Wilson病 診断

概念
ATP7B遺伝子により銅が肝臓やレンズ核(被殻と淡蒼球)に蓄積して羽ばたき振戦、アテトーゼ、ジストニーなどの不随意運動、痴呆、肝硬変を合併する遺伝性疾患です
第13染色体に存在するATP7B遺伝子の変異により、胆汁中への銅排泄および活性型セルロプラスミン合成過程における銅の受け渡しをつかさどる蛋白の異常をきたして、肝細胞内に銅が蓄積して、過剰な銅は銅イオンとして存在しfree radicalを産生するため、肝細胞壊死から肝炎、肝硬変、肝不全に至りますが、大脳基底核にも銅は沈着して、多彩な精神神経症状を引き起こすこともこの疾患の特徴です

疫学
3人/10万人程度が発症し、常染色体劣性遺伝(AR)します
発症年齢は、8-16歳と学童期に初発症状が出現します

症状

    肝障害:5%程度に劇症型肝不全からクームス陰性の溶血性貧血、凝固異常を来します
    中枢神経障害:構音障害、筋固縮、振戦、ジストニア、舞踏アテトーシス、羽ばたき振戦、知能低下
    眼症状:Kayser-Fleischer角膜輪(Descemet膜の銅沈着)
    腎障害:尿細管障害二次性Fanconi症候群

検査

    血清銅の低下、血清セルロプラスミンの低値、尿中銅の排泄増加
    肝機能検査
    遺伝子検査:第一親等の家族の診察は行ってください。可能なら遺伝診断がなされるべきと言われています
    脳MRI:大脳基底核の対称性のT2高信号が見られますが、他にも視床、脳幹、小脳に変化が見られることがあり、大脳皮質の萎縮や白質異常を伴うこともあります

病理
レンズ核(被殻と淡蒼球)に軟化・壊死
肝硬変

wilsoneye
Kayser-Fleischer角膜輪は、角膜周囲(Descemet膜)に銅が沈着したものですが、薄緑色光彩に対してはっきり見える特徴があり、熟練した検査者によるスリットランプ検査で評価するべきといわれています

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細胞移植療法 update

Safety and Immunological Effects of Mesenchymal Stem Cell Transplantation in Patients With Multiple Sclerosis and Amyotrophic Lateral Sclerosis. Arch Neurol. 2010;67(10):1187-1194.
多発性硬化症あるいは筋萎縮性側索硬化症に対する骨髄間葉系幹細胞移植の安全性は高く、免疫調整効果も比較的速やかに認められる

Pathologic findings in retinal pigment epithelial cell implantation for Parkinson disease. Neurology 2009 73: 1095-1102.
網膜色素上皮細胞移植の6ヶ月後に死亡したPD症例では、移植細胞の周辺は炎症とグリオーシスが見られ0.036%のみが脳内で生存しているのみであった

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動脈、静脈 update

Agenesis of Internal Carotid Artery With Unusual Fetal Collateral Circulation. Arch Neurol. 2010;67(10):1280-1281.
致死型のWillis動脈輪形成が見られた内頸動脈無形成及び先天性心疾患の17歳男性例

Vertebral artery dominance contributes to basilar artery curvature and peri-vertebrobasilar junctional infarcts J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009; 80: 1087-1092.
椎骨動脈(VA)脳底動脈(BA)と脳幹梗塞との関係:VAの血流は左優位のことが多く、BAは優位VAの反対側へカーブする。橋梗塞はBAカーブの対側に、PICA梗塞は劣位VAの側に生じることが多い。

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炎症性筋疾患 update

Evaluation and treatment of inflammatory myopathies. J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009; 80: 1060-1068.
炎症性筋疾患(皮膚筋炎・多発筋炎・封入体筋炎・自己免疫性壊死性筋炎)の評価・治療のレビュー

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神経線維腫症 I&II型 診断

神経線維腫症 I型 (neurofibromatosis type 2; NF1, von Recklinghausen病)

概要
神経線維腫症?型(NF1、レックリングハウゼン病)はカフェ・オ・レ斑、神経線維腫を主徴とし、骨病変、眼病変、神経腫瘍、そのほか多彩な症候を呈する全身性母斑症です。
常染色体性優性の遺伝性疾患で、NF1遺伝子は17q11.2に存在します。

症状

    カフェ・オ・レ斑:扁平で盛り上がりのない斑で、色は淡いミルクコーヒー色から濃い褐色
    神経線維腫:思春期頃より全身に多発します
    骨病変:骨病変-脊柱・胸郭の変形、四肢骨の変形・骨折、頭蓋骨・ 顔面骨の骨欠損など
    眼病変:虹彩小結節(Lisch nodule)、視神経膠腫など
    皮膚病変:雀卵斑様色素斑、有毛性褐青色斑、貧血母斑、若年性黄色内皮腫など
    脳脊髄病変:神経線維腫、 髄膜腫、神経膠腫、脳血管奇形など

神経線維腫症 II型 (neurofibromatosis type 2; NF2)
概要
NF2は、両側聴神経腫瘍を主徴として、多彩な多くは良性の神経系腫瘍を合併する遺伝性疾患で、責任遺伝子は第22染色体長腕の22q12にあり、腫瘍抑制蛋白であるmerlin (schwannomin)の発現異常によるとされています

疫学

    常染色体優性遺伝(遺伝は半数で、残り半数は孤発性)
    40,000人に1人の発生率
    男女差、人種差はありません
    発症年齢が<25歳未満と若く予後不良な群(Wishart type)と、それ以降発症の比較的予後良好な群(Gardner type)と分けることもあります

診断基準

    1. 両側聴神経腫瘍
    または
    2. 一親等にNF2があり、下記 aまたはbを満たすもの
       a. 30歳未満の片側性聴神経腫瘍
       b. 右の二つ以上:髄膜腫、神経膠腫、神経鞘腫、若年性白内障
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超音波検査 update

Cerebrovascular hemodynamics, gait, and falls in an elderly population: MOBILIZE Boston Study. Neurology 2010 74: 1627-1633.
高齢者において経頭蓋超音波で測定した二酸化炭素に対する血管反応性の低下は歩行速度の低下と強く関連し、転倒との関連も示唆された

Transcranial brain sonography findings predict disease progression in multiple sclerosis. Neurology 2009 73: 1010-1017.
多発性硬化症では黒質、レンズ核、尾状核、視床などに経頭蓋超音波で高エコー領域がみられることがあり、MRI T2低信号との相関もあり鉄沈着を反映している可能性があり、黒質の異常エコー領域は病期の進行を予測する

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ハンチントン病 治療

現時点では病状の進行に対する治療法は無く,舞踏運動や精神症状に対する対症療法が行われます

舞踏運動に対する薬物療法
抗ドパミン作用薬:ハロペリドール(セレネース)、クロルプロマジン(コントミン)、ペルフェナジン
精神症状に対する薬物療法
ジスキネジアなどの副作用が少ないオランザピンやクレチアピンなどの非定型抗精神病薬が用いられます

その他の治療
モデルマウスでは,変異Huntingtin遺伝子のon/offによってHDの病態が可逆的であることが示されており,変異Huntingtinを標的とした治療が期待されています
モデル動物では,抗アポトーシス作用のあるミノマイシンやアデノシンA2A受容体拮抗剤、ミトコンドリア機能を改善するコエンザイムQ10やジクロロアセテート、神経細胞移植、神経栄養因子の遺伝子治療などで有効性が示されています

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ハンチントン病 診断

概念
簡単に言えば、舞踏運動及び認知機能障害(知的障害)を来す、常染色体優性遺伝性疾患です
脳画像では尾状核の萎縮が特徴的です

頻度
日本では10万人に0.4人程度。浸透率は50%程度です

症状

    舞踏運動(Chorea):顔面、四肢、体幹
    精神症状:性格変化、易刺激性、抑鬱、知能低下、時に自殺企図
    若年発症の筋強直型:Westphal型では寡動、振戦、固縮などが出現することもあります

検査

    脳画像:尾状核の萎縮
    遺伝子検査:Huntingtin遺伝子(IT15遺伝子)(4p16.3) CAGリピート延長

鑑別診断
成年期に舞踏運動と知的障害を呈して、脳MRIにて尾錠核の萎縮があり、常染色体優性遺伝を示す家族歴があればこの疾患を疑うことは難しいことではありません
舞踏運動を呈する疾患の鑑別として以下のような疾患があります

    L-dopa誘発ジスキネジア
    SLE
    線条体の脳血管障害
    高血糖状態
    有棘赤血球舞踏病

本邦で多いDRPLAは、遺伝形式や成人発症で舞踏運動と痴呆を呈することが共通するのですが、ハンチントン病では明らかな小脳運動性失調やてんかん発作を伴うことが多いなどの点で臨床的に鑑別できます。
父親が中間アレルをもっている場合や、親が発病前になくなっているときには家族歴が明らかでないこともあります。最終診断ではDNAを用いてハンチントン病遺伝子のCAGリピート数の増加を確認することが重要です

Huntingtin遺伝子の特徴
ハンチントン病の原因として同定された蛋白Huntingtinをコードする遺伝子は、最初のエクソン内にあるCAGリピート数が、正常者の35回以下に対して患者では36回以上となっています。
リピート数が40回以上では確実に発病するのですが、36〜39回では浸透率が低下して、必ずしも発病するとは限りません。
中間アレルと言われるリピート数が30〜35回のアレルを父親が持つ場合には、子供への伝達の際にリピート数が増加し疾患アレルとなり、子供が孤発性HDとなることがあります

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