甲状腺機能異常にともなう神経障害

甲状腺機能亢進症の神経障害

    甲状腺中毒性脳症:精神症状、痙攣、意識障害、振戦、球麻痺
    重症筋無力症:筋易疲労性、複視
    ミオパチー:近位筋の筋力低下、筋萎縮
    周期性四肢麻痺:脱力発作、男性/低カリウムが多い
    外眼筋麻痺:複視、眼瞼浮腫、眼球突出
    脳血管障害:主幹動脈の狭窄やもやもや病の合併の報告がある

甲状腺機能低下の神経障害

    粘液水腫様昏睡:意識障害、認知症、幻覚、痙攣など、橋本脳症との鑑別を
    ミオパチー:筋力低下、有痛性筋硬直、筋膨隆現象
    単ニューロパチー:手根管症症候群、外側大腿皮神経障害
    多発ニューロパチー:四肢末梢の感覚低下、筋力低下

自己抗体による神経障害

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リウマチ性髄膜炎 診断

概念
リウマチ性髄膜炎(Rheumatoid meningitis)は関節リウマチの稀な合併症で、髄膜あるいは硬膜にリウマトイド結節を伴う炎症を引き起こします。長期罹患患者の増加・画像診断の進歩とともに報告例が増加しています。
この疾患のMRI画像は比較的特長的ですので、覚えておいて損はないと思われます。

疫学

    年齢は50?80歳代
    RAの罹病期は非常に早期か長期罹患例が多く、52%が15年以上
    全身の関節炎の活動性と相関は必ずしもしないため、安定期や活動性が消失してリウマチ因子が陰性化した症例も報告されています

症状

    一般的な硬膜炎、髄膜炎の症状を呈します
    頭痛、痙攣、精神症状、脳神経症状、片麻痺、単麻痺など

検査

    血液学的検査:好中球優位の白血球上昇、血沈・CRP上昇、リウマトイド因子の上昇、RAHAの上昇、補体の低下、時にANCA陽性、抗CCP抗体陽性例があり
    髄液検査:細胞や蛋白上昇、TNF-α、IL-1β、IL-6の上昇
    脳波:全般的な徐波化、突発波
    単純CT:脳溝の不鮮明化
    脳MRI:クモ膜、硬膜が主には局所的にFLAIR画像で高信号、同部位の一部がDWIで高信号、Gd増強効果あり
    FLAIRで高信号域の一部が拡散強調画像で高信号となることが特徴的で、限局性に惹起された炎症が高蛋白質な成分(比較的高密度な細胞成分)が一部に含まれるためとも考えられています
    生検:確定診断には必須ですが、リウマトイド結節がうまく見られる例の方が少ないようです。また、肉芽腫性病変を得られても必ずしも特異的ではないため、結核との異同が問題となります。硬膜炎、髄膜炎の鑑別を適宜行ったうえで、生検をせずステロイドの反応を見るのも一つの方法です

rameningitis
FLAIR画像(左)では、硬膜、髄膜が高信号を示していて、拡散強調画像(DWI;右)では、FLAIR高信号の部位の一部がPatchyに高信号を示します。ここでは示していませんが、造影MRIではFLAIR高信号領域の少なくとも一部は造影されることが多いようです

クモ膜下腔がFLAIRで高信号となる疾患の鑑別
上記の画像のようにクモ膜下腔がFLAIRで高信号となる疾患は以下のようなものがあります

    クモ膜下出血:出血なのでCTで高吸収となる
    硬膜下膿瘍:DWIでFLAIR病変全体が高信号
    リウマチ性髄膜炎:DWIでFLAIR高信号領域の一部のみが斑状に高信号(patchy high intensity)
    癌腫症:Gd造影パターン(リウマチ性髄膜炎は経時的にもpatchyとなる)
    梗塞:皮質が高信号となりクモ膜下腔では血管が高信号となることがあるので、ADC低下・MRA所見で鑑別します
    破裂類皮嚢腫:Gd造影パターン

病理
病因は未だ不明ですが、病理学的所見としては、軟膜の血管周囲の炎症細胞浸潤・壊死性肉芽腫・リウマチ結節の3所見の報告が多いようです。
リウマチ結節がつかまれば、殆ど診断は確定ですが生検ではなかなかつかまらないことも多いようです
特に硬膜・軟膜の血管を中心とした中枢神経の血管炎を本態とする報告も見られますが、硬膜炎と軟膜炎で病理像に違いはないため、炎症の首座の違いの理由も明らかではありません

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抗癌剤、免疫抑制剤 脳症

5fu encephalopathy

5-FU投与後、急性発症した脳症の画像(左:DWI、右:T2)
慢性の5-FU脳症では白質に散在性のT2でもはっきりとした高信号を認めることがありますが、急性脳症の場合は、白質がびまん性にDWI高信号となり、T2の異常高信号が目立たないこともあります

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感染性心内膜炎 診断

循環器病の診断と治療に関するガイドライン

循環器疾患にもかかわらず、脳梗塞やくも膜下出血などを併発することが比較的多く、なぜか循環器から神経内科へコンサルテーションがなされることもあります
生命予後は悪いですが、治療が奏効することもあり迷わず即入させてください。書くまでもありませんが、、、

検査

    血液培養:疑ったら必ず3本(最低でも場所を変えて2本)
    経胸壁心エコー
    経食道心エコー
    以下はそれぞれ必要時に
      塞栓部位の検索:胸腹CT、脳MRI、検尿
      細菌性動脈瘤の検索:MRA
      細菌性髄膜炎併発の検索:髄液検査、髄液培養

IE echo
僧帽弁前尖に可動性のある疣贅を認めます。このように経胸壁心エコーで疣贅やMRの所見がない場合も多いので、疑った場合は経食道心エコーも必ず行います

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甲状腺機能異常症

甲状腺機能亢進症
チウラジール
チウラジール(PTU)は時に血清のANCA抗体を産生し、血管炎を引き起こすこともあります。その場合、無機ヨード、アイソトープなどの治療に切り替え、それでも血管炎症状が残存する場合には、ステロイドを中心とした治療が必要となります。
チウラジールによるANCA関連血管炎の特徴

    ANCA陽性化の頻度:内服患者の4-32%に見られる
    内服期間7-11ヶ月(数年単位の報告あり)
    ほとんどがP-ANCA(C-ANCAは陰性、あるいは弱陽性)
    血管炎症状を伴わないseropositive例が多い
    内服中止後,数ヶ月単位で自然に陰性化する
    しかし、ANCA高力価例(≧100)では,血管炎症状を来たすことがあり,治療後もANCA低力価が遷延することが多い
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ビタミンB12欠乏症 治療

1. VitB12筋注
一般的には、1-2週間毎日VitB12筋注(バンコミン筋注 500μg)を行います
その後、VitB12筋注を週に1-3回

2.VitB12内服
内服のみで血中VitB12濃度を保てる場合もあります
腸管からの吸収が期待できる場合は、メチコバール3T3Xの内服を行いましょう

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ビタミンB12欠乏症 診断

はじめに
胃切除後、萎縮性胃炎、アルコール多飲、摂取不良などにより血中のVitB12が低下すると、巨赤芽球性貧血(悪性貧血)、ハンター舌炎などを引き起こしますが、神経系では亜急性連合性脊髄変性症を引き起こすことで有名です

神経症状
主には、後索、側索障害症状なのですが、、、他の症状も比較的よく見かけます

    後索障害症状:深部感覚障害、ロンベルグ徴候陽性など
    側索障害症状:四肢DTR亢進、痙性対麻痺など
    認知機能障害:結構頻度は高いようです
    自律神経障害:OH、便秘など
    末梢神経障害:Subclinicalな例が多いと思います

検査

    血液検査:血算、VitB12、B1、B6、VitE、ホモシスチン、葉酸、抗内因子抗体、抗胃壁抗体、抗HP抗体など
    GF:萎縮性胃炎の有無
    頚髄胸髄MRI:後索に淡く高信号が特に頚髄によく見られます。稀に、側索の高信号も
    NCV、SEP、MEP
    脳MRI、SPECT:認知機能障害がある場合は施行しましょう
    Head-up tilt testなど:OHがある場合には施行しましょう

神経組織におけるビタミンB12について
Methionine synthesisは(MeB12)はMethionine代謝と葉酸代謝の接点に関与しHomocysteineからMethionineの補酵素となっているため、ビタミンB12欠乏ではHomocysteineが上昇します。また、ビタミンB12欠乏は葉酸代謝と共役したDNA合成異常の原因となる。
中枢神経系では主に、血中からニューロンに移送されるにはBBBが存在している為、生理的濃度下ではastrocyteを経てニューロン軸索に運ばれると言われています。
ビタミンB12は髄鞘形成において重要な役割を担っているだけでなく、脊髄では頚髄、胸髄、腰髄の順にB12含量は高値であること、運動神経系では感覚神経系よりB12は高値であることが知られていて、「頚髄後索の脱髄性病変が主体」という特徴を一部裏付けることができるのかもしれません。

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浸透圧性髄鞘崩壊(osmolitic myelinolysis) 診断

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橋中心部にT2高信号、DWIで淡く高信号の病変を認めます
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脳幹のK.B.染色では同様に橋中心部の染色性が消失し、高度の脱髄を示唆します

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神経サルコイドーシス 診断

日本サルコイドーシス学会:診断基準など掲載されています

概念
サルコイドーシスは、肺、リンパ節、皮膚、眼、心臓、筋肉など全身諸臓器に乾酪壊死を認めない類上皮細胞肉芽腫が形成される全身性の肉芽腫性疾患で、Th1関与の過敏性免疫反応が関与すると考えられています。
典型的には若年女性に好発、肺門部リンパ節腫脹および肺野病変、皮膚、関節および眼症状にて初発することが多く、約90%が肺病変を形成するといわれているようです。
そのうち、神経症状は全サルコイドーシスの5%程の認められる比較的な稀な合併症で、病型として中枢神経病変、髄膜病変、水頭症、血管病変、末梢神経病変と分類されます。特に、末梢神経病変の頻度が高く、実質内肉芽腫性病変は比較的まれとされています。

症状

病変部位により様々です

    末梢神経:多くは多発単神経炎様の感覚、運動障害です
    髄膜、硬膜:頭痛、嘔吐、痙攣、脳神経麻痺、水頭症
    脳実質:片麻痺、失語、認知機能障害、下垂体・視床下部機能障害、小脳・脳幹症状などなど
    脊髄:様々なタイプのミエロパチー症状

病変の発症メカニズムとしては軟膜や血管壁の肉芽腫によって、BBBの破壊が起ることで血管周囲腔に肉芽腫が侵入して、血管周囲腔に沿って脳実質に進展していくと考えられています。
さらに、血管周囲腔が脳底部で特に大きいので、視床下部、第三脳室、視神経、脳幹から出る脳神経(特に顔面神経)が障害されやすいのかもしれません。肉芽腫性血管炎によって虚血性変化、梗塞、静脈洞血栓症などを来たすこともあります。

検査

とにかく疑ったら、サルコイド結節探しを行い、病変があれば生検し確定診断が基本です

    血液検査:ACE、リゾチーム、その他の疾患の鑑別
    ツベルクリン反応、QFT
    脳・脊髄造影MRI:硬膜・髄膜の造影増強効果、脳・脊髄実質内の造影病変が有名ですが、びまん性白質病変を含め様々な像を取りえます
    髄液検査:髄液ACE、髄液細胞CD4/8比など
    気管支肺胞洗浄 (BAL):CD4/8比が上昇している場合はサルコイドーシスの特異度は95%
    肺CT
    眼科受診
    ガリウムシンチ
    PET
    生検:脳、末梢神経、リンパ節、経気管支的肺生検 (TBLB)、皮膚などなど

病理像
サルコイドーシスの病理は多彩ですが、リンパ組織や肺に多い肉芽腫性病変、全身性の微小血管炎(ミクロアンギオパチー)が多いとされています。
肉芽腫性病変:肺の場合はリンパ管に沿うように間質に分布することが多いのですが、その癒合性、局在部位、臓器特異性によって様々な形態像をとります。非乾酪性肉芽腫を形成する異物型巨細胞の細胞質に星状小体やShaumann小体がみられることがありますが、特異的な所見ではなく、結核、ベリリウム症でも認められます。肉芽腫性の病変の大部分は自然退縮しますが、硝子化として残存したり、少数例では繊維化へ進展します。
ミクロアンギオパチー:芽腫が血管壁を侵襲し、血管壁の構造破壊によっておこると考えられています。病理学的な検討によると血管壁の肉芽腫の分布は分節的であり外膜から中膜にかけての分布が多いとされています。
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髄膜に単核球が多数存在し炎症が示唆されますが、さらに多核巨細胞を伴う非乾酪性肉芽腫が見られます

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SLEに伴う中枢神経障害 診断

概念
これほど、診断の難しい病態もすくないと思われます。全身性エリテマトーデス(SLE)では非常に多彩な精神・神経症状がみらるため、neuropsychiatric SLE (NPSLE) と総称されます。
抗リン脂質抗体・血管炎に起因する局在性病変や、せん妄・気分障害などの精神症状や認知機能障害が前景に立つびまん性の病態も包括されるます。 臨床症状はNPSLEにに特異的なものではないので、 診断基準は確立していません。

SLEにおける精神神経症状の分類 [ref]
この分類は精神症状の評価には優れている一方で、GBSやMGなどの独立した疾患概念が入っていることなど、まだ問題点も多いと言われています
中枢神経

    無菌性髄膜炎
    脳血管障害
    脱髄症候群
    頭痛
    運動異常症(舞踏病)
    脊髄症
    てんかん発作
    急性錯乱状態
    不安障害
    認知障害
    気分障害
    精神病

末梢神経

    急性炎症性脱髄性多発神経根ニューロパチー
    自律神経障害
    単ニューロパチー
    重症筋無力症
    脳神経障害
    神経叢症
    多発ニューロパチー

診断

    血液検査:SLEの活動性、凝固機能の評価
    髄液検査:感染症の除外、IL-6測定
    CT、MRI:MRI異常はNPSLEの54-81%に出現するとともに、他疾患の鑑別にも必須です
    脳波
    SPECT:MRIで異常がなくとも、変化を捕らえることもあります

鑑別
中枢神経感染症、静脈洞血栓症、PRES、薬物中毒、内服薬の副作用等々
参考:SLE診断基準
 (1997年改訂基準 アメリカリウマチ協会)

1.顔面(頬部)紅斑
2.円板状皮疹(ディスコイド疹)
3.光線過敏症
4.口腔潰瘍(無痛性で口腔あるいは鼻咽喉に出現)
5.非びらん性関節炎(2関節以上)
6.漿膜炎
 a)胸膜炎、または、b)心膜炎
7.腎障害
 a)0.5g/日以上または+++以上の持続性蛋白尿、または、b)細胞性円柱
8.神経障害
 a)けいれん、または、b)精神障害
9.血液異常
 a)溶血性貧血、b)白血球減少症(<4000/μl)
 c)リンパ球減少症(<1500/μl)、または、d)血小板減少症(<100,000/μl)
10.免疫異常
 a)抗二本鎖DNA抗体陽性、b)抗Sm抗体陽性、または、c)抗リン脂質抗体陽性
  1)IgGまたはIgM抗カルジオリピン抗体の異常値、
  2)ループス抗凝固因子陽性、
  3)梅毒血清反応生物学的偽陽性、のいずれかによる
11.抗核抗体陽性

上記項目4項目以上を満たす場合全身性エリテマトーデスと診断する

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