脳血管障害

脳血管炎 update

Brain biopsy in children with primary small-vessel central nervous system vasculitis.Ann Neurol. 2010;68:602-10.
小児の原発性中枢神経小血管炎の13例の回顧的分析では,非病変部の生検でも診断可能であったが,ステロイドの使用や生検までの長時間の経過,不十分な生検では特異的な組織学的所見が見られなかった.

Giant cell arteritis of the Basal cerebral arteries: correlation of MRI, dsa, and histopathology. Neurology 2010 74: 1651-1653.
原発性脳血管炎による内頚動脈の炎症をMRIで検出しえた59歳女性例

Primary angiitis of the central nervous system: response to mycophenolate mofetilJ Neurol Neurosurg Psychiatry 2009; 80: 1159-1161.
mycophenolate mofetilが奏効した中枢神経限局血管炎の一例

Primary Angiitis of the Central Nervous System. Arch Neurol. 2009;66(6):704-709.
脳血管炎の診断、治療に関する総説

Angiographic Diagnosis of Primary Central Nervous System Vasculitis With Spinal Cord Involvement. Arch Neurol. 2009;66(4):532-533.
血管造影にて診断しえた脳血管炎による脊髄症の43歳女性例

Primary CNS vasculitis with spinal cord involvement. Neurology 2008 70: 2394-2400.
原発性中枢神経系血管炎では5%に脊髄病変が認められ特に胸髄に多く、下肢の症状や排尿障害を来たしやすい

Primary central nervous system vasculitis: analysis of 101 patients. Ann Neurol. 2007;62:442-51.
脳血管炎の臨床的特徴

脳出血 治療

ガイドライン:2007AHA

出血源からの血腫の増大を防ぐのが治療の最大の目的です。ステロイド、血液希釈療法、グリセロール、マンニトールの脳出血に対する効果は現在までの臨床試験では効果がありませんでした。

1.脳外科コンサルト
神経症状が進行し脳幹圧迫/水頭症所見のある3cm以上の小脳出血は血腫除去術をすぐに行わなくてはなりません。また脳表から1cm以内に位置する皮質下出血の場合も脳外科にコンサルトしてください。
2.降圧療法
収縮期血圧200以上の場合、あるいは収縮期血圧が180以上+かつICP(頭蓋内圧)上昇の所見がある場合、160/90mmHgを目標に血圧を下げます。現在血圧低下の目標値設定のためATACH研究が行われています。急性期は1日6回ぐらい血圧測定をしてください。
ヘルベッサー(塩酸ジルチアゼム):10mg+生食10mlをゆっくり静注。以降、心機能に注意しながらヘルベッサー200mgあるいは250mg+生食100mlをつくり5ml/hで持続静注(最大 25ml/h)。徐脈に注意し、必要に応じ減量、中止、硫酸アトロピン1A ivも検討する。
その他、ラシックス20mg静注、ソルダクトン200mg静注など
3.全身管理
A.脳圧コントロール:評価は脳画像、脳室カテーテル以外に経頭蓋ドプラー超音波検査でも評価できるようです。以下の方法が脳圧を下げる手段として考えられますが、第一選択となるほど強い効果があるものはありません。

    頭部挙上:30度以上に上げると脳圧が低下するが頭部はまっすぐにする
    セデーション:挿管症例など、プロポフォール、ミダゾラムなど
    マンニトールなど:ICPは低下し、CPPは増加するが、リバウンドがあり血液量が減少してしまう
    過換気:CO2の目標値は、30-35mmHg
    ドレナージ:脳室からの髄液ドレナージ

B.血糖管理

    140mg/dL以上の血糖値は予後不良因子です

C.けいれん発作

    特にLobar出血ではけいれん発作の合併が高くなることが知られています。治療は重責発作時と同様です。

D.体温管理、感染症の治療

    体温上昇を防ぐことは推奨されますが、一方で低体温療法はICP低下に効果的なものの合併症も多くあまり行われません。

E.深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症の予防

    空気圧式マッサージ器の使用でICH症例での深部静脈血栓の合併率は下がるようですが、抗血栓薬の使用に関する効果のエビデンスレベルは高くありません。

4.その他
ワーファリン内服中の脳出血:PT-INR<1.35-1.5を目標にVitaminK1を静注(ケイツー20mg ivなど)する。ワーファリンの中和に関しては、2018年にはケイセントラ [4F-PCC(II, VII, IX, X凝固因子)]の静脈投与が可能となりました。INRの値によって、投与量が決められています。4F-PCCは半減期が短いために、ケイツーとの併用を行うことで、安定した凝固因子の増加を実現できます。
ヘパリンは量に応じて(量は上記ガイドライン参照)、プロタミンの使用も考慮する。AF、弁膜症などでワーファリンを使用せざるおえない場合、再開は脳出血発症後2週程度経過した時点で考慮する。
血栓溶解療法後の脳出血:血小板(6-8U)、第8因子を含む血漿製剤の投与が考慮されることもあります。

臨床治験
遺伝子組換え活性型第 VII 因子:血友病症例に使用されていて、出血を抑える働きがあります。少なくとも血腫増大抑制効果はありそうですが、長期生存率、機能転機などに対する効果ははっきりしません。

予後不良因子
血糖上昇、ワーファリンの使用、意識レベル低下、体温上昇>37.5℃
予後因子
皮質出血、軽度の神経脱落症状、フィブリノーゲン低値

再発予防
1.高血圧の治療:急性期治療に降圧薬静脈投与した場合、いつ経口に切り替えるべきかということに関するデータはない
2.禁煙、アルコールを控えめにする

Susac症候群 update

Clinical Reasoning: A 28-year-old pregnant woman with encephalopathy. Neurology 2009 73: e74-e79.
妊娠中に脳症を発症したSusac症候群の28歳女性例

Diffusion tensor imaging demonstrates fiber impairment in Susac syndrome. Neurology 2008 70: 1867-1869.
Susac症候群ではMRIのFA画像で脳梁を中心とした白質の異方性低下が検出できる

新生児脳虚血 update

Teaching NeuroImages: Neonatal intracerebral hemorrhage associated with aortic coarctation. Neurology 2010 74: e52.
頭蓋内出血にて発症した大動脈縮窄症の新生児例

Stroke due to nontraumatic intracranial dissection in a child. Neurology 2009 72: e100.
頭蓋内動脈解離により脳梗塞を発症した9歳女児例

COL4A1 mutation in two preterm siblings with antenatal onset of parenchymal hemorrhage. Ann Neurol. 2009;65:12.
Procollagen type IV alpha1(COL4A1)遺伝子の新規G1580R変異により胎児期に脳出血を生じた2例の報告

The course and outcome of unilateral intracranial arteriopathy in 79 children with ischaemic stroke. Brain 2009 132: 544-557
小児の脳梗塞症例ではしばしば一過性脳血管異常がMRAで検出されるが炎症が原因の場合、血管異常が一過性であっても神経症状が残存する場合が多い

Arrested oligodendrocyte lineage maturation in chronic perinatal white matter injury. Ann Neurol. 2008 Apr 4 [Epub ahead of print]
周産期の虚血性白質障害部位では乏突起膠細胞系統の分化や変性が停止しており,繰り返しの虚血に対してより脆弱になっている.

Activated Src kinases interact with the N-methyl-D-aspartate receptor after neonatal brain ischemia. Ann Neurol. 2008;63:632-41.
SFKs(Src family kinases)は新生児の脳虚血におけるNMDARを介した興奮性毒性に関与しており,その阻害剤が治療に有効であるかもしれない.

脳アミロイドアンギオパチー update

Spatial relation between microbleeds and amyloid deposits in amyloid angiopathy.Ann Neurol. 2010;68:545.
アミロイド血管症では,アミロイドの沈着が多いところに微小出血が起こっている.

Cerebral amyloid angiopathy pathology and cognitive domains in older persons.Ann Neurol. 2010 Nov 8.
脳アミロイド血管症は一般高齢者の多く(約85%)で認められ,中等度から高度のアミロイド血管症は認知速度の低下などと相関している.

Cerebral β-amyloid detected by Pittsburgh compound B positron emission topography predisposes to recombinant tissue plasminogen activator-related hemorrhage.Ann Neurol. 2010;68:959-62.
tPA投与後に脳出血した人にはPiB蓄積が多くみられ,出血の背景に脳アミロイド血管症が示唆される.

Cerebral amyloid angiopathy related inflammation: three case reports and a review. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2010 Oct 9.
炎症性アミロイドアンギオパチー3例と過去の報告をまとめた臨床的特徴と、診断基準の提案

Case records of the Massachusetts General Hospital. Case 22-2010. An 87-year-old woman with dementia and a seizure. N Engl J Med. 2010 Jul 22;363(4):373-81.
認知機能障害と痙攣発作にて発症し、剖検で炎症性アミロイドアンギオパチーと診断された87歳女性例

Hereditary Cerebral Hemorrhage With Amyloidosis Associated With the E693K Mutation of APP. Arch Neurol. 2010;67(8):987-995.
APP E693K遺伝子変異を持つイタリアの家系の調査で、その臨床像は反復する頭痛や脳卒中と痙攣、認知機能障害が多くに見られ、画像的には脳出血、くも膜への出血、小梗塞、微小出血、白質粗鬆化が目立ち、組織学的には軟膜や実質の血管にアミロイドβの沈着が認められた

Prevalence of superficial siderosis in patients with cerebral amyloid antipathy. Neurology 2010 74: 1346-1350.
脳アミロイドアンギオパチーでは約6割に表層ヘモジデリン沈着がみとめられ、アミロイドアンギオパチーに関連しない脳出血では認めないため、表層ヘモジデリン沈着の存在は脳アミロイドアンギオパチーの診断の感度を上昇させる

11C-PIB binding is increased in patients with cerebral amyloid angiopathy?related hemorrhage. Neurology 2010 74: 487-493.
脳アミロイドアンギオパチー皮質下出血では皮質のPIB集積が対象群より上昇し、アルツハイマー病と比較すると皮質PIB集積は低いが後頭葉の集積が相対的に高い傾向にあった

Cerebrospinal fluid amyloid beta(40) is decreased in cerebral amyloid angiopathy. Ann Neurol. 2009 Aug;66(2):245-9.
脳アミロイド血管症の患者では髄液のアミロイドβ40と42の濃度が上昇しており,総タウ濃度と組み合わせることで健常対象者と区別が可能だ.

MRI in amyloid β-related brain angiitis. Neurology 2009 73: 247.
MRIで皮質下に微小出血と周囲に浮腫を認め、生検でβアミロイド関連血管炎が見られた52歳男性

Silent ischemic infarcts are associated with hemorrhage burden in cerebral amyloid angiopathy. Neurology 2009 72: 1230-1235.
アミロイドアンギオパチーの15%程度に動脈硬化性の危険因子と関係なくDWI高信号の小さな亜急性期脳虚血病巣が見られ、その場合は陳旧性の出血性変化を伴う場合が多い

Intrafamilial diversity of phenotype associated with app duplication. Neurology 2008 71: 1925-1926.
レビー小体病やアミロイドアンギオパチーを家系内で発症したAPPのDuplication家系

Impaired visual evoked flow velocity response in cerebral amyloid angiopathy. Neurology 2008 71: 1424-1430.
脳アミロイドアンギオパシーでは経頭蓋ドップラーエコーによる視覚誘発脳血流速度上昇の障害が見られる

Carbon 11-Labeled Pittsburgh Compound B Positron Emission Tomographic Amyloid Imaging in Patients With APP Locus Duplication. Arch Neurol. 2008;65:540-544.
11C-PiB PETで遺伝性脳アミロイドアンギオパチー脳内のアミロイド沈着の程度を画像化できるが、孤発生ADやAPP遺伝子のDuplication患者と異なり、線条体、被殻、帯状回後皮質でのUptakeが高い

脳動静脈奇形 update

Somatic Activating KRAS Mutations in Arteriovenous Malformations of the Brain. N Engl J Med. 2018;378:250-261.
脳動静脈奇形の組織検体の多くで、活性化KRAS変異が同定された。脳血管内皮細胞におけるMARK (マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)-ERKシグナル伝達経路がKRASによって活性化される結果として脳動静脈奇形が発生すると推察された

Medical management with or without interventional therapy for unruptured brain arteriovenous malformations (ARUBA): a multicentre, non-blinded, randomised trial. Lancet. 2013: S0140-6736(13)62302-8.
未破裂脳動静脈奇形 223例による検討では、薬物療法単独のほうが、薬物療法+介入治療(予防的切除/塞栓術/定位的放射線療法)を行うよりも死亡や脳卒中のリスク抑制に優れる

Teaching NeuroImages: Spontaneous asymptomatic occlusion of a cerebral arteriovenous malformation. Neurology 2010 74: e105.
ナイダスが血栓により自然閉塞を来たした脳動静脈奇形の34歳男性例

Cerebral developmental venous anomalies: current concepts.Ann Neurol. 2009;66:271-83.
脳の静脈奇形についての最近の画像診断や臨床症状,対処法などについてのレビュー.

Soluble endoglin modulates aberrant cerebral vascular remodeling. Ann Neurol. 2009;66:19-27.
脳動静脈奇形組織では可溶性endoglinレベルが上昇しており,内皮機能障害などにより奇形発症に関与している可能性がある.

Postpartum thrombosis of a developmental venous anomaly. Neurology 2009 72: 92-93.
分娩後に脳静脈性奇形の部位に血栓症を来たした1例

Outcome after spontaneous and arteriovenous malformation-related intracerebral haemorrhage: population-based studies. Brain 2009 132: 537-543
動静脈奇形による脳出血は非外傷性の自然発症脳出血よりも機能予後が良い

Management and clinical outcome of posterior fossa arteriovenous malformations – report on a single center 15 years experience. JNNP. 2008 21. [Epub ahead of print]
後方窩の動静脈奇形の98例の臨床所見のまとめ.

A reversible cause of “vascular dementia”. Neurology 2008 71: 226.
硬膜動静脈奇形により可逆性の認知機能障害を来たした63歳女性例

Outcome after interventional or conservative management of unruptured brain arteriovenous malformations: a prospective, population-based cohort study. Lancet Neurol. 2008;7:223-30.
未破裂脳動静脈奇形は,大きさと治療を行うことが短期間(3年)での予後を悪化させる

くも膜下出血 update

Clinical decision rules to rule out subarachnoid hemorrhage for acute headache. JAMA. 2013;310:1248-55.
クモ膜下出血に関する決定基準として、先行研究で示されている3つのルールのうちのルール1である「40歳以上」「首の痛みや硬直」「目撃者のいる意識消失あり」「労作時の発症」を採用した場合、クモ膜下出血に関する感度は98.5%、特異度は27.5%であり、そこに、「雷鳴頭痛」(発症後、1時間以内に痛みがピークに達する頭痛)と、「診察時の頸部屈曲制限」を加えたオタワSAH基準では、感度は100%と高く、特異度は15.3%だった

The Natural Course of Unruptured Cerebral Aneurysms in a Japanese Cohort. N Engl J Med 2012; 366:2474-2482.
未破裂動脈瘤の年間破裂率は 0.95%で、動脈瘤の大きさに伴い破裂のリスクは上昇した(直径3-4 mmの動脈瘤を基準とする直径別のハザード比は,5-6 mmで1.13、7-9 mmで3.35、10-24mmで9.09、25mm以上で76.26であった)

Sensitivity of computed tomography performed within six hours of onset of headache for diagnosis of subarachnoid haemorrhage: prospective cohort study. BMJ. 2011 Jul 18;343
第三世代マルチスライススキャナ頭部CTは、発症6時間以内のくも膜下出血に対する感度が100%、陰性的中率100%と非常に優れていた

Hydrogel-coated coils versus bare platinum coils for the endovascular treatment of intracranial aneurysms (HELPS): a randomised controlled trial. Lancet. 2011;377(9778):1655-62.
脳動脈瘤に対するヒドロゲル被覆コイルを用いた血管内塞栓術は、瘤破裂の明らかな抑制効果や長期的な臨床アウトカムの改善効果はもたらさないものの、脳動脈瘤再発を有意に抑制する

High risk clinical characteristics for subarachnoid haemorrhage in patients with acute headache: prospective cohort study. BMJ. 2010; 341:c5204
急性頭痛患者1999人を対象に、くも膜下出血のリスクが高い臨床的特徴を前向きコホート研究で調査することにより策定した、くも膜下出血と関連する問診13項目・検査3項目のその組合せは、感度100%・特異度28.4-38.8%と有用であった

Recurrent spreading depolarizations after subarachnoid hemorrhage decreases oxygen availability in human cerebral cortex.Ann Neurol. 2010;67:607.
重傷くも膜下出血では,皮質の拡散性脱分極による酸素利用障害を来たし,遅発性の虚血性神経障害の原因となる.

Time trends in outcome of subarachnoid hemorrhage: Population-based study and systematic review. Neurology 2010 74: 1494-1501.
クモ膜下出血の死亡率はここ20年間で半分ぐらいに低下しているが、主には病院到着時に生存していた症例の予後の改善が寄与しているようだ

Parity and risk of hemorrhagic strokes. Neurology 2010 74: 1424-1429.
経産婦はくも膜下出血及び脳出血発症の危険性が上昇するが、出産回数が増えるに従い危険性も上昇する

Plasma Magnesium Concentrations and Clinical Outcomes in Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage Patients. Post Hoc Analysis of Intravenous Magnesium Sulphate for Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage Trial. Stroke. 2010 Jun 10.
マグネシウムの静脈注射はクモ膜下出血患者に有害である

Acute Cerebral Ischemia Owing to Unruptured Dissecting Intracranial Aneurysm: An Uncommon Contraindication for Intravenous Thrombolysis. Arch Neurol. 2010;67(6):770-771.
中大脳動脈遠位部の非外傷性解離性動脈瘤により脳梗塞を来たした25歳女性例

Cerebrovascular Carbon Dioxide Reactivity and Delayed Cerebral Ischemia After Subarachnoid Hemorrhage. Arch Neurol. 2010;67(4):434-439.
SAH発症1週間以内に二酸化炭素に対する血管の反応性が低下していることは遅発性脳梗塞の危険因子のようだ

Atraumatic convexal subarachnoid hemorrhage: Clinical presentation, imaging patterns, and etiologies. Neurology 2010 74: 893-899.
非外傷性円蓋部クモ膜下出血では60歳以下の場合、血管造影で血管攣縮を認める突発性の激しい頭痛が特徴でRCVSと当初は診断されることも多く、60歳以上の場合は微小出血や表層シデローシスを伴う一過性の運動感覚障害で、基礎疾患にアミロイドアンギオパチーが存在する可能性が高い

Long-term mortality and vascular event risk after aneurysmal subarachnoid haemorrhage
J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009;80:1399-1401

動脈瘤性くも膜下出血の患者の死亡率は全体で1.7倍(40歳以下で3.2倍)。11.2%の患者でくも膜下出血から10年以内に血管イベントが起こった。

Changes in case fatality of aneurysmal subarachnoid haemorrhage over time, according to age, sex, and region: a meta-analysis. Lancet Neurol. 2009;8:635-42. Epub 2009 Jun 6.
約30年前と比べて,くも膜下出血の年齢は上昇しているが,致命率は改善しており,地域差が大きい.(日本は低い)

Calcific embolus causing subarachnoid hemorrhage. Neurology 2009 73: 245-246.
石灰化塞栓により脳梗塞とくも膜下出血を来たした51歳男性例

Risk of recurrent subarachnoid haemorrhage, death, or dependence and standardised mortality ratios after clipping or coiling of an intracranial aneurysm in the International Subarachnoid Aneurysm Trial (ISAT): long-term follow-up.Lancet Neurol. 2009 Mar 27. [Epub ahead of print]
破裂動脈瘤によるくも膜下出血に対してコイル塞栓術をした患者はクリッピングに比べてわずかに再出血率(他の動脈瘤も含む)は高いが,5年後死亡率は少し低い.

Age at intracranial aneurysm rupture among generations: Familial Intracranial Aneurysm Study. Neurology 2009 72: 695-698.
家系内で世代の差による動脈瘤の破裂率に有意差はなかった

Impact of cardiac complications on outcome after aneurysmal subarachnoid hemorrhage: A meta-analysis. Neurology 2009 72: 635-642.
クモ膜下出血症例では、BNP、CK-MB、心エコーなどで評価した心機能が悪い集団は死亡率の上昇、遅発性の脳梗塞、予後不良と関連が認められた

Smoking and family history and risk of aneurysmal subarachnoid hemorrhage. Neurology 2009 72: 69-72.
第一親等内に脳動脈瘤によるクモ膜下出血がいる場合、喫煙によって家族歴のない非喫煙群と比較してクモ膜下出血の発症率が6.4倍になる

High CSF TGFss levels after subarachnoid haemorrhage: association with chronic communicating hydrocephalus. JNNP 2008 Dec 9. [Epub ahead of print]
くも膜下出血後に交通性水頭症になる患者は,出血後1?9日での髄液中のTGFss1/ss2が高値である.

Vanishing aneurysm in pretruncal nonaneurysmal subarachnoid hemorrhage. Neurology 2008 71: 1375-1377.
動脈瘤が消失した非動脈瘤性くも膜下出血の一例

Gender and ethnic differences in subarachnoid hemorrhage. Neurology 2008 71: 731-735.
米国の一般人口集団の中ではメキシコ系アメリカ人と女性はくも膜下出血発症の危険性が高い

Effect of prophylactic transluminal balloon angioplasty on cerebral vasospasm and outcome in patients with Fisher grade III subarachnoid hemorrhage: results of a phase II multicenter, randomized, clinical trial. Stroke. 2008;39:1759-65.
脳血管攣縮の軽減を目的とした経皮経腔的バルーン血管形成術(PTBA)は、Fisherグレード?のくも膜下出血(SAH)患者のアウトカム不良を改善しない

Coiling of basilar tip aneurysms: results in 154 consecutive patients with emphasis on recurrent haemorrhage and re-treatment during mid- and long-term follow-up. JNNP 2008 79:706-11
脳底動脈先端の動脈瘤に対するコイル塞栓術は,10mm以上の大きさで再開通のため再治療が必要となることが多いものの,長期経過で再出血は少なく安全で有効な治療である

Perimesencephalic nonaneurysmal hemorrhage associated with vein of Galen stenosis. Neurology 2008 70: 2410-2411.
大大脳動脈の狭窄により静脈圧が上昇し非動脈瘤性中脳周囲出血を来たした2例

Effectiveness and costs of screening for aneurysms every 5 years after subarachnoid hemorrhage. Neurology. 2008;70:2053-62.
SAH治療後、CTアンギオでフォローすることは費用がかかり、生存期間をほとんど延長させず、QALY(質調整生存年数)は低下し再破裂の危険性が高い症例意外は推奨されない

High mean fasting glucose levels independently predict poor outcome and delayed cerebral ischemia after aneurysmal subarachnoid haemorrhage. JNNP 2008 Apr 10 [Epub ahead of print]
動脈瘤破裂によるくも膜下出血の患者で,空腹時平均血糖値が高いことは遅発性の脳梗塞の発症などを含めて予後が悪いことを意味する

Interleukin 6 gene polymorphisms are not associated with aneurysmal subarachnoid haemorrhage in an Italian population. JNNP 2008;79:471-3.
近年IL-6のプロモータ領域の遺伝子多型が動脈瘤によるくも膜下出血と関係していると報告されたが,今回調べた機能的な変化をもたらす2つのSNPについては,イタリア人での関連性は見られなかった.

Heterogeneity of cerebral perfusion one week after haemorrhage is an independent predictor of clinical outcome in patients with aneurysmal subarachnoid haemorrhage. JNNP 2008 Mar 20 [Epub ahead of print]
くも膜下出血1週間後の脳血流SPECTで脳の部位によるばらつきが大きいと,その後の脳虚血病変が多く予後も悪い.

ラクナ梗塞 治療

脳卒中治療ガイドライン 2009:書籍

急性期治療

治療概要
急性期治療として最もエビデンスレベルの高いアスピリン投与(推奨グレードA)を行い、エダラボンの投与も推奨されます(推奨グレードB)。アスピリン投与の難しい場合は、代わりにオザグレルの投与を行うこともあります(推奨グレードB)。

アスピリン:抗血小板療法
110-300 mg/日の経口投与は、発症早期(48時間以内)の脳梗塞患者の治療法として推奨される。
処方例:バイアスピリン2T1x 7日間投与後、1T1Xで維持
オザクレル(キサンボン)、抗血小板療法
160 mg/日の点滴投与は、急性期(発症5日以内)のラクナ梗塞患者の治療法として推奨される。
処方例:キサンボン注20mg 4A(80mg)+生食100ml (1日2回)14日間
エダラボン(ラジカット):脳保護剤
発症24時間以内の各種病型の脳梗塞に対しフリーラジカルスカベンジャー(ラジカット)の投与が推奨される。
処方例:ラジカット注30mg 1A+生食100ml(1日2回)14日間
注)eGFR<30あるいはCr>1.5と腎障害が強い場合は、効果が乏しく腎障害、肝機能障害が強く出る可能性が高いため、使用を控えてください

慢性期治療
1. 抗血小板療法

    プレタール:アスピリンよりもプレタールの方が再発予防効果が高い可能性があります(CSPSII)
    アスピリン:バイアスピリン1T1X
    プラビックス

アテローム血栓性脳梗塞 治療

脳卒中治療ガイドライン 2009:書籍

治療概要
血栓溶解療法の適応がある場合には速やかにrt-PAの投与を行います。主幹動脈にアテローム血栓による狭窄病変を有する本病型では、発症早期の神経症状悪化を呈する症例(early neurological deterioration; END)も多く、しっかりとした抗血栓療法を行った方が良いと思います。
つまり、rt-PA非適応例の急性期治療として最もエビデンスレベルの高いアスピリン(推奨グレードA)に加え、アルガトロバン(推奨グレードB)の追加、さらにはスタチン追加が望ましいと考えられます。また、血行力学的な機序が考えられる場合は、低分子デキストランなどの血漿増量薬の投与により神経症状の改善を認めることがありますが、十分な科学的根拠はないようです(グレードC1)。
脳保護薬としてのエダラボン及び、脳浮腫の強い場合のグリセロールや開頭外減圧術の施行に関しては心原性脳塞栓症と同様です。
また、内頚動脈などの主幹動脈狭窄病変はしっかりチェックして、外科的治療の適応を判断することも重要です。

急性期治療
アスピリン:抗血小板療法

110-300 mg/日の経口投与は、発症早期(48時間以内)の脳梗塞患者の治療法として推奨される。
処方例:バイアスピリン2T1x 7日間投与後、1T1Xで維持
アルガトロバン(ノバスタン):抗凝固療法
発症48時間以内のアテローム血栓性脳梗塞に選択的トロンビン阻害薬のアルガトロバンが推奨される。
処方例:初めの2日間(ノバスタン注10mg 6A(60mg)を持続静注)、その後5日間(ノバスタン注10mg 1A+生食100ml 1日2回)
オザグレル(キサンボン):抗血小板療法
オザクレル160 mg/日の点滴投与は、急性期(発症5日以内)の脳血栓症患者の治療法として推奨される。
処方例:キサンボン注20mg 4A(80mg)+生食100ml (1日2回)14日間
エダラボン(ラジカット):脳保護剤
発症24時間以内の各種病型の脳梗塞に対しフリーラジカルスカベンジャー(ラジカット)の投与が推奨される。
処方例:ラジカット注30mg 1A+生食100ml(1日2回)14日間
注)eGFR<30あるいはCr>1.5と腎障害が強い場合は、効果が乏しく腎障害、肝機能障害が強く出る可能性が高いため、使用を控えてください

慢性期治療
1. 抗血小板療法

    アスピリン:バイアスピリン1T1X
    プラビックス
    プレタール

以下にアテローム血栓性とはいえ、再発予防としてのアスピリンとプラビックスの併用は、出血リスクが高くなるため、ステント留置などの特殊な状況がある場合以外は推奨されません。

2. 外科的治療
内頚動脈狭窄に対して
  頸動脈内膜剥離術(CEA)
  ステント留置術(CAS)
中大脳動脈狭窄に対して
  バイパス術(STA-MCAなど):広範な脳梗塞がなく、脳血流予備能がStageIIと低下している場合に適応
  ステント留置術は、積極的内科治療を上回る効果は認められていません

心原性脳塞栓症 治療

脳卒中治療ガイドライン 2009:書籍

治療概要
1. 超急性期治療血栓溶解療法の適応がある場合には速やかにrt-PAの投与を行い、内頚動脈閉塞などにより再開通が得られず、ペナンブラ領域が広く存在する場合には血管内治療による血栓除去療法(thrombectomy)も考慮します。
2. 急性期治療
心房細動を初めとした心疾患を原因とする本病型では、早期再潅流により出血性脳梗塞を発症数日以内に合併する場合が多いため、抗凝固療法をいつから開始するかは判断が難しいところです。急性期のヘパリン投与による再発予防は、出血の副作用が有意に上がることは証明されていますので、梗塞体積が小さく出血の影響が少ない場合、再発のリスクが高い場合、多発している場合、DVTが強く存在する場合に限られると考えます。そのような再塞栓リスクが非常に高い場合を除くと、発症1週間後からの新規抗凝固療法(NOAC)、発症1週間後に最適な抗凝固効果を得るための発症3日後ぐらいからのワーファリン導入が望ましいと考えます。
一方で、急性期脳梗塞治療としてエビデンスレベルの高いアスピリンに関しては、出血病巣を拡大する可能性があるため、梗塞領域の小さい場合に限るなど慎重な投与が必要となります。その他の急性期治療としては脳保護薬としてのエダラボン(推奨グレードB)及び、脳浮腫の強い場合にはグリセロールを使用します(推奨グレードB)。さらに、大きな病変で脳浮腫により脳ヘルニアを来す可能性がある場合には、発症48時間以内に開頭減圧術を行うことにより、機能予後の改善効果が認められます(推奨グレードA)。

急性期治療の投与例
アスピリン投与
脳梗塞急性期のアスピリン投与は、脳梗塞の機能予後を改善させるため。使用が推奨されます。つまり、アスピリンでbridging後にワーファリンを導入します。ただし、大きすぎる脳梗塞や出血性梗塞になった場合は投与しないか、中止が好ましいと考えます
グリセロール(抗浮腫療法)
高張グリセロール静脈内投与は、頭蓋内圧亢進をともなう大きな脳梗塞の急性期に推奨される。
処方例:グリセオール(1回200mlを1時間以内、1日2-6回)
エダラボン(ラジカット):脳保護剤
発症24時間以内の各種病型の脳梗塞に対しフリーラジカルスカベンジャー(ラジカット)の投与が推奨される。
処方例:ラジカット注30mg 1A+生食100ml(1日2回)14日間
注)eGFR<30あるいはCr>1.5と腎障害が強い場合は、効果が乏しく腎障害、肝機能障害が強く出る可能性が高いため、使用を控えてください

再発予防
ヘパリン(急性期塞栓再発予防)
最近はあまり行われません。発症48時間以内に出血の認められなかった症例に対しヘパリン投与が再発予防に効果があるとの報告もありますが、一定した見解がないからです。再発予防の目的で使用する場合にも、十分なインフォームドコンセントが必要である。
処方例:ヘパリン注 1万-1.5万単位持続静注(APTT 1.5-2.0倍を目標)
ワーファリン
頭蓋内出血などが目立たなければ、比較的早期から、アスピリンをワーファリンに切り替えることにより、再発予防を行います。

慢性期治療
1. 抗凝固療法

    ワルファリン
    プラザキサ
    イグザレルト
    エリキュース
    エドキサバン

2. 心房細動、弁膜症など心疾患の治療

出血性梗塞のリスク

    広範囲梗塞(特に心原性塞栓による)
    入院時の高血糖
    血栓溶解療法
    高齢者