血管内悪性リンパ腫(intravascular malignant lymphomatosis: IML or IVL)治療

標準治療は、昔から全身的化学療法(特にCHOP療法)になります。さらに、平均罹病期間9.8ヶ月と予後不良でしたが、Rituximab併用により予後は画期的に改善しています。
腫瘍細胞が主に血管内にとどまるため、CHOP療法・Rituximab併用により静脈内投与された薬剤が直接血管内の腫瘍細胞に作用し、治療効果を最大限発揮することができ、予後改善につながっていると考えられています。

CHOP療法:シクロホスファミド+ヒドロキシダウノルビシン(アドリアマイシン)+オンコビン(ビンクリスチン)+プレドニゾロン
+
Rituximab

予後
3年平均生存率:従来型で81%、アジア亜型で60%
Rituximab併用あり:2年無増悪生存割合56%、全生存割合66%、3年生存割合60%
Rituximab併用なし: 2年無増悪生存割合27%、全生存割合46%、3年生存割合41%

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血管内悪性リンパ腫(intravascular malignant lymphomatosis: IML or IVL)診断

はじめに
神経内科では原因不明の脳梗塞、脳症、馬尾障害などで遭遇することが多いかと思います。
主に50-60代で発症し、一般的な悪性リンパ腫がリンパ系に増殖するのに対して、なぜか血管内で腫瘍細胞が増殖する疾患です。腫瘍細胞の増殖がなぜ血管内にとどまるのか、その機序はいまだ十分に解明されていないようですが、細胞が血管外に遊走する機構(adhesion mechanism)の障害は少し知見があります。
大部分がintravascular large B-cell lymphoma (IVLBL)ですが、稀にT-cell, NK-cellも報告されています。

症状

    皮膚/肺病変、神経症状がよく検出されます
    全身症状:B症状と呼ばれる、発熱、盗汗、全身倦怠感、体重減少など
    神経症状:下記
    皮膚病変:典型的には有痛性の発赤病変で、老人性血管腫と思われるような病変や毛細血管拡張といった病変が多いですが、色素沈着や出血を伴った皮疹もあります
    副腎病変
    肺病変
    甲状腺病変

他のリンパ腫と比較し、骨髄、脾臓、リンパ節の障害頻度は低いことが特徴です
血球貪食症候群を主徴とするIVLBL(アジア亜型)も報告が増加しています

検査と診断
罹患臓器からの生検による病理学的な診断が重要です。臨床症状は多彩でしばしば診断に苦慮、生前診断は30%とされてきましたが、皮膚生検などで診断率が上昇しています。

    ランダム皮膚生検:皮疹部位だけでなく、非皮疹部位からも病変が検出されることがあります。表皮周辺の血管ではなく、深い皮下組織の間にある小血管に見られるため、パンチbiopsyでなく2-3cmのくさび状の皮膚切開を加え、できるだけ多くの皮下脂肪織を含むように筋膜直上までの摘出を、少なくとも3か所以上から採取する必要が有ります
    血液検査:ESR、LDH著増、sIL-2R著増など
    髄液検査:蛋白増加はよく見られます。細胞診やsIL-2Rの提出。脳悪性リンパ腫(診断)も参照
    FDG-PET/CT:罹患臓器検索のため
    肺CT:びまん性すりガラス、小葉中心性の淡い濃度上昇など多彩。肺梗塞を合併することもあります。造影も必要と思われます。
    脳MRI:DWI高信号で脳梗塞と区別が難しい例も多いですが、脳梁を含めた白質を好む傾向、やや動脈支配と一致しない傾向、髄膜の造営効果を認めることがあるなどから鑑別を進めましょう。経時的変化も重要です。
    腰椎造影MRI:馬尾は後発部位です。稀に生検することもあります

IMLに見られる神経症状
初診時に25%、IML全経過では85%以上に神経症状が見られると報告されています。特に中枢神経障害の頻度が高く、血管閉塞によるに突然発症、及び亜急性・進行性の経過が多く見られます

    脳血管障害が最多(76%)
    脊髄・神経根障害(38%):腰仙髄障害、その際は神経根も障害されやすい
    亜急性脳症
    単神経障害
    多発単神経障害(脳神経含む)
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多発性骨髄腫(MM)に伴う末梢神経障害 治療

参考:多発性骨髄腫の診療指針
多発性骨髄腫は、分子標的治療薬をはじめ、いろいろな治療選択肢が増えてきました。この診療指針はコンパクトにわかりやすくまとめてあります

はじめに
無症候性MMは経過観察、骨の孤立性形質細胞腫は放射線療法ですが、症候性MMの場合には、予後が不良であり移植療法を含めた化学療法が必要になります。末梢神経障害が臓器障害に含まれていないことが、しばしば混乱を招きますが、、、
つまり、自己免疫性機序のMM末梢神経障害の場合で、MM臓器障害がない場合にはPE/IVIg/corticosteroidsなどにより末梢神経の治療を行い、臓器障害を伴う場合やAL amyloidosisの場合には、移植療法を含めた化学療法を積極的に行うべきと考えられます。
MMの臓器障害

    1.高カルシウム血症:血清カルシウム>11mg/dlまたは基準値より1mg/dlを超える上昇
    2.腎不全:血清クレアチニン>2mg/dl
    3.貧血:Hb値が基準値より2g/dl以上低下または10g/dl未満
    4.骨病変:溶骨病変または圧迫骨折を伴う骨粗鬆症(MRIあるいはCT)
    5.その他:過粘稠症候群、アミロイドーシス、年2回以上の細菌感染
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癌性髄膜炎 (meningeal carcinomatosis) 診断

はじめに
悪性腫瘍の髄膜播種(meningeal dissemination)を原因とします。比較的亜急性に進行する多発脳神経麻痺の鑑別のtop3に入る比較的頻度の高い疾患です。原病の悪性腫瘍の種類により、血行性、直接浸潤、経神経あるいは経血管性など様々な経路を取って髄膜に播種します。

疫学
腺癌が最も頻度が高い(乳癌、肺癌、胃癌、大腸癌、悪性黒色腫)
白血病および悪性リンパ腫が原因となるのは5-15%、原発性脳腫瘍では1-2%程度です
原発巣が不明な髄膜播種も1-7%にあります

症状

    大脳半球の症状(15%):意識変動、嘔吐、痙攣、感覚障害、歩行障害
    脳神経障害(35%):複視、難聴、視力低下、顔面感覚低下、嚥下障害
    脊髄および神経根(60%):感覚障害、背部痛、上位・下位運動ニューロン障害

検査

    髄液検査:細胞上昇、蛋白の著名な増加、糖の低下、細胞診は確定診断に重要で、2-3回提出、腫瘍マーカー提出、β2-MG著増、血液系腫瘍の場合(Flow cytometry, DNA single-cell cytometryなど)
    血液検査:腫瘍マーカー、原発巣の検索
    脳MRI:FLAIRやT1Gd造影で髄膜の高信号
    脊髄MRI:馬尾のT1Gd造影所見など
    Gaシンチ、PET

Appendix
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傍腫瘍性脳幹脳炎 診断

Hu抗体関連脳幹脳炎の総説[ref]
Ma2抗体関連脳幹脳炎の総説[1, 2, 3]

概要
多くの場合肺小細胞癌に伴う、Hu抗体やMa2抗体などにより亜急性に脳幹障害症状が進行する疾患です。それらの抗体では脳幹以外(辺縁系など)にも障害をきたし売りますが、障害の中心が脳幹の場合に傍腫瘍性脳幹脳炎(paraneoplastic brainstem encephalitis: PBE)と呼ばれることがあります。

    抗Hu抗体(antineuronal nuclear autoantibody type 1: ANNA-1):肺小細胞癌との関連が強く、下位脳幹,延髄が主病巣となることが多いため、球症状や中枢性低換気などがあります。PBEではMRI異常は乏しいことが多いと思われます。
    抗Ri抗体(ANNA-2):乳癌・肺癌との関連が強く、オプソクローヌスが有名ですが、眼球運動障害、顎ジストニアなどの報告があります
    抗Ma2抗体:中脳間脳レベルが多く、核上性眼球運動障害、パーキンソン症状、ナルコレプシーなどの報告があります。過去の報告も含めてMRI異常が見つかることが多い印象があります。
    抗NMDAR抗体:卵巣奇形腫と関連し、意識障害,自律神経障害、中枢性低換気などを呈します
    抗GABAB受容体抗体
    など

症状

    中脳病変:眼球運動障害、核上性垂直方向性眼球運動障害、複視、眼瞼下垂、パーキンソン症状、ナルコレプシー
    橋病変:VI麻痺、VII麻痺、垂直性眼振、進行性めまい、歩行失調、複視、オプソクローヌス
    延髄病変:嚥下・構音障害、中枢性低換気、喉頭攣縮

鑑別診断

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傍腫瘍性末梢神経障害 診断

概念
肺がんを中止とした固形癌、悪性リンパ腫を中心とした血液系癌からの液性因子により、末梢神経が多くの場合亜急性に障害されます。
そのため、様々な自己抗体が検出されます。

分類
大まかには以下の様に分類されますが、各病型が、あるいは中枢神経障害がoverlapすることもあり多彩な症状が出現することが特徴です。最も有名な、sensory neuronopathyに関しては中枢神経系へ障害が及ぶことがあり、また、脊髄前角に障害が及ぶこともあり、sensory neuronopathyにしては珍しく運動系の障害を伴う例もあります。

病型 自己抗体 悪性腫瘍
亜急性感覚性ニューロノパチー
(Sensory neuronopathy)
±
cerebellar degeneration
抗Hu抗体
抗CV2/CRMP5抗体
抗amphiphysin抗体
肺小細胞癌,胸腺腫,神経内分泌腫瘍
肺小細胞癌,胸腺腫
肺腺癌,原発不明癌
運動感覚性ニューロパチー
(Sensorimotor neuropathy)
抗Yo抗体
抗Ri抗体
抗Hu抗体
抗CV2/CRMP5抗体
抗amphiphysin抗体
卵巣癌,子宮癌,乳癌
肺小細胞癌,肺非小細胞癌,原発不明癌
肺小細胞癌,胸腺腫,神経内分泌腫瘍
肺小細胞癌,胸腺腫
肺腺癌,原発不明癌
脱髄性ニューロパチー
(感覚優位)
抗MAG抗体
抗SGPG抗体
抗gaglioside抗体
原発性マクログロブリン血症
多発性骨髄腫,MGUS
Autonomic neuropathy 抗Hu抗体
抗CV2/CRMP5抗体
α3-AchR
 
その他
Vasculitic neuropathy
Brachial plexopathy
Chronic gastrointestinal-
pseudo-obstruction
   

検査

    血液検査、髄液検査:自己抗体の測定が重要(SRLでも主要なものは測定可能です)、各種鑑別診断も
    末梢神経伝導速度検査
    自律神経検査:瞳孔異常の有無も確認を
    脳MRI:小脳、辺縁系の障害の合併はないでしょうか?
    FDG-PET/CT:悪性腫瘍の検索を
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神経芽腫 update

Anti-GD2 Antibody with GM-CSF, Interleukin-2, and Isotretinoin for Neuroblastoma. N Engl J Med 2010; 363:1324-1334.
高リスクの神経芽腫患者に対する ch14.18(腫瘍関連抗原ジシアロガングリオシド GD2 に対するモノクローナル抗体),GM-CSF,インターロイキン-2 を用いた免疫療法は,標準的なイソトレチノイン(isotretinoin)治療に比べて転帰の有意な改善と関連していた

Outcome after Reduced Chemotherapy for Intermediate-Risk Neuroblastoma. N Engl J Med 2010; 363:1313-1323.
中間リスク神経芽腫患児において,MYCN 増幅に関する生物学的特徴に基づく治療割付けのもと,先行試験で用いられたレジメンよりも化学療法の投与期間を大幅に短縮し投与量を減量した結果,非常に高い生存率が達成された

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血管内悪性リンパ腫(IML) update

FDG-PET a Pivotal Imaging Modality for Diagnosis of Stroke-Onset Intravascular Lymphoma. Arch Neurol. 2010;67(3):366-367.
脳梗塞症状で発症しFDG-PETで血管内リンパ腫と診断・治療した2例

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MTX関連リンパ増殖性疾患 (MTX-related lymphoproliferative disorders(MTX-LPD))

概念
MTX長期投与に伴い出現するリンパ腫で、WHO分類ではMTX-LPDは免疫不全に伴うリンパ増殖性疾患に分類されています。

疫学
発症頻度は明らかではないのですが、比較的高齢者に多く、MTX投与後平均3年で発症しています
MTX-LPD発症例のMTX投与期間は平均30ヶ月(2-108ヶ月)、総投与量は平均1500mg (180-3600mg)
現病のほとんど(85%)はRAですが、尋常性乾癬、皮膚筋炎などの報告もあります
移植後リンパ増殖性疾患のような100%の関連はないのですが、MTX-LPDでは60%程度EBVが組織に証明され、EBV感染、再活性化との関連が注目されています。すなわち、通常,EBV感染B細胞は細胞傷害性T細胞の働きにより増殖が抑制されていますが、宿主免疫低下により潜伏感染しているEBウイルスが再活性化され増殖して発症するという仮説があります。
MTX中止により、約半数例、特にEBV関連では自然退縮が見られる特徴があります

症状

    発熱、体重減少などの全身症状
    リンパ節腫脹
    皮膚や肺などのリンパ節外病変

検査

    全身造影CT、FDG-PET、Gaシンチなど
    血液検査:LDH上昇、s-IL2R上昇、CRP軽度高値、EB抗体、EB-PCRなど
    リンパ節生検:EBER in situも。組織学的には、び漫性大細胞型B細胞リンパ腫,ホジキンリンパ腫が多く、特にdiffuse large〜mixed B cell lymphomaの頻度が高いようです。

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全身のリンパ節腫大、リンパ節外病変が検出されます
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生検されたリンパ節ではEBER (EBV-encoded small RNA) in situ hybridization (EBER-ISH)法での陽性シグナルが見られることが多く、発症にEBVの関与が示唆される例が多く存在します。

治療
1. MTX中止
特に、EBV陽性例はMTX中止により自然退縮が得られやすいようです
自然退縮率:EBV陽性例は60%、陰性例は40%

2. CHOPなどの化学療法
中止後、2週間でリンパ節腫脹など臨床症状の改善がなければ化学療法を考慮します

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脳原発悪性リンパ腫 診断

概念
高齢者に多い、あるいはHIV症例に多く合併する脳腫瘍です。脳にはリンパ系組織はないかのに、なぜ悪性リンパ腫が発生するのかはまだわかっていません。
脳原発のものは、ほとんどがnon-Hodgkinリンパ腫 (NHL)で,B 細胞性リンパ腫(大細胞型)が約80〜90%を占めます

検査
中枢神経感染症、サルコイドーシスなど肉芽腫性疾患、その他の腫瘍性疾患(gliomaなど)、MSなどの脱髄性疾患に関する鑑別を速やかに行ってください。
細胞診、生検による確定診断、及び脳原発か二次性であるのかにより治療法も異なりますので、全身臓器のリンパ腫の有無の確認が必要です。

    血液検査:s-IL2R
    骨髄穿刺、骨髄生検
    髄液検査:β2-MG、s-IL2R、細胞診は最低3回は提出、細胞数が多ければflow cytometry、gene rearrangement検索も
    全身造影CT
    Gaシンチ
    FDG-PET:全身臓器の集積の他に、中枢神経に局所的集積があるかどうかも忘れずに確認してください。悪性リンパ腫であれば必ずhot spotになるはずです
    メチオニンPET:腫瘤形成性MSなどではメチオニンの集積はほとんど見られませんが、リンパ腫では高集積します
    脳造影MRI:著名な造影効果を有することはもちろんですが、ADCの低下を反映してDWI(拡散強調画像)の高信号が目立つという所見も有名ですが、それほど感度も特異度も高くありません
    眼科受診:ocular lymphomaの有無や、ブドウ膜炎の有無を
    脳タリウムSPECT:retention indexでトキソプラズマとの鑑別にトライ
    脳生検:極力病理学的なconfirmが必要です

PCNSL

Gd造影後T1強調画像では、脳室周辺、脳弓に造影増強効果を認め、同部位はFDG-PET(右下)でのグルコース代謝がかなり亢進しています

病理
N/C比の高いリンパ球様の細胞が密集します。病理学的に鑑別が難しいのは膠芽腫ですので、CD3, CD5などのPan-T cell marker、CD20などのB-cell markerが陽性かどうかは重要な所見です。
また、Ki-67、GFAP、Oligo2なども行い膠芽腫との鑑別を行います。

PCNSLの特殊な病型
多くの場合、Gd造影増強効果を伴う孤発腫瘍として検出されることが多いですが、以下のような特殊な病型も報告されています。

    Lymphomatosis Cerebri
    白質脳症の鑑別の一つになるような造影されないびまん性の白質病変を呈す病型です。リンパ腫細胞が原因であるにも関わらず造影されないのはBBBが保存されているためともされています。この病型の場合には、多くの場合diffuse large B cellで、免疫正常者での発症がほとんどです。
    症状:亜急性の認知症や、小脳失調
    画像所見:大脳の左右対称性の白質病変で、深部白質、基底核、脳梁、小脳に異常信号を認め、基本的に造影されませんが、病期が進行するとGd造影されるようになることもあるようです

Primary leptomeningeal lymphoma

    PCNSLの7%を占める稀な病型で、リンパ球細胞浸潤が髄膜のみで、全身性にも脳・脊髄実質にも認めないものです。この病型の場合、多くはB細胞性のようです。
    症状や画像は、癌性髄膜炎同様です。

AIDS関連中枢神経原発悪性リンパ腫とEBV

    HIV感染者には高率に悪性リンパ腫が続発します。そのほとんどが非HIV感染者に発生する悪性リンパ腫と異なって、リンパ節外の臓器を原発部位とするのが特徴です。この中で脳を原発部位とするものをAIDS関連中枢神経原発悪性リンパ腫(AIDS-associated primary central nervous system lymphoma:AIDS-associated PCNSL)と呼びます。
    その頻度は、HIV感染者では非HIV感染者と比較して約3600倍と高く、通常、血中のCD4陽性Tリンパ球数が50/μl以下で発症するとされています。
    病理学的には95%以上が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫で、リンパ腫細胞にEBVが検出されます。AIDS関連中枢神経原発悪性リンパ腫の発生に関しては、次のような機序が推定されています。
    1. EBVが再活性化する
    2. EBV感染によりBリンパ球が不死化し、悪性リンパ腫細胞(CD18)が出現
    3. 慢性炎症やリンパ腫細胞からIL-8産生され、リンパ腫細胞上のCD18の発現がさらに増強
    4. CD18とICAM-1の相互作用で、リンパ腫細胞が脳の血管内皮に接着し、やがて血液脳関門を通過
    5. 細胞障害性T細胞はHIV感染の影響で機能が低下し、悪性リンパ腫細胞を排除できず、中枢神経内で悪性リンパ腫細胞が増殖する
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