現在ピック病という診断は,病理学的にピック球の存在が確認された症例に対して下される。ピック病診断の必要十分条件は「ピック球が存在する」ということだけで,その臨床像がどのようであったかや,脳萎縮が前頭側頭葉に限局しているか否かは問題にしません。
ピック病の臨床像はFTDが多く,SDやPAのこともある。ピック病の大脳皮質の萎縮の分布は,側頭葉より前頭葉に強調される例が後述のFTLD-Uに比べて多いと考えられており,これに関連して言語・発語の症状は,非流暢性,発語失行,あるいは構語障害がよくみられて、これは後述のFTLD-Uとは対照的です。
ピック病の大脳皮質の萎縮は前方に強いことが多いが,より後方の中心溝を挟む領域に萎縮中心がずれ,左右差のある固縮,痙性,失行といった運動機能の障害が前景に立つCBD類似の像を呈する例があります。
前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration: FTLD)は,アルツハイマー病,レビー小体型認知症についで三番目に多い変性性認知症疾患ですが、診断基準、臨床及び病理病型分類が難しく今のところ少し混乱気味です。
最も使用されることの多い、Lund-ManchesterグループによるFTLDの診断基準では,
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前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia: FTD)
進行性非流暢性失語症(progressive non-fluent aphasia: PA)
意味認知症(semantic dementia: SD)
の3つの臨床サブタイプが分けられ臨床診断の基本となっています。
一方,現在神経病理学分野では,FTLDの診断は異常に蓄積している蛋白の種類に基づいて行なわれ,病変が前頭側頭葉に限局しているか否かに強くこだわず、臨床的にFTLDを呈することの多い病理学的疾患単位であっても,「FTD,PA,SD以外の臨床像を呈する例もみられる」のが普通と認識されています。そのため最近は「各病理疾患単位の臨床スペクトラムは互いにどう異なるのか」という関心に基づいた知見の報告が多いかと思います。
2007年のFTLDの病理学的分類には
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ピック球を有するFTLD(ピック病)
ユビキチン陽性タウ陰性封入体を有するFTLD(FTLD with ubiquitin-positive, tau-negative inclusions: FTLD-U)
皮質基底核変性症(corticobasal degeneration: CBD)
好塩基性封入体病(basophilic inclusion body disease: BIBD)
ニューロフィラメント封入体病(neuronal intermediate filament inclusion disease: NIFID)
以上が疾患単位として含まれていて、FTLDの臨床像を規定する重要な病理学的要素は,大脳皮質,基底核,脳幹諸核,脊髄前角における「神経細胞の脱落・減少」と「異常な蛋白の蓄積の分布」です。二つの分布は必ずしも一致しないのですが,臨床症状とより強い相関を持つのは前者です。
Read More一般的な、気道確保、酸素投与、ライン確保、昇圧剤(DOBがfirst)投与をすぐに行い、バイタルを安定化させる
薬物療法
1. ヘパリン持続静注
2. ヘパリン直後からワーファリンを開始し、INR2-3に上昇後、ヘパリン中止
原因疾患によるが少なくとも3ヶ月は続け、癌によるあるいは再発性の血栓症の場合はより長期間ワーファリンを続ける
より積極的な治療
有効性を証明した報告はほとんど有りませんが、致死的な例に関しては試す価値があるかもしれません
3. 血栓溶解療法
4. 血栓除去術
その他
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下大静脈にフィルター留置:大腿静脈などにfree floating血栓が検出された時などにtemporaryフィルターを入れることが多いですが、permanentフィルターの適応となる例は少ないようです(循環器科にコンサルトしてください)
弾性ストッキング装着
間欠的空気圧迫法(foot pump)
バイタル管理:血圧低下に体する昇圧剤としてはDOBが肺血管の拡張作用もありDOAより使用が優先されます
頸動脈内膜剥離術(CEA)
日本人は内頚動脈、外頚動脈分岐部が欧米人と比較して高位にあることが多く、CEAは難しいことも多いのですが、CASと比較して液状化プラークを含め合併症や塞栓症のリスクが低い印象があります
- 70%以上の症候性狭窄例に対して適応(50-69%はacceptable but no proven)
50%以上の症候性狭窄病変及び60%以上の無症候性狭窄病変については十分なリスク評価のうえで適応
頚動脈ステント留置術(CAS)
CEAと同様の有効性があり、日本でも2008年4月に保険適応となりました
基本的には、CEA高リスク群(うっ血性心不全III/IV度、重度左室機能不全、不安定狭心症、6週間以内の開胸術、対側頸動脈閉塞、Tandem lesion、Slim sign、対側の喉頭麻痺、頚部放射線治療後、CEA後の再狭窄、高位頸動脈病変または鎖骨下病変、重度肺疾患、高齢者[>80歳]、重度の肥満、進行脳卒中、頻発するTIA)で、以下のような場合が適応になるかと思います。
ただし、CEA高危険性群イコールCAS適応と考えるのではなく、CASでもCEAでもともに危険な病変があることは認識しておく必要があります。
- 症候性狭窄病変 NACET50%以上
無症候性 80%以上
CAS周術期の塞栓症に関しては、術前術後の抗血小板薬は必須です。アスピリン+プラビックスが成績が良いようです
- CAS高危険群
不安定プラーク、血管内血栓、高度石灰化、低血圧で悪化する循環器疾患、近位あるいは遠位の屈曲、アクセス不能例
Cerebral hyperperfusion syndrome (CHS;過灌流症候群)
carotid endarterectomy(CEA)術後だけでなくcarotid stenting (CAS)術後にも起こることが知られています。
CHSは、発症率は低いもののひとたび発症すると重篤な脳内出血を引き起こす可能性があり、cardiac eventを除くCAS/CEA術後死亡の50%を占める重篤な合併症です。そのため早期に診断し、血圧管理など迅速な治療を行う必要があります。
症状:頭痛、けいれん、遅発性脳出血
危険因子:術前に脳循環予備能が低下している、側副血行路が乏しい、悪性高血圧、脳梗塞から時間がたっていない などの例で頻度が高いと言われています。
治療:血圧硬化療法、沈静
それでもコントロールが難しい場合は、挿管、麻酔剤投与の上、厳重な血圧、呼吸管理を行います。
CEA手術時の合併症
舌下神経損傷
舌下神経は頸動脈の分岐部のやや末梢部で内頚動脈、外頚動脈を横断するように走行しています
上咽頭神経損傷
迷走神経下神経節から出て、頚動脈分岐部の内側を走ります。この損傷により高率に嗄声を生じます
迷走神経の損傷
反回神経麻痺を来した場合は嗄声を生じる嚥下障害はない
東京女子医科大学でPLP遺伝子検索が可能です
概念
白質脳症を来たす先天性疾患の一つで、ミエリン形成不全が原因ですが、X染色体上のPLP1遺伝子が原因の、X劣性遺伝性の遺伝性疾患で、多くは染色体重複や点変異が原因として見つかります。
さらに、60?70%ではgenomic rearrangementによりPLP1遺伝子を含む領域が重複を起こして、Point mutationの場合よりも軽症の傾向があり、classic formの臨床型をとることが多いようです。
Point mutationsは20%程度で、多くは重複よりも重症のことが多いようです。点変異のほうが重症となる理由については、変異蛋白の毒性によるものと考えられています。
その他、truncationやnull mutationも少数知られています
症状
症状は非常に多彩で、出生早期から重症として発症するものから成人して通常の職業に就いている例もあります。
臨床型として、現在は主に以下の二つに分けることが多いようです。
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Classic form
筋緊張低下、眼振、運動発達の遅滞が生後一年以内に生じて、その後、眼振はしばしば消失します。失調・舞踏アテトーゼ様運動も見られます。精神運動遅滞に関しては、10歳程度までは緩徐に発達を示し、その後は徐々に増悪し、典型的には成人中期に死亡します病理像ではtrigoid dysmyelinationを示し、それに対応したMRI像も検出されます
Connatal form
Classic formよりも重症であることが多く、先天的な精神運動発達停止があり、重度の神経学的異常見られます。摂食障害、四肢の近位の痙縮による進行性の拘縮が生じますが、てんかんはまれです。生後10年以内に死亡することが多く、脳全体のミエリン形成が欠失していることが多いようです。
検査
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遺伝子検査
脳MRI
他の白質脳症の原因疾患の除外
病態
PLP1遺伝子はオリゴデンドロサイトが産生するミエリン構成蛋白のうち最も量が多いphospholipid protein 1(膜蛋白)をコードしています。このため、本疾患ではミエリンが正常に形成されません。
病理所見としては、
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大脳白質においてミエリン髄鞘の欠失または減少がみられる。側脳室周囲のほうが皮質直下よりもより障害されやすい
軸索を含む神経細胞の構造はよく保たれている
通常よりも薄いミエリンの島状構造がpatchyにある(“trigoid”)
などが特徴です
その他
Spastic Pareplegia 2:PLP1遺伝子の異常が原因で、PMDとallelicであることが証明された。症状がPMDと連続している。生後1年の間は、運動は正常発達を示す。生後2?10年で下肢の筋力低下と痙性が進行性に増悪する。眼振、視神経萎縮、失調、構語障害、精神遅滞を伴うことがしばしばみられる(complicated formと呼ばれる)。Spastic diplegiaのみの場合、pure formと呼ばれる。
薬物療法
薬剤の入手先の情報は、厚労省エイズ治療薬研究班
本症と悪性リンパ腫との鑑別が困難な例が多いのですが、治療的診断もかねてまず本症として積極的治療を行います。本症であれば、通常治療開始後2週間以内に90%以上の症例で臨床的および画像上の改善が得られますが、改善がみられない場合は脳生検が推奨されます。
ピリメタミン(pyrimethamine)初日200mg/1x、2日目から50-75mg/1x
+
スルファジアジン(sulfadiazine)4-6g/4x
+
葉酸 10?20mg/1-2x
6週間継続
以後、
ピリメタミン(pyrimethamine)25-50mg/1x
+
スルファジアジン(sulfadiazine)2-4g/4x
+
葉酸 10?20mg/1-2x
サルファ剤に対するアレルギーなどで使用できない場合には、スルファジアジンをダラシン(クリンダマイシン)2400mg/4xに変更可能
対症方法
てんかんのコントロール、脳浮腫のステロイドによるコントロールなど
予防
HAART(highlyactiveantiretroviraltherapy)が行われるようになってから、本症も含めた日和見感染症の頻度は激減しましたが、CD4陽性リンパ球数100/μl未満および抗 T.gondiiIgG抗体陽性者は、ST合剤 trimethoprim-sulfamethoxazole(TMP-SMX)倍力価錠1錠(160mg TMP/800mgSMX)/1x内服にて一次予防を行うことが推奨されています。
一次予防投与は、 HAARTを受けている患者で CD4陽性リンパ球数200/μ渥以上を3ヶ月間維持できる場合、安全に中止できます。
二次予防(上述の維持療法)については、以前は生涯継続することとされていましたが最近の報告では一次予防と同じ基準で安全に中止可能とされているようです。
血清学的に T.gondii陰性の免疫不全者の場合、トキソプラズマの暴露を最小限にするため、ネコの糞の処理や庭仕事のとき、食肉を扱うときには手袋をする、肉は良く加熱したものを食べるなどの予防策が必要です。
概要
トキソプラズマ症(Toxoplasmosis)は人畜共通感染症で、Toxoplasmagondii(T.gondii) の感染によって発症すします。T.gondiiは胞子虫類に属する細胞内寄生性の原虫で、ネコ科の 動物の腸上皮で有性生殖を行い、糞便中に排出されたオーシスト(oocyst)あるいは食肉中の嚢 子の経口摂取から感染が起こります。
T.gondii感染は通常無症候性感染ですが、先天性感染や免疫 不全状態では様々な重篤な症状を引き起こしす。AIDS患者の場合、大部分は CD4陽性リンパ球数 が100/μl 未満に低下したときに、慢性潜在性に感染していたT.gondiiが再活性化して発症します。T.gondiiは中枢神経系においてもっとも再活性化しやすく、AIDS患者でみられる中枢神経系の日和見感染症のうち、もっとも頻度が高いものがトキソプラズマ脳症(Toxoplasmic encephalitis)のようです。
臨床症状
発症の様式は、急性のものから亜急性、慢性の経過をとるものまで様々で、初発症状も様々で、頭痛、意識障害、発熱に加え、神経学的局在症候としては片麻痺、小脳性運動失調、脳神経麻痺など病変部位に応じて出現します。脳以外の臓器では眼と肺が侵されることもあります。神経梅毒のように以下のような病型に分けることもあります。
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脳症型
脳髄膜炎型
腫瘤形成型
診断
血清学的検査
トキソプラズマ IgG (EIA)、IgM(EIA)、トキソプラズマ抗体(PHA)などを提出してください。ただし、抗体は必ずしも上昇しない場合もあります。
脳脊髄液検査
蛋白は軽度から中等度上昇、糖は正常から低下し、多くの例で 細胞数は単核球優位に軽度増加します。PCR法による脳脊髄液中の T.gondiiDNAの検出は特異度が高くお勧めです
画像診断
MRI
病変は多くの場合多発性で、約90%の症例でリング状の造影または増強効果がみられます。病変は浮腫及び占拠効果を伴い、皮質、皮質?髄質境界部、基底核などに認められることが多いです。つまり鑑別として、クリプトコッカス症 cryptococcosis、ヒストプラズマ症 histoplasmosis、アスペルギルス症 aspergillosis、結核症 tuberculosis、トリパノゾーマ症 trypanosomiasisなどの感染症、原発性および転移性脳腫瘍、悪性 リンパ腫などが鑑別疾患となります。
しかし免疫正常の場合(Immunocompetent)、このような典型的な造影効果をとらない場合もあり注意が必要です。
タリウムSEPCT
特にring-enhancementを伴う病変の場合、悪性リンパ腫との鑑別が難しくなりますが、その場合はタリウムSPECTが鑑別に有用の時があります。201Tl SPECTでは、早期像にて Tlの集積亢進がなければ悪性リンパ腫は否定的ですが、早期像にて201Tlの集積亢進があり、さらに retentionindexも高い場合は悪性リンパ腫、早期像にて 201Tlの集積亢進があっても、retentionindexが低い場合は本症を含む非悪性病変の可能性が高いとされています。
蓄尿障害
- 膀胱に作用(広げる)
塩酸プロピベリン:バップフォー(20mg)1-2T分1
塩酸オキシプチニン:ポラキス6-9mg分3
塩酸フラボキサート:ブラダロン
三環系抗うつ薬:イミプラミン(トフラニール)
排出路をしめる
β2刺激薬:塩酸クレンブテロール:スピロペント
エストロゲン:プレマリン(保険適応外)
三環系抗うつ薬:イミプラミン(トフラニール)
排出障害
- 膀胱に作用(しめる)
コリン作動薬:ベサコリン、ウブレチド
(副作用:パーキンソニズム悪化、発汗、腹痛)
排出路をあける
α1遮断薬:ハルナール、ミニプレス、エブランチル、フリバス、アビショット、バソメットなど
(副作用:起立性低血圧悪化)
前立腺肥大症治療薬:プロスタール、パーセリン
疾患別処方
多発性硬化症
- 排尿困難:ミニプレス
頻尿、尿意切迫、尿失禁:ベシケア、デトルシトール、バップフォー
鳥居薬品より
ウブレチド錠5mg(ジスチグミン臭化物)は、可逆的かつ持続的なコリンエステラーゼ阻害作用により、排尿筋の緊張を高め、手術後、神経因性膀胱などの低緊張性膀胱による排尿困難を改善する薬剤ですが、アセチルコリンの過剰を来たし、重篤な副作用である「コリン作動性クリーゼ」を来すことがあります。
ウブレチド錠5mgの処方に際して
- 1日1錠(5mg)から投与を開始ください
投与開始2週間は厳重に観察をお願いします
下痢、腹痛、発汗、唾液分泌過多などの初期症状にご注意ください
特に高齢者の方には慎重投与をお願いします
1.塩分摂取
2.生活指導
3.弾性ストッキング
4.薬物療法
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ドプス(ドロキシドパ)
- ノルアドレナリン系の賦活目的で使用します
ノルアドレナリンの前駆物質であるL-threo体のドロキシドパ
フルドロコルチゾン(フロリネフ)0.1mg分2
- 体内の水分保持を目的に使用します
フルドロコルチゾン酢酸エステル(Fludrocortisone acetate)と言う、体内で作られる副腎皮質ホルモンと同じ作用をもち、電解質バランスを保持する働きがあります。
ミドドリン(メトリジン) 2mg 2T分2
- 末梢の血管を収縮させる作用で低すぎる血圧を上昇させる。血管収縮薬。
選択的α1-受容体を直接刺激する作用により末梢血管を緊張・収縮させ、血圧を上昇させる
β作用は極めて弱い
メチル酸アメジニウム(リズミック) 20mg分2
- 体内で血圧を上げる作用をしているノルアドレナリンが、末梢組織で壊されるのを防ぐことで、血圧上昇作用を持続させます
臭化ピリドスチグミン(メスチノン)
メトプロロールなどのβアドレナリン遮断薬(βブロッカー)
オクトレオチト?(octreotide)
5. 血圧降下作用のある薬剤の中止
Read More薬物療法
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テルネリン(1g)2-9T分3
ミオナール3T3X
ダントリウム(50mg)1-3T分1-3
リオレサール(5mg)1-6T分2-3
その他
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バクロフェンの髄注治療:可逆性の病態であるMSには使用することは殆どありません
ボツリヌス毒素
