筋疾患

封入体筋炎 update

Update in inclusion body myositis. Curr Opin Rheumatol. 2013;25:763-71.
封入体筋炎に関する総説

Update on treatment of inclusion body myositis. Curr Rheumatol Rep. 2013;15:329.
封入体筋炎に治療に関する総説

Inclusion Body Myositis. Semin Neurol. 2012; 32: 237?245.
封入体筋炎に関する総説

Proinflammatory cell stress in sporadic inclusion body myositis muscle: overexpression of αB-crystallin is associated with amyloid precursor protein and accumulation of β-amyloidJ Neurol Neurosurg Psychiatry 2009;80:1344-1349
封入体筋炎10例の検討。αBクリスタリン陽性あるいはAPP陽性の細胞の多くは形態学的に変化がない。しかし両方陽性の物はβアミロイドの蓄積が見られ、形態学的にも変化がでている。αBクリスタリンはAPPの過剰発現に関連し、βアミロイドの蓄積をもたらすのではないだろうか。

Inclusion body myositis: old and new concepts
J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009;80:1186-1193 .
封入体筋炎のレビュー

A case of late-onset proximal and distal muscle weakness. Neurology 2009 73: 1592-1597.
骨パジェット病および前頭側頭型痴呆をともなう封入体ミオパチー(IBMPFD)と考えられた49歳女性例

Clinical heterogeneity in 3 unrelated families linked to VCP p.Arg159His. Neurology 2009 73: 626-632.
VCP遺伝子のp.Arg159His点変異による骨パジェット病と前側頭葉型痴呆を伴う遺伝性封入体筋炎(IBMPFD)は臨床症状は均質ではなく前面に出る症状が異なるが、中枢神経病理ではFTLD-TDP4型を示していた

Pro-inflammatory cell stress in sIBM muscle: overexpression of {alpha}B-crystallin is associated with APP and accumulation of {beta}-amyloid.JNNP 2009 May 25. [Epub ahead of print]
孤発性封入体筋炎の筋ではAPPとalphaB-crystallinが発現しβアミロイドが沈着している繊維が見られ,一部では炎症細胞浸潤も伴い,筋変性に細胞ストレスや炎症が関与していることを示唆している.

Effect of Alemtuzumab (CAMPATH 1-H) in patients with inclusion-body myositis. Brain. 2009;132:1536-44.
CD52抗体(Alemtuzumab)は封入体筋炎症例のリンパ球を減少させ、筋力改善効果を約6ヶ月間認める

Sporadic inclusion body myositis: Pathogenic considerations.Ann Neurol. 2009;65:7.
孤発性封入体筋炎では病理所見から変性と炎症の目立つ2群に分けられるが,議論のある2群の病因としての関係などについてのレビュー.

TDP-43 accumulation in inclusion body myopathy muscle suggests a common pathogenic mechanism with frontotemporal dementia. JNNP 2008;79:1186-9.
封入体筋疾患の多くの症例でTDP-43陽性封入体が筋細胞質にみられる.

Sporadic inclusion body myositis: phenotypic variability and influence of HLA-DR3 in a cohort of 57 Australian cases. JNNP. 2008;79:1056-60. Epub 2008 Feb 7.
散在性封入体筋炎は筋力低下の初発部位や左右差に多様性がみられるが,HLA-DR3陽性では大腿四頭筋の筋力低下が強く症状の進行も早い傾向がみられる.

Oculopharyngeal myopathy with inflammation and calcinosis: an unusual phenotype. JNNP 2008 79:731-3
病理学的には著明な炎症所見のある封入体筋炎だが,眼瞼下垂や外眼筋麻痺もある非典型症例の報告

筋強直性ジストロフィー update

Mexiletine is an effective antimyotonia treatment in myotonic dystrophy type 1. Neurology 2010 74: 1441-1448.
メキシレチン経口投与は筋緊張性筋ジストロフィー1型症例において安全性が高く、さらにミオトニアに対する改善効果を持つ

Comparative analysis of brain structure, metabolism, and cognition in myotonic dystrophy 1 and 2. Neurology 2010 74: 1108-1117.
筋緊張性ジストロフィー(特に1型)ではエピソード記憶の低下が出現し、白質病変が見られ、前頭側頭葉の萎縮や糖代謝の低下などが検出され一部は認知機能の低下と関連している

Intergenerational contraction of the CTG repeats in 2 families with myotonic dystrophy type 1. Neurology 2009 73: 2126-2127.
CTGリピート数が世代を減るごとに全ての子孫で減少を認めた父親由来遺伝の筋強直性ジストロフィーの2家系

Strong association between myotonic dystrophy type 2 and autoimmune diseases .J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009;80:1293-1295
筋強直性ジストロフィー2型は1型に比べて自己免疫疾患合併の割合が21%と多い(1型では2%)。

Neuroimaging in myotonic dystrophy type 1. Neurology 2009 73: 1931.
筋強直性ジストロフィー1型で見られる側頭葉白質病変及び骨病変の脳MRI画像

Encephalopathic attacks in a family co-segregating myotonic dystrophy type 1, an intermediate Charcot-Marie-Tooth neuropathy and early hearing loss.JNNP. 09 Sep;80(9):1029-35
1型筋強直性ジストロフィーの家系で,末梢神経障害や繰り返す脳炎様の発作を呈し,DM1遺伝子変異と連鎖がみられる家系.

Risk of arrhythmia in type I Myotonic Dystrophy: the role of clinical and genetic variables.JNNP. 2009 Feb 22. [Epub ahead of print]
筋強直性ジストロフィー1型では,男性や高齢,筋症状が強いほど不整脈の危険が高い.

A polysomnographic study of daytime sleepiness in myotonic dystrophy type 1.JNNP. 2009 Feb 11. [Epub ahead of print]
筋強直性ジストロフィー1型では睡眠時無呼吸や低酸素血症が見られ,それとは関連なく日中の過度の眠気も見られる.

Premutation allele pool in myotonic dystrophy type 2. Neurology 2009 72: 490-497.
筋強直性ジストロフィー2型でもCCTGのPremutation alleleの存在が疑われる

Dehydroepiandrosterone for myotonic dystrophy type 1. Neurology 2008 71: 407-412.
筋強直性ジストロフィー1型成人例の筋力低下に対して、12週間のデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)補充療法は効果がRCTで認められなかった

Electrocardiographic abnormalities and sudden death in myotonic dystrophy type 1. NEJM 2008;358:2688-97.
成人の1型筋強直性ジストロフィーでは不整脈や突然死の危険性が高く,重度の心電図異常(洞調律でない,240ms以上のRR間隔,120ms以上のQRS幅,2度以上の房室ブロック)を持つものは突然死の危険が高い

先天性筋ジストロフィー update

Correlation of enzyme activity and clinical phenotype in POMT1-associated dystroglycanopathies. Neurology 2010 74: 157-164.
POMT-1関連ジストログリカノパチーではマンノシルトランスフェラーゼ活性の低下が見られ、POMT1活性と逆相関しており、Walker-Warburg症候群及び 肢帯型筋ジストロフィーといった表現型の違いを説明できるかもしれない

Congenital muscular dystrophy with defective alpha-dystroglycan, cerebellar hypoplasia, and epilepsy. Neurology 2009 73: 1599-1601.
小脳低形成とてんかんを伴ったαジストログリカン欠損による先天型筋ジストロフィーの4例(イタリア)

Congenital muscular dystrophies with defective glycosylation of dystroglycan: A population study. Neurology 2009 72: 1802-1809.
αジストログリカンの減少が確認されたあるいは疑わしい先天性筋ジストロフィーに対し、既知の6つの遺伝子をイタリアで検討したところ53%で陽性であり、臨床型は様々であった

Pathology is alleviated by doxycycline in a laminin-alpha2-null model of congenital muscular dystrophy. Ann Neurol. 2008 Dec 11. [Epub ahead of print]
先天性筋ジストロフィー1A型の原因であるラミニンα2遺伝子欠損マウスは,ドキシサイクリン投与による症状と病理学的な改善がみられる.

Collagen VI glycine mutations: perturbed assembly and a spectrum of clinical severity. Ann Neurol. 2008;64:294-303
コラーゲンVIの遺伝子変異により繊維や細胞外基質の構築過程に障害が生じ,障害の程度により臨床症状にも差がでているのかもしれない.

Diagnosis and etiology of congenital muscular dystrophy. Neurology 2008 71: 312-321.
オーストラリア周辺の大規模研究で、先天性筋ジストロフィーの25%がglycosylated α-dystroglycan、12%がcollagen VI、8%がLaminin α2の染色性が筋で低下し、α7-Integrinの染色性低下症例も一定数認められた

De novo lmna mutations cause a new form of congenital muscular dystrophy. Ann Neurol. 2008;64:177-86.
新しいLMNA遺伝子変異は比較的重症な先天性筋ジストロフィーの原因となる

McArdle病 update

Effect of Changes in Fat Availability on Exercise Capacity in McArdle Disease. Arch Neurol. 2009;66(6):762-766.
McArdle病では脂肪が運動時のソースとして重要だが脂肪の酸化は正常人と比較して限定的である

Fat metabolism during exercise in patients with McArdle disease. Neurology 2009 72: 718-724.
McArdle病では持続的な低負荷の運動時に脂肪酸酸化が亢進していて、Second windの原因と思われる

Carbohydrate- and protein-rich diets in McArdle disease: Effects on exercise capacity. JNNP 2008 Jun 5. [Epub ahead of print]
McArdle病では高蛋白食より高炭水化物食の方が,短期的には最大運動能力や運動負荷が改善する

Effect of Oral Sucrose Shortly Before Exercise on Work Capacity in McArdle Disease. Arch Neurol. 2008;65:786-789.
McArdle病では運動直前のスクロース摂取で、運動に対する耐性が向上する

無症候性高CK血症 原因


まず炎症性,感染性,薬剤性,遺伝性などによる筋疾患,運動神経疾患,運動や外傷後などの否定を行ってください.
それらが否定的である場合は,次のような可能性が考えられます.

1. 筋ジストロフィー,筋炎,運動神経疾患などの症状出現前
その後の経過で症状が出現してくるはずで,筋生検で診断がつく場合もある.

2. マクロCK血症
免疫グロブリンとCKが結合し高値を呈する.CKの電気泳動(CKアイソザイム)により診断される.悪性腫瘍や膠原病に伴ったマクロCK血症もあり、時に検索が必要です。

3. 悪性高熱の素因保有者
高CK血症の約半数で素因があるとの報告がある

4. 黒人:正常値が高いらしい

5. 不明

実際には,マクロCKの可能性を検索して,今後何らかの症状が出てくる可能性があるか,悪性高熱の可能性があり全身麻酔時には注意をするように説明することになるでしょうか.
(筋MRIなど低侵襲の検査なら考えますが,症状のない方に針筋電図や筋生検はためらいます)

CK値が「低下」する原因

    筋肉量の低下
    肝炎、肝転移
    薬剤性
    炎症性疾患

リウマチ性疾患と低CK値
RA、SLE、Spondyloarthropathiesなどでは、血清CK値は正常よりも低値を示すことがあります。機序としては、CK inhibitorの存在、クリアランスの上昇、炎症性プロセス、post-transcriptional modification、酵素分解の上昇などが想定されています。

重症筋無力症 診断

重症筋無力症診療ガイドライン 2014


易疲労感や筋力低下の日内変動(朝より夕方に悪化,休息により回復)から疑い,検査で確認します.抗Ach受容体抗体が陽性であれば診断は容易ですが,陰性の場合は,症状や他の検査を組み合わせて診断します.その他、胸腺腫に加え、甲状腺疾患、慢性関節リウマチ、SLE、赤芽球ろう、多発筋炎、多発性硬化症などなどの自己免疫疾患の合併の報告があります。

概念
重症筋無力症は、神経筋接合部において抗アセチルコリン受容体抗体の出現により、ACh受容体が障害されることにより発病します。また、抗AChR抗体が陰性の場合も結構ありますが、そのときは神経アグリン(n-agrin)の結合する筋特異性受容体チロシンキナーゼ(MuSK)に対する抗体、抗MuSK抗体の出現により発病することもあります。

疫学
有病率は7500人に1人以上と決してまれな疾患ではなく、男女比は約1:2で女性に多いようです。
発症のピークは20〜40歳の女性、50歳以上の男性、の二相性ですが、最近は70歳以上の高齢発症例も多く報告されています。

症状
筋の反復運動や持続的収縮によって、外眼・顔面・咬・球筋または四肢・体幹の筋力の低下、易疲労性が起きるのが特徴です。これは、休息や局所筋の冷却によって一時的に回復します。
日内、日差、月差変動があったり、日内変動では基本的に午後になると症状が増悪することが特徴です。
外眼筋障害による眼瞼下垂や眼球運動障害による複視が多いのですが、対光反射など内眼筋障害は殆どありません。
その他、口輪筋や頬筋麻痺による顔面筋力低下、舌・咽頭筋麻痺による嚥下障害・咀嚼障害・構語障害、四肢の筋力低下(近位筋が多い)などの筋力低下も存在すれば全身型と判断します。
片側性のことも両側性のこともある。重症になると呼吸筋麻痺も認めます。
腱反射は正常またはやや亢進していることがある。筋萎縮は稀です。

検査

    血清抗Ach受容体抗体:これが陽性なら決まりです.(3.0以上であれば、特異度100%!!)。陰性であれば、MuSK抗体測定、これも陰性であればLrp4抗体測定
    末梢神経反復刺激試験:反復神経刺激試験における漸減現象を確認します。通常は3Hzの頻度で、10回の刺激をし10%以上の信服の減衰を認めた場合には異常でしますが、眼筋型の場合は陽性率は20―30%程度のようです。その他の、電気性理学的検査として単一筋線維筋電図があります。
    テンシロン(エドロホニウム)試験:眼瞼下垂,眼球運動障害が著明な時でないと,陽性かどうかの判定が難しいです
    テンシロンによる副作用は内因性Ach過剰作用による、線維束攣縮(ニコチン作用)やムスカリン作用としても嘔気、腹痛、下痢、徐脈、低血圧、失神、唾液分泌亢進、発汗で、高度の徐脈や失神などの副作用出現時は、アトロピン0.5-10mgを静注するなどして対処します
    胸部造影ヘリカルCT:多くのMG症例で胸腺腫や過形成などの胸腺異常が見られます。最も頻度が高いのは過形成胸腺(60-70%)で、胸腺腫(10-20%)はそれほど頻度は高くありません、さらに胸腺癌は稀です。過形成胸腺が若い女性に多いのに対して、胸腺腫は高齢者に多い蛍光にあります。治療効果と長期予後は、過形成胸腺症例のほうが良好です。
    201Tlシンチグラフィー、FDG-PET、MRIなどによる胸腺の評価を行うこともあります

抗MuSK抗体陽性重症筋無力症について
血清中の抗AChR抗体陽性のMGをセロポジティブMG(seropositive MG)、陰性のMGをセロネガティブMG(seronegative MG)と呼んで分類していますが、後者の70%は抗MuSK抗体陽性で、胸腺の過形成や腫瘍がなく胸腺摘出術に反応しにくい、抗コリンエステラーゼ薬に対する反応が不定、クリーゼになりやすい、など特徴があります。
筋特異的チロシンキナーゼ(muscle-specific tyrosine kinase, MuSK)は、膜貫通型の蛋白で、筋膜上でアセチルコリン受容体抗体と隣接して存在しています。このMuSKに対する抗体陽性のMG症例が、抗Ach受容体抗体陰性の全身型MGの中に存在します。
臨床的には、顔面筋や舌筋の萎縮を伴うことが特徴的のようです。

抗Lpr4抗体陽性重症筋無力症について
MGの病因となる新たな自己抗体の抗原分子として、神経筋接合部の形成や維持に必須であるLDL受容体関連タンパク質4 (LDL receptor-related protein 4, Lrp4)が注目されています。すなわち、Ach抗体とMuSK抗体の療法が陰性のMG群の約10%程度に、抗Lrp4抗体が検出されます。
Lrp4は筋細胞に発現する膜貫通型タンパク質(推定分子量:215 kDa)で、運動神経の軸索終末端から分泌されるプロテオグリカンであるneural agrinと結合し、その信号をMuSKに伝達することで運動終板上でのAChRの高密度凝集を促進すると考えられています。
その臨床的特徴は、coming soon

鑑別診断

    Neurasthenia
    眼咽頭型筋ジストロフィー:症状の固定、複視なし
    ミトコンドリアミオパチー:症状の固定、複視なし
    頭蓋内圧迫病変
    先天性外眼筋線維症:固定した眼球運動障害、家族歴、斜視
    Lambert-Eaton症候群:脳神経症状は少ない
    ボツリヌス中毒:消化器症状、瞳孔散大
    マグネシウム中毒:突然発症
    先天性筋無力症:多くは新生児、乳児期発症
    有機リン中毒
    Fisher症候群
    周期性四肢麻痺
    甲状腺眼症:多彩な外眼筋麻痺

など

Ach抗体について
Ach受容体抗体には、通常測定する結合抗体に加えて、阻止抗体も存在します

    結合抗体:Ach-Rとα-bungarotoxin複合体に結合します。通常測定している抗体で、基準値<0.1
    阻止抗体:Ach-Rとα-bungarotoxinとの結合を阻害します。(基準値:阻害率<10%)、結合抗体より臨床像と相関する例や、阻害型抗体のみを有する例もあります

重症筋無力症以外に陽性になる疾患は以下の通りです

リウマチ性多発筋痛症 診断


症状
痛み、こわばり:後頚部、肩(肩甲帯)、骨盤帯、四肢近位部分に痛みと朝のこわばり(morning stiffness)のが特徴ですが、強い肩こりとして訴える方もいます。
うつ症状:易疲労性、食欲低下、体重減少、うつ症状
比較的急に症状を自覚しますが、その後徐々に痛みの部位が広がり持続します。筋力低下はありませんが、痛くて動かせない場合も多いので、診察時には注意してください。なぜか、50歳以下では発症しません。

病態
不明。parvovirusB19、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydia pneumoniae感染との関連を疑う研究があり、さらにHLA DR4 alleleとの関連を示唆する報告があります。

診断
診断基準の1つ

1. 両側の肩に痛みとこわばりがある。
2. 発病から2週間以内に症状が完成する。
3. 朝のこわばり(頚部、肩甲帯、腰帯)が1時間以上続く。
4. 赤沈が40mm(1時間値)以上に促進する。
5. 65歳以上に発病する。
6. うつ状態ないしは体重減少がある。
PMRを疑う基準:
A.上述の項目のうち、3項目を充たす場合.
B.上述の項目のうち1項目以上を充たし、また臨床的、病理組織学的に側頭動脈に異常が認められる場合

血液検査:赤沈、CRPが上昇することも良くあります。RA、CCP3抗体、MMP-3などを測定し関節リウマチを極力除外。CK測定し、筋炎を極力除外
超音波検査:三角筋下の滑液包炎 (bursitis)、肩関節の上腕二頭筋の腱鞘滑膜炎 (tenosynovitis)などの所見が得られることがあります。また、関節リウマチとの鑑別のため関節エコーも有用です
筋MRI:筋炎の所見がないことを確認する

側頭動脈炎
原因不明の中大動脈の血管炎として巨細胞性肉芽腫性動脈炎 (giant cell arteritis) がありますが、その一つである側頭動脈炎temporal arteritisの50-75%にPMRが併発します。一方、PMRの15-40%に側頭動脈炎が併発します。失明することもありPMRよりやっかいで危険な病気です。以下が代表的な症状です。

    発熱、側頭動脈の圧痛
    最近出現した頭痛(側頭動脈の拍動性の頭痛、側頭痛など)
    物を噛むときの顎の痛み
    視覚、視野、視力障害

これらに、赤沈の著明な亢進、CRP陽性などがあり疑った場合は、側頭動脈生検をしてください

鑑別診断
炎症性疾患

    慢性関節リウマチ:多くは遠位部の関節、RA因子などの血液マーカー、関節のerosion、関節エコー
    脊椎関節症(強直性脊椎炎、乾癬性関節炎):背部の痛みやこわばりが目立つ。脊椎レントゲン所見、乾癬の有無
    RS3PE症候群 (Remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema):手や足の浮腫
    多発性筋炎/皮膚筋炎:CK上昇、近位筋筋力低下、皮疹
    好酸球性筋膜炎
    膠原病(血管炎、SLE、シェーグレン、強皮症、サルコイドーシス)

非炎症性疾患

    線維性筋痛
    悪性腫瘍(悪性リンパ腫、白血病、骨髄腫、アミロイドーシスなど)
    変形性関節症、頚椎症
    癒着性関節包炎(五十肩)
    感染症(結核、感染性心内膜炎、骨髄炎)
    パーキンソン症候群
    内分泌異常(甲状腺機能亢進症と低下症、副甲状腺機能亢進症と低下症、偽痛風、骨軟化症)

リウマチ性多発筋痛症 治療

ステロイド少量投与以外効果的な薬物療法はありません。
処方例
プレドニゾロン 15?20?/日(経口:2?3回分服)

    これでおよそ12時間後から症状が劇的に改善し始めます、もし効果がないようであれば他の疾患も疑います。
    赤沈、CRPも定期的に測定し治療の反応を見ましょう。
    その後、1-2?/日ずつ減量し、維持量を2.5-5?/日前後にして1年以上継続します。
    稀に長期に症状が持続する例があり、なかには10年以上ステロイド剤を継続しなければならない例もあります。
    10年以内に再発することが10%程度の確率であります。
    その他、NSAIDs、効果は確立されていませんが難治例に対するMTX、抗TNF-α薬などの報告もあります。

側頭動脈炎を合併している場合はより大量のステロイド投与(プレドニゾロン 60mg/日より開始)が必要です。

Danon病 update

Extension of the clinical spectrum of Danon disease. Neurology 2008 70: 1358-1359.
lysosome-associated membrane protein 2(LAMP2)B遺伝子に変異を認めるDanon病は、ミオパチーが目立ち精神発育遅滞が目立たない場合もあるので注意が必要