アトピー性脊髄炎 診断

概念
アトピー性皮膚炎との関連が示唆されている脊髄炎です。以下のような特徴が報告されていますが、確立された概念ではないと考える方も多く、今後の症例の集積が必要です。
特徴

    アトピー性皮膚炎が先行します
    発症は急性ですが、発症以降は慢性に経過します
    四肢遠位部の頑固な異常感覚が腫脹で、四肢腱反射は亢進します
    MRIでの病巣は、頚髄が大部分で特に後方に多いようです
    髄液ではあまり異常が検出されません
    IgEが高値で、ヤケヒョウダニやコナヒョウダニに対する特異的IgE抗体が陽性
    副腎皮質ステロイド剤は2/3であまり効果なし
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頚椎症(性神経根症)update

Comparison of randomized treatments for late whiplash. Neurology 2010 74: 1223-1230.
頚椎障害の後遺症に対してブピバカイン筋注、flurbiprophen内服、理学療法の3群に分けて治療を行い女性優位に症状の改善を認めたが、治療の種類による効果の差はなく、その後に認知行動療法を追加することでさらなる改善効果が得られるようだ

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HTLV-I関連脊髄症 診断

概念
西日本を中心に特に九州・四国,沖縄に多く分布するHTVL-Iキャリアーの1000人に一人、痙性対麻痺を来たすことがあり、HTLV-Iによる脊髄障害の可能性が示唆されている疾患です

症状
緩徐進行性の

    両下肢痙性不全麻痺:感覚障害は運動障害よりも軽度で、しびれ感や痛みなど自覚的なものが多い
    自律神経症状:膀胱直腸障害(病初期より),下半身の発汗障害、起立性低血圧、インポテンツなど
    その他:手指振戦、運動失調、眼球運動障害、軽度の痴呆

検査

    抗 HTLV-I 抗体:血清,髄液共に陽性
    末梢血所見:白血球数は軽度減少、核の分葉化を示すリンパ球が散見、ATL でみられるフラワー細胞は稀
    髄液:軽度の蛋白、細胞数の増加(核の分葉化したリンパ球がみられる例もある)
    髄液ネオプテリン:活動性炎症を反映していると考えられているため、病勢の把握に重要です。SRLで測定可能です
    脊髄MRI:脊髄に局所的な病変を指摘できる例はほとんどないですが、長期経過例では胸髄全体が萎縮している場合もあります
    頭部MRI:大脳白質や橋に T2強調画像で高信号域が散在してみられる例があります
    SEP:特に下肢で中枢伝導障害の所見
    針筋電図:傍脊柱筋で軽度の脱神経所見がみられ特徴

病理と病態
病理所見
慢性炎症過程が脊髄,特に胸髄中・下部に強調されて起こっています。
つまり、小血管周囲から脊髄実質に浸潤する T細胞主体の炎症細胞浸潤があり,周囲の脊髄実質(髄鞘や軸索)の変性脱落を伴います
一方で、炎症が終息した部では強いグリオーシスと血管周囲の線維性肥厚が見られます
炎症細胞浸潤は広く大脳を含めて全中枢神経系に広がっていますが、常に脊髄中・下部に強調されていて、生理的に血流の停滞しやすい部位により強い炎症が見られるのかもしれません
病態
もう一つの特徴は非常に長期間にわたって炎症が持続しているにもかかわらず、組織の破壊は緩徐です。HTLV-I のプロウイルスは血管周囲に浸潤している T リンパ球のみに局在していて、神経細胞やグリア細胞など神経組織自体に感染しているわけではありません
つまり、本来の宿主細胞であるヘルパーT 細胞に感染しているだけで、接着因子やメタロプロテイナーゼなどを介しての組織浸潤という形で脊髄に持ち込まれていることが推定されていますが、、、

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脊髄梗塞 診断

概念
脊髄梗塞は、脳梗塞の脊髄版のようなものですので、もちろん多くは急性発症で、脊髄障害を起こす疾患です。脳梗塞と比較すると、頻度は低いのですが、その理由として、脊髄動脈波脳動脈と比較してアテローム硬化が少なく、また脊髄の血管は動脈間の吻合が豊富で、これが側副血行路として働くためとされています。

原因
脳梗塞と同様に、アテローム硬化/血栓症などによる脊髄動脈の閉塞が原因となりますが、大動脈解離、大動脈の手術など大動脈疾患に関連するものの頻度が高いようです。また、原因がはっきりしない場合もよく見られます

    Syphilis
    Hypercoagulability
    Giant cell arteritis、Polyarteritis
    Sickle cell anemia
    Intervertebral disc herniation
    Temporary cervical subluxation
    Mitral valve disease and multiple emboli
    Atherosclerosis of aortic vessels and branches
    Hypotension
    Cardiac arrest
    Traumatic rupture of aorta
    Dissection of ascending aorta
    Angiography
    Therapeutic renal artery embolization
    Surgery for aortoiliac occlusive disease

症状
とにかく、急性発症であることが重要です。しかし、5%程度は進行が数日単位で見られることもあり、その場合は脊髄炎やDural AVMなどとの鑑別をしっかり行わなくてはなりません。また、脳梗塞と同様に虚血部位により症状がことなります

    前脊髄動脈症候群
     対麻痺:もちろん錐体路症状は陽性ですが、急性期は深部腱反射が低下する場合もあります
     解離性感覚障害:深部感覚が保たれます
     膀胱直腸障害
     背中の痛み:椎体梗塞による??
    後脊髄動脈症候群
     病巣部以下の深部感覚優位の障害
     深部反射の低下/消失
     膀胱直腸障害
    分水嶺領域
     これは、脊髄中心部に虚血が出現します

検査

    血液検査:凝固能、梅毒、炎症所見など
    胸腹部造影CT:解離性大動脈瘤の検索
    脊髄造影MRI:T1、T2、脂肪抑制T2、可能ならDWI、Dural AVMとの鑑別のため造影T1も

spinal-cord
左:下部胸髄から円錐部にかけて腹側(前脊髄動脈領域)に高信号をみとめます。時々、椎体の梗塞のためか、椎体の異常信号を認めることもありますが、本例では認めません
右:脊髄腹側に高信号を認めます。赤い矢印は大動脈ですが、本例では異常を認めません

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脊髄梗塞 治療

決まった治療法がなく、リハビリテーションが中心となりますが、脊髄梗塞以外の脊髄炎などの疾患の鑑別、及び脊髄梗塞の原因検索及び原因疾患の治療が重要です
脊髄炎などTreatableな疾患が本当に存在しないかどうかはしっかり検討しましょう

1.抗血栓療法
抗血小板療法、抗凝固療法共に治療効果を証明した研究はありません。しかし、アテローム硬化が原因と考えられる場合には、抗血小板薬の投与をしてもよいと思われます

2.リハビリテーション
運動機能回復のため最も重要で、かつ肺塞栓の予防にもなります。時間をかけて徐々にADLが上アップする症例も多くあります

3.原因疾患の治療
動脈解離、血管炎、梅毒、凝固機能異常などなどアテローム硬化以外の治療可能な原因疾患が存在すれば、その治療を行います

4.その他
浮腫の強い例では、ステロイド、ラジカット、グリセオールなどの投与が経験的に行われることもありますが、有効性は証明されていません

5.合併症予防

    肺塞栓
    膀胱直腸障害に伴う尿路感染症
    褥創
    呼吸機能低下による肺炎や気管支炎
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脊髄梗塞 update

Teaching NeuroImages: Acute bilateral hand weakness from anterior spinal artery territory cord ischemia. Neurology 2009 73: e13.
下部頚髄の前脊髄動脈梗塞により両上肢の脱力で発症した58歳男性例

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頚椎症性脊髄症(CSM) 診断

概念
50歳以上の脊髄症も最も多い原因です。脊柱管断面の面積が30%以上減少すると、多くの場合脊髄症(ミエロパチー)の症状を引き起こします。脊髄圧迫因子としては以下の二つに主に分けます。

    静的因子:椎間板ヘルニア、骨棘、骨化巣による圧迫
    動的因子:頚椎の前後屈での脊髄の伸展や損傷。骨棘と黄色靭帯の折れ曲がり、上位椎体の後方へのすべり

症状
多くは徐々に進行し、階段状に進行することも多い印象があります。また、転倒など外傷を契機に症状が一段と悪化することも良く見かけます

    脊髄症:下肢の痙縮、後索障害による歩行時のふらつき、病変部以下の感覚障害など
    神経根症:上肢のしびれ感、脱力、筋萎縮、腱反射低下など
    疼痛:髄内起源の疼痛(medullary pain)、神経根性疼痛(radicular pain)、後枝内側枝起源の疼痛(軸性疼痛、axial pain)

画像
なんと行っても、MRIです。その他、ミエログラフィー、頚椎X-p、(硬膜外電極による)脊髄電位測定などを施行することもあります
MRIの所見

    T2強調画像で脊髄内の高信号(基本です)
    圧迫部位を中心にsnake-eye sign(灰白質に沿って上下髄節に進展)
    脊髄のブーメラン形あるいはバナナ形変形
    主に圧迫部位ですが、CSMノ8%程度に、脊髄背側あるいは後側方に目立つ造影効果を認め、術後の症状改善の乏しさと関連し、約60%は術後1年で造影効果が消失すると言われています

病型

    1型:脊髄中心部障害
    2型:1型+後側索部障害
    3型:3型+前側索部障害

病理

    血管系:髄内の血管は狭窄、閉塞され虚血性変化を生じます(特に分水嶺領域)、前角は脊髄中心動脈の分水嶺にあたるため、虚血に対して脆弱な部分のようです
    脱髄:直接圧迫される白質病変については脱髄変化を引き起こします
    軸索変性:一次求心性ニューロンは軸索変性の要素が強いといわれています

軸性疼痛、axial painとは?
頚椎椎間板ヘルニア、変形性頚椎症では、後頚部、肩甲骨内側部、傍脊椎部にReferred painを引き起こします。原因としては、脊椎洞神経が刺激され、神経根後枝を経て、後頚部、肩甲骨部に疼痛を引き起こすと考えられています
この、軸性疼痛では、術後の後頚部痛、肩甲部痛として訴えられることも多いようです。そのため、後頚部伸筋群の債権は重要で、C2棘突起についているSemispinalis muscle, inferior oblique muscleを温存したりなどなど色々な試みがなされています

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その他の脊髄障害 update

Pearls & Oy-sters: Fibrocartilaginous embolism myelopathy. Neurology 2010 74: e21-e23.
線維軟骨塞栓症による脊髄症と考えられた25歳男性例

Improved outcome after lumbar microdiscectomy in patients shown their excised disc fragments: a prospective, double blind, randomised, controlled trial JNNP2009 Sep;80(9):1044-6内視鏡的腰椎椎間板切除術後に、切除切片を見せたグループは、見せなかったグループよりも予後が良い

Lower back pain caused by tophaceous gout of the spine. Neurology 2009 73: 404.
脊椎の結節性痛風により背部痛が出現した75歳男性例

A 63-year-old woman with urinary incontinence and progressive gait disorder. Neurology 2009 72: 1607-1613.
尿失禁と進行性歩行障害で発症したadult polyglucosan body病の63歳女性例

Metastatic epidural spinal cord compression. Lancet Neurol 2008;7:459-66.
転移性腫瘍による圧迫性の脊髄障害についてのレヴュー

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頸椎症性脊髄症 upadate

Brain reorganization in patients with spinal cord compression evaluated using fMRI. Neurology 2010 74: 1048-1054.
頚椎症性頚髄症ではfMRIでのBOLD信号が対象群と比較して中心前回で増加し、中心後回で低下していたが、減圧術後はBOLD信号はそれぞれ増加した

Quantitative assessment of hand disability by the Nine-Hole-Peg Test (9-HPT) in cervical spondylotic myelopathy. JNNP 2008 Apr 17 [Epub ahead of print]
頸椎症性脊髄症でのNine-Hole-Peg Test (9-HPT)による評価は,簡単に行え,手の器用さをよく表している

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脊髄空洞症 update

Assessment of spinal somatosensory systems with diffusion tensor imaging in syringomyelia
J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009;80:1350-1356

3D拡散テンソル画像を用いて脊髄空洞症の脊髄を評価した。異方性比率(fractional anisotorophy)が感覚障害、冷感受性、脊髄視床伝導時間と相関した。この相関は、後側よりも腹側(脊髄視床路)で高かった。

A Giant Spinal Cord Cavity. Arch Neurol. 2009;66(10):1294-1295.
頚髄に大きな空洞を認めた水脊髄症の27歳女性例

Presyrinx in children with Chiari malformations. Neurology 2008 71: 351-356.
キアリ奇形による前空洞症病変を持つ小児例では大後頭孔の髄液の流れが停滞し、減圧術により髄液流、脊髄症状、前空洞症病変のMRIでの異常信号や脊髄腫張が改善する

Interstitial spinal cord edema in syringomyelia associated with Chiari type I malformation. JNNP 2008 Apr 10 [Epub ahead of print]
Chiari1型奇形に伴う脊髄空洞症では,MRIで脊髄の間質性浮腫が見られ,脊髄空洞症の外科的治療により改善する

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