症候、解剖

Ocular neuromyotonia

Ocular neuromyotoniaを検索(PubmedGoogle scholar

はじめに
外眼筋が自発的に攣縮して発作的な複視や斜視を来す稀な疾患です。そもそも発作的に複視が生じる疾患は非常に稀ですが、特に注視によって誘発される特徴があります。一度診断すると二度と忘れることのない特徴的な症状ですが、重症筋無力症と誤診されていることもあります。1966年にClarkらにより症例報告されて、1970年にRickerらがOcular neuromyotoniaと命名しました。
主には放射線治療後(2か月〜20年後)に、脳神経(動眼神経>外転神経>滑車神経)の過興奮が生じることが原因です。

原因

  • 放射線治療後:原因の60%を占める最多の病態です。上咽頭癌など眼窩が照射部位に含まれることが多いように思われます
  • 血管による脳神経の圧迫
  • 甲状腺眼症
  • 動脈瘤
  • などなど

    症状
    注視や過呼吸などによって誘発される外眼筋の攣縮によって、発作的な複視、斜視が生じます。両側性は稀で、ほとんどが片側性で、発作時間は約1分です。
    下の動画では、注視後に正面視すると右眼が勝手に「発作的」に外転し複視が生じています。

    治療
    脳神経の過興奮はNaチャンネルが関連しているため、Naチャンネル遮断薬(カルバマゼピン、メキシレチンなど)が用いられ、多くの例で著効します。ビムパットも効くかもしれません。
    原因が放射線療法語の場合は、脳神経系の障害は 放射線性神経障害の一種と考えることも出来ます。つまり、放射線性神経障害で報告のあるステロイド、抗凝固療法などがpartialに効果を発揮する可能性もあるかと考えられます。

    脳灌流画像 診断

    はじめに
    脳の灌流状態の評価は、脳血管障害(CAS, CEA, バイパスなど)だけでなく代謝性疾患、変性疾患など様々な病態で重要と考えられますが、「脳血流が、、、」という曖昧なセリフを吐く神経内科医が多くいますし、そもそもCBFとCBVの日本語が同一であることも問題かも知れません。
    まず、脳灌流関連パラメーターは代表的なものでは以下のものが知られています。

      Cerebral perfusion pressure (CPP:脳灌流圧):脳は自動調節能があるため、ある程度のCPPの低下があってもCBFは保たれます
      Cerebral Blood Flow (CBF:脳血流量): 脳組織の毛細血管の血流で、脳組織単位重量(100g)あたりの毎分流量としてmL/100g/分という単位を使うことが多いと思います
      Cerebral Blood Volume (CBV:脳血流量): 脳組織の毛細血管、細小静脈の体積で、脳組織単位重量(100g)あたりの血管容積として、mL/100gという単位を使うことが多いと思います
      Mean Transit Time (MTT): 脳毛細血管に血液が留まる時間で、単位は秒、CBV/CBFで求められます。この値の上昇は脳循環予備能の低下時にみられます。
      Oxygen extraction fraction(OEF:酸素摂取率)
      Cerebral metabolic rate for oxygen(CMRO2:脳酸素消費量):脳血流 x 脳酸素摂取率 x 動脈血酸素含量 で求められます

    これらのパラメーターは脳虚血では、虚血の軽い状態(右)から脳梗塞(左)の状態に向けて、以下のように変化します。


    検査

      脳CT:Perfusion CT、Xenon CTは比較的定量性に優れています
      脳MRI:ASL(造影剤不要)はCBFしかわかりませんが、perfusion-weighted MRI(PWI:造影剤が必要)であればCBF, CBV, MTTが測定可能です。MRIは利便性は高いのですが定量性は優れません
      脳SPECT:CBFの測定と、SPECT特有の検査としてダイアモックスSPECTによる脳血流予備能の評価が可能です。動脈採血も加えると、comparableな値を得ることが出来ます
      脳PET:最も定量性に優れます。CBFに加えて、OEF, CMRO2の測定が可能ですが、測定可能施設が限られています
      血管造影検査:CBF(に近似した)が測定できます

    Argyll Robertson瞳孔

    外側膝状体に行く途中で分岐するE-W(Edinger-Westphal)核に向かう神経の障害により、縮瞳、対光反射消失をきたす状態です。一方で、輻輳は外側膝状体から視覚中枢まで到達したのちE-W核へ行く経路によるため障害されません。
    つまり、以下の4つが特徴です。

      縮瞳
      直接および間接対光反応の欠如
      迅速な輻湊反応(近見反応は正常)
      両側性:左右で程度が異なるため瞳孔不同になっていることはあります

    原因疾患
    神経梅毒が有名ですが、中脳の視蓋前域のE-W(Edinger-Westphal)核の背側で、対光反射に関係する求心路が選択的に障害されれば起こり得ます。

      神経梅毒
      多発性硬化症
      糖尿病
      中脳水道周囲の腫瘍
      帯状疱疹
      など

    ar

    視床病変 (thalamic lesion)

    両側視床病変
    両側視床病変を来す疾患及びその徴候に関する論文>こちら(とても良く書かれています。googleで検索すると、無料のPDFが閲覧可能と思われます。)
    一般的には、急性から亜急性の認知機能症状が出現した場合に、動脈系の梗塞(top or basilar)あるいは静脈系のうっ血あるいは梗塞(internal cerebral veinsの血栓症あるいは、静脈洞のAVF)、Wernicke脳症あたりを疑い、精査を進めます。それらが否定的な場合、感染性(CJDではMM2、VV2MV2、vCJD)、腫瘍性、変性疾患などなどマニアックなものの鑑別に入りましょう。

      両側視床病変を来しうる疾患
      血管性:両側傍正中視床梗塞、静脈性梗塞硬膜動静脈瘻
      感染性:日本脳炎、HSV脳炎、HIV脳炎、クリプトコッカス脳炎、トキソプラズマ脳炎など
      プリオン病:MM2、MV2VV2、variant CJD、fatal familial insomnia (FFI)
      腫瘍性
      傍腫瘍性:Ma2やHu関連 limbic encephalitis
      代謝性:アルコール関連脳症(Wernicke脳症など)、Wilson病、osmotic myelinolysis、CO中毒、低酸素脳症、肝性脳症
      その他:急性壊死性脳症

     

    avf

    脳MRI:硬膜動静脈瘻による両側視床病変(venous congestion)です。T2強調画像、拡散強調画像にて静脈灌流領域内に高信号病変を認めます。また、右小脳半球には拡張した静脈が見られました。硬膜動静脈瘻や静脈洞血栓症では、internal veinに灌流障害が生じると両側(稀に片側)視床病変を生じます[ref]。