変性疾患

薬剤性パーキンソン症候群 診断

重篤副作用疾患別対応マニュアル:下段の薬剤性パーキンソニズムのPDFを熟読されてください

症状
ドーパミン拮抗作用のある薬剤 (抗精神病薬や抗うつ薬、制吐薬など)が原因となりますが、ドーパミン受容体のうちD2受容体が80%ブロックされると症状が出現します。とにかく、薬剤開始と症状出現の関係を把握するための病歴聴取が重要です。
以下が特にパーキンソン病と対比した場合の臨床症状の特徴です。

    服用後数日から数週間で発症することが多く、パーキンソン病よりも進行が早い。
    パーキンソン病と異なり左右対称性に症状が発現する傾向があり、姿勢時、動作時振戦(パーキンソン病は安静時)も出現しやすい。
    女性・高齢者で起こりやすく、同じ薬剤なら服用量が多いほど起きやすく、ジスキネジアやアカシジアといった不随意運動を伴いやすい。

下記が原因となる薬剤ですが、すべてを記載していません。詳細は重篤副作用疾患別対応マニュアルの薬剤性パーキンソニズムのPDFを参照にしてください。

1. フェノチアジン系

    クロルプロマジン(ウィンタミン、コントミン、ベゲタミン)
    レボメプロマジン(ヒルナミン、レボトミン)
    プロクロルペラジン(ノバミン)
    プロペリシアジン(ニューレプチル)

2. ブチロフェノン系

    ハロペリドール(セレネース、ネオペリドール、ハロステン、リントン、レモナミンなど)
    ブロムペリドール(インプロメン、プリペリドール、ルナプロン、メルカイック)

3. ベンザミド系

    スルピリド(ドグマチール、アビリット、ベタマック、マーゲノールなど)
    チアプリド(グラマリール、グリノラート、チアラリードなど)

4. 非定型精神病薬

    オランザピン(ジプレキサ)
    リスペリドン(リスパダール)
    クエチアピン(セロクエル)
    (クエチアピンは他の抗精神病薬に比べて副作用が出にくいといわれており、パーキンソン病における幻覚や妄想などの精神症状に対しても使用されている)

5. 三環系抗うつ薬

    イミプラミン(トフラニール)
    アミトリプチリン(トリプタノール)
    アモキサピン(アモキサン)

6. 四環系抗うつ薬

    マプロチリン(ルジオミール、マプロミール、ノイオミールなど)
    ミアンセリン(テトラミド)

7. その他の抗うつ薬

    パロキセチン(パキシル)
    フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)
    ミルナシプラン(トレドミン)

8. 消化性潰瘍薬

    ラニチジン(ザンタック、ザメック、セオトタック、ツルデックなど)
    スルピリド(ドグマチール、アビリット、ベタマック、マーゲノールなど)

9. 制吐薬

    メトクロプラミド(プリンペラン、テルペラン、ネオプラミールなど)
    オンダンセトロン(ゾフラン、オンダンセトロン)
    ドンペリドン(ナウゼリン、セロベース、ダリックなど)
    (ドンペリドンは比較的副作用の発現頻度が低いため、抗パーキンソン薬の主な副作用である悪心・嘔吐に対して用いられる。これに対して最も一般的な制吐薬であるメトクロプラミドは、副作用発現頻度が高いためほとんど禁忌となっている)

血圧降下薬

    レセルピン(アポプロン、ベハイド)は中枢性血圧降下薬であるが、その作用機序がシナプスのドーパミンを枯渇させるというものであるため、本来の作用としてパーキンソニズムを誘発しやすい。

その他

    頻尿改善薬
    免疫抑制剤
    抗がん剤
    認知症治療薬
    抗てんかん薬

遺伝性、若年性パーキンソン病 update

First appraisal of brain pathology owing to A30P mutant alpha-synuclein.Ann Neurol. 2010;67:684.
SNCA遺伝子のA30P変異による家族性PD患者の剖検で,特発性のPDと同様に,不溶性アルファシヌクレインの沈着からなるレヴィー小体の広範な出現を伴った神経脱落が見られた.

Recessively Inherited Parkinsonism: Effect of ATP13A2 Mutations on the Clinical and Neuroimaging Phenotype. Arch Neurol. 2010;67(11):1357-1363.
Park9に関連した常染色体劣性遺伝の若年性パーキンソン病ではPETでの両側線状体のDAT低下、及びMRIでの脳萎縮と基底核の鉄沈着を認め、ヘテロの例であっても軽度のパーキンソン症状や画像上の異常がけんしゅつされる

Frequency of Known Mutations in Early-Onset Parkinson Disease: Implication for Genetic Counseling: The Consortium on Risk for Early Onset Parkinson Disease Study. Arch Neurol. 2010;67(9):1116-1122.
若年発症パーキンソン病の16.6%に遺伝子変異が認められ(6.7%; PRKN, 3.6%; LRRK2, 6.7% GBA, 0.2% DJ1)、ヒスパニックではPRKNの頻度が高く、GBAではUPDRSが高い傾向があった

Eye movement disorders are different in Parkin-linked and idiopathic early-onset PD. Neurology 2010 75: 125-128.
Parkin遺伝子変異に伴う症候性PDでは大脳皮質の障害と推測される円滑性追跡眼球運動の障害が目立ち、特発性若年発症PDでは基底核神経回路障害と推測されるhypometric saccadesが見られ両者の障害部位の違いを反映している可能性がある

Progression of subtle motor signs in PINK1 mutation carriers with mild dopaminergic deficit. Neurology 2010 74: 1798-1805.
PINK1遺伝子変異保因者はヘテロであっても、パーキンソン病に関連した極軽度の運動症状や嗅覚障害が出現する可能性が高く、さらにPETでの軽度の線条体FDOPA集積低下が検出される

Nonmotor Symptoms in Genetic Parkinson Disease. Arch Neurol. 2010;67(6):670-676.
遺伝性パーキンソン病における非運動症状に関する総説

Predictors of Parkin Mutations in Early-Onset Parkinson Disease: The Consortium on Risk for Early-Onset Parkinson Disease Study. Arch Neurol. 2010;67(6):731-738.
51歳以下のパーキンソン病において、40歳以下の発症、ヒスパニック、パーキンソン病の家族歴がparkin遺伝子変異の保持と関連していた

LRRK2 and Parkinson Disease. Arch Neurol. 2010;67(5):542-547.
leucine-rich repeat kinase 2 (LRRK2)遺伝子とパーキンソン病の関連に関する総説

Motor Phenotype of LRRK2 G2019S Carriers in Early-Onset Parkinson Disease. Arch Neurol. 2009;66(12):1517-1522.
LRRK2(G2019S)遺伝子キャリアーに発症した早期発症パーキンソン病は振戦が少なく、姿勢反射障害と歩行障害が強い特徴がある

Parkin dosage mutations have greater pathogenicity in familial PD than simple sequence mutations. Neurology 2009 73: 279-286.
Parkin遺伝子のハプロ不全は家族性PD発症の危険因子である

Somatosensory processing in a German family with PINK1 mutations: its potential role in Parkinson disease.JNNP 2009 ;80(5):571-4.
PINK1変異のあるドイツのPDの家系では,パーキンソニズムがわずかでも感覚障害が見られており,中枢での感覚処理に問題があると思われる.

Heterozygous carriers of a Parkin or PINK1 mutation share a common functional endophenotype. Neurology 2009 72: 1041-1047.
ParkinあるいはPINK1遺伝子のヘテロ保持者は健常人と比較して単純な運動タスクで運動前野や補足運動野の活性がfMRIで上昇している

A multidisciplinary study of patients with early-onset PD with and without parkin mutations. Neurology 2009 72: 110-116.
若年性PDにおいて、パーキン遺伝子キャリアー群と非キャリアー群は臨床的には区別が難しいがキャリアー群ではレボドパ必要量が少ない

Mutations in GBA are associated with familial Parkinson disease susceptibility and age at onset. Neurology 2009 72: 310-316.
glucocerebrosidase(GBA)遺伝子変異は家族性PDの感受性遺伝子であり、またGBA遺伝子を持つPDは発症年齢が低い

PINK1 mutations and parkinsonism. Neurology 2008 71: 896-902.
Q129X, Q129fsX157, G440E, Q456Xの4つのPINK1遺伝子変異がPINK1関連遺伝性パーキンソン病の原因であり、その他のVariantは病的意義が少ない可能性が高い

α-Synuclein Gene Rearrangements in Dominantly Inherited Parkinsonism: Frequency, Phenotype, and Mechanisms. Arch Neurol. 2009;66:102-108.
常染色体優性パーキンソン病を来たしうるα-Synuclein遺伝子の再配列は点変異と比較してより頻度が高く、遺伝子のコピー数と症状の重症度がが相関する

Is the common LRRK2 G2019S mutation related to dyskinesias in North African Parkinson disease? Neurology 2008 71: 1550-1552.
北部アフリカのパーキンソン病ではLRRK2 G2019S変異がジスキネジア発症に関連する

Progression of dopaminergic dysfunction in a LRRK2 kindred: A multitracer PET study. Neurology 2008 71: 1790-1795.
LRRK2(leucine-rich repeat kinase 2) 遺伝子変異によるパーキンソン病の家系では無症状の時期であってもドーパミン節前神経の機能低下が正常人よりも早い

Neurodegeneration associated with genetic defects in phospholipase A2. Neurology 2008 71: 1402-1409.
ホスホリパーゼA2遺伝子(PLA2G6)変異は鉄沈着を伴う神経軸索変性をきたし、小脳萎縮・パーキンソニズムなどの症状をきたす。

Prominent psychiatric symptoms and glucose hypometabolism in a family with a SNCA duplication. Neurology 2008 71: 1289-1291.
αシヌクレイン遺伝子重複を持つ、痴呆随伴パーキンソン病のPET所見ではレビー小体型痴呆と同様の糖代謝低下の分布を示す

Progranulin variability has no major role in Parkinson disease genetic etiology. Neurology 2008 71: 1147-1151.
Progranulinはパーキンソン病の遺伝病因の中で主な役割をしておらず、現段階ではp.Asp33Glu and p.Arg514Met変異保因のPD病因における分子学的な位置づけは明らかではない

LRRK2 Gly2019Ser penetrance in Arab-Berber patients from Tunisia: a case-control genetic study. Lancet Neurol 2008 Jul;7(7):591-4. Epub 2008 Jun 6.
チュニジアのアラブ,ベルベル人ではパーキンソン病の30%がLRRK2のGly2019Ser変異を持っており,この変異を持つ者は加齢とともに発症の浸透率が上昇し70歳では80%になる

Phenotype, genotype, and worldwide genetic penetrance of LRRK2-associated Parkinson’s disease: a case-control study. Lancet Neurol 2008 Jul;7(7):583-90. Epub 2008 Jun 6.
LRRK2遺伝子変異をもつものは散在性パーキンソン病の1%で中東や南欧に多く,特発性のパーキンソン病よりも症状が軽い

Genomic investigation of alpha-synuclein multiplication and parkinsonism. Ann Neurol. 2008;63:743-50.
alpha-synuclein(SNCA)遺伝子増加によるパーキンソニズムの家系の検討により,パーキンソニズムの重症度はSNCAの増加量に関係しており,同じアリル内での重複や異なったアレルでの不等組み替えによりSNCAの増加がおこっている

Characterization of PLA2G6 as a locus for dystonia-parkinsonism.Ann Neurol. 2008 Jun 20. [Epub ahead of print]
PLA2G6遺伝子変異は幼児期神経軸索変性症の原因であるが,成人発症のジストニアーパーキンソニズムの原因ともなる

Mutation Analysis of the PINK1 Gene in 391 Patients With Parkinson Disease. Arch Neurol. 2008;65:802-808.
常染色体劣性家族性PDの4.3%/1.9%、孤発性PDの0.5%/1.1%にそれぞれホモ/ヘテロPINK1遺伝子変異が見つかった

PARK9-linked parkinsonism in eastern Asia: mutation detection in ATP13A2 and clinical phenotype. Neurology 2008 70: 1491-1493.
日本人のPARK9関連パーキンソン症候群(眼球運動制限と認知症を伴う若年性パーキンソニズム)でATP13A2遺伝子変異が新たに見つかり、臨床型も過去の報告例と同様であった

Lrrk2 R1441C parkinsonism is clinically similar to sporadic Parkinson disease. Neurology 2008 70: 1456-1460.
Leucine-rich repeat kinase 2 (LRRK2)遺伝子のR1441C変異のあるパーキンソニズムの臨床系は孤発性PDと同様である

Risk of Parkinson Disease in Carriers of Parkin Mutations: Estimation Using the Kin-Cohort Method. Arch Neurol. 2008;65:467-474.
Parkin遺伝子のキャリアーでは、65歳でのPD発症の蓄積リスクは一般人口と比べて有意に高くはならない

Bilateral subthalamic stimulation in Parkin and PINK1 parkinsonism. Neurology 2008 70: 1186-1191.
若年性パーキンソン病において、ParkinあるいはPINK1遺伝子変異を持つ群と、持たない群では両側視床下核刺激(STN)手術後の運動機能の改善は長期的には同程度である

ハンチントン病 update

Effect of Deutetrabenazine on Chorea Among Patients With Huntington Disease: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2016;316:40-50.
重水素化により半減期を増加させたdeutetrabenazineは、ハンチントン病の舞踏運動を改善させる

Evidence-based guideline: Pharmacologic treatment of chorea in Huntington disease. Neurology. 2012;79(6):597-603.
EBMに基づいたハンチントン病舞踏病に対する薬物療法に関する総説

Mild cognitive impairment in prediagnosed Huntington disease. Neurology 2010 75:500-507
ハンチントン病発症前に約40%に軽度認知機能障害が見られ、健忘性MCIよりもnonamnestic MCIが多く見られた

High insulinlike growth factor I is associated with cognitive decline in Huntington disease. Neurology 2010 75: 57-63.
ハンチントン病では成長ホルモンとインスリン様成長因子1の増加が見られるが、血漿インスリン様成長因子1の増加と注意/実行機能の悪化に関連を認める

Contrasting gray and white matter changes in preclinical Huntington disease: An MRI study. Neurology 2010 74: 1208-1216.
未発症のハンチントン病では、MRIでのVBMとFAによる検討で、特に基底核と視床皮質経路の灰白質の体積が低下し、広範な白質のFA値の低下が見られ、その変化の程度により発症時期が類推できる

Clearance of Mutant Proteins as a Therapeutic Target in Neurodegenerative Diseases. Arch Neurol. 2010;67(4):388-392.
神経変性疾患(とくにハンチントン病)の変異蛋白蓄積メカニズムと治療法開発に関する総説

A Randomized, Placebo-Controlled Trial of Latrepirdine in Huntington Disease. Arch Neurol. 2010;67(2):154-160.
ハンチントン病に対するdimebon (ディメボン、latrepirdine)の効果を検討したRCTでは、忍容性が高く短期的には認知機能改善効果が認められた

Normal and mutant HTT interact to affect clinical severity and progression in Huntington disease. Neurology 2009 73: 1280-1285.
ハンチントン病ではHTT遺伝子の病的CAGリピート数の延長が40程度の場合は正常リピート数が多いと症状が強くなり、病的CAGリピート数の延長が50程度と強い場合は正常リピート数が多いと症状は軽くなる

Biological and clinical manifestations of Huntington’s disease in the longitudinal TRACK-HD study: cross-sectional analysis of baseline data.Lancet Neurol. 2009 Jul 29. [Epub ahead of print]
運動症状発症前のハンチントン病患者でもMRIでの脳形態の変化や神経心理学的機能の障害などが認められる.

Progress and Challenges in RNA Interference Therapy for Huntington Disease. Arch Neurol. 2009;66(8):933-938.
ハンチントン病に対するRNA干渉技術による治療の挑戦に関する総説

Dietary intake in adults at risk for Huntington disease: Analysis of PHAROS Research Participants. Neurology 2009 73: 385-392.
ハンチントン病発症の危険性のある集団ではCAGリピート数が37以上の場合、カロリー摂取量が多くなる傾向がある

A longitudinal diffusion tensor imaging study in symptomatic Huntington’s disease.JNNP. 2009 Feb 22. [Epub ahead of print]
ハンチントン病患者の拡散テンソル画像での評価で,尾状核と被殻で拡散性の低下がみられMMSEスコアとの逆相関が見られたが1年での経時的変化は見られなかった.

Mobility and falls in people with Huntington’s disease. JNNP 2009;80:88-90.
ハンチントン病患者は繰り返し転倒する危険が高く,Berg Balance Scale (BBS)やTimed “Up & Go” (TUG) testが易転倒性の評価に有効のようだ.

Automatic detection of preclinical neurodegeneration: Presymptomatic Huntington disease. Neurology 2009 72: 426-431.
Voxel-based morphometryによる灰白質の定量的評価により発症前のハンチントン病でも7割程度検出できる

Randomized Controlled Trial of Ethyl-Eicosapentaenoic Acid in Huntington Disease: The TREND-HD Study. Arch Neurol. 2008;65(12):1582-1589.
ω3脂肪酸(Ethyl Eicosapentaenoic Acid)2gの6ヶ月間の内服はHuntington病の運動機能を改善させない

Weight loss in Huntington disease increases with higher CAG repeat number. Neurology 2008 71: 1506-1513.
ハンチントン病ではCAGリピート数の増大が体重減少の程度と相関する

Detection of Huntington’s disease decades before diagnosis: the Predict-HD study. JNNP. 2008;79:874-80. Epub 2007 Dec 20.
臨床症状と画像所見のパターンから,ハンチントン病と診断される10年くらい前に発症を予測することができる.

Long-term clinical and positron emission tomography outcome of fetal striatal transplantation in Huntington’s disease. JNNP. 2008;79:948-51. Epub 2008 Mar 20.
ハンチントン病で胎児線条体の移植を受けた2例のうち1例は5年に渡り症状が改善しPETでD2受容体の増加がみとめられ,有効な治療手段であろう.

Rapid Eye Movement Sleep Disturbances in Huntington Disease. Arch Neurol. 2008;65:482-488.
HDでの睡眠障害は、不眠、周期性四肢運動異常、レム睡眠行動異常、レム睡眠時間の短縮が見られ、レム睡眠時間の短縮は不随意運動よりも早く出現する

Glucose Homeostasis in Huntington Disease: Abnormalities in Insulin Sensitivity and Early-Phase Insulin Secretion. Arch Neurol. 2008;65:476-480.
インスリン分泌低下に加え、インスリン感受性の低下(インスリン抵抗性)がHD患者では有意に多く認められる

Language processing within the striatum: evidence from a PET correlation study in Huntington’s disease. Brain 2008 131: 1046-1056
ハンチントン病の線条体におけるPETでの代謝能の低下部位と言語能力の関係

Cerebral cortex and the clinical expression of Huntington’s disease: complexity and heterogeneity. Brain 2008 131: 1057-1068
33人のハンチントン病患者の大脳皮質を高解像度MRIで定量した結果、大脳皮質萎縮部位に応じた臨床症状の違いが認められた

脊髄小脳変性症 update

Clinical features of SCA36: A novel spinocerebellar ataxia with motor neuron involvement (Asidan). Neurology. 2012 Jun 27.
純粋小脳失調に舌萎縮など一部運動ニューロン疾患類似の症状を呈するSCA36では、NOP56遺伝子のGGCCTGの延長がみられる

Targeted next-generation sequencing of a 12.5 Mb homozygous region reveals ANO10 mutations in patients with autosomal-recessive cerebellar ataxia. Am J Hum Genet. 2010;87:813-9.
ClチャンネルをコードしているANO10遺伝子(transmenbrane 16K[TMEM16K])変異により、小脳失調、反射高進、下眼瞼向き眼振を特徴とする劣性遺伝型のSCDを来しうる

Mapping of Autosomal Dominant Cerebellar Ataxia Without the Pathogenic PPP2R2B Mutation to the Locus for Spinocerebellar Ataxia 12. Arch Neurol. 2010;67(10):1257-1262.
北海道大学で追跡している常染色体優生遺伝の脊髄小脳変性症家系ではSCA12の原因遺伝子であるPPP2R2B遺伝子のCAGリピートの拡張や変異を認めなかった

Pseudodominant inheritance of spastic ataxia of Charlevoix-Saguenay. Neurology 2010 74: 1152-1154.
偽優性遺伝の家族歴を示しSACS遺伝子に新規の大規模欠失が検出されたCharlevoix-Saguenay 型痙性失調症 (ARSACS)の家系

Mutations in the mitochondrial protease gene AFG3L2 cause dominant hereditary ataxia SCA28. Nat Genet. 2010 Apr;42(4):313-21.
SCA28ではAFG3L2遺伝子変異によりミトコンドリア機能異常が起こる

Responsiveness of different rating instruments in spinocerebellar ataxia patients. Neurology 2010 74: 678-684.
脊髄小脳変性症においてSARAやSCAFIは病期の進行を比較的正確に評価可能であり、EQVASは経時的な評価の信頼性は劣るが患者自身の症状の印象を比較的正確に反映している

Levodopa-Induced Dyskinesias in Spinocerebellar Ataxia Type 2. Arch Neurol. 2010;67(1):114-115.
ドーパ誘発性ジスキネジアが見られたSCA2の56歳女性(ビデオあり)

Intensive coordinative training improves motor performance in degenerative cerebellar disease. Neurology 2009 73: 1823-1830.
コーディネーショントレーニング(Coordination Training)は小脳変性疾患の特に求心性回路の障害のない例で運動機能、失調症状を改善させた

Extrapyramidal signs are a common feature of spinocerebellar ataxia type 17. Neurology 2009 73: 1708-1709.
SCA17では不随意運動やジストニアなどの錐体外路症状が時に認められる

Physiologic Alterations in Ataxia: Channeling Changes Into Novel Therapies. Arch Neurol. 2009;66(10):1196-1201.
脊髄小脳失調症及び関連疾患のイオンチャンネルの機能に関する総説

Ataxia with ophthalmoplegia or sensory neuropathy is frequently caused by POLG mutations. Neurology 2009 73: 898-900.
PLOG遺伝子変異により小脳失調に感覚性末梢神経障害、外眼筋麻痺を伴う臨牀型を示すことがあり、うつ症状を伴うこともある

Autosomal recessive spastic ataxia of Charlevoix-Saguenay. Neurology 2009 72: 1790.
常染色体劣性遺伝性のCharlevoix-Saguenay 型痙性失調症(ARSACS)の1例

Spinocerebellar ataxia type 17 mutation as a causative and susceptibility gene in parkinsonism. Neurology 2009 72: 1385-1389.
失調のないパーキンソニズムを来たす集団の中でSCA17の3塩基対リピート伸長を示す場合があり、42程度のリピート数の場合パーキンソニズムを来たしやすいのかもしれない

A new dominantly-inherited pure cerebellar ataxia, SCA 30. JNNP. 2008 7. [Epub ahead of print]
オーストラリアから高齢発症,純粋小脳失調を示す新しい家族性SCDであるSCA30の報告.

Abnormal vestibular responses to vertical head motion in cerebellar ataxia. Ann Neurol. 2008;64:224-7.
小脳失調症では頭位の回転よりも垂直な直線的な動きに対する前庭反射が障害されており,機能障害に関係している.

A kindred with cerebellar ataxia and thermoanalgesia. JNNP. 2008 Aug 18. [Epub ahead of print]
高齢発症で温度感覚と深部感覚消失を伴った,新しい病型のSCAの家系の報告.

Total deletion and a missense mutation of ITPR1 in Japanese SCA15 families. Neurology 2008 71: 547-551.
日本人のSCA15はinositol 1,4,5-triphosphate receptor 1型(ITPR1)遺伝子の欠失や変異が原因の可能性が高い

SCA Functional Index: A useful compound performance measure for spinocerebellar ataxia. Neurology 2008 71: 486-492.
8mの歩行時間、9穴式ペッグテストなどで採点するSCA Functional Indexは、脊髄小脳変性症の神経機能判定に有用である

Dentatorubral pallidoluysian atrophy in South Wales. JNNP 2008;79:804-7. Epub 2007 Oct 26.
DRPLAはアジア以外でも以前に考えられていたほど稀な疾患ではなく,ウェールズではDRPLA遺伝子の正常範囲内の長いCAGリピート数を持つ人が多いため,比較的患者も多いのかもしれない

Cognitive impairment in spinocerebellar ataxia type 6. JNNP 2008;79:496-9.
SCA6の患者では失調症状とは無関係に,詳細な検査によりある種の認知能力の低下がみられる

Impaired Eye Movements in Presymptomatic Spinocerebellar Ataxia Type 6. Arch Neurol. 2008;65:530-536.
CACNA1A遺伝子変異のあるSCA6患者は失調症状出現前から、小脳由来の眼球運動障害(saccade velocity、saccade metrics、pursuit gainの障害など)が認められる

Muscle Excitability Abnormalities in Machado-Joseph Disease. Arch Neurol. 2008;65:525-529.
MJDでは82%に筋痙攣を認め末梢運動神経の興奮性の亢進によるものと考えられ、さらに筋線維束性攣縮がある患者ではより末梢神経の障害が強い

Vestibular, saccadic and fixation abnormalities in genetically confirmed Friedreich ataxia. Brain 2008 131: 1035-1045
フリードライヒ失調症の眼球運動検査では、Saccadic velocityは正常だがLatencyは延長し、Latencyは失調評価スケールと相関するためその他の遺伝性脊髄小脳失調症との鑑別にも重要な所見

パーキンソン病 update

Novel ATP13A2 variant associated with Parkinson disease in Taiwan and Singapore. Neurology 2008 71: 1727-1732.
台湾とシンガポールでの検討でATP13A2遺伝子変異があるとパーキンソン病の危険性が上昇していた

Is olfactory impairment in Parkinson disease related to phenotypic or genotypic characteristics? Neurology 2008 71: 1877-1882.
パーキンソン病における嗅覚異常は他のパーキンソン症状との関連はなかった

Transcranial sonography in movement disorders. Lancet Neurol. 2008 Nov;7(11):1044-55.
PDにおける経頭蓋超音波検査についてのレビュー.

Overweight after deep brain stimulation of the subthalamic nucleus in Parkinson’s disease: long-term follow-up. JNNP 2008 Dec 5. [Epub ahead of print]
パーキンソン病に対する視床下核の深部脳刺激により運動症状は改善するが,脂肪の増加により16ヶ月でBMIが約2増加するくらいの体重増加がみられる.

Swallowing Problems in Parkinson’s disease: Frequency and Clinical Correlates. JNNP. 2008 21. [Epub ahead of print]
PDにおける嚥下障害を150mlの飲水テストで評価すると,女性や姿勢反射障害による歩行障害のある患者では嚥下障害が強く,患者の自覚症状とは必ずしも一致しない.

A critical evaluation of the Braak staging scheme for Parkinson’s disease. Ann Neurol. 2008;64:485-91.
PDにおけるBraak stageは,臨床症状の重症度の相関が必ずしも見られず,無症候性の顕著な異常シヌクレイン沈着を認める症例も多いことかなど,不明な点がまだ多く残っている.

Functional Abnormalities Underlying Pathological Gambling in Parkinson Disease. Arch Neurol. 2008;65:1604-1611.
パーキンソン病の病的賭博状態では、右大脳半球の海馬、扁桃体、島皮質などの活動性が亢進している

Central Role of α-Synuclein Oligomers in Neurodegeneration in Parkinson Disease. Arch Neurol. 2008;65(12):1577-1581.
α-シヌクレインのmisfoldingとパーキンソン病におけるドーパミン産生細胞障害の関連に関する総説

BDNF val66met Influences Time To Onset Of Levodopa-Induced Dyskinesia In Parkinson’s Disease. JNNP. 2008 Oct 31. [Epub ahead of print]
BDNFのval66met変異アレル(BDNFの分泌が低下する)を持つPDでは遅発性ジスキネジアの出現が早い.

Changes in psychomotor effects of L-dopa and methylphenidate after sustained dopaminergic therapy in Parkinson disease. JNNP. 2008 Oct 31. [Epub ahead of print]
PDでドーパミン補充治療を持続していると,L-dopaやメチルフェニデートによる運動精神作用が増強される.

Camptocormia in Parkinson’s disease: an epidemiological and clinical study. JNNP 2008 Oct 17. [Epub ahead of print]
上半身前屈症はPDの約7%にみられ,重症患者やL-dopaの使用量が多く使用期間が長いとより多くみられる.

A Double Blind Comparison of Galantamine Hydrobromide ER and Placebo in Parkinson’s Disease. JNNP 2008 Oct 17. [Epub ahead of print]
痴呆のないPD患者にGalantamine Hydrobromide ERを投与しても注意執行機能の改善はみられない.

Non-dopaminergic treatments in development for Parkinson’s disease. Lancet Neurol. 2008;7:927-38.
PDのドパミン系以外に関する治療についてのレヴュー

Prevalence of Vitamin D Insufficiency in Patients With Parkinson Disease and Alzheimer Disease. Arch Neurol. 2008;65:1348-1352.
パーキンソン病は、アルツハイマー病は正常対照群と比較して有意に血漿中のビタミンD、活性型ビタミンDが低下している

Sodium Oxybate for Excessive Daytime Sleepiness in Parkinson Disease: An Open-Label Polysomnographic Study. Arch Neurol. 2008;65:1337-1340.
パーキンソン病の睡眠障害による日中の眠気はオキシバートナトリウム (Sodium oxybate;3-9g)を夜内服することにより改善する

Phantosmias and Parkinson Disease. Arch Neurol. 2008;65:1237-1239.
異臭症で発症したパーキンソン病の2例

Pain as a Nonmotor Symptom of Parkinson Disease: Evidence From a Case-Control Study. Arch Neurol. 2008;65:1191-1194.
ジストニア性の痛みはPDでよく自覚されるが、非ジストニア性の痛み(中枢性神経性疼痛、cramping)も病初期からよく自覚されるようになる

Anticipatory postural adjustments associated with arm movement in Parkinson’s disease: a biomechanical analysis. JNNP. 2008;79:881-7. Epub 2007 Nov 26.
上肢の運動の際の生体力学的な解析によると,PD患者では予測による姿勢調整が低下している.

REM sleep behavior disorder in Parkinson’s disease is associated with specific motor features. JNNP. 2008 Aug 18. [Epub ahead of print]
REM睡眠行動障害のあるPD患者では振戦が少なく,抗パ剤での運動症状改善も少ない傾向がある.

Fourteen-year final report of the randomized PDRG-UK trial comparing three initial treatments in PD. Neurology 2008 71: 474-480.
14年間に及ぶ追跡調査でDAアゴニストであるブロモクリプチン(パーロデル)を病初期から投与しても、死亡率、運動機能に関する長期間の改善効果はなく、いわゆるdisease-modifying effectは認められなかった

Fatigue in levodopa-naive subjects with Parkinson disease. Neurology 2008 71: 481-485.
疲労はうつ症状のない未治療早期PDの主要な症状であり、重症度に相関し、レボドパ投与で改善する

Incidental Lewy Body Disease and Preclinical Parkinson Disease. Arch Neurol. 2008;65:1074-1080.
60歳以上のα-synuclein陽性レビー小体が剖検脳に認められた臨床的に健康だった集団は、線条体のドーパミン系神経線維と黒質の神経細胞数の減少具合がレビー小体を認めない健常人とパーキンソン病例の中間程度であり、パーキンソン病前段階であった可能性がある

Pain sensitivity and descending inhibition of pain in Parkinson’s disease. JNNP 2008 Jul 24. [Epub ahead of print]
PDではしばしば痛覚閾値の低下が見られるが,侵害受容屈曲反射の閾値が低下しており脊髄レベルでも病的な変化が示唆される

Neural correlates of dual task performance in patients with Parkinson’s disease. JNNP 2008;79:760-6. Epub 2007 Nov 15.
パーキンソン病患者は2つの課題を同時に行うことに困難が見られるが,fMRIでみると健常人に比べて小脳や運動前野,頭頂葉皮質,楔前部,前頭前皮質での活性化がみられる

Cognitive declines following bilateral subthalamic nucleus deep brain stimulation for the treatment of Parkinson’s disease. JNNP 2008;79:789-95. Epub 2007 Oct 26.
パーキンソン病での視床下核の深部脳刺激では,運動症状が改善しても言語想起や会話での情報処理の能力などに軽度低下がみられ,前頭葉線条体の機能障害を来す

Pyramidal tract side effects induced by deep brain stimulation of the subthalamic nucleus. JNNP 2008;79:813-9. Epub 2007 Oct 10.
パーキンソン病の視床下核への深部脳刺激による錐体路への副作用は,高周波刺激により皮質延髄路への影響で顔面筋の筋収縮がおきやすく,電極と錐体路との距離とも相関している

Poor attentional function predicts cognitive decline in non-demented Parkinson’s disease patients independent of motor phenotype. JNNP 2008 Jun 27. [Epub ahead of print]
パーキンソン病患者では姿勢反射障害などの運動機能障害に関係なく,注意力障害があるとその後の痴呆出現進行が見られることが多い

Neuropsychological and psychiatric changes after deep brain stimulation for Parkinson’s disease: a randomised, multicentre study. Lancet Neurol 2008 Jul;7(7):605-14. Epub 2008 Jun 4.
パーキンソン病に対する視床下核の深部脳刺激による認知能力,精神症状への影響が危惧されているが,ある種の前頭葉機能の低下はみられるものの全体的な認知能力に影響はなく,また不安感は低減させる効果があり,生活の質を低下させるようなものではない

STN-DBS frequency effects on freezing of gait in advanced Parkinson disease. Neurology 2008 71: 80-84.
PDの重度のすくみ足に対しては、130Hzよりむしろ60Hzの視床下核刺激に強い改善効果を認める

Haplotypes and gene expression implicate the MAPT region for Parkinson disease: The GenePD Study. Neurology 2008 71: 28-34.
第17染色体長腕17q21に存在する微小管関連蛋白質タウ(microtubule-associated protein tau;MAPT)の4リピート型、や近傍のSTH、KIAA1267などがPD発症や病態に関与しているかもしれない

Changes in quality of life in people with Parkinson’s disease left untreated at diagnosis. JNNP 2008 79:716-8
パーキンソン病の診断後2年後の健康状態の自己評価は,治療を受けても受けなくても代わりはなく,すぐに治療を始めなくてもいいかもしれない

Effects of subthalamic deep brain stimulation on noun/verb generation and selection from competing alternatives in Parkinson’s disease. JNNP 2008 79:700-5
PDでは動詞の発語障害が指摘されているが,視床下核刺激により名詞,動詞の間違った発語が多くなり,とくに類義語からの選択に影響がある

Multicentre European study of thalamic stimulation for parkinsonian tremor: a 6 year follow-up. JNNP 2008 79:694-9
視床の深部脳刺激は,PDの筋強直や寡動に対しては無効であるが,術後6年経っても振戦に対して有効である

Using the presence of visual hallucinations to differentiate Parkinson’s disease from atypical parkinsonism. JNNP 2008 79:652-5
Queen Square Visual Hallucination Inventory (QSVHI)を使用するとPDで高感度に幻視症状を明らかにすることができ,PSPやMSAなどとの鑑別に有用かもしれない

Serum Urate as a Predictor of Clinical and Radiographic Progression in Parkinson Disease. Arch Neurol. 2008;65:716-723.
血清尿酸値が高いとPDの進行が遅く、特に男性でその傾向が強い

Genotype-phenotype correlations between GBA mutations and Parkinson disease risk and onset. Neurology. 2008;70:2277-83.
ある種のユダヤ人(Ashkenazi Jews)のPDでは、GBA(β-glucocerebrosidase)遺伝子変異キャリアーが18%と対象群と比べ有意に高く、変異部位により発症率、発症年齢に特徴がある

Determinants of disability and quality of life in mild to moderate Parkinson disease. Neurology 2008 70: 2241-2247.
軽症から中等度のPDでは、姿勢反射障害、歩行障害、気分障害が強く生活の質の低下に関連していた

A 12-week, placebo-controlled study (6002-US-006) of istradefylline in Parkinson disease. Neurology 2008 70: 2233-2240.
脳内アデノシンA(2A)受容体特異的拮抗薬であるイストラデフィリンは、PDの「オン」時間を増やすことなく「オフ」時間を減少させる

Transcranial sonography findings in a large family with homo-and heterozygous PINK1 mutations. JNNP. 2008 May 9 [Epub ahead of print]
PINK1の変異をもつ家系ではその他の原因によるパーキンソン病と同様に,経頭蓋エコー検査で黒質の変化をとらえることができる

Disruption of nigrostriatal and cerebellothalamic pathways in dopamine-responsive Holmes’ tremor. JNNP 2008 May 1 [Epub ahead of print]
ドパミン反応性のHomes振戦の症例で,左基底核,視床のドパミントランスポータの機能低下や内側前脳束の消失が見られた

Bilateral stimulation of the caudal zona incerta nucleus for tremor control. JNNP 2008;79:504-13.
両側尾側不覚帯の電気刺激は,PDの振戦,Holmes tremor,本態性振戦,小脳性振戦,多発性硬化症に伴う振戦などに有効である

Induction of parkinsonian resting tremor by stimulation of the caudal zona incerta nucleus: a clinical study. JNNP 2008;79:514-21.
PD患者ではDBSで尾側不覚帯や腹外側視床皮質神経の刺激により振戦が生じ,同部位を含む連絡回路が振戦発生に関わっている可能性がある

Effects of subthalamic deep brain stimulation on dysarthrophonia in Parkinson’sdisease. JNNP 2008;79:522-9.
視床下核深部脳刺激でPDの音声学的な構語障害に改善がみられるが,韻律的な側面からは構語障害が悪化している

Results from a phase I safety trial of hAADC gene therapy for Parkinson disease. Neurology 2008 70: 1980-1983.
進行期PD症例に対する被殻へのAAV-hAADCの少量投与(遺伝子治療)は安全性が高く、PETでのFMTの取り込みも30%上昇した(第1相試験)

Total cholesterol and the risk of Parkinson disease. Neurology 2008 70: 1972-1979.
25-54歳の集団では、総コレステロール値が高いとパーキンソン病発症の危険性が高い

Improvement in Parkinson Disease by Subthalamic Nucleus Stimulation Based on Electrode Placement: Effects of Reimplantation. Arch Neurol. 2008;65:612-616.
視床下核刺激で良好に反応しないPD症例に、視床下核により近い位置にもう一度電極を埋め込むと症状が改善する傾向がある

Tesofensine (NS 2330), a Monoamine Reuptake Inhibitor, in Patients With Advanced Parkinson Disease and Motor Fluctuations: The ADVANS Study. Arch Neurol. 2008;65:577-583.
テソフェンシン(ドパミン、セロトニン、ノルアドレナリンの再取込阻害薬)は進行期のPD症状を若干改善させるが、容量依存性の改善傾向はない

Deep brain stimulation activation volumes and their association with neurophysiological mapping and therapeutic outcomes. JNNP 2008 Apr 10 [Epub ahead of print]
視床下核の脳深部電気刺激が効果のあるパーキンソン病患者では,電気刺激により活性化される脳の部位が視床下核の背側境界部まで含まれている

Attempted and completed suicides after subthalamic nucleus stimulation for Parkinson’s disease. JNNP 2008 Apr 10 [Epub ahead of print]
進行期パーキンソン病患者に対して視床下核の脳深部電気刺激をすると,運動症状の改善にもかかわらず自殺企図が見られる場合があり,注意が必要である

A case report on fixation instability in Parkinson’s disease with bilateral deep brain stimulation implants. JNNP 2008;79:443-7.
パーキンソン病では安定した固視が障害されている.(一点をじっと見つめられない)

Occurrence and clinical correlates of REM sleep behaviour disorder in patients with Parkinson’s disease over time. JNNP 2008;79:387-91.
PDでのREM睡眠行動障害は,男性,パーキンソン病症状が軽い,L-dopa使用量が多い例に見られる傾向がある.

The specificity and sensitivity of transcranial ultrasound in the differential diagnosis of Parkinson’s disease: a prospective blinded study. Lancet Neurol. 2008;7:417-24.
経頭蓋超音波検査での黒質の検査が,早期のPDでも診断に役立つ

Safety and tolerability of intraputaminal delivery of CERE-120 (adeno-associated virus serotype 2-neurturin) to patients with idiopathic Parkinson’s disease: an open-label, phase I trial. Lancet Neurol. 2008;7:400-8.
PD患者に対して、被殻へAAVを用いて神経栄養因子の遺伝子導入を行った第1相試験では、目立った副作用もなく症状の改善がみられた

Analysis of Lrrk2 R1628P as a risk factor for Parkinson’s disease. Ann Neurol. 2008 Apr 15 [Epub ahead of print]
LRRK2のc.4883G>C (R1628P) SNPが中国系民族のパーキンソン病の危険因子(1.84倍)である.

Metabolic abnormalities associated with mild cognitive impairment in Parkinson disease. Neurology 2008 70: 1470-1477.
認知機能障害のあるPD患者では、FDG-PETで前頭前野と頭頂葉のグルコース代謝が減少し、脳幹/小脳で上昇する

α-Synuclein, pesticides, and Parkinson disease: A case‐control study. Neurology 2008 70: 1461-1469.
SNCA(αシヌクレイン)遺伝子のREP1(dinucleotide repeat sequence)遺伝子型と除草剤への暴露はパーキンソン病発症の独立した危険因子である

Midbrain iron content in early Parkinson disease: A potential biomarker of disease status. Neurology 2008 70: 1411-1417.
発症早期のPD患者でも、3T-gradient echo MRIでの黒質のプロトン横緩和率が有意に上昇し、鉄含有量を反映している可能性がある

Statin use and the risk of Parkinson disease. Neurology 2008 70: 1418-1422.
pravastatin (メバロチンなど)以外のスタチン系薬剤の服用でPD発症率が60-70%減少する

Parkinson disease and risk of mortality: A prospective comorbidity-matched cohort study. Neurology 2008 70: 1423-1430.
PD患者は死亡率が一般人口と比較して2倍以上に上昇し、高齢発症であっても、罹病期間が短くても死亡率は上がる

Effects of subthalamic nucleus stimulation and levodopa on freezing of gait in Parkinson disease. Neurology 2008 70: 1431-1437.
両側視床下核刺激療法はレボドパ反応性のあるすくみ足に効果を認めるが、レボドパ内服の効果を上回ることは少ない

Use of antihypertensives and the risk of Parkinson disease. Neurology 2008 70: 1438-1444.
降圧剤(ACE阻害薬、ATII阻害薬、Caブロッカー、βブロッカー)のうち、CaブロッカーがPD発症の危険性を下げる

Subthalamic nucleus stimulation modulates audiospinal reactions in Parkinson disease. Neurology 2008 70: 1445-1451.
両側視床下核刺激療法の高周波刺激によりPDにおける脳幹の聴覚性驚愕反応を抑制できる

Globus pallidus dopamine and Parkinson motor subtypes: Clinical and brain biochemical correlation. Neurology 2008 70: 1403-1410.
PD患者の剖検脳で測定したドーパミンの量は線条体で高度に低下しているが、淡蒼球内の内節と外節のドーパミンレベルの低下の差が振戦症状に関与している可能性がある

Adenosine A2A receptor antagonists exert motor and neuroprotective effects by
distinct cellular mechanisms. Ann Neurol. 2008;63:338-46.
アデノシンA2A受容体拮抗薬KW-6002は神経細胞に作用して運動機能を改善するが,グリアなど他の細胞にも働いてMPTPに対する神経保護作用を呈する.

Pilot randomised controlled trail of occupational therapy to optimise independence in Parkinson’s disease: The PD OT trial. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2008 Mar 13 [Epub ahead of print]
PDでの作業療法の有効性を検討した予備的な比較対照試験で,NEDALとPDQ-39による結果の評価は妥当である.

Motor urgency is mediated by the contralateral cerebellum in Parkinson’s disease. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2008 Mar 20 [Epub ahead of print]
パーキンソン病の運動機能は切迫状況において改善することが知られているが,PETで見ると切迫状況における右手の運動には左(対側)の小脳の活性化が関与している.

Dihydrotetrabenazine positron emission tomography imaging in early, untreated Parkinson’s disease. Ann Neurol. 2008;63:388-94.
VMAT2に結合するDTBZを用いたPETは,早期パーキンソン病患者で被殼中央部での集積低下を示し,低下の程度は対側の動作緩慢や筋強剛の強さと相関する

Trichloroethylene: Parkinsonism and complex 1 mitochondrial neurotoxicity. Ann Neurol. 2008;63:184-92.
トリクロロエチレンは動物で選択的な複合体Iミトコンドリア障害を来たしドーパミン細胞障害を示し,ヒトにおいてもMPTPや農薬などともに,パーキンソン症候群の危険因子である可能性がある

Association of olfactory dysfunction with risk for future Parkinson’s disease. Ann Neurol. 2008;63:167-73.
高齢男性では,嗅覚障害が強い集団は障害が軽度の集団に比べて4年後のパーキンソン病発症率が5倍以上であった

Adenosine A(2A) receptor antagonist istradefylline (KW-6002) reduces “off” time in Parkinson’s disease: A double-blind, randomized, multicenter clinical trial (6002-US-005). Ann Neurol. 2008;63:295-302.
選択的アデノシンA受容体拮抗薬istradefylline(KW-6002)は,wearing-offの見られるパーキンソン病患者でジスキネジアを悪化させず,offの時間を約10%減らすことができる

Objective monitoring of tremor and bradykinesia during DBS surgery for Parkinson disease. Neurology 2008 70: 1244-1249.
視床下核刺激(STN)手術中の効果を、振戦、寡動状態を記録装置で客観的に評価することができる

Dementia and survival in Parkinson disease: A 12-year population study. Neurology 2008 70:1017-22.
PDを12年間追跡調査すると60%が認知症を合併し、年齢、罹病期間上昇に伴いその危険性が上昇する

Subthalamic nucleus stimulation-induced regional blood flow responses correlate with improvement of motor signs in Parkinson diseaseBrain. 2008 Aug 12.
PDにおける視床下核DBSによる脳局所の血流変化と運動症状の改善に相関がみられた

痙性対麻痺 Update

Developmental and degenerative features in a complicated spastic paraplegia. Ann Neurol. 2010;67:516.
SPG20遺伝子の新しい変異によるTroyer症候群の家系を発見した.

Frequency and phenotype of SPG11 and SPG15 in complicated hereditary spastic paraplegia
J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009;80:1402-1404

36人の家族性痙性対麻痺の発端患者について、SPG11変異は36人中5人(14%)、脳梁が菲薄しているもののうち42%、SPG15変異は1人で、精神遅滞と脳梁菲薄化がみられた。両者は臨床型で区別できない

SPG15 is the second most common cause of hereditary spastic paraplegia with thin corpus callosum. Neurology 2009 73: 1111-1119.
脳梁菲薄化を伴う遺伝性痙性対麻痺ではSPG11に続きSPG15遺伝子変異によるものが11.5%と多く両者の臨床型には大きな差がない

Dementia in SPG4 hereditary spastic paraplegia: Clinical, genetic, and neuropathologic evidence. Neurology 2009 73: 378-384.
常染色体優性遺伝成痙性対麻痺(SPG4)では認知機能障害の合併が特徴で、Spastin遺伝子のExon17欠失が関連しているのかもしれない

Posterior fossa abnormalities in hereditary spastic paraparesis with spastin mutations.JNNP 2009;80:440-3.
Spastin変異によるSPG4で,後頭蓋窩の異常(小脳虫部の低形成など)を呈していた2家系の報告.

Autosomal dominant spastic paraplegia with peripheral neuropathy maps to chr12q23-24. Neurology 2009 72: 1893-1898.
12q染色体上のSPG36遺伝子に新たな変異が同定された末梢神経障害を伴う常染色体優性遺伝型の複合型遺伝性痙性対麻痺のドイツの家系

Hereditary spastic paraplegia: clinical features and pathogenetic mechanisms. Lancet Neurol 2008;7:1127-38.
様々な症状や病態の含まれる遺伝性痙性対麻痺についての,各タイプの症状や診断,最近提唱されている発症機序についてのレビュー.

Paraplegin mutations in sporadic adult-onset upper motor neuron syndromes. Neurology 2008 71: 1500-1505.
Paraplegin変異は高率で成人発症の弧発性痙性対麻痺の原因となっている

SPG11 compound mutations in spastic paraparesis with thin corpus callosum. Neurology 2008 71: 332-336.
脳梁非薄化と知能障害を伴う痙性対麻痺は、(孤発性に見える症例であっても)SPG11遺伝子変異による機能欠失が主要な原因と考えられ、FDG-PETでは視床の取り込みが低下していた

A novel locus for an autosomal recessive hereditary spastic paraplegia (SPG35) maps to 16q21-q23. Neurology 2008 71: 248-252.
オマーンの遺伝性痙性対麻痺家系での検討で、SPG35は16番染色体(16q21-q23)の候補領域に新たな遺伝子座があることがわかった

SPG10 is a rare cause of spastic paraplegia in European families. JNNP 2008;79:584-7.
欧州での優性遺伝性痙性対麻痺家系80例の検査で,SPG10の新たな3つの変異が見つかった

Silver syndrome variant of hereditary spastic paraplegia: A locus to 4p and allelism with SPG4. Neurology 2008 70: 1959-1966.
複合型遺伝性痙性対麻痺の1つであるSilver症候群(MIM 270685)で1家系はSPG38遺伝子に変異が認められたが、もう1家系はSPG4遺伝子に新たなフレームシフト変異が認められた

HSP60 is a rare cause of hereditary spastic paraparesis, but may act as a genetic modifier. Neurology 2008 70: 1717-1718.
Heat shock protein 60 (HSP60)遺伝子変異が原因の遺伝性痙性対麻痺は少ない

SPG11 mutations are common in familial cases of complicated hereditary spastic paraplegia. Neurology 2008 70: 1384-1389.
spatacsin (KIAA1840)をエンコードするSPG11遺伝子変異は、孤発性では稀だが、複合型遺伝性痙性対麻痺でよく認められる

Lack of Spartin Protein in Troyer Syndrome: A Loss-of-Function Disease Mechanism? Arch Neurol. 2008;65:520-524.
SPG20(Spartin)遺伝子変異(Troyer Syndrome)の痙性対麻痺は、Spartin蛋白の消失(Loss-of-Function)が蛋白の変性や転写障害に関与しているかもしれない

REEP1 mutation spectrum and genotype/phenotype correlation in hereditary spastic paraplegia type 31. Brain 2008 131: 1078-1086
REEP1遺伝子変異によるSPG31は純粋な痙性対麻痺症状が中心で、初発症状は20歳以下あるいは30歳以降が多い

Hereditary Spastic Paraplegia With Mental Impairment and Thin Corpus Callosum in Tunisia: SPG11, SPG15, and Further Genetic Heterogeneity. Arch Neurol. 2008;65:393-402.
脳梁非薄化と知能障害を伴う複合型遺伝性痙性対麻痺は、SPG11, 15に変異を認めることが多い

Mutations in SPG11 are frequent in autosomal recessive spastic paraplegia with thin corpus callosum, cognitive decline and lower motor neuron degeneration. Brain 2008 131: 772-784.
脳梁非薄化と知能障害を伴う複合型遺伝性痙性対麻痺はSPG11の遺伝子変異が見つかることが多い

筋萎縮性側索硬化症 Update

Organ donation after cardiac death in amyotrophic lateral sclerosis.Ann Neurol. 2012;71:154-6.
人工呼吸器を使用しているALS患者において,心停止後の臓器提供についての手順を作成した.

Fasciculation potentials in amyotrophic lateral sclerosis and the diagnostic yield of the Awaji algorithm. Muscle Nerve. 2012;45:175-82.
Awaji基準ではfasciculation potentialの重要度が増し感度が向上したという報告が多いが、今回の検討での診断感度は改訂版El Escorial基準よりも低く、下位運動神経障害所見が2ヶ所で必要であるからと考えられた

The effects of dexpramipexole (KNS-760704) in individuals with amyotrophic lateral sclerosis. Nat Med. 2011;17:1652-6.
ALSに対するdexpramipexole[Pramipexole (商品名:ビ・シフロール) の鏡像異性体 (R体)] の投与により、機能評価尺度及び死亡率について結合ランク検定で対照群と比較して有意な改善が見られた

Onset and spreading patterns of lower motor neuron involvements predict survival in sporadic amyotrophic lateral sclerosis. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2011;82:1244-9.
孤発性ALSにおいて、障害部位の組み合わせよりはむしろ、初発症状と別の部位に症状が出る期間が短い(進行が早い)ほど予後が悪く、また、球症状が1年以内に出現する場合も予後不良と関連していた

Paraoxonase gene mutations in amyotrophic lateral sclerosis.Ann Neurol. 2010;68:102.
家族性と孤発性ALSでPON遺伝子に複数の変異を認め,ALS発症との関連が考えられる.

Tau levels do not influence human ALS or motor neuron degeneration in the SOD1G93A mouse. Neurology 2010 74: 1687-1693.
微小管関連蛋白タウ遺伝子(MAPT)のH1/H2遺伝子多型はALS発症の危険性に影響を与えず、ALSモデルマウスでMAPT遺伝子を欠損させても運動神経細胞の変性に変化はなかった

Mitochondrial Respiratory Chain Dysfunction in Muscle From Patients With Amyotrophic Lateral Sclerosis. Arch Neurol. 2010;67(7):849-854.
筋萎縮性側索硬化症の一部ではシトクロムcオキシダーゼ (cytochrome c oxidase) 陰性の筋線維が高頻度に見られることがあり、病態にミトコンドリア機能異常が関与している可能性を示唆する

Novel FUS/TLS Mutations and Pathology in Familial and Sporadic Amyotrophic Lateral Sclerosis. Arch Neurol. 2010;67(4):455-461.
米国北部での集団研究によるとfused in sarcoma/translated in liposarcoma (FUS/TLS)遺伝子変異は家族性ALSの約5%、孤発性ALSの2例で認められた

CSF glial markers correlate with survival in amyotrophic lateral sclerosis. Neurology 2010 74: 982-987.
髄液タウの上昇はALSとPLSなどの上位運動神経疾患で見られ、髄液S100は下位運動神経疾患では他のMNDと比較して低値であり、髄液S100とミクログリアのマーカーであるsCD14の値はALSの生存期間と相関していた

Gray matter perfusion correlates with disease severity in ALS. Neurology 2010 74: 821-827.
動脈ラベル標識MRIで測定した大脳皮質の潅流の低下は、大脳皮質の萎縮と独立したALSの機能不良因子であった

FUS Mutations in Familial Amyotrophic Lateral Sclerosis in the Netherlands. Arch Neurol. 2010;67(2):224-230.
FUS遺伝子変異による家族性筋萎縮性側索硬化症は、下位運動神経障害が目立ち、生存期間が短い傾向にあった

Randomized sequential trial of valproic acid in amyotrophic lateral sclerosis. Ann Neurol. 2009 Aug;66(2):227-34.
ALSに対するVPA1500mg投与は,死亡や症状進行に対して効果が見られない.

Phase II trial of CoQ10 for ALS finds insufficient evidence to justify phase III. Ann Neurol. 2009 Aug;66(2):235-44.
ALSに対するCoQ10大量投与の第2相試験では,明らかな効果が見られなかった.

Familial aggregation of amyotrophic lateral sclerosis.Ann Neurol. 2009;66:94-9.
ALSの子供や子孫はALS発症の危険が約10倍高くなり,遺伝的な関与を示唆する.

Lack of evidence of monomer/misfolded superoxide dismutase-1 in sporadic amyotrophic lateral sclerosis.Ann Neurol. 2009;66:75-80.
SOD1変異のある家族性ALSで陽性のSEDI抗体で認識される単量体/異常折り畳み構造のSOD1は,孤発性ALSでは認められない.

Novel compound heterozygous ALS2 mutations cause juvenile amyotrophic lateral sclerosis in Japan. Neurology 2009 73: 2124-2126.
ALS2遺伝子の新たな複合ヘテロ接合体変異を認めた若年性ALSの1家系

A novel TARDBP mutation in an Australian amyotrophic lateral sclerosis kindred
J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009;80:1286-1288
オーストラリアのALSの家系で新たなTARBPの変異が認められた。

TARDBP in amyotrophic lateral sclerosis: identification of a novel variant but absence of copy number variation J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009;80:1283-1285
家族性および孤発性ALSでTARDBPの新たな変異が認められた。

Lower serum lipid levels are related to respiratory impairment in patients with ALS. Neurology 2009 73: 1681-1685.
筋萎縮性側索硬化症では脂質の低下と呼吸機能の低下が関連していた

Smoking may be considered an established risk factor for sporadic ALS. Neurology 2009 73: 1693-1698.
喫煙とALS発症リスクに関する総説

Vocal Cord Dysfunction in Amyotrophic Lateral Sclerosis: Four Cases and a Review of the Literature. Arch Neurol. 2009;66(11):1329-1333.
ALSにおける声帯麻痺に関する総説

Mutations in FUS cause FALS and SALS in French and French Canadian populations. Neurology 2009 73: 1176-1179.
FUS遺伝子変異は家族性ALSだけでなく、孤発性ALSの症例においても認められることがある

Analysis of FUS gene mutation in familial amyotrophic lateral sclerosis within an Italian cohort. Neurology 2009 73: 1180-1185.
イタリアの家系の解析ではFUS遺伝子変異は家族性ALSの4%程度に見られた

Practice Parameter update: The care of the patient with amyotrophic lateral sclerosis: Multidisciplinary care, symptom management, and cognitive/behavioral impairment (an evidence-based review): Report of the Quality Standards Subcommittee of the American Academy of Neurology. Neurology 2009 73: 1227-1233.
エビデンスに基づいたALSの対症療法、認知症マネージメントなどに関するAANの推奨

Practice Parameter update: The care of the patient with amyotrophic lateral sclerosis: Drug, nutritional, and respiratory therapies (an evidence-based review): Report of the Quality Standards Subcommittee of the American Academy of Neurology. Neurology 2009 73: 1218-1226.
エビデンスに基づいたALSの薬物治療、非侵襲的換気などの使用に関するAANの推奨

Prevalence of fatigue and depression in ALS patients and change over time J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009; 80: 1146-1149.
ALSの44%に倦怠感がみられ、倦怠感と抑うつの両方を持つものは15%。倦怠感と抑うつはそれぞれ独立で存在する。

Trends and determinants of end-of-life practices in ALS in the Netherlands. Neurology 2009 73: 954-961.
オランダにおけるALS症例が持続的な深い鎮静(continuous deep sedation)や医師幇助自殺/安楽死を選択する割合と影響を及ぼす因子の検討

ALS motor phenotype heterogeneity, focality, and spread: Deconstructing motor neuron degeneration. Neurology 2009 73: 805-811.
ALSの運動神経変性部位の広がりに関する総説

Prospective study of chemical exposures and amyotrophic lateral sclerosis.JNNP 2009 ;80(5):558-61.
長期の前向き研究から,ALSでの死亡と駆虫剤や除草剤の使用については有意な関係がなかったが,ホルムアルデヒドとの使用量とは弱い関連がみられる.

A large-scale international meta-analysis of paraoxonase gene polymorphisms in sporadic ALS. Neurology 2009 73: 16-24.
大規模な集団での検討ではParaoxonase 1 (PON1)遺伝子多型と孤発性ALSの発症に関連は認められなかった

A Long-term Prospective Study of the Natural Course of Sporadic Adult-Onset Lower Motor Neuron Syndromes. Arch Neurol. 2009;66(6):751-757.
孤発性の下位運動ニューロン疾患では、障害が限局的な場合は予後が良いが、全身性の症状の場合は進行し呼吸筋麻痺になることも多い

Defining Survival as an Outcome Measure in Amyotrophic Lateral Sclerosis. Arch Neurol. 2009;66(6):758-761.
ALSの予後判定には気切や呼吸補助は施設により導入の時期が異なるため評価が難しく、死亡率が最も差が少なく判定が最も簡便である

TARDBP mutations in motoneuron disease with frontotemporal lobar degeneration.Ann Neurol. 2009;65:470-3.
行動異常や意味性記憶障害を呈した前頭側頭葉変性症を伴う運動ニューロン疾患でTARDB蛋白の変異がみつかった2例.

Smoking and risk for amyotrophic lateral sclerosis: analysis of the EPIC cohort. Ann Neurol. 2009;65:378-85.
欧州の517890人の健常人の追跡調査から,喫煙はALSでの死の危険性を約2倍増加させ,喫煙期間が長いほど増加し禁煙してから期間が長いほど危険性が低下する.

Age and founder effect of SOD1 A4V mutation causing ALS. Neurology 2009 72: 1634-1639.
家族性筋萎縮性側索硬化症発症の原因となるSOD1(A4V)遺伝子変異はヨーロッパと米国の二人の創始者から広がった可能性が高い

Amyotrophic Lateral Sclerosis in Sweden, 1991-2005. Arch Neurol. 2009;66(4):515-519.
スウェーデンでは年2%の割合でALSの発症率が増加している

A mechanism for low penetrance in an ALS family with a novel SOD1 deletion. Neurology 2009 72: 1153-1159.
SOD1遺伝子変異による家族性ALSの家系への浸透度の低さの原因に関する家系報告

Natural history and clinical features of the flail arm and flail leg ALS variants. Neurology 2009 72: 1087-1094.
筋萎縮性側索硬化症で上肢あるいは下肢の下位運動ニューロン障害症状が主体のflail armあるいはflail legタイプは、他の病型と比較して生存期間が長い

Cause of death and clinical grading criteria in a cohort of amyotrophic lateral sclerosis cases undergoing autopsy from the Scottish Motor Neurone Disease Register. JNNP 2009;80:84-7.
スコットランドで臨床登録されたALSのうち44例の剖検例の検討では,全例で病理学的にも診断され,73%が運動神経障害が原因(呼吸器感染など)で死亡している.

Biomarkers in amyotrophic lateral sclerosis. Lancet Neurol. 2009;8:94-109.
ALSの診断や治療効果判定に有用である生体指標に関する研究の進歩についてのレビュー.

Outcomes research in amyotrophic lateral sclerosis: Lessons learned from the amyotrophic lateral sclerosis clinical assessment, research, and education database.Ann Neurol. 2009;65(S1):S24-S28.
1999年にAANのALS患者治療のガイドラインができて以降の治療記録では,改善がみられた項目もあればPEGやNIPPVなどあまり普及していない項目もある.

Managing amyotrophic lateral sclerosis: Slowing disease progression and improving patient quality of life.Ann Neurol. 2009;65(S1):S17-S23.
ALSの進行を抑制するリルゾールや他剤を併用した治療について.

Racing against the clock: Recognizing, differentiating, diagnosing, and referring the amyotrophic lateral sclerosis patient.Ann Neurol. 2009;65(S1):S10-S16.
ALSの早期診断に役立つ,臨床兆候や検査所見,鑑別診断や非典型的所見について.

Current hypotheses for the underlying biology of amyotrophic lateral sclerosis.Ann Neurol. 2009;65(S1):S3-S9.
現在のALS発症機序についてSOD1やTDP-43を含む仮説のレビュー.

Epidemiology of ALS in Italy: A 10-year prospective population-based study. Neurology 2009 72: 725-731.
イタリアではここ10年でALSの発症率の増加や、臨床系に変化はほとんどない

A CSF biomarker panel for identification of patients with amyotrophic lateral sclerosis. Neurology 2009 72: 14-19.
いくつかの髄液中の炎症性サイトカインの組み合わせでALSと他の神経疾患の区別がある程度可能かもしれない

Transcranial magnetic stimulation in ALS: Utility of central motor conduction tests. Neurology 2009 72: 498-504.
ALSではMEPの域値とCMCTが2%/月で増加し、振幅が8%/月の割合で徐々に減少した

Increasing incidence of ALS in Canterbury, New Zealand: A 22-year study. Neurology 2008 71: 1889-1895.
ニュージーランドのカンタベリーではここ22年でALSの症例が2倍に増加しており、ALSの生存が延長したり高齢のALSが増加したわけではなく原因ははっきりしない

Natural history of young-adult amyotrophic lateral sclerosis. Neurology 2008 71: 876-881.
40歳以下で発症するALS症例は、痙性など上位運動ニューロン症状が目立ち、生存期間が長く、男性に多い特徴がある

Amyotrophic Lateral Sclerosis Plus Syndrome With TAR DNA-Binding Protein-43 Pathology. Arch Neurol. 2009;66(1):121-124.
死後脳でびまん性にTDP-43の沈着を認めた錐体外路症状と核上性眼球運動障害を伴うALS-plus症候群の66歳男性例

Diffusion Tensor Imaging in Sporadic and Familial (D90A SOD1) Forms of Amyotrophic Lateral Sclerosis. Arch Neurol. 2009;66:109-115.
孤発性ALSはSOD1遺伝子変異のある家族性ALSと比較して錐体路などの白質の異方性の低下が強い

Impaired action knowledge in amyotrophic lateral sclerosis. Neurology 2008 71: 1396-1401.
ALSでは行動知識が障害され、これは運動皮質の障害にかかわる部分と意味記憶にかかわる部分がある

Subcutaneous IGF-1 is not beneficial in 2-year ALS trial. Neurology 2008 71: 1770-1775.
筋萎縮性側索硬化症に対してインスリン様成長因子(IGF-1)の皮下投与を2年間行ったが効果なかった

TDP-43 in Cerebrospinal Fluid of Patients With Frontotemporal Lobar Degeneration and Amyotrophic Lateral Sclerosis. Arch Neurol. 2008;65:1481-1487.
前頭側頭葉型認知症と筋萎縮性側索硬化症では、髄液の免疫泳動で測定したTDP-43蛋白量が上昇していた

Hematopoietic stem cell transplantation in patients with sporadic amyotrophic lateral sclerosis. Neurology 2008 71: 1326-1334.
孤発性ALSに対する造血幹細胞移植では症状の改善は認めなかったか、ドナー造血幹細胞由来細胞が主として運動ニューロン病理学的異常部位に入り免疫調整系細胞として存在できることが確認された

A longitudinal diffusion tensor MRI study of the cervical cord and brain in ALS patients. JNNP 2008 Oct 17. [Epub ahead of print]
ALSの頸髄の拡散テンソルMRIによる経過観察によると,進行する神経変性,神経障害をとらえることができる.

Mutations of the ANG Gene in French Patients With Sporadic Amyotrophic Lateral Sclerosis. Arch Neurol. 2008;65:1333-1336.
筋萎縮性側索硬化症ではANG (angiogenin) 遺伝子変異はまれであるが、原因となっている可能性がある

Development of a High-Throughput Microarray-Based Resequencing System for Neurological Disorders and Its Application to Molecular Genetics of Amyotrophic Lateral Sclerosis. Arch Neurol. 2008;65:1326-1332.
ALS症例に対してハイスループットマイクロアレイ解析を行い原因遺伝子、関連遺伝子を効率よく解析することが可能であった

The prostaglandin E2 EP2 receptor accelerates disease progression and inflammation in a model of amyotrophic lateral sclerosis. Ann Neurol. 2008;64:304-14.
炎症性酸化障害の調整に関わっているプロスタグランジンE2EP2受容体を抑制すると,SOD変異ALSモデルマウスの症状を改善する.

Two German Kindreds With Familial Amyotrophic Lateral Sclerosis Due to TARDBP Mutations. Arch Neurol. 2008;65:1185-1189.
TDP43遺伝子をエンコードするTARDBP遺伝子変異がSOD遺伝子変異を認めない家族性ALSの極一部に認められた

Association of paraoxonase gene cluster polymorphisms with ALS in France, Quebec, and Sweden. Neurology 2008 71: 514-520.
7番染色体のPON1-3遺伝子を構成するparaoxonase gene clusterの遺伝子多型のうち、PON2C末端のC311Sアミノ酸変異がフランス、ケベック、スウェーデンのALSと関連する

Progranulin genetic variability contributes to amyotrophic lateral sclerosis. Neurology 2008 71: 253-259.
特定のprogranulin (PGRN)遺伝子の差によりALSの発症年齢、進行速度が影響される

Phosphorylated TDP-43 in frontotemporal lobar degeneration and amyotrophic lateral sclerosis. Ann Neurol. 2008 Jun 10. [Epub ahead of print]
TDP-43ののC末端側にカゼインキナーゼ-1や-2によりリン酸化される複数の部位があり,TDP-43はリン酸化によりオリゴマー化や繊維化しやすくなり,リン酸化TDP-43はFTDやALSで封入体を形成している.

Evidence of Multisystem Disorder in Whole-Brain Map of Pathological TDP-43 in Amyotrophic Lateral Sclerosis. Arch Neurol. 2008;65:636-641.
TDP-43は、ALS症例において上位下位運動神経だけでなく、小脳、黒質?線条体系、新皮質などの神経、グリア系細胞でも陽性である

TDP-43 mutation in familial amyotrophic lateral sclerosis. Ann Neurol 2008;63:538-542.
運動神経にTDP-43陽性封入体を認めた家族性ALSに,TDP-43の点変異を発見した.

TARDBP mutations in amyotrophic lateral sclerosis with TDP-43 neuropathology: a genetic and histopathological analysis. Lancet Neurol. 2008;7:409-16.
家族性ALSの原因と思われる,TARDBP遺伝子変異をTDP-43のグリシンrichな領域に2つ見つけた.

Copy-number variation in sporadic amyotrophic lateral sclerosis: a genome-wide screen. Lancet Neurol. 2008;7:319-26.
SNPマイクロアレイを用いて孤発性ALSのゲノムのコピー数の変化を調べ,ALSに共通するゲノム領域での変化は見られなかったが,特異的に減少している遺伝子領域がいくつかあり,病原性に関わっているかもしれない.

Inclusions of amyotrophic lateral sclerosis-linked superoxide dismutase inventral horns, liver, and kidney. Ann Neurol. 2008;63:671-5.
SOD1変異によるALSの患者で,脊髄前角運動神経細胞に変異SOD1の封入体を認めた.

TDP-43 A315T mutation in familial motor neuron disease. Ann Neurol. 2008 Feb 20 [Epub ahead of print]
TDP-43遺伝子のA315T変異が,優性遺伝性の運動ニューロン疾患の原因となる

Lithium delays progression of amyotrophic lateral sclerosis. Proc Natl Acad Sci U S A. 2008;105:2052-7
リチウムの投与でautophagyが活性化しALS患者の病期進行が改善する

New VAPB deletion variant and exclusion of VAPB mutations in familial ALS. Neurology 2008 70: 1179-1185.
ブラジルの家系で報告されたVAPB P56S以外のVAPB遺伝子変異を家族性ALS症例で検索したが病態に関連するものは見つからなかった

Dyslipidemia is a protective factor in amyotrophic lateral sclerosis. Neurology 2008 70:1004-09.
ALSにおける高脂血症は予後因子であり,コレステロールやLDLを下げてはいけない可能性がある

Amyotrophic Lateral Sclerosis With Ragged-Red Fibers. Arch Neurol. 2008;65:403-406.
ミトコンドリア遺伝子異常はALSに似た臨床形を示すことがあるので鑑別が必要

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

日本神経学会ALSガイドライン

現在この疾患の根本的治療は不可能です。グルタミン酸放出抑制剤のリルゾール(商品名リルテック)は進行を遅らせることが確かめられており、健康保険の適応にもなっているため多くの場合内服することになります。

処方例
リルテック(リルゾール)50mg錠?1回1錠、1日2回(朝及び夕食前)
禁忌:リルゾールに対してアレルギーを有するもの。重篤な肝機能障害のある患者。
副作用:リンクはこちら

進行期
病期が進行すると嚥下障害により経口摂取が難しくなり、さらに呼吸筋麻痺により自力での呼吸が難しくなります。
嚥下障害
胃瘻や中心静脈栄養を行う。ただし、呼吸筋障害のある場合は胃瘻増設術により自発呼吸機能が低下する場合があり注意、及びインフォームドコンセントが必要です。
呼吸障害
初期は非侵襲的な呼吸補助(non-invasive ventilation,NV)で対処、その後人工呼吸器を使用。ただし、人工呼吸器を使用される方はかなり少ないと思います。診断がつき次第、本人と人工呼吸器使用に関しよく相談されてください。
唾液分泌過多
抗コリン薬を処方

病状説明についてガイドラインには以下のように記載されています。
病名告知をする時に医師は,将来呼吸筋麻痺のため呼吸不全に陥ることを患者・家族に説明するが,一度話しても患者・家族は十分に理解することは困難である.
(1)気管切開し人工呼吸器を装着することの意味について
(2)人工呼吸器装着後の入院・在宅を含めた療養環境について
以上は、呼吸不全になる前に患者・家族が納得いくまで説明する必要がある