治療法

インターフェロンβ 治療

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バイエル製品基本情報

はじめに
Th1/Th2バランスをTh2へ偏奇させて、T細胞の増殖抑制やアポトーシスを誘導する作用により免疫調整作用を有すると考えられています。わが国では、多発性硬化症の再発予防にIFNβ-1bとIFNβ-1aの使用が可能です。しかしながら、SLEやシェーグレン症候群などの自己免疫疾患(膠原病)や視神経脊髄炎を増悪させる可能性もありますので、そのような病態が合併していた場合は投与しないほうが無難です。

処方例

    ベタフェロン(IFNβ1b):800万国際単位、隔日、皮下注
      あるいは
    アボネックス筋注用シリンジ30μg 週1回投与、筋注

投与初期には、発熱、頭痛、倦怠感などの感冒様症状が見られるので、NSAIDs(ハイペンなど)、アセトアミノフェンを併用します。また、副作用軽減のために、例えばアボネックスであれば1週間ごとに1/4量、半量、3/4量と漸増します。

禁忌
様々な免疫調整剤が多発性硬化症に対して開発されている現在、インターフェロンの反応不良者 non-responderを検出し他の治療薬へ切り替える必要があります。
最近では、RRMSに対してのベタフェロンnon-responderに対しては、最近ではRio scoreあるいはmodified Rio scoreで評価することが多いと思います[ref]。

禁忌

    1)本剤の成分又は他のインターフェロン製剤及びヒトアルブミンに対し過敏症の既往歴のある患者
    2)妊婦又は妊娠している可能性のある女性
    3)重度のうつ病又は自殺念慮の既往歴のある患者
    4)非代償性肝疾患の患者
    5)自己免疫性肝炎の患者
    6)治療により十分な管理がされていないてんかん患者
    7)小柴胡湯を投与中の患者
    8)ワクチン等生物学的製剤に対し過敏症の既往歴のある患者

神経内科医が考える相対的禁忌

    NMO抗体(AQP4抗体)陽性の症例
    NMO抗体陰性でも、3椎体以上にわたる病変が脊髄にある場合
    膠原病併発例(特に、Sjogren症候群、橋本病などの甲状腺疾患、SLEなどを増悪させることがあります)

高容量ステロイド療法

処方例

メチルプレドニゾロン1g in ソリタT3 500ml 1時間で静注 3(から5)日間
(商品名、ソル・メドロール、メドロール、デポ・メドロール、プリドール、ソルメルコート)

一般的にステロイドパルス療法にはメチルプレドニゾロンが使用されますが、これは電解質作用が少ないステロイド剤であることが理由です。溶媒はブドウ糖を含まずカリウムを含んだものが個人的には好みなのですが、いかがでしょう。パルス療法終了後には、疾患によって様々ですが、プレドニゾロン30-60mg/日の内服による後療法を行うことが多いです

副作用Wiki

消化性潰瘍、精神症状、血栓傾向、血糖上昇など適切に対処しましょう

1.治療中に起こるもの
不眠、不安、躁状態、精神病、味覚異常(金属味)、食欲増進、体重増加、嘔気、嘔吐、胃部不快感、胃痛、顔面紅潮、発汗、頭痛、筋肉痛、挫傷、緑内障、膵臓炎、不整脈、non alcholic steatohepatitis (NASH)

2.危険因子のある患者で早期に起こるもの
消化性潰瘍、糖尿病、高血圧、アクネ、うつ病

3.長期あるいは反復投与でおこるもの
骨粗しょう症、骨壊死、白内障、脂肪肝、クッシング様徴候、感染症、創傷治癒遅延

高容量、あるいは長期ステロイド使用に関する注意
分割投与

    3分割
    朝昼2分割
    不均等投与

などがあります。一般的には抗炎症効果は3分割投与が1番強くいのですが、夕方のPSLの内服は不眠をひきおこすことが多いのが難点です

投与方法について
経口が不可能な場合や腸炎など腸管からの吸収が悪いと考えられる場合は、経口量の等量を2分割で静注投与します

減量方法
疾患ごとに異なりますが、初期量は4週間投与後、2週間ごとに5mgずつ減量、20mg以下では1-2mg/2-4週ずつ減量、必要であれば約10mg/日で維持投与とします

副作用予防

    胃潰瘍予防
    ステロイド単独投与ではPPI、H2ブロッカーは使用しないことが多いのですが、NSAIDsやアスピリン併用時は使用します
    感染症の予防
    手洗い励行、うがい励行、カリニ肺炎に対する少量バクタ投与 (1T1X )は、間質性肺炎合併時には全例投与し、免疫抑制剤併用時やIgG低下時には必要に応じて投与するのが一般的です
    バクタでは、低ナトリウム、低カリウムなどの電解質異常や肝機能障害などの副作用に注意を払ってください
    抗真菌剤(イトラコナゾール、ボリコナゾールなど)投与を行うこともあります
    血栓症の予防
    血管炎やSLEのときはバイアスピリン投与、LAC陽性やカルジオリピン陽性やループス腎炎(?-?)合併のときはワーファリゼーション(INR2-2.5)(約2-3ヶ月、主に入院中)
    ステロイドパルス施行時でDVTが存在する場合やD-dimerが高値などリスクが高いときはワーファリンあるいはヘパリン投与を
    骨粗鬆症の予防[ref]
    ステロイドの投与量に関係なく3ヶ月以上使用中または使用する予定の患者で、以下の危険因子スコア3点以上の場合には、アレンドロネート(ボナロン)、あるいはリセドロネート(アクトネル)投与(妊娠可能女性には催奇形の危険性を話し、了解をえたうえで)
    骨量正常で妊娠可能女性の場合、活性型Vit.D

osteo manegement

ワーファリ及び新規抗凝固療法薬 update

Dabigatran versus Warfarin in Patients with Mechanical Heart Valves. N Engl J Med. 2013 Aug 31.
機械弁置換患者に対するダビガトラン投与により,ワルファリン投与と比較して,血栓塞栓性合併症および出血性合併症の発生率が上昇したため試験は早期に終了された

Warfarin and Aspirin in Patients with Heart Failure and Sinus Rhythm. N Engl J Med 2012; 366:1859-1869
LVEF が低下した洞調律の患者に対し,ワルファリンによる治療とアスピリンによる治療とで,全体的には主要転帰に有意差はなく、ワルファリンによる脳梗塞のリスク減少は,重大な出血のリスク増加によって相殺された

Warfarin dose assessment every 4 weeks versus every 12 weeks in patients with stable international normalized ratios: a randomized trial. Ann Intern Med. 2011;155:653-9.
warfarin維持用量が少なくとも6ヵ月間安定している患者では、4週間毎あるいは12週間毎にINRを測定するグループ間での、臨床アウトカムやINRが治療域にあった期間の割合は同等であった

A new risk scheme to predict warfarin-associated hemorrhage: The ATRIA (Anticoagulation and Risk Factors in Atrial Fibrillation) Study. J Am Coll Cardiol. 2011;58:395-401.
ATRIAリスクスコアは貧血、腎不全、高血圧、出血歴、高血圧の有無をポイント化するのみの簡便な方法で、ワルファリン服用心房細動患者の出血リスクを予測する有用な方法である

Subtherapeutic international normalized ratio in warfarin-treated patients increases the risk for symptomatic intracerebral hemorrhage after intravenous thrombolysis. Stroke. 2011;42:2333-5.
ワーファリン内服症例はINRが1.7以下であっても、非内服群と比較して血栓溶解療法後の症候性頭蓋内出血の危険性が上昇する (OR 14.7)

Cost-Effectiveness of Dabigatran Compared With Warfarin for Stroke Prevention in Atrial Fibrillation. Ann Intern Med. November 1, 2010
高齢心房細動患者の脳卒中予防について、dabigatranとワルファリンの費用対効果を比較したところ、ワルファリンに比べdabigatranで質調整生存年(QALY)が延長し、低用量より高用量でQALYが長く増分費用対対果比も低いことから、ワルファリンの代替薬として費用対効果に優れる可能性が示された

Dabigatran compared with warfarin in patients with atrial fibrillation and previous transient ischaemic attack or stroke: a subgroup analysis of the RE-LY trial. Lancet Neurol. 2010;9:1157-63.
RE-LY研究の今回のサブグループ解析では、TIAまたは脳卒中の既往歴を有する高リスク患者サブグループにおいて、dabigatranはwarfarinより大出血の発症率が低く優れているのかもしれない

Symptomatic Intracerebral Hemorrhage Among Eligible Warfarin-Treated Patients Receiving Intravenous Tissue Plasminogen Activator for Acute Ischemic Stroke. Arch Neurol. 2010;67(5):559-563.
脳梗塞に対するrt-PA投与では、ワーファリン内服群はINR 1.7以下であっても非内服群と比較して症候性脳出血合併の割合が10倍になる

Dabigatran versus warfarin in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med. 2009 17;361:1139-51.
dabigatran 110mg投与群では、脳卒中と全身性塞栓症の発生はワルファリンと同等だったが、重大出血の低下が大きかった。一方、dabigatran 150mg投与群では、同発生はワルファリンより低下したが、重大出血の発生はワルファリンと同等だった

Cerebral microbleeds are a risk factor for warfarin-related intracerebral hemorrhage. Neurology 2009 72: 171-176.
脳内微小出血はワーファリンによる脳出血の危険性を増加させる

Restarting Anticoagulation Therapy After Warfarin-Associated Intracerebral Hemorrhage. Arch Neurol. 2008;65:1313-1318.
ワーファリンに関連した頭蓋内出血後にワーファリンを再開しても頭蓋内出血の再発率は低く、中止すると塞栓症の危険性が上がる

Predictors of Outcome in Warfarin-Related Intracerebral Hemorrhage. Arch Neurol. 2008;65:1320-1325.
ワーファリンに関連した頭蓋内出血では、意識レベルの低下、出血病巣の大きさが予後不良因子であり、INRの値は機能予後との相関は認めなかった

Genetic determinants of response to warfarin during initial anticoagulation. NEJM. 2008;358:999-1008.
ワーファリン初回投与による抗凝固の効果は,ワーファリン代謝酵素(CYP2C9)よりも標的分子(VKORC1)の遺伝子型の影響をより強く受ける