脊髄、脊椎疾患

脊髄梗塞 update

Teaching NeuroImages: Acute bilateral hand weakness from anterior spinal artery territory cord ischemia. Neurology 2009 73: e13.
下部頚髄の前脊髄動脈梗塞により両上肢の脱力で発症した58歳男性例

頚椎症性脊髄症(CSM) 治療

保存的治療
基本は手術ですが、とりあえず手術までは以下の治療を行います
安静、頚椎カラー、牽引療法、対症療法(鎮痛剤、抗うつ薬、筋弛緩剤、神経根ブロックなど)

手術
基本的には保存的治療が多い頚椎症性神経根症と異なり、進行性の「脊髄症」や神経根症があれば手術を考慮します。前方、後方アプローチがありますが、それぞれの利点につき議論が盛んになされている段階です

    前方アプローチ
    3椎間までの病変や高齢でない場合に考慮されます。前方から骨棘が除去できる利点がありますが、Swan neck deformityが生じやすいためanterior platingやBraceが必要になることもあります
    後方アプローチ
    3椎間異常の多椎体病変、高齢者に行います。椎弓切除術(+後方固定術)、椎弓形成術などがあります

頚椎症性脊髄症(CSM) 診断

概念
50歳以上の脊髄症も最も多い原因です。脊柱管断面の面積が30%以上減少すると、多くの場合脊髄症(ミエロパチー)の症状を引き起こします。脊髄圧迫因子としては以下の二つに主に分けます。

    静的因子:椎間板ヘルニア、骨棘、骨化巣による圧迫
    動的因子:頚椎の前後屈での脊髄の伸展や損傷。骨棘と黄色靭帯の折れ曲がり、上位椎体の後方へのすべり

症状
多くは徐々に進行し、階段状に進行することも多い印象があります。また、転倒など外傷を契機に症状が一段と悪化することも良く見かけます

    脊髄症:下肢の痙縮、後索障害による歩行時のふらつき、病変部以下の感覚障害など
    神経根症:上肢のしびれ感、脱力、筋萎縮、腱反射低下など
    疼痛:髄内起源の疼痛(medullary pain)、神経根性疼痛(radicular pain)、後枝内側枝起源の疼痛(軸性疼痛、axial pain)

画像
なんと行っても、MRIです。その他、ミエログラフィー、頚椎X-p、(硬膜外電極による)脊髄電位測定などを施行することもあります
MRIの所見

    T2強調画像で脊髄内の高信号(基本です)
    圧迫部位を中心にsnake-eye sign(灰白質に沿って上下髄節に進展)
    脊髄のブーメラン形あるいはバナナ形変形
    主に圧迫部位ですが、CSMノ8%程度に、脊髄背側あるいは後側方に目立つ造影効果を認め、術後の症状改善の乏しさと関連し、約60%は術後1年で造影効果が消失すると言われています

病型

    1型:脊髄中心部障害
    2型:1型+後側索部障害
    3型:3型+前側索部障害

病理

    血管系:髄内の血管は狭窄、閉塞され虚血性変化を生じます(特に分水嶺領域)、前角は脊髄中心動脈の分水嶺にあたるため、虚血に対して脆弱な部分のようです
    脱髄:直接圧迫される白質病変については脱髄変化を引き起こします
    軸索変性:一次求心性ニューロンは軸索変性の要素が強いといわれています

軸性疼痛、axial painとは?
頚椎椎間板ヘルニア、変形性頚椎症では、後頚部、肩甲骨内側部、傍脊椎部にReferred painを引き起こします。原因としては、脊椎洞神経が刺激され、神経根後枝を経て、後頚部、肩甲骨部に疼痛を引き起こすと考えられています
この、軸性疼痛では、術後の後頚部痛、肩甲部痛として訴えられることも多いようです。そのため、後頚部伸筋群の債権は重要で、C2棘突起についているSemispinalis muscle, inferior oblique muscleを温存したりなどなど色々な試みがなされています

症状との対比に必要な図(脊椎脊髄ジャーナル 2002 vol15より抜粋)
紛らわしいのですが、脊髄前角の障害部位はその前方に位置する椎体の位置よりも一髄節下になります(下図)。従って、例えばC4/5に強い前方からの突出がある場合に、神経根が障害される場合はC5が障害されますが、前角のレベルですとC6が障害されます。画像と、障害部位、障害筋、感覚障害の分布、腱反射の変化から、頸椎病変によってすべての症状が説明しうるのかを評価しなければなりません。上肢筋の髄節に関しても報告により少しvariantがあります。また、神経根の走行に関しても1髄節程度ずれることも稀にあります。

その他の脊髄障害 update

Surfers’ myelopathy: a case series of 19 novice surfers with nontraumatic myelopathy. Neurology. 2012;79:2171-6.
サーファー脊髄症はサーフィン初心者に多く見られ、胸髄から円錐部にかけての病変の頻度が高い

Pearls & Oy-sters: Fibrocartilaginous embolism myelopathy. Neurology 2010 74: e21-e23.
線維軟骨塞栓症による脊髄症と考えられた25歳男性例

Improved outcome after lumbar microdiscectomy in patients shown their excised disc fragments: a prospective, double blind, randomised, controlled trial JNNP2009 Sep;80(9):1044-6内視鏡的腰椎椎間板切除術後に、切除切片を見せたグループは、見せなかったグループよりも予後が良い

Lower back pain caused by tophaceous gout of the spine. Neurology 2009 73: 404.
脊椎の結節性痛風により背部痛が出現した75歳男性例

A 63-year-old woman with urinary incontinence and progressive gait disorder. Neurology 2009 72: 1607-1613.
尿失禁と進行性歩行障害で発症したadult polyglucosan body病の63歳女性例

Metastatic epidural spinal cord compression. Lancet Neurol 2008;7:459-66.
転移性腫瘍による圧迫性の脊髄障害についてのレヴュー

頸椎症性脊髄症 upadate

Brain reorganization in patients with spinal cord compression evaluated using fMRI. Neurology 2010 74: 1048-1054.
頚椎症性頚髄症ではfMRIでのBOLD信号が対象群と比較して中心前回で増加し、中心後回で低下していたが、減圧術後はBOLD信号はそれぞれ増加した

Quantitative assessment of hand disability by the Nine-Hole-Peg Test (9-HPT) in cervical spondylotic myelopathy. JNNP 2008 Apr 17 [Epub ahead of print]
頸椎症性脊髄症でのNine-Hole-Peg Test (9-HPT)による評価は,簡単に行え,手の器用さをよく表している

脊髄空洞症 update

Assessment of spinal somatosensory systems with diffusion tensor imaging in syringomyelia
J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009;80:1350-1356

3D拡散テンソル画像を用いて脊髄空洞症の脊髄を評価した。異方性比率(fractional anisotorophy)が感覚障害、冷感受性、脊髄視床伝導時間と相関した。この相関は、後側よりも腹側(脊髄視床路)で高かった。

A Giant Spinal Cord Cavity. Arch Neurol. 2009;66(10):1294-1295.
頚髄に大きな空洞を認めた水脊髄症の27歳女性例

Presyrinx in children with Chiari malformations. Neurology 2008 71: 351-356.
キアリ奇形による前空洞症病変を持つ小児例では大後頭孔の髄液の流れが停滞し、減圧術により髄液流、脊髄症状、前空洞症病変のMRIでの異常信号や脊髄腫張が改善する

Interstitial spinal cord edema in syringomyelia associated with Chiari type I malformation. JNNP 2008 Apr 10 [Epub ahead of print]
Chiari1型奇形に伴う脊髄空洞症では,MRIで脊髄の間質性浮腫が見られ,脊髄空洞症の外科的治療により改善する

Neuromyelitis optica 治療

参照:多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017

急性期治療
急性期治療に関しては、今のところ多発性硬化症の治療に準じます。したがって、急性期治療はステロイドパルスになりますが効果が乏しい場合は2回パルスを行うこともあります。
血漿交換や白血球除去療法(lymphocytapheresis)も比較的効果的であることが報告されています。
1. ステロイドパルス療法
2. 単純血漿交換療法:2週間以上かけて7回/月まで
3. 免疫グロブリン大量静注療法:視神経炎には保険収載されました

再発予防
NMOの15 – 20%は単相性ですが、再発率も高く、約半数は1年以内に再発すると言われています

低容量の経口ステロイド:低用量プレドニン内服(15 – 20mg/日)長期投与が再発率を低下させるようです。
アザチオプリン:50〜100mg/日
エクリツマブ:現段階では最も強力な再発予防効果があります
リツキサン :未だ保険収載されません
ミトキサントロン[ref]
ミコフェノール酸 モフェチル(セルセプト):比較的再発予防効果は高いようです[ref]
単純血漿交換療法:定期的に血漿交換を繰り返すmaintenance PEの報告も増えていています

将来的な再発予防薬
ベバシズマブ:VEGF阻害薬
シベレスタット:好中球エラスターゼ阻害
IL-6阻害薬:IL-6依存性プラズマブラストの抑制[ref]
C1エステラーぜ阻害役

一方で、MSと異なり、インターフェロンβに関しては再発予防の有効性は確立されていません。むしろ、投与後早期に広範な大脳病変が出現する場合もあり、それぞれの症例に応じた検討、インフォームドコンセントが重要です。
ジレニアも再発あるいは副作用が出現しやすい可能性があります。

対症療法
痙性しびれ神経痛排尿障害などによる治療
有痛性強直性痙攣(painful tonic spasm)に対しては、メキシチールがとても効果的です
NMOでは類似疾患である多発性硬化症と比較して、疼痛の頻度が高く(86.2% vs. 40.9%)、Visual Analog Scale (VAS)の度合いも高い(疼痛の程度が強い)ことが知られています [ref]

予後因子
はっきりとしたものは分かっていませんが、初発時の運動症状の存在、四肢麻痺、1年以内の再発などが予後不良と関連しています。
IL-6, IL-17, GFAPなどのbiomarkerも関連する可能性があります

Neuromyelitis optica 診断

はじめに
球後視神経炎と多椎体に渡る急性横断性脊髄炎がほぼ同時か,1-2週間の間隔で生じるタイプの中枢性炎症性疾患は日本人に多いことが以前より知られています。以前は多発性硬化症の病型の一つと考えられていた時代もありましたが、主には多発性硬化症の障害targetとなるミエリンとは異なり、アストロサイトのAQP4(アクアポリン4)に対する自己抗体が発見されたこともあり全く別の病気と考えられます。
血清抗AQP4抗体はELISA法であればSRLで即て可能です。同様に血清抗AQP4抗体が上昇する、シェーグレン症候群、SLEなどの膠原病もチェックしましょう。鑑別診断のためでもありますし、特にシェーグレン症候群合併の頻度が高いことも知られています。

概念
AQP4抗体などの自己抗体により、主にアストロサイトの障害を来す疾患です。視神経、脊髄に病変を来すことが多いのですが、まれに大脳白質、視床下部(ナルコレプシー、自律神経障害など)、中脳水道周囲、延髄に限局した病変(最後野の障害による吃逆など)や可逆性白質脳症(PRES)、tumerfactive lesionなどを来すこともあり、NMO spectrum disorderと呼ばれています[参考]

鑑別診断
脊髄長大病変という意味では、以下のようなものが鑑別でしょうか。
神経ベーチェット
サルコイドーシス
悪性腫瘍の転移
Spinal dAVF
脊髄梗塞
脊髄腫瘍(Astrocytomaなど)
MS、ADEM
感染性(梅毒、結核、VZV、HTLV-I、HIV など)
自己免疫疾患による二次的な脊髄病変(ANCA関連疾患など)
など

検査
血液検査:AQP4抗体はELISA法であればSRLで測定可能ですが、cell-based assay(ELISAよりも感度が高い?)及びMOG抗体は東北大学が測定を下さいます。AQP4抗体が陰性の場合にはMOG抗体の測定を考慮します。
髄液検査:オリゴクローナルバンドが陽性となる頻度はMSと比較すると低いと言われています。また、IL-6は上昇しますが、MSでは逆に低下することが多いため鑑別に有用です。蛋白の上昇、細胞の軽度の上昇を認めることが急性期はよくあります
眼科受診やVEP:NMOと診断するためには脊髄病変に加え、AQP4抗体が検出されるか、さもなければ視神経炎の存在が必要です
造影脊髄MRI:典型的には脊髄に3椎体以上にわたる長い病変を認めますが、1-2椎体と短いこともあります。椎体の長さよりも、病変が灰白質(脊髄中心部)であることが重要にも思います
造影脳MRI:大脳白質では造影MRIにてcloud-like enhancementという特徴的な所見を呈することが知られています。また、視床下部病変によるナルコレプシー、延髄病変による難治性吃逆など特徴的な臨床徴候を示すこともあります。脳病変を有するNMOは、脳病変のないNMOと比較して年間再発率が有意に高いという報告もあります

脊髄MRIT2強調画像:頚髄、胸髄に多椎体にわたる広範囲の高信号病変が連続して認められます

NMOのMRIの特徴
多発性硬化症の脊髄病変とは違い、横断性脊髄炎の臨床像に対応して病変は脊髄中央部に位置し(centrally located long spinal cord lesion: LCL)、その広がりは左右前後に広がっているため矢状断では脊髄中央部に幅の広い病変として描出さます。脊髄にも関わらず時にはring状CEを示すこともあります。また,大脳白質では造影MRIにてcloud-like enhancementという特徴的な所見を呈することが知られています。

MOG抗体について
NMOで最も重要なAQP4抗体が陰性の場合には、MOG抗体が約20%で検出されるという報告もあります[ref]。AQP4抗体陽性例と比較して、MOG抗体陽性例は、両側性の視神経炎を来すことが多いものの視力障害の程度が軽く、また再発が少ないため予後が良いとも言われています。

Neuromyelitis optica update

Atypical inflammatory demyelinating syndromes of the CNS. Lancet Neurol. 2016;15:967-981.
NMO、ADEM、Baloなど非典型的な脱髄病変を呈する疾患の総説

Autoimmune aquaporin-4 myopathy in neuromyelitis optica spectrum. JAMA Neurol. 2014;71:1025-9.
高CK血症とAQP-4発現低下と炎症性ミオパチー様所見が検出されたNMOの51再女性例

Distinction between MOG antibody-positive and AQP4 antibody-positive NMO spectrum disorders. Neurology. 2014 Feb 11;82(6):474-81.
AQP-4抗体陰性NMOの約21%でMOG抗体が検出され、MOG陽性例は再発回数が少なく予後が良かった

Brainstem manifestations in neuromyelitis optica: a multicenter study of 258 patients. Mult Scler. 2013 Oct 7.
NMOでは、脳幹症状として嘔吐(33.1%)、しゃっくり(22.3%)、眼球運動障害(19.8%)の出現頻度が高く、特にAQP4抗体陽性例では脳幹症状の出現頻度が高い

Painful tonic spasm in neuromyelitis optica: incidence, diagnostic utility, and clinical characteristics. Arch Neurol. 2012;69:1026-31.
NMOではMSやAQP4抗体陰性の脊髄炎と比較すると有意に多く(約25%)に有痛性強直性痙攣が見られ、特に最初の脊髄症発症後の回復期に出現しやすい

Neuromyelitis optica: not a multiple sclerosis variant. Curr Opin Neurol. 2012 Jun;25(3):215-20.
AQP4のアイソフォームなど、視神経脊髄炎の病態に関する総説

Aquaporin 4 and neuromyelitis optica. Lancet Neurol. 2012;11:535-44.
NMOとアクアポリン4抗体に関する総説

Anti-Aquaporin-4 monoclonal antibody blocker therapy for neuromyelitis optica.Ann Neurol. 2012;71:314.
NMO-IgGがAQP4と結合するのを競合阻害する抗体の投与により,培養細胞の障害やモデルマウスの脊髄病変の拡大を防ぐ事ができる.

Myasthenia gravis and neuromyelitis optica spectrum disorder: A multicenter study of 16 patients. Neurology. 2012 May 15;78(20):1601-7.
重症筋無力症とNMOは合併することがあり、重症筋無力症が先に発症することが多く胸腺摘出術後の発症が多かった

Interleukin 6 signaling promotes anti-aquaporin 4 autoantibody production from plasmablasts in neuromyelitis optica. Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Feb 14.
NMOではIL-6依存性に抗アクアポリン4抗体を産生するB細胞が検出される

Intractable vomiting as the initial presentation of neuromyelitis optica.Ann Neurol. 2010;68:757-61.
難治性の嘔吐で発症したNMOの12例

Quantification and Functional Characterization of Antibodies to Native Aquaporin 4 in Neuromyelitis Optica. Arch Neurol. 2010;67(10):1201-1208.
NMOでのnative AQP4-IgG抗体の新たな測定法では、従来法と同様に高い特異度を持ち、さらに抗体の活性を測定できる可能性がある

Familial neuromyelitis optica. Neurology 2010 75: 310-315.
NMOは稀に家族内発症を認めるが、その場合も臨床的表現型は孤発性NMOと比較して差がない

EFNS guidelines on diagnosis and management of neuromyelitis optica. Eur J Neurol. 2010 Aug;17(8):1019-32.
NMOの診断と治療に関する総説

Neuromyelitis Optica Treatment: Analysis of 36 Patients. Arch Neurol. 2010;67(9):1131-1136.
NMO36例による検討では、アザチオプリンあるいはアザチオプリンと少量プレドニンによる治療が再発を低下させるようだ

Astrocytic damage is far more severe than demyelination in NMO: A clinical CSF biomarker study. Neurology 2010 75: 208-216.
髄液MBPと比較して、髄液GFAP及びS100βは多発性硬化症よりもNMOで有意に上昇しており重症度と相関するとともに治療により減少する

Interferon Beta Treatment in Neuromyelitis Optica: Increase in Relapses and Aquaporin 4 Antibody Titers. Arch Neurol. 2010;67(8):1016-1017.
インターフェロンβの投与により再発とAQP4抗体価の上昇が見られたNMOの46歳女性

Neuromyelitis optica preceded by hyperCKemia episode. Neurology 2010 74: 1543-1545.
NMO発症に先行して血清CK値の著増を認めた3例

Neuromyelitis optica in France: A multicenter study of 125 patients. Neurology 2010 74: 736-742.
フランスでのNMOの疫学調査では、白人女性の罹患が多く37%は発症時にEDSS4点以上であり多くは免疫療法で治療されているが7年で半数以上はEDSS4点以上に進行する

Neuromyelitis optica-IgG (aquaporin-4) autoantibodies in immune mediated optic neuritis.
J Neurol Neurosurg Psychiatry 2010;81:109-111

視神経脊髄炎はMRIで分類されてきたが、AQP4自己抗体が診断的な意味を持つ。AQP4自己抗体の陽性率は、NMOで56%、MS-ONで0%などであった。

Role of n-type voltage-dependent calcium channels in autoimmune optic neuritis.Ann Neurol. 2009;66:81-93.
自己免疫性視神経炎ではN-type電位依存性Caチャンネルを介して病的なCa流入があり,また同チャネルのマクロファージやマイクログリアでの発現が亢進することで2次性の軸索障害がおこっている可能性がある.

B-cell activating factor of the TNF family is upregulated in neuromyelitis optica. Neurology 2010 74: 177-178.
NMOではRRMSと比較して血清及び髄液のTNFファミリーメンバーB細胞活性化因子(BAFF)が有意に上昇していた

Intrathecal pathogenic anti-aquaporin-4 antibodies in early neuromyelitis optica. Ann Neurol. 2009;66:617-2
NMO患者の脳脊髄液中に過剰発現した形質細胞から作製した組み替えモノクローナル抗体は,AQP4を認識し,EAEラットに投与するとNMO様の病理変化を来す.

Neuromyelitis optica: pathogenicity of patient immunoglobulin in vivo.Ann Neurol. 2009;66:630-4
ヒトのAQP-4抗体は,T細胞を介した自己免疫脳炎モデルラットへの投与により,NMOと同様な病変を惹起することができる

“Cloud-like enhancement” is a magnetic resonance imaging abnormality specific to neuromyelitis optica.Ann Neurol. 2009;66:425-8.
NMOでは脳MRIで,境界のぼやけた斑状の病変が散在する所見が特徴的である

Symptomatic narcolepsy in patients with neuromyelitis optica and multiple sclerosis: new neurochemical and immunological implications. Arch Neurol. 2009 Dec;66(12):1563-6.
NMOや多発性硬化症では視床下部病変やヒポクレチンの低下が見られナルコレプシーを生じることがある

Pathologic and immunologic profiles of a limited form of neuromyelitis optica with myelitis. Neurology 2009 73: 1628-1637.
NMO抗体陽性症例は、視神経炎を合併する典型的なNMOであっても脊髄炎のみの不完全なNMO (limited form) であっても臨床経過や病理所見は非常に類似していたが、limited formの治療改善率は明らかに優れていた

Relapsing neuromyelitis optica: long term history and clinical predictors of death. J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009; 80: 1162-1164.
再発性視神経脊髄炎(女性88例男性8例)の臨床像:発症は平均29.5歳、持続期間9.5年、再発0.7回/年、66例で一眼以上の視力障害を経験している。

Diagnosis of Neuromyelitis Spectrum Disorders: Comparative Sensitivities and Specificities of Immunohistochemical and Immunoprecipitation Assays. Arch Neurol. 2009;66(9):1134-1138.
AQP-4抗体を使用したNMO診断の特異度は免疫染色、免疫沈降共に99%と高いが、感度は免疫沈降法が免疫染色より低く、併用すると5%程度感度が上がる

Nineteen Episodes of Recurrent Myelitis in a Woman With Neuromyelitis Optica and Systemic Lupus Erythematosus. Arch Neurol. 2009;66(9):1160-1163.
17回の再発を認めリツキサンを導入後も2回再発した非活動性SLEを伴うNMOの女性例

Prediction of Neuromyelitis Optica Attack Severity by Quantitation of Complement-Mediated Injury to Aquaporin-4-Expressing Cells. Arch Neurol. 2009;66(9):1164-1167.
NMO再発症例の血清ではNMO抗体価と関係なく、AQP-4発現細胞への補体媒介性細胞障害が強く見られ重症再発例でよりその現象がはっきり見られる

Treatment of Neuromyelitis Optica With Mycophenolate Mofetil: Retrospective Analysis of 24 Patients. Arch Neurol. 2009;66(9):1128-1133.
ミコフェノール酸 モフェチル(セルセプト)は25%で何らかの副作用が出現するが、NMOの再発率を低下させ、91%で神経症状の改善を認める

Neuromyelitis Optica IgG Serostatus in Fulminant Central Nervous System Inflammatory Demyelinating Disease. Arch Neurol. 2009;66(8):964-966.
NMO IgG陽性例はステロイド難治性の中枢神経脱髄性疾患との関連があるわけではなく、やはり長い脊髄病変があるなどNMOという臨床スペクトラムに特異的である

Optical coherence tomography helps differentiate neuromyelitis optica and MS optic neuropathies. Neurology 2009 73: 302-308.
光学的干渉断層法による網膜神経線維層厚測定では、MSよりもNMOの方が網膜神経線維層厚が薄く両者の鑑別に有用かもしれない

Distinctive retinal nerve fiber layer and vascular changes in neuromyelitis optica. JNNP 2009 Sep;80(9):1002-5
視神経炎を呈するMS,OMNでは網膜の神経細胞層が菲薄化しており,OMNでは眼底血管の変化が多く見られ,剖検で見られる視神経や脊髄の血管壁肥厚と同じ病態を示しているのかもしれない.

Marked increase in cerebrospinal fluid glial fibrillar acidic protein in neuromyelitis optica: an astrocytic damage marker.JNNP 2009 ;80(5):575-7.
NMOの急性期では髄液のGFAPがMSや脊髄梗塞と比べて著明に上昇し,病変の大きさや重症度とも相関する.

A case of NMO seropositive for aquaporin-4 antibody more than 10 years before onset. Neurology 2009 72: 1960-1961.
NMO発症10年前の血清でもAQP4抗体が検出された34歳女性例

Oligodendrocytes: Susceptibility to injury and involvement in neurologic disease. Neurology 2009 72: 1779-1785.
神経疾患によるオリゴデンドロサイトの障害と関与に関する総説

NMO-IgG detected in CSF in seronegative neuromyelitis optica. Neurology 2009 72: 1101-1103.
血清NMO-IgGが陰性で,髄液NMO-IgGのみ陽性であったNMOの3例の臨床的特徴

Optical coherence tomography differs in neuromyelitis optica compared with multiple sclerosis. Neurology 2009 72: 1077-1082.
光干渉断層法(Optical Coherence Tomography)による検討では多発性硬化症よりもNMOでより網膜神経線維層厚が薄かった

Neuromyelitis Optica and Concentric Rings of Balo in the Brainstem. Arch Neurol. 2009;66:274-275.
同心円状の病変を脳幹に認めたNMOの29歳女性例

Modification of Multiple Sclerosis Phenotypes by African Ancestry at HLA. Arch Neurol. 2009;66:226-233.
HLA-DRB1*15は脊髄視神経型MSでは少なく2年早い発症と関連し、アクアポリン4抗体陽性例でHLA-DRB1*15を認めることはない

Treatment of Neuromyelitis Optica With Rituximab: Retrospective Analysis of 25 Patients. Arch Neurol. 2008;65:1443-1448.
リツキシマブはNMO(25人)の再発率を低下させ神経症状を改善させた

Polyspecific, antiviral immune response distinguishes multiple sclerosis and neuromyelitis optica. JNNP 2008;79:1134-6. Epub 2008 Feb 12.
MSでは多くで見られる髄腔内での麻疹,風疹,水痘ウィルスに対する抗体産生が,視神経脊髄炎NMOでは見られず異なった病態を示唆している.

Optical Coherence Tomography in Neuromyelitis Optica. Arch Neurol. 2008;65:920-923.
光干渉断層法(Optical Coherence Tomography)による網膜神経線維層厚の測定は簡便な方法で、NMOの視野・視力障害、VEPの所見とよく相関しEDSSのスコアーともよく相関する

Aquaporin-4 Antibodies in Neuromyelitis Optica and Longitudinally Extensive Transverse Myelitis. Arch Neurol. 2008;65:913-919.
fluorescence immunoprecipitation assay(FIPA)によるAQP4抗体測定はNMOの75%以上で検出され特異度100%、感度も螢光抗体間接法よりも高い

CNS aquaporin-4 autoimmunity in children. Neurology 2008 71: 93-100.
AQP4抗体陽性の小児例(18歳以下)では大部分でNMO類似の症状を引き起こし、さらに広範な中枢神経系の炎症を引き起こす例や他の自己免疫疾患の合併例もある

Aquaporin-4 Autoantibodies in a Paraneoplastic Context. Arch Neurol. 2008;65:629-632.
NMO-IgG抗体陽性のNeuromyelitis optica症例の一部は傍腫瘍自己免疫反応の可能性があり悪性腫瘍を検索するべきである

Mechanisms of Disease: aquaporin-4 antibodies in neuromyelitis optica. Nat Clin Pract Neurol. 2008;4:202-14.
Neuromyelitis opticaの2008年度review