がみられる.
5)鑑別診断で,上記のいずれでもない.
4.参考事項
診断上次の事項が参考となる.
遺伝性を示す例がある.
下肢から発症するばあいは早期から下肢の腱反射が低下,消失することがある(下肢型).
まれに初期から痴呆をともなうことがある.
感覚障害,眼球運動障害,膀胱直腸障害,小脳症状を欠く.
ただし長期の経過では,これらの一部がみとめられることがある.

眼球運動失行を伴う失調症 update

Clinical and Molecular Findings of Ataxia With Oculomotor Apraxia Type 2 in 4 Families. Arch Neurol. 2008;65:958-962.
眼球運動失行を伴う失調症2型(AOA2)は様々な臨床症状を持ち、眼球運動失行、軸索型末梢神経障害もすべての症例で認められるわけではない

Hoehn-Yahrの重症度分類

Hoehn-Yahrの重症度分類(修正版)

0度 パーキンソニズムなし
1度 一側性パーキンソニズム
1.5度 一側性パーキンソニズムおよび体幹障害
2度 両側性パーキンソニズムだが平衡障害なし
2.5度 軽度両側性パーキンソニズム及び後方突進あるが自分で立ち直れる
3度 軽度〜中等度両側性パーキンソニズムおよび平衡障害、介助不要
4度 高度パーキンソニズムおよび平衡障害、歩行は介助無しで何とか可能
5度 介助なしでは車椅子まただベットに寝たきり、介助でも歩行困難

Hoehn-Yahrの重症度分類

1度 一側性障害のみ。通常、機能障害は軽微またはなし。
2度 両側性の障害があるが、姿勢保持の障害はない。日常生活、就業は多少の障害はあるが行いうる。
3度 立ち直り反射に障害が見られる。活動はある程度は制限されるが職種によっては仕事が可能であり、機能障害は、軽ないし中程度だがまだ誰にも頼らず一人で生活できる。
4度 重篤な機能障害を有し、自力のみによる生活は困難となるが、まだ支えなしに立つこと、歩くことはどうにか可能である。
5度 立つことも不可能で、介助なしにはベッドまたは車椅子につききりの生活を強いられる。

3度以上で医療費の補助が受けられます

進行性核上性麻痺 update

Cerebellar ataxia in progressive supranuclear palsy: An autopsy study of PSP-C. Mov Disord. 2016 Feb 3.
PSP-Cは他のPSPとはっきり区別できる病理所見はなく、臨床的にはMSAとの鑑別が重要である

Early clinical features of patients with progressive supranuclear palsy with predominant cerebellar ataxia. Parkinsonism Relat Disord. 2013: S1353-8020(13)00273-3.
臨床的に多系統萎縮症との鑑別が難しい、小脳失調を伴うPSPの臨床的特徴

Potential of a new MRI for visualizing cerebellar involvement in progressive supranuclear palsy. Parkinsonism Relat Disord. 2013: S1353-8020(13)00362-3
高分解能拡散強調撮像法 RESOLVE (Readout Segmentation of Long Variable Echo-trains)による解析では、進行性核上性麻痺の約半数で上小脳脚交差のintensityが低下する

Postural imbalance and falls in PSP correlate with functional pathology of the thalamus. Neurology. 2011;77:101-9.
PSPの姿勢反射障害は中脳・視床系の機能障害による可能性が、PET、fMRIによる検討で示唆された

MRI measurements predict PSP in unclassifiable parkinsonisms: a cohort study. Neurology. 2011;77:1042-7.
パーキンソン症状を有する症例では、MRPI (Magnetic resonance parkinsonism index)のの高値は、進行性核上性麻痺発症の予測因子であり、PDやMSAとの鑑別に役立つ可能性がある

ational therapeutic approaches to progressive supranuclear palsy. Brain. 2010 Jun;133(Pt 6):1578-90.
病態から想定される将来のPSPの治療法に関する総説

Teaching NeuroImages: FDG-PET in progressive supranuclear palsy. Neurology 2010 74: e60.
FDG-PETで両側の前頭葉、島皮質、尾状核頭、脳幹、小脳の代謝低下が検出された進行性核上性麻痺の74歳男性例

Evolution of oculomotor and clinical findings in autopsy-proven Richardson syndrome. Neurology 2009 73: 2122-2124.
若年発症で転倒なく水平方向性の複視が目立つといった非特徴的な症状を認め垂直方向性の眼球運動障害が目立たなかったが、剖検にてRichardson症候群と確定診断された1例

Risk factors for progressive supranuclear palsy: a case-control study in France  J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009;80:1271-1274
79人の進行性核上性麻痺患者で危険因子を調べたが、正常群のほうが教育歴が高く果物摂取が多い、という事以外はあきらかでない。

Emotion recognition in progressive supranuclear palsy  J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009; 80: 1143-1145.
PSPでは表情を読み取る認識力が低下している

Clinical Reasoning: A video analysis of eye and limb movement abnormalities in a parkinsonian syndrome. Neurology 2009 73: e20-e23.
眼球運動障害が目立ち、皮質基底核変性症よりもcorticobasal syndromeと考えられた72歳男性例

Familial aggregation of parkinsonism in progressive supranuclear palsy. Neurology 2009 73: 98-105.
進行性核上性麻痺では第一度近親にパーキンソニズムあるいは認知症が発症する危険性が3.9倍

Progressive supranuclear palsy: clinicopathological concepts and diagnostic challenges. Lancet Neurol. 2009 Mar;8(3):270-9.
PSPについての臨床病理学的な概念,特徴についてのまとめ.

“Penguin” or “hummingbird” sign and midbrain atrophy in progressive supranuclear palsy. Neurology 2009 72: e81.
PSP中脳のハミングバードサイン

Progressive supranuclear palsy: clinicopathological concepts and diagnostic challenges. Lancet Neurol. 2009;8:270-9.
進行性核上性麻痺と周辺疾患の位置づけと病態に関する総説

Voluntary, spontaneous and reflex blinking in patients with clinically probable progressive supranuclear palsy. Brain 2009 132: 502-510
進行性核上性麻痺では瞬目速度や開眼時間などに異常が生じる

Tau forms in CSF as a reliable biomarker for progressive supranuclear palsy. Neurology 2008 71: 1796-1803.
髄液のタウ蛋白の33 kDa/55 kDa比の低下は進行性核上性麻痺に特異的な所見である

Role of the Tau Gene Region Chromosome Inversion in Progressive Supranuclear Palsy, Corticobasal Degeneration, and Related Disorders. Arch Neurol. 2008;65:1473-1478.
進行性核上性麻痺と皮質基底核変性症では17番染色体のTau遺伝子に関連が見られるが、特にmicrotubule-associated protein tau gene (MAPT)遺伝子が病因に関与している可能性が高い

Progressive Supranuclear Palsy With Walleyed Bilateral Internuclear Ophthalmoplegia Syndrome. Arch Neurol. 2008;65:827-829.
両側内側縦束症候群を来たした進行性核上性麻痺の72歳男性例

Current and future treatments in progressive supranuclear palsy. Curr Treat Options Neurol. 2006 May;8(3):211-23.
PSPの治療に関する総説

大脳皮質基底核変性症 update

Diagnostic criteria for corticobasal syndrome: a comparative study. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2012;83:405-10.
皮質基底核変性症の診断基準に関する検討

Corticobasal degeneration: a pathologically distinct 4R tauopathy. Nat Rev Neurol. 2011;7:263-72.
皮質基底核変性症の病態に関する総説

Corticobasal degeneration. Curr Treat Options Neurol. 2009 May;11(3):179-85.
CBDの治療に関する総説

A 74-year-old woman with progressive right-hand tremor and inability to use her right side. Neurology 2009 73: 1399-1405.
皮質基底核症候群、74歳女性のCPC

Association of Ideomotor Apraxia With Frontal Gray Matter Volume Loss in Corticobasal Syndrome. Arch Neurol. 2009;66(10):1274-1280.
CBSでは観念運動失行は左補足運動野、運動前野、尾状核の灰白質体積の減少と関連しジェスチャーの模倣が特に障害されていた

Olfactory Function in Corticobasal Syndrome and Frontotemporal Dementia. Arch Neurol. 2009;66:92-96.
皮質基底核変性症では31.6%と高率に前頭葉変性型のFTDでは9.5%に嗅覚障害が認められる

Role of the Tau Gene Region Chromosome Inversion in Progressive Supranuclear Palsy, Corticobasal Degeneration, and Related Disorders. Arch Neurol. 2008;65:1473-1478.
進行性核上性麻痺と皮質基底核変性症では17番染色体のTau遺伝子に関連が見られるが、特にmicrotubule-associated protein tau gene (MAPT)遺伝子が病因に関与している可能性が高い

White Matter Changes in Corticobasal Degeneration Syndrome and Correlation With Limb Apraxia. Arch Neurol. 2008;65:796-801.
CBDSでは、拡散テンソル画像で皮質下白質線維異常が検出されFA値の低下と、肢節失行の重症度が相関する

純粋自律神経機能不全症(pure autonomic failure) update

alpha-synuclein accumulation in skin nerve fibers revealed by skin biopsy in pure autonomic failure. Neurology 2010 74: 608-610.
皮下の無髄線維と血管周囲にαシヌクレインの沈着を認めた純粋自律神経失調症の73歳男性例

Reduced perfusion in the anterior cingulate cortex of patients with pure autonomic failure: an 123I-IMP SPECT study. JNNP2009 Sep;80(9):1053-5.
純粋自律神経失調症の患者では前部帯状回皮質の血流が低下している可能性がある

Hyposmia in pure autonomic failure. Neurology 2009 72: 1677-1681.
pure autonomic failure(PAF)では嗅覚障害を来たすが、パーキンソン病と比較すると軽度である

Effects of water drinking on cardiovascular responses to supine exercise and on orthostatic hypotension after exercise in pure autonomic failure. JNNP. 2008 May 9 [Epub ahead of print]
PAF(pure autonomic failure)の患者は480mlの飲水で運動後の起立による血圧低下を改善することはできないが,起立後の血圧を高くし運動後に立位をとりやすくする

球脊髄性筋萎縮症(SBMA) update

Efficacy and safety of leuprorelin in patients with spinal and bulbar muscular atrophy (JASMITT study): a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet Neurol. 2010;9:875-84.
SBMAに対するリュープロレリンの反復投与は忍容性が高く、48週の比較試験において咽頭のバリウム貯留を低下させた

Abnormal eye movements in Kennedy disease. Neurology 2009 72: 1528-1530.
眼球運動障害がENGで検出されたSBMAの58歳男性例

Phase 2 trial of leuprorelin in patients with spinal and bulbar muscular atrophy.Ann Neurol. 2009;65:140-50.
SBMAに対するリュープロレリン投与の第2期調査にて症状進行抑制効果と筋での変異アンドロゲン受容体蓄積抑制効果が認められた.

Effect of aerobic training in patients with spinal and bulbar muscular atrophy (Kennedy disease). Neurology 2009 72: 317-323.
有酸素運動はSBMAの神経機能を改善させない

Natural history of spinal-bulbar muscular atrophy. Neurology 2008 70: 1967-1971.
SBMAは10年生存率が82%(対照95%)と健常人と比べ若干低下するが、嚥下機能、呼吸機能など球症状の悪化は強くない

パーキンソン病 診断

概要
パーキンソン病の診断は脳MRIでもMIBG心筋シンチでも不可能で、特異的診断マーカーはありません。左右差のあるパーキンソン症状といった臨床徴候と、抗パーキンソン病薬に対する反応性がすべてです

定義
黒質緻密層ドパミン神経細胞の変性を主病変とし、緩徐進行性に運動4徴候(安静時振戦、固縮、運動緩慢および無動、姿勢反射障害)を発現する特発性、進行性の疾患です

疫学
通常孤発性で、家族発症例は約5%程度です。日本における有病率は人口10万人に対して110人程度、欧米白人の有病率はわが国の約1.5〜2.5倍と高いようです
発症年齢は50歳代後半から60歳代にかけてが最も多いのですが、20歳代から80歳代まで幅広く見られます
パーキンソン病発症の危険因子は例えば以下のものがしられています[ref]
 パーキンソン病の家族歴あり
 振戦の家族歴あり
 便秘
 喫煙歴なし:喫煙者には朗報ですね!

病理
黒質緻密層のドパミン神経変性が最も顕著で、肉眼的に黒質の黒褐色の色調が失われます。光顕ではメラニン含有神経細胞の変性・脱落、グリア細胞の増殖がみられて、残存した神経細胞質のなかにエオジン好性のLewy小体が出現しますし、青斑核、Meynertの前脳基底核、迷走神経背側核にもLewy小体が出現するようです
また、黒質緻密層のドパミン神経の変性によって、そのおもな軸策投射部位である線条体でドパミン含有量が著明に低下します

症状
基本は、初発症状は一側性に見られることが重要です

    運動症状の4大徴候
     安静時振戦:4〜6Hzの規則的な震え
     歯車様固縮
     運動緩慢および無動
     姿勢反射障害
    自律神経症状:便秘、脂漏性顔貌など
    精神症状:うつ傾向、認知機能低下(稀)
    その他
     仮面様顔貌や瞬目の減少
     流涎
     Myerson徴候

検査
血液、脳脊髄液検査、やMRI画像では疾患特異的な異常はなく、他のパーキンソン症状を来たす疾患の除外のために主に行います

鑑別診断
少なくとも以下の疾患は鑑別してください

多系統萎縮症(MSA) update

Mutations in COQ2 in familial and sporadic multiple-system atrophy. N Engl J Med. 2013;369:233-44.
COQ2遺伝子の変異は、家族性および孤発性多系統萎縮症発症のリスク上昇に関連していた

A randomized trial of mesenchymal stem cells in multiple system atrophy. Ann Neurol. 2012;72:32-40.
自家間葉系幹細胞の経静脈的あるいは経動脈的投与は、MSAの進行を遅らせる可能性がある

Arginine test is not reliable for diagnosing cerebellar multiple system atrophy.Ann Neurol. 2010 Mar:404.
アルギニン試験では成長ホルモン反応の上昇が健常者や特発性の脊髄小脳変性症でも認められ,MSAcの診断に有用な検査ではない.

Ventilatory and Cardiovascular Responses to Hypercapnia and Hypoxia in Multiple-System Atrophy. Arch Neurol. 2010;67(2):211-216.
多系統萎縮症では自律神経障害が高度であっても、高炭酸ガス血症や低酸素血症に対する換気応答は保たれているが、心血管系反応は障害されている

SNCA variants are associated with increased risk for multiple system atrophy.Ann Neurol. 2009;65:610-4.
患者でのゲノム全域のSNP関連解析の結果,SNCA遺伝子領域にあるSNPsが有意にMSA発症の危険と相関している.

Prospective Differentiation of Multiple System Atrophy From Parkinson Disease, With and Without Autonomic Failure. Arch Neurol. 2009;66(6):742-750.
自律神経評価スケールによる評価では多系統萎縮症はPDよりも自律神経障害が強く、また悪化の度合いも強く鑑別に有用である

Glucocerebrosidase mutations in 108 neuropathologically confirmed cases of multiple system atrophy. Neurology 2009 72: 1185-1186.
多系統萎縮症ではGBA遺伝子変異は稀であった

Riluzole treatment, survival and diagnostic criteria in Parkinson plus disorders: The NNIPPS Study. Brain 2009 132: 156-171
リルゾールは進行性核上性麻痺や多系統萎縮症の神経症状や生存期間を改善させない

Pathological description of a non-motor variant of multiple system atrophy. JNNP 2008 ;79:1399-400.
病理学的に典型的なMSAでありながら,長期間,パーキンソニズムや失調などの運動障害が見られず吸気性喘鳴やREM睡眠障害,自律神経障害のみを呈していた症例.

MRI in multiple system atrophy: “Hot cross bun” sign and hyperintense rim bordering the putamina. Neurology 2008 71: e38.
MSAのMRI所見:十字サインと被殻外側辺縁の高信号について

Multiple system atrophy: a primary oligodendrogliopathy. Ann Neurol. 2008;64:239-46.
MSAの病態についての最近の知見のまとめ.

Second consensus statement on the diagnosis of multiple system atrophy. Neurology 2008 71: 670-676.
Gilmanらの新たなMSA診断基準の提唱

Cognitive impairments in multiple system atrophy: MSA-C vs MSA-P. Neurology 2008 70: 1390-1396.
MSA-PはMSA-Cよりも、認知機能障害が目立ち、その障害の程度は前頭前野の血流低下の程度と相関する

薬剤性パーキンソン症候群 治療


1.原因となった治療薬の中止。

多くの場合、投与中止により症状は改善し、ほとんどが中止から2、3 ヵ月で症状が消失します(時に半年くらいかかることもあります)。抗精神病薬などをどうしても中止出来ないときは、薬剤性パーキンソニズムを起こしにくい非定型抗精神病薬を使用することを勧めてください。特に高齢者では、使用する医薬品の量を最小限にとどめることも考慮すべきです。
2.抗コリン薬やアマンタジン
症状の改善を待つ間には、対症療法を行なうのが一般的です。

その他のオプション
予防的治療

パーキンソン病の家族歴が有り、高齢者で、女性の患者では、薬剤性パーキンソニズム予防のために、抗コリン薬またはアマンタジンを使用して予防をしても良いかも知れません。

急性期治療
医薬品投与により急激にパーキンソン症状が出現した時に行う治療で、ドーパミンやドーパミンアゴニストは有効でないことが多く、抗コリン薬や抗ヒスタミン薬で急性期は対処することもあります。また、アマンタジンは有効であるという報告があります。かなり重症の場合は、それでもドーパミンを点滴で使用すると言う方法もありますが、その有効性に関しては結論が出ていません。

長期間抗精神病薬を使用する場合の予防治療
3ヶ月以上抗精神病薬を使用するときは、長期的に予防をする必要があります。年齢・性別で限らず、抗コリン薬を使用してください。

ドーパミン拮抗作用のある医薬品による薬剤性パーキンソニズムでは、ほとんどの場合、投与の中止で症状の改善がみられますが、改善しないときは薬剤性パーキンソニズムを誘発しにくい非定型抗精神病薬に変更しましょう。