抗糖脂質抗体、抗ガングリオシド抗体

参考サイトWiki

はじめに
ガングリオシドは糖鎖部分にシアル酸を含む酸性糖脂質で神経組織の細胞表面に豊富に存在していて、その糖鎖構造の配列に基づいて分類されています。このガングリオシドに対する抗体(抗ガングリオシド抗体)は、Guillan-Barré症候群Fisher症候群などの自己免疫性末梢神経障害の診断マーカーとして有用で、さらにGuillan-Barré症候群の臨床型との関連も少なからずあるようです。
これらの自己抗体が抗原の局在する部位に結合し、補体の活性化やマクロファージなどの炎症細胞浸潤により障害をきたすという免疫学的な発症機序に関与している可能性があります。

色々なガングリオシド抗体の構造

Guillan-Barré症候群の臨床型とガングリオシド抗体の関連
上記の参考サイトに詳しく書かれています

代表的なガングリオシド抗体の臨床像
1. 抗GM1抗体:保険適応あり

    Guillan-Barré症候群の中でも、日本や中国に多い急性運動軸索型ニューロパチー(AMAN)でよく見られます。IgG抗GM1抗体の陽性率が高く、Campylobacter jejuniの先行感染が多いことから、Campylobacter菌体外膜のリポオリゴ糖(LOS)とGM1の間の分子相同性が自己抗体産生の機序と考えられています。抗GM1抗体陽性のC. jejuni腸炎後AMANは重篤で後遺症を残しやすいため、抗体の結果を待たずに早期の治療導入が不可欠です。

2. 抗GQ1b抗体:保険適応あり

    Fisher症候群の80~90%に出現して、GQ1bが動眼・滑車・外転神経の傍絞輪部に局在することから、抗原分布と症状の関連性が示唆されています。IgG抗GQ1b抗体は特異性も高いのですが、GT1aと交叉反応する抗体が多いという特徴があります。このGT1aに対する抗GT1a抗体は咽頭・頸部・上腕の筋力低下を特徴とするGBSのサブタイプとの関連があり、ときにFSの3徴候にこれらの筋力低下の合併がみられることがあります。

3. 抗MAG/SGPG抗体近畿大学神経内科などで測定可能

    抗MAG/SGPG抗体は、IgMパラプロテイン血症に伴うニューロパチーの50%以上で陽性と言われていて、抗MAG抗体陽性例のほとんどは抗SGPG抗体が陽性となります。MAG抗体による末梢神経障害はCIDPと同様に伝導速度の低下が目立つことから、時にCIDPとの鑑別が問題となりますが、CIDPで効果のあるステロイドや免疫抑制剤の効果が乏しく、リツキシマブなどの効果が知られています。鑑別をしっかりしましょう。

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Autonomic neuropathy (自律神経性末梢神経障害)

総説:Autonomic peripheral neuropathy. Lancet. 20058;365:1259-70.

概念
自律神経は末梢神経内で運動神経、感覚神経とともに対称的に四肢に分布しますが、小径、無髄神経で、神経伝導速度も遅いことが特徴で、これらの無髄線維を中心に傷害する疾患は比較的限られています。

原因
以下の原因以外にもありますが、頻度の高いものをリストします。

    Diabetic autonomic neuropathy
    Amyloid neuropathy
    Acute and subacute autonomic neuropathies

      Guillain-Barré syndromeやAIDP

    Immune-mediated and paraneoplastic neuropathies

      Paraneoplastic autonomic neuropathy
      Sjögren’s syndrome
      Lambert-Eaton

    Hereditary autonomic neuropathies

      Hereditary sensory and autonomic neuropathies
      Fabry’s disease
      Triple A (Allgrove’s) syndrome
      Navajo Indian neuropathy
      Tangier disease
      Multiple endocrine neoplasia, type 2b

    Autonomic neuropathy due to infectious diseases

      Chagas’ disease
      HIV neuropathy
      Botulism
      Leprosy
      Diphtheria

    Toxic neuropathies

      Organic solvents
      Marine toxins
      Acrylamide
      Heavy metals
      Vacor
      Vincristine
      Cisplatin
      Paclitaxel
      Perhexiline maleate
      Amiodarone
      Pentamidine
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IgMパラプロテイン血症に伴うニューロパチー 診断

概念
IgMパラプロテイン血症に伴うニューロパチーは、比較的高齢発症で慢性進行性のポリニューロパチーを呈する疾患です。抗MAG抗体が約50-70%程度で陽性になるといわれ、同時にMAG抗体陽性例のほとんどは抗SGPG抗体陽性でのようです。
本疾患は、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)と臨床所見、電気生理学的所見が類似します。しかしながら、治療反応性が異なるため、本疾患をCIDPと区別することは臨床上とても重要です。

MAGとSGPGについて
sulfate-3-glucuronyl paragloboside (SGPG) は硫酸化グルクロン酸を有する酸性糖脂質で、myelin-associated glycoprotein(MAG)はSGPGを含む末梢神経の複合糖質に存在しています。それらに対する自己抗体はIgMであることが多く、IgMパラプロテイン血症が検出された末梢神経障害症例では、抗MAG/SGPG抗体の測定が必須です。

検査

    血液検査:グロブリンの測定や、免疫電気泳動など
    MAG/SGPG抗体:海外検査機関や近畿大学神経内科へ相談
    電気生理学的検査
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Paraproteinemiaに伴う末梢神経障害 update

Prognosis of polyneuropathy due to IgM monoclonal gammopathy: A prospective cohort study. Neurology 2010 74: 406-412.
IgMモノクローナルガンモパチーに伴う末梢神経障害では、高齢発症及び脱髄型は日常生活の障害の強さと関連し、MAG陽性は障害の低さと関連していた(risk calculator

Myeloma-associated polyneuropathy responding to lenalidomide. Neurology 2009 73: 812-813.
Lenalidomide(Revlimid;サリドマイドの誘導体)が著効したIgA型多発性骨髄腫に伴う末梢神経障害の女性例

Monoclonal gammopathy and neuropathy. Curr Opin Neurol. 2007;20:536-41.
Paraproteinemiaに伴う末梢神経障害の総説

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Paraproteinemiaに伴う末梢神経障害 治療

多発性骨髄腫の診療指針:参考書籍


1. 多発性骨髄腫(MM)に伴う末梢神経障害
治療抵抗性で神経症状改善効果がはっきりしている治療法は殆どありません。免疫学的機序で末梢神経が障害されている可能性もあるのですが、免疫抑制剤、PE、IVIgは殆ど効果がないのが現状です。一方で、MMそのものに対する治療は以下のものがあります。
MMの治療で、末梢神経障害が改善するか停止するか増悪するかなどは信頼できるデータがないため不明といわざるおえませんが、、、
症候性MMの治療

    MP療法:昔の最も標準的な治療(CRは5%未満、 OSの中央値は3年 )
    PBSCT:現在の60歳以下の症候性MMでは第一選択(CRは30%、OSの中央値は4.5年)
    VAD療法:ビンクリスチン+ドキソルビシン+デキサメタゾン。PBSCT前に行うこともあります。単独では効果はMPと同等ですが症状の改善速度が速いようです
    Thalidomide療法:再発例に対してよく使用されます(CRは単剤治療で5%、DEX(デキサメタゾン)併用で10%)
    ボルテゾミブ:新規薬剤であるプロテアソーム阻害薬です

無症候性MMの治療
末梢神経障害が強ければ、あるいは進行が早ければPBSCTを考慮しても良いのかもしれません
一方で、無症候性MMに対しては早期にMP療法、Thalidomide治療を開始しても生命予後改善効果はないようです

ちなみに、International Staging System(ISS)で予後予測が可能です

病期 基準 生存期間中央値
I 血清β2MG<3.5mg/dl + Alb ≧3.5g/dl 62ヶ月
II 病期IとIIIの何れにも属さないもの 44ヶ月
III 血清β2MG≧5.5mg/dl 29ヶ月

2.MGUS
Coming soon

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自己免疫性自律神経節障害 (AAG) 治療

IVIg単独での効果は少ないようですが、PEやIVIgと免疫抑制剤を追加してある程度の治療効果は見られそうです

免疫治療

対症療法

    コリンエステラーゼ阻害薬(メスチノンなど):軽度の改善を認めると言われているため、上記のような積極的治療を望まない場合は処方する価値があると考えられます
    起立性低血圧に対する治療
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多発性骨髄腫(MM)に伴う末梢神経障害 診断

概念
多発性骨髄腫による末梢神経障害の検討は古くから知られていますが、昔の論文はPOEMS症候群が含まれたまま解析がなされていることもあって、注意が必要です
大きく分けると以下の二つに分類されます。特に、下段のタイプはPOEMS症候群、MAG抗体関連末梢神経障害、CIDPとの鑑別が重要です

    アミロイド沈着による末梢神経障害>こちら
    アミロイド沈着を認めない末梢神経障害

症状
慢性進行性の四肢遠位有意の運動<感覚障害

検査

    蛋白分画、IgG、IgA、IgM
    免疫電気泳動
    血清VEGF:POEMS症候群との鑑別のため
    尿検査:BJ蛋白、免疫電気泳動
    骨髄穿刺、フローサイトメトリー:形質細胞腫の検索
    アミロイド検索:胃粘膜生検、神経生検など
    心電図、ホルター心電図、心エコー、BNP (NT-proBNPも)、トロポニンT
    全身骨X-p、骨シンチなど
    髄液検査
    末梢神経伝導速度検査:振幅の低下が中心ですが、軽度のvelocityの低下が見られることもあります

病理
1. アミロイド沈着による末梢神経障害
Cogo red染色は必須です
2. アミロイド沈着を認めない末梢神経障害
このタイプの末梢神経障害では、慢性の軸索障害の所見と共に、節性脱髄の所見が目立つことが報告されています
そして以下のような障害メカニズムが推定されています

    腫瘍細胞の浸潤(細胞体の障害など)  
    血管障害(慢性虚血、過粘稠など) 
    Mタンパク等を介した自己免疫性機序 

MM2MM1
MM末梢神経症例(アミロイド沈着なし)の腓腹神経(トルイジンブルー染色)
左:有髄線維密度が低下していて、同一神経束内でも有髄神経束密度に差を認めます
右:ミエリン球はないため、急性の軸索障害ではなさそうです。ピンクの矢印で示したClusteringが目立ちますので、慢性の軸索障害と考えられますが、一方で緑の矢印のように脱髄を示唆する軸索の割に髄鞘が薄い線維(Thin myelin)が散見されます

MM3
上記症例の、解きほぐし標本
ミエリン球は認めませんが、節性脱髄を認めます

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Multifocal Motor Neuropathy (MMN) 治療

不思議なことに、ステロイド、血漿交換療法の効果はありません。主に使用されるのは、以下の二つです。この中で、有効性が確立され,保険適応を受けている免疫グロブリン大量静注 (IVIg) 療法を第1選択とすることが多いようです。維持療法としてシクロスポリンを経口で用いることもあります。最近は、rituximabの報告も増えています。
1.免疫グロブリン大量静注療法
2.エンドキサンパルス療法
3. rituximab

維持療法
1.シクロスポリン経口投与
ネオーラル 3 mg/kg /日 分2 内服 (保険適応外)
血中トラフ値を100-150 ng/mlに保つために,必要に応じて,4 mg/kg /日,5 mg/kg /日と増量します
副作用である腎障害,横紋筋融解症に注意してください

再燃時
上記、免疫グロブリン、あるいはエンドキサンパルス療法を、再燃のたびに繰り返します

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POEMS症候群 治療

1.自己末梢血幹細胞移植を伴う大量化学療法
適応のなる方は第一選択で、PBSCTにより神経症状が改善します。
大きな流れとしては、auto-PBSCTを目指すことが重要で、IVIg、MP療法などで対症的に治療しないことが重要です

2.サリドマイド療法

3.ベバシズマブ(抗VEGFモノクローナル抗体)

4.メルファラン大量間歇療法

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Paraproteinemiaに伴う末梢神経障害 診断

Classification of haematological conditions with a paraprotein
(1) Malignant monoclonal gammopathies

    (a) Multiple myeloma [overt, asymptomatic (smouldering), non-secretory, or osteosclerotic]

(b) Plasmacytoma (solitary, extramedullary, multiple solitary)
(c) Malignant lymphoproliferative disease:

(2) Monoclonal gammopathy of undetermined significance (MGUS)

上記疾患でよく末梢神経障害を来たすのは
1.多発性骨髄腫(MM)
2.MGUS
です

M蛋白血症の原因となる疾患

    形質細胞障害:多発性骨髄腫、原発性マクログロブリン血症、POEMS症候群、MGUS、ALアミロイドーシス
    その他のリンパ性腫瘍:CLL、悪性リンパ腫
    非リンパ腫性腫瘍:CML、乳癌、大腸癌など
    非腫瘍性疾患:肝硬変、サルコイドーシス、寄生虫疾患、Gaucher病、壊疽性膿皮症など
    自己免疫疾患:RA、MG、寒冷凝集素症など
    皮膚疾患:粘液水腫性苔癬、丘疹性ムチン沈着症
    など

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