薬の副作用

薬物誘発精神症状 てんかん薬

はじめに
てんかん薬では、しばしば副作用としての精神症状を引き起こします。トピラマートでのうつ症状/精神病、ラモトリギンやレベチラセタムによる、不安/易刺激性などが有名で、そのような症状をもともと持っている場合は、投与が相対的禁忌になると考えても良いかと思います。
うつ病

    バルビツール
    トピラマート
    ゾニサミド
    VGB
    TGB

精神病

    エトスクシミド
    レベチラセタム
    トピラマート
    ゾニサミド
    フェニトイン(中毒量)
    VGB

易刺激性

    ラモトリギン
    レベチラセタム
    FBM

リスク要因
精神疾患の既往歴と家族歴
rapid titration
高用量

薬剤性過敏性症候群(Drug-induced hypersensitivity syndrome: DIHS)

はじめに
薬疹の一種ですが、Stevens-Johnson症候群やTEN(toxic epidermal neclolysis)と違って、薬の他にウイルス感染(HHV-6が代表的)が関係してくる病気です。原因となる薬は抗痙攣剤が圧倒的に多く、その他尿酸を下げる薬などがありますので、神経内科で診断されることもあるかと思います。
薬を飲み始めてから発症するまでに時間がかかるのが特徴で、多くは3週間以上で平均4週間と言われていますが、なかには1年以上たって発症することもあります。
薬剤を中止したのちも症状が進行して、軽快するまでに1ヶ月以上の経過を要することも多く、典型的には臨床的に二峰性を示します。この二峰性の症状の出現に、HHV-6の再活性化が関与していると言われています。

診断基準(5つ以上) appendixも参照

    1.薬剤投与開始3週間以上から増大する斑状丘疹性発疹
    2.リンパ節腫脹
    3.発熱(38℃以上)
    4.白血球増加(10000//mm3以上、異型リンパ球増加、好酸球増加)
    5.肝機能障害(ALT100U/L以上)
    6.ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)再活性化

推定原因医薬品
報告例のある薬剤はあまり多くありませんが、本も頻度が高いものはカルバマゼピンです
カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、ゾニサミド、、ラモトリジン、アロプリノール(痛風治療薬)、サラゾスルファピリジン(サルファ剤)、ジアフェニルスルホン(抗ハンセン病薬)、メキシレチン、 ミノサイクリン、ジルチアゼム、ピロキシカムなど

原因ウィルス
DIHSにおいて再活性化が見られるHHV-6は、HHV-6AとHHV-6Bに分類されますが、病原性を持つのはHHV-6Bで、小児期には突発性発疹の原因ウィルスとして有名です。そのため、成人ではほとんどの人が既感染です。HHV-6は、単球に潜伏感染し、活性化T細胞に感染することがその増殖に必要のようですが、正確な再活性化の機序は不明です。EBVのように再活性化のマーカーはないので、HHV-6 IgG抗体の経時的な測定により判断します(appendixも参照)。
その他、CMV、EBV、HHV-7の再活性化を伴った報告があります。

1

治療
ステロイド治療:ステロイドパルスや30-50mg/kg内服など
免疫グロブリン大量静注療法
HHV-6に対するウィルス薬はないですが、CMVが検出された場合にはガンシクロビールなど

appendix
dihs

抗血小板薬 update

Aspirin Use, Tumor PIK3CA Mutation, and Colorectal-Cancer Survival. N Engl J Med 2012; 367:1596-1606.
PIK3CA(ホスファチジルイノシトール-4,5-二リン酸 3-キナーゼ触媒サブユニットαポリペプチド遺伝子)変異型大腸癌の患者では,癌診断後のアスピリンの日常的使用は生存期間がより長いことと関連が認められたが,PIK3CA 野生型大腸癌の患者では関連は認められなかった

Clopidogrel and interaction with proton pump inhibitors: comparison between cohort and within person study designs. BMJ. 2012 Jul 10;345:e4388.
PPIへの曝露は死亡または新規発症心筋梗塞リスクの37%の上昇と関連したが、対象者内解析ではPPIへの曝露と新規発症心筋梗塞とのあいだに関連はみられなかった

Terutroban versus aspirin in patients with cerebral ischaemic events (PERFORM): a randomised, double-blind, parallel-group trial. Lancet. 2011;377:2013-22.
脳卒中の2次予防においてterutroban(トロンボキサン-プロスタグランジン受容体の選択的な拮抗薬)はアスピリンと同等の効果はあるものの非劣性確認できなかった

Clopidogrel with or without omeprazole in coronary artery disease. N Engl J Med. 2010 Nov 11;363(20):1909-17.
冠動脈疾患に対するアスピリンとクロピドグレル投与を受けている患者への予防的なPPI投与は、上部消化管出血の割合を減じ、ク ロピドグレルとオメプラゾールに心血管系の相互作用は認められなかった

HIT 治療

参考サイト
日本血栓止血学会

上記のサイトのPDFファイルが非常に参考になります。日本では、HIT治療薬はアルガトロバンのみになります
1.ヘパリン中止
2.アルガトロバンへ変更
その他

    3. HIT診断時にワルファリンを投与されている患者て?は、ヒ?タミンK剤にてリハ?ースを行なう
    4. HITか?強く疑われる患者に対して、血栓症の合併の有無に関わらす?、低分子ヘハ?リンも投与しない
    5. 臨床的に強く疑ったもしくは確定診断されたHIT患者に対してアクティフ?な出血か?ある場合を除いて、予防的な血小板輸注を行なわない

抗癌剤、免疫抑制剤 脳症

5fu encephalopathy

5-FU投与後、急性発症した脳症の画像(左:DWI、右:T2)
慢性の5-FU脳症では白質に散在性のT2でもはっきりとした高信号を認めることがありますが、急性脳症の場合は、白質がびまん性にDWI高信号となり、T2の異常高信号が目立たないこともあります

メトトレキサート 治療

はじめに
葉酸依存性の代謝経路を抑制することで核酸合成を阻害、細胞増殖抑制作用、免疫抑制作用を発揮する葉酸代謝拮抗薬です。長期に使用する場合は、葉酸の低下の有無のチェック、及び、EBV再活性化やMTX関連リンパ増殖性疾患(MTX-related lymphoproliferative disorders(MTX-LPD))の出現に関してsIL-2Rなどの測定をおすすめします。

A. Steroid sparing
適応疾患:多発性硬化症、NMO、神経サルコイドーシス、重症筋無力症、多発筋炎など
メトトレキサート錠 
基本は7.5mg/週(2.5mg錠を3錠) 1週間に1度内服

    2.5mgを12時間ごとに3回内服を週に1度行う方法もあります
    体格の良い人は10mg/週、体重の少ない人は5mg/週と増減することもあります

少量を長期投与する場合は、血球減少、葉酸欠乏、間質性肺障害、MTX関連リンパ増殖性疾患(MTX-related lymphoproliferative disorders(MTX-LPD))の出現に注意してください

B. 癌性髄膜炎、中枢神経原発悪性リンパ腫などに対して、
大量MTX/LV救助療法
1. 大量MTX静注 (3.5g/m^3) 6時間で静注
2. LV(ホリナート)救援療法

下記の二つのPDFは良く読まれて下さい




副作用

副作用   容量との関係
肝臓 肝酵素上昇 容量依存的
  肝線維症、肝硬変 容量依存的
消化器 悪心、胃痛、食欲不振、口内炎 容量依存的
血液 汎血球減少 容量依存的
  白血球減少 容量依存的
  大球性貧血 容量依存的
  血小板減少 容量依存的
その他 皮疹 容量と関係ない
  間質性肺障害 容量と関係ない
  結節症 容量と関係ない
  リンパ増殖性疾患 容量と関係ない
  HB劇症肝炎 容量と関係ない

悪性高熱 update

King-denborough syndrome caused by a novel mutation in the ryanodine receptor gene. Neurology 2008 71: 776-777.
skeletal muscle calcium release channel リアノジン受容体遺伝子(RYR1) に新たな変異を認めた悪性高熱に感受性のあるKing-Denborough症候群の女性例

スタチン副作用 update

Statins and musculoskeletal conditions, arthropathies, and injuries. JAMA Intern Med. 2013;173:1318-26.
スタチン使用者は、筋障害だけではなく筋肉痛、脱力、関節症などの発症が多い

SLCO1B1 variants and statin-induced myopathy–a genomewide study. NEJM. 2008;359:789-99. Epub 2008 Jul 23.
スタチンにより誘発される筋障害は,有機アニオン輸送ポリペプチドをコードするSLCO1B1遺伝子のSNPと優位な相関がある.

抗癌剤 update

Critical vasospasm during fingolimod (FTY720) treatment in a patient with multiple sclerosis. Neurology 2010 74: 2022-2024.
フィンゴリモド投与1週間後より、四肢の動脈攣縮を認めた多発性硬化症の41歳女性例

Chemotherapy-Associated Peripheral Sensory Neuropathy Assessed Using In Vivo Corneal Confocal Microscopy. Arch Neurol. 2010;67(3):364-365.
生体角膜共焦点顕微鏡にて非侵襲的に角膜の末梢神経障害が検出されたカペシタビンによる感覚性末梢神経障害

Glatiramer Acetate-Associated, CD30+, Primary, Cutaneous, Anaplastic Large-Cell Lymphoma. Arch Neurol. 2008;65:1378-1379.
MS症例に対するコパキソン(glatiramer acetate)投与により発症した皮膚悪性リンパ腫に関する症例報告

Four new cases of therapy-related acute promyelocytic leukemia after mitoxantrone. Neurology 2008 71: 457-458.
ミトキサントロン投与後に急性前骨髄球性白血病を発症した多発性硬化症の4例

Delayed leukoencephalopathy with stroke-like presentation in chemotherapy recipients. JNNP 2008;79:535-9.
くも膜下腔投与の化学療法後におこる脳卒中様白質脳症では,病変はMRIでADCが低下しており細胞傷害性浮腫を示し,また一部は可逆性の変化である