変性疾患

多系統萎縮症(MSA) 診断

MSAの診断基準 2008

疫学
脊髄小脳変性症の中で最も頻度が高く、発症年齢は40-60歳で性差はありません。進行性の疾患で予後は5-7年程度です

分類
最近は、MSAで統一されていますが昔から以下のような呼び方もあります

    オリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)あるいはMSA-C:小脳失調症状が目立つ
    線条体黒質変性症(SND)あるいはMSA-P:パーキンソン症状が目立つ
    Shy-Drager症候群(SDS):自律神経障害が目立つ

検査

    脳MRI:小脳/橋底部の萎縮、線条体外側異常信号。橋十字サインが有名です。T2*やSaggital T1も加えてください
    血液検査、髄液検査:他疾患の除外のほかに、髄液中の5-HIAA、HVAの測定をすることもあります
    自律神経検査:Heat up tilt試験で多くの場合OHが検出されます
    MIBG心筋シンチ:基本的にはパーキンソン病と異なり集積は低下しません。

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右:脳幹中心部に十字サイン(Hot Cross bun sign)を認め、脳幹・小脳脚の萎縮を反映し第4脳室の拡大を認める 
左:脳幹、小脳の萎縮を認める

似たMRI所見と取り得る鑑別疾患
ちなみに、十字サインはSCA2, SCA7, SCA8, fragile X associated tremor/ataxia syndromeでも見られることがあり、被殻背外側高信号はSCA17, 成人GM1ガングリオシドーシスで見られることがあります

MSAを含む脊髄小脳変性症の呼吸不全に関して
これらの疾患では、明らかな原因を認めない喘鳴(stridor)や夜間の高音性の「いびき」、睡眠時無呼吸等が徐々に増悪していたという病歴が聴取されることがあって、このような状態下に誤嚥、呼吸器感染を生じると急性呼吸不全を呈することがあります。実際に、MSAにおける睡眠中のstridorは予後不良因子です。
しかしながら、明らかな誘因なく急性呼吸不全に陥ることがあるため注意が必要でです

症状

    声帯外転障害
    舌根、軟口蓋、披裂部、喉頭蓋など上気道の他部位の狭窄/閉塞、floppy epiglottis
    中枢性呼吸障害(中枢性睡眠時無呼吸、Cheyne-Stokes呼吸、失調性呼吸、cluster breathingなど)

これらの、上気道狭窄、中枢性呼吸障害は睡眠中に顕在化・増悪する場合が多いと言われています。さらに、小脳性失調、パーキンソニズム、自律神経障害に先行に先行して、呼吸障害が初発症状であることもあります

検査

    喉頭ファイバー:声帯観察を、覚醒時及びセルシン、ドルミカム、プロポフォール投与などによる睡眠時に行います。覚醒時所見が正常でも麻酔下の観察で狭窄が明らかになることが多いようです
    睡眠ポリソムノグラフィ検査

脊髄性筋萎縮症(SMA) 診断

概念・定義
脊髄性進行性筋萎縮症とはspinal progressive muscular atrophy:SPMAの訳であり、脊髄性筋萎縮症(SMA)とも呼ばれます。主に脊髄前角の運動神経細胞が変性し、全身の筋力低下と筋萎縮が徐々に進行性に悪化する病気です。
脊髄性筋萎縮症は、下位運動ニューロンのみが障害される運動ニューロン疾患の一型で、上位運動ニューロン徴候を伴わないことが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と異なる点です。感覚神経の障害はありません。遺伝子から別の診断として分離された、球脊髄性筋萎縮症(bulbo-spinal muscular atrophy:SBMA)との区別は明確にしてください。

疫学
十分な疫学調査はないが、ALS(人口10万人当たり2?3人)よりは少ない。

病因
近年の遺伝子解析で、乳幼児期に発症する常染色体性劣性遺伝を呈する脊髄性筋萎縮性(Werdnig-Hoffmann病、Kugelberg-Welander病)のうち第5染色体長腕(5q13)に遺伝子座(SMA遺伝子)がある家系が報告されているが、病因は未だ不明である。

検査

    針筋電図
    末梢神経伝導速度検査
    筋生検
    遺伝子検査:SMN、NAIPは東京女子医科大学小児科で測定可能

病型と症状
遺伝性脊髄性進行性筋萎縮症
1) Werdnig-Hoffmann病(I型)
常染色体性劣性遺伝を示す。出生直後から6ヶ月以内に診断され、四肢近位部優位の筋萎縮、筋緊張低下、筋力低下を示す。腱反射は初期には認められるが、後に消失する。筋緊張低下が著しいと乳児として印象的な症状から、floppy infant (ぐにゃぐにゃ児)と呼ばれる。生後2年以内に死亡する。
2) 中間型(II型)
I型とIII型の中間。生後7-18ヶ月で発症し、介助なしに座ることができないが、稀に補助器具で歩くことのできる例もある。細かな振戦が指を伸ばしたり、握ったりするときに認められることがある。
3) Kugelberg-Welander病(III型)
常染色体性劣性遺伝が基本であるが、優性遺伝例も報告されている。3歳以下の発症がIIIa、3歳以降の発症がIIIbとも分類される。児童期から思春期にかけて、下肢近位筋の筋力低下で発症し、筋萎縮、筋力低下、腱反射消失を主徴とする。次第に障害は全身に拡がり、進行性で運動機能が低下する。早期から歩行困難に陥るが、就学、社会生活は10?20年の長期にわたり可能な場合がある。
4) 成人型(IV型)
孤発性で、成人から老年にかけて発症し、緩徐に進行する。多くの場合上肢遠位に始まる筋萎縮、筋力低下、筋線維束性収縮、腱反射低下が見られる。これらの症状は、徐々に全身に拡がり、運動機能が低下する。四肢の近位特に肩甲帯の筋萎縮で初発する場合もある。本型は、経過が長く、末期になっても球麻痺症状や呼吸障害は目立たない。

筋萎縮性側索硬化症(ALS) 診断

日本神経学会ALSガイドラインー診断、分類 (PDF)

診断
病歴、神経所見が重要です。神経内科医にとって、診断はそれほど難しいものではありません。構音障害、嚥下障害、舌や四肢の線維束性収縮、四肢の筋萎縮と筋力低下、錐体路徴候などが限局的な神経根、脊髄症状などで説明がつかない分布で広がっていることなどがヒントになります。また、原因不明の体重減少も重要な病歴です。
基本的には、四肢の筋力低下などの症状は頚椎症性頚髄症も同様の症状を来たしますが、舌や構音障害など脳神経系の症状があれば病変は、頚椎より上にも広がっていることになりさらにALSの可能性が高まります。

検査(診断基準
ALSを確定診断できる特異的検査はありません。十分な他疾患の除外、上位、下位運動神経障害所見の検出が必要です。

  • 針筋電図:針筋電図でPSWやfasciculationなど急性脱神経所見が異なる神経根領域の筋で検出されることが重要な所見です。頸椎症などの神経根症がある場合は、神経根の圧迫のない筋での陽性所見が必要です。そのような意味では、傍脊柱筋(Th10など)の所見は重要です。
  • NCV:CMAPの振幅低下(下位運動神経のaxonal loss)に加えて、感覚神経(SNAP)に異常がないことが重要です。
  • MEP:CMCTの延長や、刺激域値の上昇など
  • MRI:脳MRIでの皮質脊髄路の異常信号やFA値低下、運動野大脳皮質のT2信号低下
  • 血液検査:他疾患の除外や、CKの軽度上昇など
  • 髄液検査:TDP-43、リン酸化NF-H、シスタチンC、AngiotensinIIなどの髄液バイオマーカーが知られています
特に錐体路徴候の強いALSでは、図のようにFLAIR Coronal像で錐体路の高信号が描出されることがあり、錐体路変性を示唆している可能性があります。その他、中心前回のT2低信号がALSで見られることがあると言われています

鑑別診断
1)下位運動ニューロン障害のみを示す変性疾患:脊髄性進行性筋萎縮症
2)上位運動ニューロン障害のみを示す変性疾患:原発性側索硬化症、HSP
3)脳幹病変によるもの:FOSMIN、多発脳神経麻痺、腫瘍、多発性硬化症など
4)脊髄病変によるもの:頸椎症,後縦靱帯骨化症,椎間板ヘルニア,腫瘍,脊髄空洞症,脊髄炎など
5)末梢神経病変によるもの:MMN、ポリニューロパチー(遺伝性,非遺伝性)
6)筋病変によるもの:IBMIBMPFD、筋ジストロフィー,多発筋炎など
7)偽性球麻痺

ALSの特殊な病型

Flail arm syndrome (brachial amyotrophic diplegia:BAD)
両上肢近位部および肩甲帯(特に棘上筋、棘下筋、三角筋)に筋力低下、筋萎縮が限局する特異な筋萎縮の分布を示すのが特徴的で、上肢の下垂例における肩関節の脱臼がよくみられます。両下肢は正常で末期まで異常が見られません。
ALSのの2.5?11%にみられ、発症平均年齢は53.3?62.6歳。経過とともに症状は上位遠位部にも及び球麻痺症状や胸鎖乳突筋の障害がみられる症例もあります。
もちろん、Flail legの亜型も知られています。

J Neurol Neurosurg Psychiatry 1998;65:950-951より抜粋

眼球運動失行を伴う失調症 update

Clinical and Molecular Findings of Ataxia With Oculomotor Apraxia Type 2 in 4 Families. Arch Neurol. 2008;65:958-962.
眼球運動失行を伴う失調症2型(AOA2)は様々な臨床症状を持ち、眼球運動失行、軸索型末梢神経障害もすべての症例で認められるわけではない

Hoehn-Yahrの重症度分類

Hoehn-Yahrの重症度分類(修正版)

0度 パーキンソニズムなし
1度 一側性パーキンソニズム
1.5度 一側性パーキンソニズムおよび体幹障害
2度 両側性パーキンソニズムだが平衡障害なし
2.5度 軽度両側性パーキンソニズム及び後方突進あるが自分で立ち直れる
3度 軽度〜中等度両側性パーキンソニズムおよび平衡障害、介助不要
4度 高度パーキンソニズムおよび平衡障害、歩行は介助無しで何とか可能
5度 介助なしでは車椅子まただベットに寝たきり、介助でも歩行困難

Hoehn-Yahrの重症度分類

1度 一側性障害のみ。通常、機能障害は軽微またはなし。
2度 両側性の障害があるが、姿勢保持の障害はない。日常生活、就業は多少の障害はあるが行いうる。
3度 立ち直り反射に障害が見られる。活動はある程度は制限されるが職種によっては仕事が可能であり、機能障害は、軽ないし中程度だがまだ誰にも頼らず一人で生活できる。
4度 重篤な機能障害を有し、自力のみによる生活は困難となるが、まだ支えなしに立つこと、歩くことはどうにか可能である。
5度 立つことも不可能で、介助なしにはベッドまたは車椅子につききりの生活を強いられる。

3度以上で医療費の補助が受けられます

進行性核上性麻痺 update

Cerebellar ataxia in progressive supranuclear palsy: An autopsy study of PSP-C. Mov Disord. 2016 Feb 3.
PSP-Cは他のPSPとはっきり区別できる病理所見はなく、臨床的にはMSAとの鑑別が重要である

Early clinical features of patients with progressive supranuclear palsy with predominant cerebellar ataxia. Parkinsonism Relat Disord. 2013: S1353-8020(13)00273-3.
臨床的に多系統萎縮症との鑑別が難しい、小脳失調を伴うPSPの臨床的特徴

Potential of a new MRI for visualizing cerebellar involvement in progressive supranuclear palsy. Parkinsonism Relat Disord. 2013: S1353-8020(13)00362-3
高分解能拡散強調撮像法 RESOLVE (Readout Segmentation of Long Variable Echo-trains)による解析では、進行性核上性麻痺の約半数で上小脳脚交差のintensityが低下する

Postural imbalance and falls in PSP correlate with functional pathology of the thalamus. Neurology. 2011;77:101-9.
PSPの姿勢反射障害は中脳・視床系の機能障害による可能性が、PET、fMRIによる検討で示唆された

MRI measurements predict PSP in unclassifiable parkinsonisms: a cohort study. Neurology. 2011;77:1042-7.
パーキンソン症状を有する症例では、MRPI (Magnetic resonance parkinsonism index)のの高値は、進行性核上性麻痺発症の予測因子であり、PDやMSAとの鑑別に役立つ可能性がある

ational therapeutic approaches to progressive supranuclear palsy. Brain. 2010 Jun;133(Pt 6):1578-90.
病態から想定される将来のPSPの治療法に関する総説

Teaching NeuroImages: FDG-PET in progressive supranuclear palsy. Neurology 2010 74: e60.
FDG-PETで両側の前頭葉、島皮質、尾状核頭、脳幹、小脳の代謝低下が検出された進行性核上性麻痺の74歳男性例

Evolution of oculomotor and clinical findings in autopsy-proven Richardson syndrome. Neurology 2009 73: 2122-2124.
若年発症で転倒なく水平方向性の複視が目立つといった非特徴的な症状を認め垂直方向性の眼球運動障害が目立たなかったが、剖検にてRichardson症候群と確定診断された1例

Risk factors for progressive supranuclear palsy: a case-control study in France  J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009;80:1271-1274
79人の進行性核上性麻痺患者で危険因子を調べたが、正常群のほうが教育歴が高く果物摂取が多い、という事以外はあきらかでない。

Emotion recognition in progressive supranuclear palsy  J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009; 80: 1143-1145.
PSPでは表情を読み取る認識力が低下している

Clinical Reasoning: A video analysis of eye and limb movement abnormalities in a parkinsonian syndrome. Neurology 2009 73: e20-e23.
眼球運動障害が目立ち、皮質基底核変性症よりもcorticobasal syndromeと考えられた72歳男性例

Familial aggregation of parkinsonism in progressive supranuclear palsy. Neurology 2009 73: 98-105.
進行性核上性麻痺では第一度近親にパーキンソニズムあるいは認知症が発症する危険性が3.9倍

Progressive supranuclear palsy: clinicopathological concepts and diagnostic challenges. Lancet Neurol. 2009 Mar;8(3):270-9.
PSPについての臨床病理学的な概念,特徴についてのまとめ.

“Penguin” or “hummingbird” sign and midbrain atrophy in progressive supranuclear palsy. Neurology 2009 72: e81.
PSP中脳のハミングバードサイン

Progressive supranuclear palsy: clinicopathological concepts and diagnostic challenges. Lancet Neurol. 2009;8:270-9.
進行性核上性麻痺と周辺疾患の位置づけと病態に関する総説

Voluntary, spontaneous and reflex blinking in patients with clinically probable progressive supranuclear palsy. Brain 2009 132: 502-510
進行性核上性麻痺では瞬目速度や開眼時間などに異常が生じる

Tau forms in CSF as a reliable biomarker for progressive supranuclear palsy. Neurology 2008 71: 1796-1803.
髄液のタウ蛋白の33 kDa/55 kDa比の低下は進行性核上性麻痺に特異的な所見である

Role of the Tau Gene Region Chromosome Inversion in Progressive Supranuclear Palsy, Corticobasal Degeneration, and Related Disorders. Arch Neurol. 2008;65:1473-1478.
進行性核上性麻痺と皮質基底核変性症では17番染色体のTau遺伝子に関連が見られるが、特にmicrotubule-associated protein tau gene (MAPT)遺伝子が病因に関与している可能性が高い

Progressive Supranuclear Palsy With Walleyed Bilateral Internuclear Ophthalmoplegia Syndrome. Arch Neurol. 2008;65:827-829.
両側内側縦束症候群を来たした進行性核上性麻痺の72歳男性例

Current and future treatments in progressive supranuclear palsy. Curr Treat Options Neurol. 2006 May;8(3):211-23.
PSPの治療に関する総説

大脳皮質基底核変性症 update

Diagnostic criteria for corticobasal syndrome: a comparative study. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2012;83:405-10.
皮質基底核変性症の診断基準に関する検討

Corticobasal degeneration: a pathologically distinct 4R tauopathy. Nat Rev Neurol. 2011;7:263-72.
皮質基底核変性症の病態に関する総説

Corticobasal degeneration. Curr Treat Options Neurol. 2009 May;11(3):179-85.
CBDの治療に関する総説

A 74-year-old woman with progressive right-hand tremor and inability to use her right side. Neurology 2009 73: 1399-1405.
皮質基底核症候群、74歳女性のCPC

Association of Ideomotor Apraxia With Frontal Gray Matter Volume Loss in Corticobasal Syndrome. Arch Neurol. 2009;66(10):1274-1280.
CBSでは観念運動失行は左補足運動野、運動前野、尾状核の灰白質体積の減少と関連しジェスチャーの模倣が特に障害されていた

Olfactory Function in Corticobasal Syndrome and Frontotemporal Dementia. Arch Neurol. 2009;66:92-96.
皮質基底核変性症では31.6%と高率に前頭葉変性型のFTDでは9.5%に嗅覚障害が認められる

Role of the Tau Gene Region Chromosome Inversion in Progressive Supranuclear Palsy, Corticobasal Degeneration, and Related Disorders. Arch Neurol. 2008;65:1473-1478.
進行性核上性麻痺と皮質基底核変性症では17番染色体のTau遺伝子に関連が見られるが、特にmicrotubule-associated protein tau gene (MAPT)遺伝子が病因に関与している可能性が高い

White Matter Changes in Corticobasal Degeneration Syndrome and Correlation With Limb Apraxia. Arch Neurol. 2008;65:796-801.
CBDSでは、拡散テンソル画像で皮質下白質線維異常が検出されFA値の低下と、肢節失行の重症度が相関する

純粋自律神経機能不全症(pure autonomic failure) update

alpha-synuclein accumulation in skin nerve fibers revealed by skin biopsy in pure autonomic failure. Neurology 2010 74: 608-610.
皮下の無髄線維と血管周囲にαシヌクレインの沈着を認めた純粋自律神経失調症の73歳男性例

Reduced perfusion in the anterior cingulate cortex of patients with pure autonomic failure: an 123I-IMP SPECT study. JNNP2009 Sep;80(9):1053-5.
純粋自律神経失調症の患者では前部帯状回皮質の血流が低下している可能性がある

Hyposmia in pure autonomic failure. Neurology 2009 72: 1677-1681.
pure autonomic failure(PAF)では嗅覚障害を来たすが、パーキンソン病と比較すると軽度である

Effects of water drinking on cardiovascular responses to supine exercise and on orthostatic hypotension after exercise in pure autonomic failure. JNNP. 2008 May 9 [Epub ahead of print]
PAF(pure autonomic failure)の患者は480mlの飲水で運動後の起立による血圧低下を改善することはできないが,起立後の血圧を高くし運動後に立位をとりやすくする

球脊髄性筋萎縮症(SBMA) update

Efficacy and safety of leuprorelin in patients with spinal and bulbar muscular atrophy (JASMITT study): a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet Neurol. 2010;9:875-84.
SBMAに対するリュープロレリンの反復投与は忍容性が高く、48週の比較試験において咽頭のバリウム貯留を低下させた

Abnormal eye movements in Kennedy disease. Neurology 2009 72: 1528-1530.
眼球運動障害がENGで検出されたSBMAの58歳男性例

Phase 2 trial of leuprorelin in patients with spinal and bulbar muscular atrophy.Ann Neurol. 2009;65:140-50.
SBMAに対するリュープロレリン投与の第2期調査にて症状進行抑制効果と筋での変異アンドロゲン受容体蓄積抑制効果が認められた.

Effect of aerobic training in patients with spinal and bulbar muscular atrophy (Kennedy disease). Neurology 2009 72: 317-323.
有酸素運動はSBMAの神経機能を改善させない

Natural history of spinal-bulbar muscular atrophy. Neurology 2008 70: 1967-1971.
SBMAは10年生存率が82%(対照95%)と健常人と比べ若干低下するが、嚥下機能、呼吸機能など球症状の悪化は強くない

パーキンソン病 診断

概要
パーキンソン病の診断は脳MRIでもMIBG心筋シンチでも不可能で、特異的診断マーカーはありません。左右差のあるパーキンソン症状といった臨床徴候と、抗パーキンソン病薬に対する反応性がすべてです

定義
黒質緻密層ドパミン神経細胞の変性を主病変とし、緩徐進行性に運動4徴候(安静時振戦、固縮、運動緩慢および無動、姿勢反射障害)を発現する特発性、進行性の疾患です

疫学
通常孤発性で、家族発症例は約5%程度です。日本における有病率は人口10万人に対して110人程度、欧米白人の有病率はわが国の約1.5〜2.5倍と高いようです
発症年齢は50歳代後半から60歳代にかけてが最も多いのですが、20歳代から80歳代まで幅広く見られます
パーキンソン病発症の危険因子は例えば以下のものがしられています[ref]
 パーキンソン病の家族歴あり
 振戦の家族歴あり
 便秘
 喫煙歴なし:喫煙者には朗報ですね!

病理
黒質緻密層のドパミン神経変性が最も顕著で、肉眼的に黒質の黒褐色の色調が失われます。光顕ではメラニン含有神経細胞の変性・脱落、グリア細胞の増殖がみられて、残存した神経細胞質のなかにエオジン好性のLewy小体が出現しますし、青斑核、Meynertの前脳基底核、迷走神経背側核にもLewy小体が出現するようです
また、黒質緻密層のドパミン神経の変性によって、そのおもな軸策投射部位である線条体でドパミン含有量が著明に低下します

症状
基本は、初発症状は一側性に見られることが重要です

    運動症状の4大徴候
     安静時振戦:4〜6Hzの規則的な震え
     歯車様固縮
     運動緩慢および無動
     姿勢反射障害
    自律神経症状:便秘、脂漏性顔貌など
    精神症状:うつ傾向、認知機能低下(稀)
    その他
     仮面様顔貌や瞬目の減少
     流涎
     Myerson徴候

検査
血液、脳脊髄液検査、やMRI画像では疾患特異的な異常はなく、他のパーキンソン症状を来たす疾患の除外のために主に行います

鑑別診断
少なくとも以下の疾患は鑑別してください