Polyradiculitis as a Predominant Symptom of Tick-Borne Encephalitis Virus Infection. Arch Neurol. 2009;66(7):904-905.
多発根神経炎症状が主体で発症しMRIで馬尾の造影効果が認められたフラビウイルス感染症の58歳男性例
1. VitB12筋注
一般的には、1-2週間毎日VitB12筋注(バンコミン筋注 500μg)を行います
その後、VitB12筋注を週に1-3回
2.VitB12内服
内服のみで血中VitB12濃度を保てる場合もあります
腸管からの吸収が期待できる場合は、メチコバール3T3Xの内服を行いましょう
はじめに
胃切除後、萎縮性胃炎、アルコール多飲、摂取不良などにより血中のVitB12が低下すると、巨赤芽球性貧血(悪性貧血)、ハンター舌炎などを引き起こしますが、神経系では亜急性連合性脊髄変性症を引き起こすことで有名です
神経症状
主には、後索、側索障害症状なのですが、、、他の症状も比較的よく見かけます
- 後索障害症状:深部感覚障害、ロンベルグ徴候陽性など
側索障害症状:四肢DTR亢進、痙性対麻痺など
認知機能障害:結構頻度は高いようです
自律神経障害:OH、便秘など
末梢神経障害:Subclinicalな例が多いと思います
検査
- 血液検査:血算、VitB12、B1、B6、VitE、ホモシスチン、葉酸、抗内因子抗体、抗胃壁抗体、抗HP抗体など
GF:萎縮性胃炎の有無
頚髄胸髄MRI:後索に淡く高信号が特に頚髄によく見られます。稀に、側索の高信号も
NCV、SEP、MEP
脳MRI、SPECT:認知機能障害がある場合は施行しましょう
Head-up tilt testなど:OHがある場合には施行しましょう
神経組織におけるビタミンB12について
Methionine synthesisは(MeB12)はMethionine代謝と葉酸代謝の接点に関与しHomocysteineからMethionineの補酵素となっているため、ビタミンB12欠乏ではHomocysteineが上昇します。また、ビタミンB12欠乏は葉酸代謝と共役したDNA合成異常の原因となる。
中枢神経系では主に、血中からニューロンに移送されるにはBBBが存在している為、生理的濃度下ではastrocyteを経てニューロン軸索に運ばれると言われています。
ビタミンB12は髄鞘形成において重要な役割を担っているだけでなく、脊髄では頚髄、胸髄、腰髄の順にB12含量は高値であること、運動神経系では感覚神経系よりB12は高値であることが知られていて、「頚髄後索の脱髄性病変が主体」という特徴を一部裏付けることができるのかもしれません。
現在は、ステロイド療法とIFNα療法が代表的です。
ステロイド療法
HAM200例のレトロスペクティブな解析では,131名の患者にプレドニゾロンの内服が試みられ,69.5%に改善を認めています。活動期の症例では、プレドニゾロン投与で自覚症状の改善が見られることが多く使用が推奨されます。
活動期の患者ではプレドニゾロン20-30mg の隔日投与で比較的はっきりした改善がみられることが多く,現在でも使いやすい薬剤です
インターフェロンα療法
免疫調整作用に加えて抗ウイルス効果,さらには ATL抑制を期待して,インターフェロンα(IFN- α)による治療が行われています。保険適応もあります。
副作用なく、効果が見られれば何年にも渡り長期間投与することもあります
抗ウイルス療法
逆転写酵素阻害剤 AZT や 3TC による治療効果の報告がみられますが、今のところ効果があるという証拠はありません
外科的治療
出血源が見つかれば、止血することが最も重要です。しかしながら、静脈性のわずかな出血で有ることが多く、脳血管造影、出血シンチなどで出血源を同定することは困難です
脊椎内に硬膜欠損像が認められれば、整形外科的に閉塞することも有効との報告もあります
内服治療
その他、アドナ、トランサミンなどの止血剤の投与が行われることもあります
また、報告レベルではキレート、VitE, Cなどの投与も検索されます
髄液の赤血球が陰性化するかどうかの確認が必要です
脳幹が広範囲に梗塞に陥る病態ですので、再開通させない限りは死亡率も予後も非常に悪いことが特徴です。そのため、脳幹出血のリスクはあるのものの、一般的な脳梗塞のrt-PA療法よりはtherapeutic time windowは広くとっても良いと思います。
また、椎骨動脈解離が進展、あるいは解離部からの塞栓により脳底動脈が閉塞することがあります。この場合、血栓溶解療法はSAHなどの出血の危険性は高めるのですが、やはり再開通を目的に、選択的血栓溶解療法を選択するのが望ましいと信じています。経静脈投与よりは、血栓溶解薬の必要量が減ると考えます。
ただし、初発症状から治療開始までの時間、椎骨動脈解離に伴うBAO、脳底動脈解離の場合の治療法に関しては、確立されたデータは皆無です。
治療法
発症6時間以内であれば
- 選択的血栓溶解療法
rt-PAの経静脈投与
のどちらかを行いますが、rt-PAの経静脈投与(intravenous thrombolysis)と選択的血栓溶解療法(intra-arterial thrombolysis)において再灌流率には有意差(53% vs 65%)を認めるるものの、生存率(50% vs 45%)と死亡および要介助(77.6% vs 75.6%)では有意差を認めなかったという報告もあり、どちらを選ぶべきか悩ましいですが、基本的には選択的血栓溶解療法の方が予後がよい印象があります
さらに、経動脈的な選択的血栓溶解による再灌流の成否には年齢と閉塞機転が関与していて、年齢が若い場合と塞栓による梗塞の場合、発症6時間以内の治療開始の場合は、再灌流の確率が高く予後がよくなるようです
概念
基本的には脳幹梗塞を引き起こす病態ですが、内頸動脈閉塞と同様に、脳底動脈閉塞(acute basilar occlusion;ABO)は非常に予後が悪く、血栓溶解療法での再灌流が得られなかった場合の死亡率は85?90%程度とされています
そのため、可及的速やかな脳底動脈閉塞部の再開通が必要です
椎骨動脈解離に合併することもありますが、その場合は出血のリスクもありますが、特に若年者では血栓溶解の適応も強く考慮されます
症状
- 意識消失、意識低下
球麻痺症状
共同偏視、眼振
視野障害
四肢麻痺
呼吸減弱
四肢筋トーヌス亢進
検査
-
脳CT:脳幹腹側のHyperdense sign(下図左)
脳MRI:FLAIRで脳底動脈のhyperintense sign(下図中)、両側脳幹の虚血病変
脳MRA:脳底動脈のFlow消失
血管造影:脳底動脈閉塞(下図右)

脳CT(左)、脳MRI FLAIR強調画像(真中)では、脳底動脈が高信号に描出され、hyperdenseあるいはhyperintense signなどと呼ばれています。血栓を反映していると思われます。
脳血管造影(右):椎骨動脈より造影剤を注入すると、脳底動脈で血流が途絶しているのがわかります

橋中心部にT2高信号、DWIで淡く高信号の病変を認めます

脳幹のK.B.染色では同様に橋中心部の染色性が消失し、高度の脱髄を示唆します
病態
後天的に電位依存性Kチャネルに対する抗体(抗VGKC抗体)が産生され、これにより中枢神経、末梢神経、自律神経の過興奮がおこる疾患です
症状
- 不随意運動:neuromyotonia、睡眠時も持続するmyokimia、、運動により増強する有痛性筋痙攣・筋硬直、pseudomyotonia、
自律神経症状:発汗過多、唾液・涙分泌過多、膀胱直腸障害、不整脈(期外収縮、QT延長)
精神症状:重度の不眠、幻覚、せん妄、人格変化、痴呆、痙攣
体重減少
軽度の不眠、不安、抑うつはIssacs症候群でもみられるのですが、それ以上の精神症状を伴った場合はMorvan症候群とするようです。
神経学的には四肢の筋硬直、grip myotonia, 筋硬直に起因する歩行障害が見られるのですが、ミオトニア疾患と異なり、percussion myotoniaは認められないことが特徴です
検査所見
- 血清抗VGKC抗体陽性
髄液oligoclonal band陽性
筋電図にてmyokimic discharge、neuromyotonic discharge、
神経伝導速度にてCMAPあるいはF波に引き続く低振幅反復性筋電図(反復放電stimulus induced repetitive discharge(SIRD))
終夜脳波にてnon-REM sleep、徐波が検出されない
sural nerve生検・筋生検は大部分は正常、brain cutting は特異所見なし
他の自己免疫疾患検索:重症筋無力症や橋本病など
胸部CT:胸腺腫や肺癌検索
抗VGKC抗体の作用機序
病変部位としては通常の神経ブロックでは症状や筋電図所見に著効は見られず、神経筋遮断薬で消失することより、神経終末付近で神経の興奮性が上昇していると考えられています
抗体が直接チャネル機能そのものに影響を及ぼすのではなく、チャネル蛋白合成の抑制などチャネル密度の低下させることで作用します
- 異所性発火部位:末梢神経終末部と近位部にあり、症例によりどちらかが優位性を持つ。
中枢神経症状の出現機序:?抗体の直接作用、?末梢の抗体作用で内分泌的な異常が起こり、中枢に作用する

