筋疾患

筋ジストロフィー全般 update

Muscle magnetic resonance imaging involvement in muscular dystrophies with rigidity of the spine.Ann Neurol. 2010 Feb;67(2):201-8.
脊椎の強直を伴う筋ジストロフィーでは,原因遺伝子異常により障害される筋の分布が異なりMRIで高い確立で区別ができる.

Natural history of Ullrich congenital muscular dystrophy. Neurology 2009 73: 25-31.
ウールリッヒ型先天性筋ジストロフィーは最初の10年での筋力低下と呼吸筋麻痺の進行が強く、個体差は少ない

Mutation in BAG3 causes severe dominant childhood muscular dystrophy. Ann Neurol. 2008 Dec 9. [Epub ahead of print]
BAG3遺伝子変異が常染色体優性の筋細線維筋ジストロフィーの原因となる.

Brain involvement in muscular dystrophies with defective dystroglycan glycosylation. Ann Neurol. 2008;64:573-82.
5種の遺伝子異常に伴うジストログリカン異常症における脳の異常をMRIにて検討から,従来考えられているよりテント下の異常も多いようだ.

A phase I/IItrial of MYO-029 in adult subjects with muscular dystrophy. Ann Neurol. 2008;63:561-71. ]
Myostatinに対する中和抗体MYO-029の筋ジストロフィー患者への投与は,筋力の改善には至らなかったが安全性は確認され,今後のmyostatin阻害薬での治療に期待がもてる

Bethlemミオパチー update

Autosomal recessive Bethlem myopathy. Neurology 2009 73: 1883-1891.
COL6A2遺伝子の複合ヘテロ接合突然変異を認めた常染色体劣性遺伝Bethlem myopathyの2例

A refined diagnostic algorithm for Bethlem myopathy. Neurology 2008 70: 1192-1199.
Bethlem myopathy (BM)の確定診断はcollagenVI遺伝子の変異を証明することであるが、筋生検の二重染色法では診断できないものの、皮膚由来のFibroblastに対するCollagenVIの蛍光免疫染色で診断精度が向上する

先天性筋無力症候群 Update

Ephedrine treatment in congenital myasthenic syndrome due to mutations in DOK7. Neurology 2010 74: 1517-1523.
エフェドリン(15-90mg/日)はDOK7遺伝子変異による先天性筋無力症の症状を少なくとも短期的には改善させる

Refinement of the clinical phenotype in musk-related congenital myasthenic syndromes. Neurology 2009 73: 1926-1928.
MUSK遺伝子変異を有する先天性筋無力症候群5例の臨床的特徴

Endplate destruction due to maternal antibodies in arthrogryposis multiplex congenita. Neurology 2009 73: 1806-1808.
母体の胎児型(γsubunit)Ach受容体抗体により発症した先天性多発性関節拘縮症の1例

Myasthenic syndrome due to defects in rapsyn: Clinical and molecular findings in 39 patients. Neurology 2009 73: 228-235.
ラプシン欠損による先天性筋無力症では多くは生後2年以内に発症しコリン作動薬の効果があり比較的予後良好で、遺伝子変異による臨床的差は少ない

The CHRNE 1293insG founder mutation is a frequent cause of congenital myasthenia in North Africa. Neurology 2008 71: 1967-1972.
北アフリカの先天性筋無力症は[varepsilon]1293insG遺伝子の創始者変異によるものの頻度が高い

Familial occurrence of autoimmune myasthenia gravis with different antibody specificity. Neurology 2008 70: 2011-2013.
母子で異なった自己抗体が検出された家族性MG

A transient neonatal myasthenic syndrome with anti-musk antibodies. Neurology 2008 70: 1215-1216.
MuSK抗体もAChR抗体と同様に胎盤を通過し胎児が一過性のMG症状を引き起こす

Clinical and molecular genetic findings in COLQ-mutant congenital myasthenic syndromes. Brain 2008 131: 747-759.
COLQ遺伝子変異による先天性筋無力症候群はAchE阻害薬の効果がなく、エフェドリンは効果があった

封入体筋炎 治療

1. Lancet neurology
2. Update on treatment of inclusion body myositis. Curr Rheumatol Rep. 2013;15:329.
3. 封入体筋炎─自己免疫疾患か変性疾患か [link]

副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤など多くの試みられ、一部反応を示す例があるものの、強い効果は期待できません。筋萎縮予防のリハビリが中心です。進行は比較的ゆっくりであり、心臓や呼吸筋は侵されにくいので、生命的な予後はよいとされています。

1. ステロイド治療
CKが低下する場合もありますが、その場合でも筋力は徐々に低下することも多く目立った効果は期待できません。

2. 免疫抑制剤
メソトレキセートシクロフォスファミドシクロスポリンミコフェノール酸モフェチルなどを使用した報告例があります。

3. 免疫グロブリン大量静注療法
有効な可能性があります。いくつかの報告では、嚥下障害を改善したり、筋力低下の進行を抑えたとしています。

以下の治療法はさらにデーターの蓄積が必要です。
4. 抗胸腺細胞グロブリン
5. 抗CD52ヒト型モノクローナル抗体製剤(alemtuzumab)
6. インターフェロンβ、TNF-α阻害薬
7. CoenzymeQ10、Carnitineなど

重症筋無力症 治療

1.重症筋無力症診療ガイドライン 2014

眼筋型で、メスチノンのみでコントロール可能な軽症例は楽ですが、全身型で抗コリンエステラーゼ薬でのコントロールが不良な例はいくつかの治療オプションがあります。さらに主にはクリーゼ(急性増悪時)の時に、血漿交換、免疫グロブリン大量静注療法を行います。

1. 対症療法
抗コリンエステラーゼ薬:コリン作動性クリーゼは注意、説明する。

    メスチノン:作用時間が短く最も使いやすい。1-3錠(60-180mg)/日
    ウブレチド:1日5-20mgを1-4回に群且つ経口投与。効果の持続時間が長い
    マイテラーゼ:メスチノンより効果が強く持続も長い一方で、副作用が強い。半錠5mg朝後より開始し、10mg/日朝昼分2から数日で15mg/日分3へ増量
    ワゴスチグミン:半減期が1時間ぐらいで作用時間が短いので単独でのMG治療には適さない副作用としてムスカリン作用が強いので、硫酸アトロピンと併用して用いられることが多い

2. 胸腺摘出術
重症筋無力症の緩解・改善の可能性を高める治療法として、全身型(眼筋型からの移行例も含む)の場合、胸腺腫の有無にかかわらず施行が望まれます。ただし、初発の場合、血漿交換、IVIg、ステロイド、免疫抑制剤などにより全身状態が落ちついた後に、行うことが多いようです
Sero-negativeのMGでは、胸腺腫の合併がほとんどなく胸腺摘除術の効果を証明したデーターもなく推奨することはできないようです。
眼筋型では、胸腺腫瘍が認められる場合は全身型への移行を予防する効果が期待できるため行うことが多いのですが,画像診断にて腫瘍を認めない場合は効果が明らかでなく,自然寛解することもあり、多くの場合は行いません。
抗MuSK抗体陽性の症例も、胸摘は無効であるので行いません

3. ステロイド
プレドニゾロンが日本では使用されます。少なくとも導入時に高容量(1mg/kg/日以上)を投与すると、少なくとも全身型MGでは初期増悪をきたしやすく、クリーゼを起こす例もあることから低容量からの導入し、漸増が望ましいと考えられます。
胸腺摘出術の前、あるいは術後に行うかどうかは一定した見解はありません。この疾患の場合、副作用を減らすため隔日投与が原則です。が、非服薬日に症状が悪化する場合は、非服薬予定日にも少量のPSLを内服にするか、連日投与にします。
また、重症例ではステロイドパルス療法を行います。
処方例:10-20mg隔日などから徐々に増量(3回投与(隔日の場合は6日間)に10mg増量など)し、1mg/kg/日か2mg/kg/隔日で2-3 ヶ月間の治療量を維持した後、再燃を防ぐため5mg/月以下の割合で漸減する。

4. 免疫抑制剤
ステロイド抵抗性、あるいはSparingのため使用されることがあります。日本ではタクロリムスとシクロスポリンのみが保険適応があります。

    1. タクロリムス(プログラフ)
    3mg を1 日1 回夕食後に経口投与する。副作用の発現を抑えるため、血中濃度(トラフ値:およそ投与12時間後に採血)を20 ng/ml 以下に保つのが望ましい。血糖上昇の副作用に注意!
    2. シクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)
    5 mg/kg/day を2 回に分けての服用するのが標準であるが、腎障害と高血圧に注意が必要で、血中濃度(トラフ値)を100-200 ng/ml にする。血清クレアチニンや血圧が上昇すれば減量する。トラフ値が100 ng/ml 以下になれば3-4 週ごとに1 mg/kg/日増加させる。
    3. アザチオプリン(アザニン、イムラン)
    50 mg/day から開始し、副作用に注意しながら5-7 日間ごとに25-50 mg/day 増量する。通常維持用量は2-3 mg/kg/day。
    その他、エンドキサン、ミコフェノール酸モフェチール、リツキマブ、エンブレル、レフルノマイドなど

5.血漿交換療法
主に急性増悪時に一時しのぎ的に使用する。Ach抗体はIgG1ですので、IAPPで治療します。MuSK抗体はIgG4ですので、単純血漿交換を選択します。
保険適応:発病後5年以内で高度の症状増悪蛍光のある場合、または胸腺摘出術やステロイドが十分走行しない場合に限る。月に7回を限度として、3ヶ月間に限って算定が認められる

6. 免疫グロブリン大量静注療法
主に急性増悪時に使用します。0.4g/kg/日
献血ヴェノグロブリン®IH5%の保険適応が2011年に通りました。効果は血漿交換療法よりは劣る印象があります。

7. 抗補体モノクローナル抗体
ソリリスR点滴静注300mg(一般名:エクリズマブ)
「全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)」の効能・効果および用法・用量が2017年12月25日のクリスマスに追加承認されました。
PNHですでに適応があり、将来的にはNMOにも使用出来ると思いますが、同薬剤につきましては髄膜炎菌感染症の発症リスクが高まることが懸念されること等から、その使用に当たってはとくに留意が必要で、使用前に髄膜炎菌ワクチン(メナクトラ筋注)を打つ必要があります。

7.重要筋無力症に対する禁忌薬の確認
重症筋無力症の禁忌薬>こちら

多発筋炎、皮膚筋炎 (PM/DM)

急性期
ジストロフィーとの鑑別が問題となりますが、造影筋MRI (STIR含む)、針筋電図、筋正検などで診断が付き次第ステロイドの投与を開始してください。臨床経過から明らかな場合は筋正検の結果は待たず治療を開始可能と考えます。投与量に関してはエビデンスはないかもしれませんが大量投与後、ステロイドを経口に切り替え減量します。その際は朝1回投与より1日3回投与にしたほうが効果的な印象があります。
しばしばステロイド大量投与を行うものの、炎症を抑えきれない劇症型と言われる活動性の高い筋炎に遭遇することがあります。ステロイドパルス療法を二回行ってもCKなどのマーカーの低下が乏しいなどステロイドで炎症のコントロールが難しい場合にはIVIg大量静注療法が効果的なことがあります(保険適応外)。

慢性期
これらの疾患ではステロイドを完全に中止することはほぼ不可能であると思われます。少量のステロイドを持続し再発を予防しましょう。ステロイドsparing(ステロイド投与量を減らすための免疫抑制剤使用)のための方法(second line treatment)もいくつか報告されています。
また、SRP抗体陽性例ではステロイドの反応性が悪いことが知られています

    メソトレキセート:アザチオプリンよりも効果があるという報告もあります。7.5mg/週から初め、20mg/週程度まで増量することもあるようです
    アザチオプリン
    シクロホスファミド:DMの治療抵抗例や血管周囲の炎症が目立つ例に有効性が期待されています
    シクロスポリン
    タクロニムス
    将来の治療
    抗TNF-α治療(レミケード、エンブレル)
    インターフェロンβ1a
    リツキサン



amyopathic DM
皮膚筋炎ではamyopathic DMといいCKの上昇の乏しい間質性肺炎の強いタイプが存在し、治療抵抗性が強いと言われています。間違って神経内科のみで治療しているようであれば、即日アレルギー科にコンサルトしましょう。シクロスポリンAなどが若干効果があるといわれていますがそれでも致死率はかなり高い疾患です。