検査

脳灌流画像 診断

はじめに
脳の灌流状態の評価は、脳血管障害(CAS, CEA, バイパスなど)だけでなく代謝性疾患、変性疾患など様々な病態で重要と考えられますが、「脳血流が、、、」という曖昧なセリフを吐く神経内科医が多くいますし、そもそもCBFとCBVの日本語が同一であることも問題かも知れません。
まず、脳灌流関連パラメーターは代表的なものでは以下のものが知られています。

    Cerebral perfusion pressure (CPP:脳灌流圧):脳は自動調節能があるため、ある程度のCPPの低下があってもCBFは保たれます
    Cerebral Blood Flow (CBF:脳血流量): 脳組織の毛細血管の血流で、脳組織単位重量(100g)あたりの毎分流量としてmL/100g/分という単位を使うことが多いと思います
    Cerebral Blood Volume (CBV:脳血流量): 脳組織の毛細血管、細小静脈の体積で、脳組織単位重量(100g)あたりの血管容積として、mL/100gという単位を使うことが多いと思います
    Mean Transit Time (MTT): 脳毛細血管に血液が留まる時間で、単位は秒、CBV/CBFで求められます。この値の上昇は脳循環予備能の低下時にみられます。
    Oxygen extraction fraction(OEF:酸素摂取率)
    Cerebral metabolic rate for oxygen(CMRO2:脳酸素消費量):脳血流 x 脳酸素摂取率 x 動脈血酸素含量 で求められます

これらのパラメーターは脳虚血では、虚血の軽い状態(右)から脳梗塞(左)の状態に向けて、以下のように変化します。


検査

    脳CT:Perfusion CT、Xenon CTは比較的定量性に優れています
    脳MRI:ASL(造影剤不要)はCBFしかわかりませんが、perfusion-weighted MRI(PWI:造影剤が必要)であればCBF, CBV, MTTが測定可能です。MRIは利便性は高いのですが定量性は優れません
    脳SPECT:CBFの測定と、SPECT特有の検査としてダイアモックスSPECTによる脳血流予備能の評価が可能です。動脈採血も加えると、comparableな値を得ることが出来ます
    脳PET:最も定量性に優れます。CBFに加えて、OEF, CMRO2の測定が可能ですが、測定可能施設が限られています
    血管造影検査:CBF(に近似した)が測定できます

日本脳炎(Japanese encephalitis; JE) 診断

寄稿原稿です:thanks a lot by 管理人

はじめに
日本脳炎(Japanese encephalitis; JE)は極東から東南アジア・南アジアにかけて広く分布しているが、日本では、1966 年の2,017人をピークに減少し、1992年以降発生数は毎年10人以下。
しかし、若年層と高齢者層では抗体保有率が下がっており、夏季の流行地(西日本)における脳炎患者については特に注意する必要がある。

病態・疫学
フラビウイルス科に属するJE virus感染しておこるが、感染してもJEを発病するのは100-1,000人に1人程度であり、大多数は無症状に終わる。(フラビウイルス科は、日本脳炎ウイルス,デングウイルス,ウエストナイルウイルスなど,全世界で公衆衛生学的問題となる感染症を起こす病原体を多く含む)
日本などの温帯では水田で発生するコガタアカイエカが媒介し、ヒトからヒトへの感染はなく、増幅動物(ブタ)の体内でいったん増えて血液中に出てきたウイルスを、蚊が吸血し、その上でヒトを刺した時に感染する。
潜伏期は6-16 日間。
JE virusは塩基配列により、5つの遺伝子型(I型からV型)があり、一般的に抗体価の検査を行うJaGAr株、中山株、北京株は全てIII型に属する株である。

疫学
年間発症率、ブタの抗体保有状況等は、国立感染症研究所(NIID)の感染症発生動向調査(IDWR)が参考になる(http://www.nih.go.jp/niid/ja/idwr.html)、PDF:疫学情報への到達方法詳細のまとめ

症状
典型的な症例では、数日間の高い発熱(38-40度あるいはそれ以上)、頭痛、悪心、嘔吐、眩暈などで発病する。これらに引き続き急激に、項部硬直、光線過敏、種々の段階の意識障害とともに、神経系障害を示唆する症状、すなわち筋強直、脳神経症状、不随意運動、振戦、麻痺、病的反射などが現れる。

検査

    末梢血:血白血球の軽度の上昇がみられる。RT-PCRと中和抗体については下記。
    尿:急性期には尿路系症状がよくみられ、無菌性膿尿、顕微鏡的血尿、蛋白尿などを伴うことがある。
    髄液:髄液細胞数は初期には多核球優位、その後リンパ球優位となり10-500程度に上昇することが多い。1,000以上になることは稀である。蛋白は50-100mg/dl 程度の軽度の上昇がみられる。RT-PCRと中和抗体については下記。
    MRI:視床,黒質,大脳基底核,橋,小脳などで T2FLAIR で異常信号が認められることが報告されている(この疾患も同様の病変分布を取り、鑑別に重要かもしれません)。なかでも両側性の視床病変は日本脳炎に特徴的で臨側頭葉病変を主座とするヘルペス脳炎と鑑別するうえで重要である[このサイトも参考になりそうです]。


臨床画像 Vol.28, No.4増刊号, 2012より抜粋しました。これほど、広範な病変でなく視床などに限局している場合もあります。

診断
夏季の流行地(西日本)における脳炎患者については特に注意する必要があります。
四類感染症、診断した場合には、診断した医師が、最寄りの保健所に届け出てください。
海外渡航歴のある患者については西ナイルウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス感染も考慮する必要があります。

検査方法 検査材料
分離・同定による病原体の検出 血液、髄液
PCR法による病原体の遺伝子の検出
IgM抗体の検出 血清、髄液
中和試験又は赤血球凝集阻止法又は補体結合反応による抗体の検出
(ペア血清による抗体陽転又は抗体価の有意の上昇)
血清

1.RT-PCRについて
第7病日までの死亡例の脳組織から、ウイルス分離、RT-PCR による遺伝子の検出が可能である。しかし、発病初期の血液・髄液からのウイルス分離は、稀に成功することがある程度である。
2.中和抗体について
1) CF法 (補体結合法)
HI法に比べ感度が悪いためメリットは特になし
2) HI法 (赤血球凝集抑制試験)
トリ(ガチョウあるいはヒヨコ)の血球と血清を混ぜて、トリの血球凝集抑制の程度を見て、血清中の抗体価を測定する。2-メルカプトエタノール(ME)処理した場合と処理しない場合とで抗体価を比較し、2ME処理した場合の抗体価が処理しない場合の抗体価に比べ低くなっていれば、IgM抗体が存在すると考えられる。結果が出るまで1週間弱かかる。
3) IgM ELISA法
メリット:日本脳炎ウイルスに対するIgM抗体を検出する方法で、1〜2日で結果が出るという点が最大の長所
デメリット:交差反応による偽陽性の可能性あり。他のフラビウイルス(デングウイルスやジカウイルスなど)感染でも上昇する。
4) 中和試験法
メリット:最も特異性が高い検査。
デメリット:急性期と回復期のペア血清で行う必要がある。結果が出るまでに時間がかかる(最低でも1週間程度)。急性期と回復期の血清とで比較して回復期で抗体価が上がっている(4倍以上)ことで診断するので、急性期の診断には使うことができない。

Pafのバイオマーカー(脳塞栓症) 診断

脳梗塞症例に置いて、発作性心房細動(paf)が後に検出される可能性が高いマーカーは以下の通りです。塞栓性脳梗塞を疑った場合、施行すべきは植込み型心電計です。しかし、高齢などその施行が難しい場合には、以下のマーカーを測定してみましょう。特に、血清BNP値は重要です。

    iPAB score:Yoshioka K et al., JSCVD. 2015, 2263-2269
    血清BNP/proBNP値Shibazaki K et al., Am J Cardiol 2012;109:1303-1307
    QTc(補正QT時間)Hoshino T et al., Stroke 2015;46:71-76
    RR間隔Vincent NT et al., Neurology 2016;86:261-269.
    左房径の拡大(>40 mm):Fujii S, Clin Neurol, 2009, 49: 629-633
    心房粗動:Vadmann H et al., Heart. 2015 ;101:1446-55
    発作性上室性頻拍(PSVT):Chang SL et al., J Cardiovasc Electrophysiol. 2008;4:367-73
    Supraventricular ectopic activity (SVE):Larsen LS et al., J Am Coll Cardiol. 2015 ;66:232-4

BNPと脳梗塞
脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide; BNP)は主に心室筋細胞から合成・分泌されるホルモンで、1988年に松尾・寒川らによって豚の脳から単離、同定された[1]。その名の通り利尿作用を有し、心臓の負荷が増加したり、心筋の肥大が起こると壁応力(伸展ストレス)に応じて遺伝子発現が亢進し、速やかに生成・分泌される。主には心筋を保護するように働くホルモンで、循環器疾患領域では主に心不全の程度を反映するバイオマーカーとして用いられている。BNP遺伝子よりBNPとNT-proBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント)が等モル比で分泌され、双方ともに心不全マーカーとして測定可能である。

<BNP値と脳卒中の病型診断、重症度>
循環器疾患と密接に関連する脳卒中では、脳出血と比較して脳梗塞が、なかでも心房細動を有する脳梗塞において血漿BNP値が有意に上昇するという本邦からの報告以降[2]、病型/予後予測因子としての役割も検討され、脳卒中診療における有用なバイオマーカーと認識されつつある。血漿BNP値は急性期脳梗塞で上昇し、亜急性期にかけて低下することが知られており[2]、急性期脳梗塞のバイオマーカーとして評価する場合には、発症24時間以内に測定されることが望まれる。
急性期脳梗塞においてBNP値上昇は心原性脳塞栓症との関連が強く、入院時BNP値が140.0pg/mL以上の場合には、心原性脳塞栓症の陽性適中率72.8%、陰性的中率 87.9%と報告されている[3]。したがって、急性期脳梗塞では入院時BNP値が上昇していた場合には心原性脳塞栓症を強く疑うべきである。

<原因不明の脳梗塞症例における心房細動の検出>
脳卒中診療では、突発発症、主幹動脈狭窄病変なし、皮質領域梗塞など心原性塞栓症の要素を満たしながらも、心機能評価で明らかな異常がとらえられずにその他の脳梗塞に分類されることがしばしばある。このような潜在性脳卒中(cryptogenic stroke)の原因として、発作性心房細動(Paf: paroxysmal atrial fibrillation)が占めている割合は多いと考えられ、実際に55歳以上の潜在性脳卒中症例で30日間の非侵襲的携帯型心電図モニターの使用により約16%でPafが検出された(EMBRACE試験)[4]。EMBRACE試験では24時間ホルター心電図での検出率はわずか3.2%と検出効率は低かった。心原性塞栓症は再発リスクも高く、出来るだけ発症早期にPaf出現を予測し抗凝固療法を開始することが望まれるため、バイオマーカーを用いた非侵襲的かつ簡便な検出法も有用と考えられ、近年、発作性心房細動の独立した危険因子に基づいて簡便に算出できるPaf予測スコア(iPAB: identified by Past history of arrhythmia or antiarrtythmic agent use, Atrial dilation, and BNP elevation)スコアが報告された[5]。
このスコアは、既知の心房細動がなく入院時の心電図でも心房細動が検出されなかった急性期脳梗塞患者を前向きに検証し、多変量解析により同定したPafの独立した3つの危険因子、「不整脈の既往および抗不整脈薬服薬歴」(3点)、「左房径拡大 (40mm以上)」(1点)、「血漿BNP値の上昇」(150pg/ml以上3点、90pg/ml以上2点、50pg/ml以上1点)に基づいてスコア(合計7点)を算出し、Pafの高リスク患者を予測するというもので、スコアが高くなるほど罹患率が上昇する傾向が認められた。また、iPABスコアにおけるPaf予測の精度についてROC解析を行い、曲面下面積(AUC)は0.91となり、同スコアを構成するBNPや左房径拡大を単独で用いるよりも予測能が有意に高いことがわかった。さらに、既報告のSTAF(AUC 0.77, 95% CI 0.66〜0.88, P < 0.001)よりも予測能が有意に高いことも判明した。

<BNP値測定の注意点>
BNPの半減期は約20分と短く、病態の変化により変動が強いため脳梗塞発症早期に測定する必要がある。また、血漿濃度は腎機能の低下により排泄能が低下し上昇するため、eGFR 30ml/min/1.73m2未満の症例では増加の程度が大きくなる。高齢者、急性炎症などでも高い値を示すことが知られている。そのため、このような症例ではBNP値による予測能は限定的である。

    1. T Sudoh et al. A new natriuretic peptide in porcine brain. Nature 332, 78-81.
    2. Nakagawa K, et al. Plasma Concentrations of Brain Natriuretic Peptide in Patients with Acute Ischemic Stroke. Cerebrovasc Dis 2005;19:157-164
    3. Sakai K, et al. Brain natriuretic peptide as a predictor of cardioembolism in acute ischemic stroke patients: brain natriuretic peptide stroke prospective study.Eur Neurol. 2013;69:246-51.
    4. Gladstone DJ, et al. Atrial fibrillation in patients with cryptogenic stroke. N Engl J Med. 2014;370:2467-77.
    5. Yoshioka K et al. : A Score for Predicting Paroxysmal Atrial Fibrillation in Acute Stroke Patients: iPAB Score. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2015;24:2263-9.

MRS(magnetic resonance spectroscopy)と神経疾患

はじめに
MRS(magnetic resonance spectroscopy)は、生体内にある分子の中にある原子核の磁場の共鳴周波数の違いによる化学シフト効果(chemical shift)に基づいて、生体内の分子の種類や成分などを調べる検査です。具体的には、神経細胞内に存在するNAA (N-acetyl acetate)などの特定の部位に存在する物質を信号強度として半定量化します。
通常のMRIやCTの画像に現れない細胞の代謝活動を調べることが可能です。神経系では、脳腫瘍、脱髄性疾患、脳梗塞、MELASによるStroke like lesion脳膿瘍などの鑑別、病状評価に用います。

読影
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実際の画像です。真ん中のFLAIR高信号病変にROI (region of interest)を設定したMRS画像が左です。右は正常側同部位にROIを置いたMRS画像です。
注;ROIは比較的大きいため、小さな病変では解析が不正確になります。
それぞれのMRS画像には、横軸にスペクトル数が記載されています。スペクトルは右(0 ppm)から左(4 ppm)へ向かって読影します。
正常部位のMRS画像(右図)では、いくつかのピークが見られますが代表的なものは、図に示したNAA、Cr、Choで、ピークの高さはNAA>Cr>Choの順になります。
病変部位(左図)では、正常部位と比較して、NAA低下、Cho上昇及び、この3つのピーク以外のピークの出現(この場合はlactate peak)が主な変化と考えられます。

各ピークの意味合い

    1. Nアセチルアスパラギン酸塩(N-acetyl aspartate: NAA)
    スペクトル:2 ppm
    特徴:正常ニューロンのマーカー
    2. クレアチン(Cr)
    スペクトル:3 ppm
    特徴:エネルギー代謝のマーカー
    3. コリン(Cho)
    スペクトル:3.2 ppm
    特徴:膜の破壊再生のために悪性腫瘍で上昇します
    4. 乳酸(Lactate)
    スペクトル:1.3 ppm
    特徴:嫌気性代謝のマーカー

疾患とMRS

    脳梗塞、MELAS:急性期には乳酸ピークが上昇します。特にMELASで所見が強いと思います。
    充実性腫瘍:Choが上昇しNAAが低下します。さらに、壊死も加わると、脂質も乳酸も上昇するようです。ちなみに、Cho/NAAは悪性腫瘍に高い感度を示しますが、特異度は低く、同じパターンは腫瘤状多発性硬化症と急性散在性脳脊髄炎でも認められます
    多発性硬化症:病期により様々ですが、Cho上昇は脱髄による細胞膜破壊により上昇、Lac上昇は炎症細胞の代謝を反映、NAA低下は障害の強さと相関、などの報告があります [参考]
    脳膿瘍:NAA、Cr低下、Cho上昇、lactate上昇

定量的軸索反射性発汗試験 (QSART)

はじめに
定量的軸索反射性発汗試験(QSART) は主に、発汗機能障害が節後性の異常なのか、節前性の異常なのかを鑑別するために有用な検査です。発汗低下がある場合に、本検査で発汗が見られれば節前性、見られなければ節後性のsudomotor functionの障害と考えられます。

方法
アセチルコリンを皮下に投与することによって、ムスカリン作用により直接汗腺が刺激され、発汗が生じます(下図a)。この反応が正常であれば汗腺は正常であることがわかります。
次により重要なことですが、ムスカリン作用だけでなくニコチン作用による交感神経節後線維の軸索反射を介して刺激部位とは離れた汗腺にも発汗が生じます(下図c)。この反射は求心路も遠心路も交感神経線維ですので、純粋に節後線維機能を反映します。
実際には、アセチルコリンをイオントフェレーシスして定量的に発汗量を記録します。

qsart

筋生検 観察法

はじめに
まずは、神経生検と同様にEpimysium、Perimysium、Endomysiumという言葉を覚える必要が有ります。

観察法
基本的には、比較対象がしっかりしていて、採取が容易な上腕二頭筋、大腿四頭筋から採取します。神経生検と異なり、多彩な染色法、多彩な所見があり、筋生検所見の正しい理解は神経生検よりも困難です。

1. H.E.染色
組織染色の基本となるH.E.染色は、筋生検染色でも同様です。筋繊維を金太郎飴のように横に切った時に見える1本の筋組織は、周辺に核をもった、60-80μmの大きさに見えます。まずは、神経原性変化/筋原性変化の鑑別が重要です

    筋原性変化:筋線維の大小不同、壊死・再生、結合組織の増加
    神経原性変化:群萎縮、小角化線維、筋線維タイプ群化(fiber type grouping)

2. Gomoriトリクローム変法
全体的に緑を基調とした染色です。H.E.染色と比較するとタイプ1とタイプ2線維の分別が明瞭になりますが、主にはRimmed vacuole、Ragged-red fiberなどが美しく描出されますので、これらの検出に使用します。

    緑色:結合織
    赤色:Rimmed vacuole、Ragged-red fiber、ネマリン小体、cytoplasmic body、tubular aggregatesといった筋組織に見られる所見の他に、筋生検標本にしばしば含まれる末梢神経の髄鞘も赤く染まります
    青緑色:Spheroid body、Fibrous tissue

3. NADH-TR(terazolium reductase)
全体的に青を基調とした染色法ですが、タイプ1線維が濃紺、タイプ2線維が淡青に分別されます。筋内の青い色素をよーくみると、細かな線維が観察されて筋原線維間網(intermyofibrillar network)と呼ばれます。まずはこれに乱れがないかどうかを観察する必要があります。単なる乱れだけではなくて、以下のような異常に対して固有名詞が付いています。

    虫食い像(moth-eaten appearance)
    target/targetoid fiber
    セントラルコア
    Peripheral halo
    文葉線維(lobulated fiber)

その他、高活性の像として、tubular aggregate、sarcoplasmic massが有名です。

神経筋超音波検査

末梢神経・筋肉の形態的検査としてMRIやCTが用いられてきましたが、簡便な超音波検査も最近は行われるようになっています。

末梢神経
一般的には、

    著明な再髄鞘化はhypertrophy
    軸索の減少はatrophy

として、描出されますのでCMT1aやHNPPでは正中神経などの断面積は大きくなり、CMT1bでは小さくなります。CIDP、AIDP、MMN、血管炎性ニューローパチーなどの炎症性/自己免疫性疾患でも脱髄型の場合には神経肥厚が見られ、CIDPでは頚髄神経根が肥厚する所見などが得られた報告もあります。

筋肉
ALSで線維束攣縮、筋萎縮の評価、筋炎でintensityの変化を見た報告が増えています。

超音波検査 update

Supine-to-standing transcranial Doppler test in patients with multiple system atrophy. Parkinsonism Relat Disord. 2013 May;19(5):539-42.
多系統萎縮症に対する経頭蓋ドップラーによる臥位と立位でのCBF反応性評価は起立性低血圧の評価に有用である

Neuromuscular ultrasound in polyneuropathies and motor neuron disease. Muscle Nerve. 2013;47:790-804
神経筋超音波検査に関する総説

Cerebrovascular hemodynamics, gait, and falls in an elderly population: MOBILIZE Boston Study. Neurology 2010 74: 1627-1633.
高齢者において経頭蓋超音波で測定した二酸化炭素に対する血管反応性の低下は歩行速度の低下と強く関連し、転倒との関連も示唆された

Transcranial brain sonography findings predict disease progression in multiple sclerosis. Neurology 2009 73: 1010-1017.
多発性硬化症では黒質、レンズ核、尾状核、視床などに経頭蓋超音波で高エコー領域がみられることがあり、MRI T2低信号との相関もあり鉄沈着を反映している可能性があり、黒質の異常エコー領域は病期の進行を予測する

神経伝達物質 update

Orexin/hypocretin system and autonomic control: New insights and clinical correlations. Neurology. 2014 Jan 2.
特にナルコレプシーでのオレキシン(ヒポクレチン)の自律神経調節能に関しての総説

Central neuron-glia interactions and neuropathic pain: Overview of recent concepts and clinical implications. Neurology 2010 75: 273-278.
神経痛と中枢神経のニューロン-グリア相互作用に関する総説

Clinical and biochemical features of aromatic L-amino acid decarboxylase deficiency. Neurology 2010 75: 64-71.
AADC欠損症(Aromatic L-Amino acid decarboxylase deficiency)の診断には髄液中のカテコラミン代謝産物の測定が有用であり、軽症例ではVitB6/ピリドキサールリン酸/ドーパミンアゴニスト/MAOBIなどの投与で改善が見られる

Glutamate transporters: Diversity, function, and involvement in neurologic disease. Neurology 2010 74: 259-264.
VGLUT、EAATなどのグルタミン酸トランスポーターの分布と神経疾患に関する総説

Neuropeptide Y: Its multiple effects in the CNS and potential clinical significance. Neurology 2009 72: 1016-1020.
ニューロペプチドY(Neuropeptide Y)と神経疾患の関連に関する総説

Implications of Amylin Receptor Agonism: Integrated Neurohormonal Mechanisms and Therapeutic Applications. Arch Neurol. 2009;66:306-310.
アミリン受容体と神経内分泌系の関連に関する総説

γ-Hydroxybutyric acid and its relevance in neurology. Neurology 2009 72: 282-286.
GABA前駆体あるいは代謝産物であるGHB(γ-Hydroxybutyric acid)と神経疾患の関連に関する総説

MRI update

Seven-tesla phase imaging of acute multiple sclerosis lesions: a new window into the inflammatory process. Ann Neurol. 2013;74:669-78.
7テスラMRIでは、急性期の多発性硬化性病変において高頻度に辺縁の薄い低信号のrimがT2*画像で検出され、拡大する病変の炎症が存在する領域と考えられた

Posterior Cerebral Artery Laterality on Magnetic Resonance Angiography Predicts Long-Term Functional Outcome in Middle Cerebral Artery Occlusion. Stroke. 2012 Nov 27.
中大脳動脈閉塞による脳梗塞に対するrt-PAによる再灌流療法時に、MRAで閉塞側のPCA延長を認める群は長期予後が良い

Fluid-Attenuated Inversion Recovery Vascular Hyperintensity: An Early Predictor of Clinical Outcome in Proximal Middle Cerebral Artery Occlusion. Arch Neurol. 2012 13:1-7.
中大脳動脈近位部閉塞による脳梗塞では、FLAIR画像による遠位部の高信号血管が多く見られる例では梗塞体積が小さく長期予後が良い

Optic radiation tractography and vision in anterior temporal lobe resection.Ann Neurol. 2012;71:334.
MRI拡散テンソル画像で描出される視放線をてんかんの側頭葉前方切除術の切除部位と比較すると,視野障害を説明しうるものである.

Arterial remodeling of advanced basilar atherosclerosis: A 3-tesla MRI study. Neurology 2010 75: 253-258.
3T-プロトン画像により脳底動脈リモデリングの評価が可能であり、リモデリンが見られた群はプラークがより多かった

Imaging Cortical Lesions in Multiple Sclerosis With Ultra?High-Field Magnetic Resonance Imaging. Arch Neurol. 2010;67(7):812-818.
7TMRIでのT2*GREと白質抑制高速グラディエントエコー法は多発性硬化症の死後脳での皮質病変を鋭敏に検出した

Giant Virchow-Robin Spaces: Functional Magnetic Resonance Imaging and Tractography. Arch Neurol. 2010;67(6):768-769.
神経学的に異常なく、fMRIでも活動性は認めるが拡散テンソル画像で天幕上の錐体路の左右差を検出しえた血管周囲腔の著明拡大を認めた例

When, where, and how the corpus callosum changes in MCI and AD: A multimodal MRI study. Neurology 2010 74: 1136-1142.
拡散MRIを使用した検討では、健忘性MCIや早期アルツハイマー病ではすでに脳梁前方領域の密度の低下検出され、徐々に後方領域にも同様な変化が見られるようになる

Structural integrity of corticospinal motor fibers predicts motor impairment in chronic stroke. Neurology 2010 74: 280-287.
拡散テンソル画像による皮質脊髄路のFA値の低下とfiber densityの低下は脳梗塞後の運動障害の予後不良因子である

Regional pattern of white matter microstructural changes in normal aging, MCI, and AD. Neurology 2009 73: 1722-1728.
アルツハイマー病や血管性危険因子の高い群では認知機能正常者や軽度認知機能障害の群と比較して大脳白質のFA値が有意に低下していた

In vivo imaging of cortical pathology in multiple sclerosis using ultra-high field MRI. Neurology 2009 73: 941-948.
超高磁場MRIでは、以前より病理学的には知られていた多発性硬化症の4タイプの皮質病変をそれぞれ分類して検出できる

Noninvasive MR imaging of cerebral perfusion in patients with a carotid artery stenosis. Neurology 2009 73: 869-875.
Arterial spin labeling MRIは、非侵襲的に症候性内頸動脈狭窄症例での血流評価が行える

Damage to the Optic Radiation in Multiple Sclerosis Is Associated With Retinal Injury and Visual Disability. Arch Neurol. 2009;66(8):998-1006.
多発性硬化症では視放線のFA値が低下し、低下の度合いと網膜神経線維層厚の低下の度合いが関連していた

Lower diffusion in white matter of children with prenatal methamphetamine exposure. Neurology 2009 72: 2068-2075.
出生前にメタンフェタミン暴露歴のある母の子供は、拡散画像で白質のADC値が低くまたFA値が高くミエリンの減少と神経スパインの増加を反映しているのかもしれない

MRI features of benign multiple sclerosis: Toward a new definition of this disease phenotype. Neurology 2009 72: 1693-1701.
病勢のおとなしい良性の多発性硬化症の画像的特徴

High-resolution diffusion tensor imaging in the substantia nigra of de novo Parkinson disease. Neurology 2009 72: 1378-1384.
病早期であってもパーキンソン病の黒質は3テスラMRIで測定したFA値が低下する

Devoid of Flow. Arch Neurol. 2009;66:536.
脳梗塞急性期には血栓がT2で低信号となることがある

Perfusion MRI (Tmax and MTT) correlation with xenon CT cerebral blood flow in stroke patients. Neurology 2009 72: 1140-1145.
脳卒中症例においてMRI灌流画像(PWI)のTmaxは平均循環時間(mean transit time, MTT)よりもキセノンCTでの脳循環血流量と相関が強い

Distal hyperintense vessels on FLAIR: An MRI marker for collateral circulation in acute stroke? Neurology 2009 72: 1134-1139.
血栓溶解療法前の中大脳動脈領域の脳梗塞で、遠位部の血管にFLAIR高信号病変を認める集団は拡散・灌流のミスマッチ領域が広く、亜急性期の梗塞体積が小さい傾向にあった

Open-ring peripherally enhancing lesion of the cervical spine.Neurology. 2009;72:381.
頚髄にopen-ringサインを認めたMSが疑われた1例

Measuring Demyelination and Remyelination in Acute Multiple Sclerosis Lesion Voxels. Arch Neurol. 2009;66:375-381.
多発性硬化症ではMTR(magnetization transfer ratio)は脱髄、再髄鞘化のマーカーとなりえる

Intracranial arterial wall imaging using high-resolution 3-tesla contrast-enhanced MRI. Neurology 2009 72: 627-634.
3テスラ造影MRIで脳内血管壁の評価はある程度可能で、造影前T2強調画像や造影後T1FLAIR画像などでプラークの正常もある程度区別できるかもしれない

Basiparallel Anatomic Scanning-Magnetic Resonance Imaging in Vertebral Artery Dissection. Arch Neurol. 2009;66:276-277.
頭蓋内椎骨脳底動脈の外観を簡便に描出できるBPAS(basiparallel anatomical scanning)-MRIで診断しえた椎骨動脈解離の48歳女性例

Kernohan’s notch phenomenon demonstrated by diffusion tensor imaging and transcranial magnetic stimulation. JNNP. 2008;79:1295-7.
片側のテント上病変により反対側の大脳脚がテントの端で圧迫され病変と同側の半身麻痺を来すKernohan’s notch現象を,拡散テンソル画像と経頭蓋磁気刺激により証明した.

Direct visualization of remyelination in multiple sclerosis using T2-weighted high-field MRI. Neurology 2009 72: 472.
3T異常の高磁場MRIでは多発性硬化症の再髄鞘化病変が検出できそう

Diffusion-based tractography in neurological disorders: concepts, applications, and future developments. Lancet Neurol. 2008;7:715-27.
MRIの拡散画像によるtractographyについて,特徴や神経疾患への適応や今後の展望のレビュー

Teaching NeuroImage:Corticospinal tract. Neurology 2008 71: e10.
ALSの皮質脊髄路の変性を脳MRIFLAIR画像で描出した典型例

Seven-Tesla Magnetic Resonance Imaging: New Vision of Microvascular Abnormalities in Multiple Sclerosis. Arch Neurol. 2008;65:812-816.
7T脳MRIではMS症例の微小血管周囲の異常信号が検出できる

Demonstrating the perivascular distribution of ms lesions in vivo with 7-tesla MRI.. Neurology. 2008;70:2076-8.
7T脳MRIではMS症例の微小血管周囲の異常信号が検出できる